AIとビッグデータの関係性について詳しく解説

多くの人々がビッグデータという言葉は耳にしているものの、その実態を明確に把握できていないのが実情です。
そこで本稿では、

  • ビッグデータの定義と3つの特徴
  • 注目される理由

について説明し、さらにビッグデータとAIを組み合わせた活用事例を紹介します。

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そもそもビッグデータとは

そもそもビッグデータとは

ビッグデータは従来のデータベース管理システムでは扱いきれない膨大な量のデータ集合を指します。明確な定義はありませんが、IT企業のマーケティング用語として一般的に使われています。

ビッグデータは単に大量であるだけでなく、様々な種類や形式の非構造化データや非定型データが含まれています。リアルタイムで生成・記録される時系列データが多く含まれる傾向があります。従来は管理が困難で見過ごされがちだったデータ群を活用することで、ビジネスや社会に有益な洞察を得たり、新しいシステムや仕組みを生み出す可能性があると期待されています。

ビッグデータの普及には、コンピュータやインターネットの急速な進化が背景にありますが、3つの流れによって発展してきました。

  • 第一の流れ:データのデジタル化とコンピュータの高性能化
  • 第二の流れ:インターネットの発達
  • 第三の流れ:ビッグデータ時代の到来

大量のデータを複数のマシンに分散処理できるオープンソースプラットフォーム「Hadoop」が第三の流れに拍車をかけたと言われています。Hadoopによりペタバイト(1000テラバイト)レベルの非構造化データの超高速処理が可能になり、大量のデータを低コストで分析できるようになりました。

ビッグデータの3つの定義

ビッグデータの3つの定義

データの多様性(Variety)
ビッグデータは、構造化データ(データベースなどの表形式のデータ)だけでなく、非構造化データ(テキスト、画像、音声、動画など)も含まれます。

  • 構造化データ:表形式のデータ
  • 非構造化データ:テキスト、画像、音声、動画など

データの量(Volume)
ビッグデータは、従来のデータ量を遥かに超える膨大なデータ量を扱います。

従来のデータ量 ビッグデータの量
GB(ギガバイト)単位 PB(ペタバイト)単位

データの処理速度(Velocity)
ビッグデータは、リアルタイムでデータを収集・処理する必要があります。

  • リアルタイムでのデータ収集・処理が必要

種類

ビッグデータには、多様なデータ種類や情報源が含まれています。
従来の企業データに加え、ソーシャルメディアやモバイルから生成されたデータも取り扱われます。
ビッグデータには幅広いデータ範囲が含まれ、構造化データに加えて、

  • ソーシャルメディアのテキスト・音声データ
  • メール
  • 動画
  • ログ
  • 位置情報
  • センサーデータ
  • デザインデータ
  • 株価・決済データ

など、様々なデータが含まれます。
非構造データは以前から存在・蓄積されていましたが、ビッグデータとしてこれらを分析・活用する点に新規性があります。

容量

ビッグデータの特徴の一つに、大量のデータ量があげられます。IT技術の進展により、生成、収集、蓄積、解析が可能なデータの規模は膨大なものとなりました。
米国の調査会社IDCの報告によると、2012年の世界全体のデータ量は2.8ゼタバイト(1兆の10億倍)でしたが、現在は59ゼタバイトにまで増加しています。

  • 構造化データ(Excelファイル、CSVファイル、固定長ファイルなど)
  • 非構造化データ(テキスト、メール、音声、動画、ログ、位置情報、センサーデータ、デザインデータなど)

を統合・組み合わせて分析することで、予期せぬ示唆が得られる可能性があります。

Velocity(速度)

ビッグデータの3つの特徴の最後が「Velocity」つまり速度です。現代のビジネス環境の変化に対応するためには、データ活用においても迅速性が重要となります。
速度とは、データが生成される速さと同時に、そのデータをいかに素早く処理し、更新する必要があるかを示しています。

  • SNSや動画共有サイト
  • POSシステム
  • 交通系ICカードの利用履歴など

データが生成された瞬間にリアルタイムで収集・蓄積・分析することが大きな意義を持ちます。
ここまでビッグデータの3つの特徴を説明してきましたが、「Veracity(真正性)」「Value(価値)」を加えて5つの特徴とすることもあります。
真正性とは、ノイズを排除し、データの正確性と完全性を保証することを意味し、価値とは、データを活用することで経済的・社会的な価値を生み出せることを指しています。

ビッグデータが注目された要因

ビッグデータが注目された要因

ビッグデータが脚光を浴びた背景には、主に2点の理由がございます。

  • 第一に、情報の爆発的な増加が挙げられます。クラウドコンピューティングやSNS、センサーネットワーク、スマートフォンの普及により、デジタルデータが爆発的に拡大したことが、この現象を指します。
  • 第二に、大量のデータを収集・保管するためのフレームワークや、複数のマシンで分散処理が可能なプラットフォームが開発されたことです。これによりビッグデータの取り扱いが容易になり、保管・処理コストが低減されました。

ビッグデータとAIの関係性

ビッグデータとAIの関係性

ビッグデータとAIの活用により、データから高い価値を引き出し、AIの性能向上が実現可能となりました。
従来は膨大なデータの管理や保存が困難でしたが、機械学習やディープラーニングの進歩によって、大規模データの処理や解析が可能になりました。
その結果、企業が保有する大量のデータを効率的に分析・整理し、有用な情報のみを抽出することができるようになりました。
機械学習やディープラーニングの分野は近年急速に発展しています。

  • 2012年のディープラーニング登場以降、画像認識精度が向上し、従来人手で行っていた画像や音声などのビッグデータの分析・整理作業もコンピュータで実施できるようになりました。

ディープラーニングの性能を高めるには、学習用のビッグデータが不可欠です。

ビッグデータでAIを活用した事例

ビッグデータでAIを活用した事例

ビッグデータとAIは深く結びついています。
ここでは、さまざまな分野においてビッグデータを活用したAIの実例を挙げていきましょう。

  • 医療分野では、患者の診療データを解析することで、疾病の予測や新薬の開発に役立てられています。
  • 製造業では、センサーデータを活用して設備の故障予知や品質管理を行うことができます。
  • マーケティング分野では、顧客の購買履歴や行動データを分析し、ターゲティング広告の配信や新商品開発に生かされています。

このように、ビッグデータを活用したAIは、様々な産業で革新的な価値創出に貢献しています。

観光業界

奈良市の観光案内を支援するため、多言語対応のAIチャットボット「talkappi」が導入されました。
このシステムは、

  • 観光客からの多言語での問い合わせに自動で応答したり
  • マーケティング支援などの機能を備えています

観光客は、スマートフォンのWebブラウザや国内外の様々なメッセンジャーアプリから利用できるため、旅行前から旅行後まで継続的にサポートを受けられるようになりました。

医療業界

医療分野においても人工知能の導入が進行しています。例えば、患者の細胞から癌などの異常を検出する病理学の領域では、米国では人工知能による画像解析技術を活用し、細胞から癌の有無を自動的に判定することで、検査プロセスの効率化が図られています
人間が目視で判断する場合、経験値に左右されやすく、個人差が生じがちですが、人工知能を活用することで、人為的な曖昧さや疲労による判断のばらつきを排除することができます

教育業界

学習支援分野においてAI技術を活用した製品の一例が、株式会社COMPASSが開発したタブレット型のAI学習ツール「Qubena」です。このツールは、

  • 生徒の学力レベルに合わせた問題を出題し、間違えた問題のデータを収集・分析することで、生徒が誤解している箇所を特定します。
  • その上で、効率的な学習が可能となるよう、適切な指導を行えるようになっています。

実際の導入実験では、通常14週間の授業内容を2週間で修了できたと報告されています。

小売業界

小売業界においては、人工知能(AI)が需要予測に基づく発注時間の短縮などに活用されています。
商品の発注作業は、小売店にとって多大な労力と時間を要するだけでなく、経験と勘が求められる困難な業務です。
そこで、コンビニエンスストアチェーン大手のローソンは、

  • 2015年から全店舗で過去の販売実績や当日の気象条件を考慮し、AIが最適な商品数を算出する「セミオート発注システム」を導入しています。

自動車業界

自動車産業においては、製造工程から運転まで、AIが様々な側面で利用されています。
例えば、

  • 本田技研では深層学習を活用することで、歩行者保護性能評価における頭部損傷値の算出時間を40時間から約10秒に短縮する成果が得られました。
  • また、実用化には至っていませんが、埼玉工業大学では、運転中にカメラ画像などの解析に深層学習を適用し、AIが周辺環境を認識して障害物を回避できるとしています。

まとめ

まとめ

大量のデータが生成され、保存や処理が可能になったことで、近年ビッグデータが注目されています。ビッグデータは以下の3つの特徴で定義づけられます。

  • Variety(種類)
  • Volume(容量)
  • Velocity(速度)

ビッグデータの分析にはAIが活用されることが多く、AIの精度向上にもビッグデータが役立っています。今後もデータ処理に長けた人材であるデータサイエンティストの需要は拡大すると見られています。

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本記事がお役に立てば幸いです。