WebサーバーソフトウェアであるApacheとNginxの違いについて、多くの人が十分に理解できていないかもしれません。
Apacheは動的コンテンツの処理に適しており、
- 豊富な技術情報があり初心者でも簡単に扱えます
一方、Nginxは静的コンテンツの処理に適しており、
- 高速な処理が可能な一方で
- 技術情報が少なく専門的なため初心者には難しい面があります
この記事では、ApacheとNginxの特徴、長所と短所について詳しく説明していきます。
Apacheの特徴
Webサーバーソフトウェアの代表格であるApacheについて説明します。
まずApacheの概要を説明した後、その特性や長所について詳しく述べていきましょう。
Apacheは無料で利用できるオープンソースのソフトウェアですが、高い機能性と信頼性を備えています。
- 他のWebサーバーと比べて、柔軟なカスタマイズが可能なのが大きな利点です。
- また、セキュリティ面でも優れた対策が施されているため、安全性の高いWebサイト運用が実現できます。
- さらに、世界中の多くの開発者によってメンテナンスされているため、継続的な改善が行われています。
Apacheの概要と特徴
Webサーバーソフトウェアの代表格として知られるApacheは、1995年にリリースされたオープンソース製品です。
正式名称はApache HTTP Serverと呼ばれ、Apacheソフトウェア財団が開発を手掛けました。
当初は米国立研究所が開発したNCSA HTTPdをベースに改良が重ねられましたが、2000年頃にはBrian Behlendorfによってソースコードが一新されました。
BehlendorfはApacheの基盤を築いた主要メンバーです。
2017年時点で世界のWebサーバーシェアの約半分を占めていましたが、2021年にはNginxに首位の座を奪われました。
インターネット上のサービスを利用する際は必ずWebサーバーが介在しており、Apacheがその半数近くを担っていたことになります。
名称の由来には、以下の2つの説があります。
- アパッチ族に因んだ説
- パッチを重ねた結果からの駄洒落説
Apacheの主な特徴を以下に説明します。
Webサーバーソフトウェア「Apache」の安定性と信頼性
オープンソースソフトウェアは、一般的に保証が付与されていないため、利用者数や開発期間が安定性を判断する際の指標となります。
W3Techsの調査結果によると、Apacheは約35%のシェアを占めており、世界的な大手企業でも幅広く採用されています。
加えて、オープンソースならではの特徴として、頻繁なアップデートが行われています。
このように、実用的な安定性と信頼性を備えたWebサーバーソフトウェアであると言えます。
多様な環境に対応するApache
ApacheはWindows、Mac、Linuxなど様々なオペレーティングシステムで動作するため、多くのユーザーに適した選択肢となります。
プラットフォームに依存しないため、ユーザーの要求に柔軟に対応することができます。
Apacheの無料利用
Apacheは無償で利用できるオープンソースのWebサーバーソフトウェアです。
個人でも気軽にWebサイトを構築することができます。
Apacheを利用したCMS構築の簡易性
Webサイトの様々なコンテンツを一括で管理するためのシステムであるCMSを活用する際、Apacheは比較的簡単な設定で運用できます。
CMSとは、以下のようなものを指します。
- ウェブページを構成するテキスト
- 画像
- デザイン
- レイアウト
などのデータを一元的に保存・管理するためのソフトウェア
Nginxの特徴
Nginxは、ロシアのIgor Sysoevによって開発されたオープンソースのWebサーバーおよびリバースプロキシサーバーです。
その軽量で高性能な設計は、大規模なWebサイトやアプリケーションに適しています。
Nginxの主な特長は、以下のとおりです。
- イベント駆動アーキテクチャによる優れた並列処理能力
- 低メモリ消費量
- 高い信頼性と安定性
また、静的コンテンツの配信に優れ、リバースプロキシとしても機能します。
さらに、以下の機能を備えています。
ロードバランシング | SSL/TLS暗号化 |
Nginxの歴史と現状
Webサーバーソフトウェアの代表格であるNginxは、2004年にロシア人開発者のイーゴリ・シソエフ氏によって誕生しました。
当初は高トラフィックサイトrambler.ruの負荷分散ツールとして開発されましたが、Apacheに比べて高速な処理能力を持つことから、次第に人気が高まりました。
- オープンソースのコミュニティ版
- 有償のエンタープライズ版
の2つのエディションが提供されています。
長らくApacheに次ぐシェアを維持していましたが、2021年4月にようやく世界最大のWebサーバーソフトウェアの地位を獲得しました。
以前は設定が難解で情報不足といった課題がありましたが、現在では十分な知見が蓄積されており、Apacheユーザーでも比較的簡単に利用できるようになっています。
Nginxの柔軟性
Nginxは柔軟な構成が可能なWebサーバーです。
モジュール式のアーキテクチャにより、
- 不要な機能を削除して軽量化したり
- 独自の機能を追加したりすることができます
カスタマイズが容易に行えるのが特徴です。
Nginxの高性能とOS対応力
Nginxは多様なオペレーティングシステムに適応可能なWebサーバーです。
- Windows
- Mac
- Solaris
- Linux
- BSD
など、様々なプラットフォームで動作します。
高速な処理能力に加え、このOSへの柔軟な対応力が、Nginxが世界トップクラスのWebサイトで幅広く採用されている要因の一つとなっています。
Nginxの静的コンテンツ処理能力
Nginxは静的なデータの配信に適しています。
この製品は、もともとApacheの前段階としてロードバランサーやリバースプロキシとして活用されていましたが、単体でも静的コンテンツを効率的に提供できます。
この場合、別途キャッシュサーバーを用意する必要はありません。
静的ファイルの処理能力は、Apacheのおよそ2倍の性能を発揮します。
Apacheを導入するメリットとデメリット
WebサーバーソフトウェアであるApacheの利点と欠点について、ここで詳しく説明していきましょう。
Apacheを採用することで得られる恩恵と、一方で生じる可能性のある課題点を整理し、その特徴を明らかにしていきます。
導入を検討する際の参考情報としてご活用ください。
Apacheの利点
Apacheには様々な長所があります。
- CMSを活用する際に複雑な設定作業を行う必要がありません。
- 問題が発生した場合でも、豊富な技術情報が存在するため、安心して利用できます。
- 多くのレンタルサーバープランにあらかじめApacheが組み込まれています。
- 公開ページの高速表示が可能な対策が施されています。
- セキュリティ対策は常に更新されており、高い安全性を備えています。
メモリ消費と同時処理の限界
Apacheには複数の欠点が存在します。
- プロセスを個別に生成するため、メモリ使用量が多くなる傾向にあります。
- また、同時に処理できる接続数には上限があり、一定の制約を受けます。
Nginxを導入するメリットとデメリット
WebサーバーソフトウェアであるApacheの利点と欠点について、ここで詳しく説明していきましょう。
Apacheを採用することで得られる恩恵と、一方で生じる可能性のある課題点を整理し、その特徴を明らかにしていきます。
導入を検討する際の参考情報としてご活用ください。
Nginxの優れた機能と特徴
Nginxは高速で大量のアクセスを処理できる能力を備えています。
- Apacheよりも2倍の処理能力があり、多数のリクエストを1つにまとめることで効率的に対応できます。
- ウェブサイトのパフォーマンスを向上させる機能が豊富で、簡単に追加できます。
- 設定項目が少ないため、意外と簡単に運用できます。
- さらに、リバースプロキシやロードバランサの機能も搭載されています。
Nginxのデメリット
Nginxには幾つかの制約があります。
- 大量の動的コンテンツを扱うことは得意ではありません。
- また、機能拡張性においてApacheよりも劣ります。
- Nginxのみで完全なシステムを構築するのは困難です。
- さらに、初心者向けの設定情報が乏しいため、初学者にとっては扱いづらい側面があります。
まとめ
現在、ウェブサーバーソフトウェアの世界では、Nginxが従来のApacheを抜いてシェア1位となっています。
しかし、両者には機能面での違いがあり、
- Apacheは動的コンテンツの処理に
- Nginxは静的コンテンツの処理に適しています。
そのため、ウェブサーバーの選定においては、
機能面での長所短所を踏まえた上で |
自身のニーズに合ったソフトウェアを選ぶこと |
が重要です。
ウェブサーバーの選び方に関する情報が役立てば幸いです。