JSTQB認定テスト技術者資格の詳細と参考書

ソフトウェアテストの専門家を認定する資格制度として、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)が主催する認定プログラムがあります。
この資格には以下の2つのレベルが設けられています。

  • Advanced Level
  • Foundation Level

2006年5月に、従来のJTCB(Japan Testing Certification Board)から名称が変更されました。

現代社会では、以下のようなさまざまなソフトウェアシステムが構築されています。

  • 自動車
  • 企業システム
  • ネットワークインフラ

しかし、システム障害により一時的に利用できなくなるなどの問題も発生しています。

このような課題を解決するには、ソフトウェア開発におけるテスト技術の向上が有効であると言われていますが、実際には未解決の問題が残されています。
JSTQB認定テスト技術者は、ソフトウェア開発のテストプロセスを技術的に改善するための知識とスキルを持っています。

本記事では、以下の内容について説明します。

  • JSTQB認定テスト技術者資格の出題範囲
  • 申請手順
  • 取得メリット

最後までご覧ください。

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JSTQB認定テスト技術者資格とは

JSTQB認定テスト技術者資格とは

ソフトウェア開発において、適切なテストの実施が欠如していることから、コストパフォーマンスが低下し、不完全なシステムが増加しています。
従来の運用方式では技術的な課題が生じるため、この環境下で誕生したのがJSTQB認定テスト技術者資格制度です。
この資格は、ソフトウェアテストを適切に行うために必要な知識とスキルを証明するものです。
テスト不足による成果物の品質低下を防ぐ上で重要な仕組みであり、ソフトウェアテストの技術向上にも寄与すると考えられています。

JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、かつてJTCB(Japan Testing Certification Board)と呼ばれていましたが、2006年5月に改称されました。
それ以降も、ソフトウェア技術者の育成と技術の向上に尽力してきました。
今後もソフトウェア技術およびテストの品質向上のために、JSTQB認定テスト技術者の活躍が広がることが期待されています。

JSTQB認定テスト技術者資格試験概要

JSTQB認定テスト技術者資格試験概要

JSTQB公認のテスト専門家資格を手にするには、テストエンジニアやITコンサルタントとしての知見と技能を身につける必要があります。
この資格は国際的にも通用する認定資格です。
JSTQB自身が資格の運営を主導しつつ、試験の実施については提携団体と協力して実施しています。
現時点では

  • 一般財団法人日本科学技術連盟が試験の実施を担当しています。

それでは、この資格の詳細について見ていきましょう。

JSTQB認定テスト技術者資格の詳細

Advanced Level Foundation Level
テストマネージャ テストアナリスト -
試験会場 札幌、東京、名古屋、大阪、福岡、那覇 札幌、東京、名古屋、大阪、福岡、那覇
試験日時 不定期※年1回(8月)開催が多い 不定期※年1回(2月)開催が多い
約半年に1回(2月中旬、8月下旬)
試験時間 180分 120分 60分
出題形式 多岐選択 多岐選択 多岐選択
問題数 65問 40問 40問
合格基準 ISTQBのサイトを参照 ISTQBのサイトを参照 ISTQBのサイトを参照
受験料(税込) 22,000円 22,000円 22,000円
受験資格 Foundation Level合格および実務経験3年以上 Foundation Level合格および実務経験3年以上 どなたでも可能
試験結果 試験実施日より3ヶ月程度かかる※合否通知日を明確にせず、作業が完了し次第合否を公開 試験実施日より3ヶ月程度かかる※合否通知日を明確にせず、作業が完了し次第合否を公開 試験実施日より3ヶ月程度かかる※合否通知日を明確にせず、作業が完了し次第合否を公開

JSTQB認定テスト技術者資格の出題範囲

JSTQB公認のテスト技術者資格には、初級レベルと上級レベルが設けられています。
それぞれのレベルで扱われる試験範囲について、詳細を確認していきましょう。

レベル 試験範囲
初級レベル
  • ソフトウェアテストの基礎知識
  • テストプロセス
  • 静的テスト技法
  • テストデザイン技法
  • テストマネジメント
  • ツールに関する基礎知識
上級レベル
  • テストプロセス
  • テストマネジメント
  • テストモデリング
  • 解析的テスト設計
  • 人的品質特性
  • レビュープロセス
  • テストツール

Foundation Level

JSTQB公認のテスト専門家資格であるFoundation Levelの試験範囲は、カリキュラムにて以下のように定められています。

  • テストの基本概念
  • ソフトウェア開発プロセス全体におけるテストの役割
  • 静的テスト手法
  • 動的テスト手法
  • テスト管理
  • テスト支援ツール

(出典:テスト技術者資格制度 Foundation Levelシラバス 2018年版V3.1.J03)
Foundation Levelの出題範囲の詳細については、関連資料をご参照ください。

Advanced Level

JSTQB認定の上級レベルの資格は、テストマネージャとテストアナリストの2つに分けられています。それぞれの試験範囲は、シラバスに明記されており、以下のように定められています。

テストマネージャ(ALTM)シラバス テストアナリスト(ALTA)シラバス
  • テストプロセス
  • テストマネジメント
  • レビュー
  • 欠陥管理
  • テストプロセスの改善
  • テストツールおよび自動化
  • スタッフのスキル-チーム編成
  • テストプロセスにおけるテストアナリストの役割
  • リスクベーステストにおけるテストアナリストの役割
  • テスト技法
  • ソフトウェア品質特性のテスト
  • レビュー
  • テストツールおよび自動化

(出典:テスト技術者資格制度 Advanced Levelシラバス 日本語版テストマネージャ、ISTQB®テスト技術者資格制度 Advanced Levelシラバス日本語版 テストアナリスト)

テストマネージャ(ALTM)シラバスの詳細については、こちらをご覧ください。また、テストアナリスト(ALTA)シラバスの詳細は、こちらから確認できます。

JSTQB認定テスト技術者資格の受験者数・合格率・難易度

JSTQB認定テスト技術者資格の受験状況と合格率について、以下のように要約できます。

Advanced Level(テストマネージャ)
年度ごとの受験者数と合格者数に大きな変動はなく、合格率も一定の水準を維持しています。

年度 受験者数 合格者数 合格率
第8回(2018年) 339名 91名 26.8%
第9回(2019年) 484名 78名 16.12%
第11回(2021年) 320名 107名 33.44%

Advanced Level(テストアナリスト)
2020年をピークに受験者数が大幅に減少しており、新型コロナウイルス感染症の影響が考えられます。

年度 受験者数 合格者数 合格率
第3回(2018年) 283名 64名 22.61%
第4回(2019年) 504名 128名 24.4%
第5回(2020年) 453名 94名 20.8%
第6回(2021年) 288名 39名 13.5%
第7回(2022年) 392名 163名 41.6%

Foundation Level

  • 2019年8月の第27回試験以降、受験者数が激減しています。こちらも新型コロナの影響が考えられます。
  • また、合格率はAdvanced Levelの約3倍の高さがあり、資格グレードごとに難易度に差があることがうかがえます。
年度 受験者数 合格者数 合格率
第24回(2018年) 1,100名 818名 74.36%
第25回(2018年) 2,274名 1,440名 63.3%
第26回(2019年) 1,324名 645名 48.8%
第27回(2019年) 1,848名 1,162名 62.9%

JSTQB認定テスト技術者資格の申請手順

JSTQB公認のテスト専門家資格を取得するための申請プロセスは以下の通りです。

  • オンラインフォームから申請を行う
  • Web登録の確認メールが届く
  • 受験可否の通知と支払い案内のメール
  • 指定の口座に受験料を振り込む
  • 受験票などの書類を受け取る

受験登録完了の連絡が届けば、手続きは完了となります。メールに記載された支払い方法と期限を守る必要があります。当日は受験票を持参し、JSTQB公認テスト専門家試験を受けますが、結果は原則3ヶ月以内に発表されます。

JSTQB認定テスト技術者資格の有効期限

資格認定機関JSTQBが実施するテスト技術者資格試験に合格すれば、その能力が永続的に認められます。
試験に合格すれば、一定期間が経過したからといって資格が失効することはありません。
なぜなら、この資格は特定の権利を付与するものではなく、あくまでも技術力の証明に過ぎないからです。

勉強時間

JSTQB認定テスト技術者資格の取得には、一定の学習時間を費やす必要があります。
グレードごとに求められる知識やスキルが異なるため、適切な準備が欠かせません。
しかし、仕事を持ちながらこの資格を取得することは容易ではありません。

そこで、

  • Foundation Levelでは、約10〜30時間の学習時間を確保しなければ難しいとされています。
  • シラバスを熟読し、実務経験があれば合格に近づきます。

一方、

  • Advanced Levelに合格した人の体験によると、平均して約40〜60時間の学習時間が必要だと言われています。
  • Advanced Levelでは、Foundation Levelの合格に加え、3年以上の実務経験が求められるため、簡単に取得できる資格ではありません。

JSTQB認定テスト技術者資格の資格って役に立つ?資格取得のメリットとは

JSTQB認定テスト技術者資格の資格って役に立つ?資格取得のメリットとは

ソフトウェアテストの専門知識を備えるために、JSTQB公認の資格を取得することをお勧めします。この資格を持つことで、以下のメリットがあります。

  • 就職活動や職場での転職においても有利に働く
  • 業務の効率化に役立つ
  • スムーズな業務遂行が期待できる

ソフトウェアテストスキルや知識が身に付く

ソフトウェアテストの専門知識と実践力を身につけることができるJSTQB認定テスト技術者資格の取得は、製品の品質向上に寄与するだけでなく、プロフェッショナルとしての倫理観を養うことにもつながります。

機密情報の取り扱いには細心の注意を払いながら、模範的な行動によるデータ管理方法を学ぶことで、

  • 「プロダクト」
  • 「マネジメント」

分野での活躍の場も広がります。

この資格は国内外で通用するため、グローバルなソフトウェア技術の習得にもつながり、特にテストエンジニアやQAエンジニアとしての知見を深めることができます。

そのため、JSTQB認定テスト技術者資格の取得は強くお勧めできます。

転職・就職に活用できる可能性がある

JSTQB公認のテスト技術者資格は、IT/Web関連企業への就職や転職において有利な立場に立つことができます。
先に述べたように、この資格はテストエンジニアとして必要な知見やスキルを備えていることを証明するものです。
個人的にも、JSTQB公認テスト技術者資格を取得していれば、

  • 一般財団法人日本科学技術連盟から技術者として認められていると言えます。
  • 体系的にソフトウェア技術を学ぶことができ、その知識をIT/Web関連企業への就職や転職に生かせるというのは大きな利点と言えるでしょう。

JSTQB認定テスト技術者資格の資格取得のデメリット

JSTQB認定テスト技術者資格の資格取得のデメリット

JSTQB公認のテスト技術者資格を手にするためには、学習に費やす時間を十分に確保する必要があるというマイナス面が存在します。
それでは、より詳細に見ていきましょう。

  • 学習時間の確保が必要
  • 資格取得のメリットとデメリットを理解する
メリット デメリット
スキルアップ 学習時間の確保
キャリアアップ 受験料の支払い

勉強時間を確保する必要がある

JSTQB認定テスト技術者資格の取得には、一定の学習時間を要することがデメリットと言えます。

  • Foundation Levelでは概ね10時間から30時間程度
  • Advanced Levelでは40時間から60時間前後の学習時間が目安とされています。

就業しながらこれだけの時間を確保するのは容易ではなく、場合によっては大変な努力を強いられる可能性があります。
Foundation LevelとAdvanced Levelでは難易度が異なるため、必要な学習時間にも違いがあることを認識しておく必要があります。
ただし、個人の実力次第では、必ずしもそれだけの時間を費やさなくても合格できる場合もあります。

  • 使用する参考書や学習方法
  • 実務経験年数によっても、合格に要する時間は変わってくるためです。

したがって、上記の時間は目安程度に捉えるべきでしょう。

JSTQB認定テスト技術者資格合格のためのおすすめの参考書や学習方法

JSTQB認定テスト技術者資格合格のためのおすすめの参考書や学習方法

JSTQB認定テスト技術者資格の取得を目指す際には、適切な参考資料と学習アプローチを選択することが重要となります。
自己学習も可能ですが、選択する資料や方法によって習得度合いが異なることは否めません。
本稿では、参考書「ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応」と推奨される学習方法について説明します。

それでは、詳細を確認していきましょう。

ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 2024年6月対応

この書籍は、JSTQB認定テスト技術者資格の取得を目指す人々に向けて、必要な知識とスキルを身につけるための参考書です。
ソフトウェア開発においてテストの品質向上は重要であり、この資格の取得には基礎的な知識が不可欠です。
本書はJSTQBの最新シラバス「Version 2018」に準拠しているため、最新の内容を学ぶことができます。
また、

  • 専門用語の解説も含まれているため、初学者にも分かりやすい構成となっています。
  • さらに、資格試験の模擬問題も収録されているため、資格取得を目指す人にとって有用な一冊と言えます。

研修コースの受講も検討しよう!

JSTQB公認のテスト技術者資格を取得したい方向けに、研修プログラムが用意されています。

  • 初心者向けのコースとしてFoundation Levelがあり、承認の対象は以下の通りです。
    ・カリキュラム内容
    ・テキスト教材
    ・講師の資格
  • また、認定の有効期限は約2か月間となっています。

効率的にJSTQBテスト技術者資格について学習できるため、おすすめの方法の一つと言えるでしょう。

申込の際は以下の情報を記入の上、事務局宛にご送付ください。

  • 会社名
  • 担当者名
  • 連絡先(メールアドレス、電話番号)

事務局メール: query@jstqb.jp

まとめ

まとめ

この記事では、JSTQB認定テスト技術者資格の概要と取得のメリット、学習方法について説明しました。
ソフトウェアテストの品質向上は、優れた成果物の完成に繋がります。
この資格を取得すれば、

  • テスト技術を身に付けられるだけでなく、
  • 就職や転職にも有利になります。

ただし、一定の学習時間を確保する必要があります。

  • 独学でも取得は可能ですが、適切な参考書の選択が重要です。
  • 研修コースを受講すれば、資格取得がより近づくでしょう。

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