メリット・自社開発との違いを徹底解説!

エンジニアの職務形態には、「受託開発・請負契約」という選択肢があります。この場合、フリーランスエンジニアが案件を請け負い、成果物を納品することで報酬を得るのが一般的なプロセスです。
ただし、以下のような他の雇用形態も存在します。

  • 準委任契約
  • 労働者派遣契約

自身に適した働き方を比較検討することが賢明でしょう。

ここでは、以下について説明します。

  • 受託開発の基礎知識、長所短所
  • 自社開発の基礎知識と長所短所

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受託開発とは

受託開発とは

システム開発やソフトウェア開発の領域において、外部委託を活用することがあります。この場合、発注者は外部の事業者や個人に対して、特定の成果物の作成を依頼します。

受託した事業者や個人は、契約で定められた期限までに成果物を完成させる義務を負います。完成した成果物に対して報酬が支払われるのが一般的です。

つまり、

  • 期限を守らなかったり
  • 発注者の要求を満たさない場合は報酬が支払われないリスクがあります。

フリーランスエンジニアが外部委託を受ける際、自身の能力に見合った案件を選べば、短期間で収入を得られる可能性が高まります。また、スキルとキャリアの向上にもつながるでしょう。

受託開発(請負契約)とその他の契約形態の違い

受託開発(請負契約)とその他の契約形態の違い

エンジニアが業務を遂行する際の契約形態は主に3種類に分類されます。

  • 受託開発(請負契約)
  • 準委任契約
  • 労働者派遣契約

これらはそれぞれ異なる法的根拠に基づいており、実際の業務スタイルにも相違があります。
ここでは、受託開発(請負契約)と他の契約形態の違いを4つの観点から簡潔に解説します。

観点 受託開発(請負契約) 準委任契約 労働者派遣契約
1. 指揮命令権 発注者には指揮命令権がない 発注者に指揮命令権がある 派遣先に指揮命令権がある
2. 業務遂行場所 受注者側で決定 発注者側で決定 派遣先で決定
3. 作業時間 受注者側で決定 発注者側で決定 派遣先で決定
4. 報酬の支払い方法 成果物の完成を条件に支払われる 時間単位で支払われる 時間単位で支払われる

契約不適合責任の理解と注意点

契約の内容が守られていない場合や、成果物に不具合やバグがあり被害が発生した際、請け負った側は責任を負う義務があります。
発注者が問題に気づいてから1年以内であれば、受注者は修正や調整を行うか、損害賠償を支払わなければなりません。
受託開発(請負契約)では契約不適合責任が課されますが、準委任契約や労働者派遣契約では課されません。
受託開発を請け負う際、自身のスキルや経験を超えるボリュームや技術レベル、セキュリティ性の高い案件には注意が必要です。

完成責任と契約形態の違い

完成義務とは、契約時に定められた条件や内容に沿って成果物を完成させる義務を指します。準委任契約や労働者派遣契約には完成義務はありません。受託開発契約にのみ完成義務があることを覚えておく必要があります。

一定期間・定期的に報酬が支払われることが望ましい場合は、準委任契約や労働者派遣契約が適しています。一方、自身のスキルや経験を活かして短期間で受注を獲得し、収入を得たい場合は、受託開発契約の方が自由度が高いと言えるでしょう。

ただし、完成義務とともに契約不適合責任も負うことを忘れてはなりません。スキルや経験を積む場合は、責任範囲が限定される準委任契約や労働者派遣契約で働く方が安心できます。

指揮命令権の理解

作業者に対する指示や命令の権限は、契約形態によって異なります。

  • 受託開発や準委任契約では、受注側が成果物の完成に向けた作業の進め方を自らコントロールできます。
  • 一方、労働者派遣契約の場合のみ、発注側に作業者への指揮命令権があります。

受託開発では、発注側から細かな進捗確認や指示、命令があれば、偽装請負として法的問題が生じる可能性があるため、注意が必要です。

受託開発の報酬リスク

労働形態によって報酬の支払い方法が異なります。

  • 準委任契約や労働者派遣契約では、作業時間や工数に応じて定期的に報酬が支払われます。
  • 一方、請負契約の場合は、契約で定められた期日までに求められる品質の成果物を完成させなければ、報酬を受け取ることができません。
  • 受注時には成果物の完成が可能と考えていたものの、実際には間に合わなかったり、要求されたクオリティに達しなかった場合は、無償労働となってしまう可能性があります。

また、請負契約では、納品後の検収完了時に一括して報酬が支払われることが一般的です。

受託開発のメリット

受託開発のメリット

外部委託による開発手法には、さまざまな利点があります。

  • 専門的な知識やスキルを持つ外部の人材を活用できる点が挙げられます。自社内にそうした人材がいない場合、外部リソースを活用することで、高度な技術力を確保することができます。
  • プロジェクトベースで人員を確保できるため、常駐スタッフを抱える必要がなく、コスト面でも恩恵があります。
  • 外部の視点を取り入れることで、新しいアイデアや発想を生み出すきっかけにもなり得ます。

一方で、セキュリティ面での懸念や、コミュニケーションコストの増加など、デメリットもあることを忘れてはなりません。

受託開発のメリット

発注元企業にとっては、開発業務を外部委託することで、自社内での人員確保や作業環境の整備が不要になり、コスト削減につながります。

  • 開発会社に任せる範囲が広ければ広いほど、自社の負担は軽減され、必要なソフトウェアやシステムを効率的に獲得できます。

一方、受注企業側も、明確な納期と成果物に対して自社の技術力を発揮すれば良いため、目標が明確で取り組みやすいというメリットがあります。

発注・受注における相場価格の重要性

発注者にとっては、類似のソフトウェアやシステムであれば、作業量、予算、期間を把握しやすくなり、適正な価格設定が可能になります。
つまり、

  • 過剰な支払いを避けられるだけでなく
  • 品質の低い納品物を受け取るリスクも回避できます。

一方、受注者側も、著しく低い報酬を強いられたり、報酬以上の品質を求められたりする可能性が低くなります。

  • 相場を大きく下回る場合は受注を控えたり
  • 交渉によって適正な報酬水準に近づけることができます。

受託開発のデメリット

受託開発のデメリット

受託開発には、いくつかの欠点があります。
まず、外部の開発チームに依存することになるため、

  • プロジェクトの進捗状況や品質管理が難しくなる可能性があります。

また、

  • 企業の機密情報を外部に開示する必要があり、セキュリティリスクが高まります。

さらに、

  • 開発チームとのコミュニケーションが不十分だと、要件の伝達ミスが発生しがちです。

加えて、

  • 長期的なコストが高くつく場合もあります。

これらの理由から、受託開発には慎重に取り組む必要があります。

受託開発のメリットとデメリット

発注元企業にとっては、外部委託に過度に依存すると、社内のエンジニア育成が阻害される懸念があります。
万が一、受託先との契約が解除された場合、システムの維持管理やアップデートが困難になる可能性があります。

一方、受注側企業にとっては、適正な対価さえ支払われれば、デメリットは少ないと言えます。
むしろ、

  • 発注元のニーズに応えることで、取引実績を積み重ね、技術力の向上につながるメリットがあります。

外注におけるセキュリティリスク

外部委託には、発注側と受注側の双方にセキュリティ上のリスクが伴います。

  • 発注元企業が社内情報を外部に開示することで、情報漏えいのリスクが高まります。
  • さらに、受注先が再委託を行うケースでは、セキュリティリスクがさらに増大します。

一方、受注側も発注元の機密情報や個人情報を取り扱うため、情報漏えいによる損害賠償リスクを負います。

  • 長期的なサポートを提供する場合、セキュリティインシデントが発生すれば法的責任も問われかねません。

双方が情報管理を徹底し、リスクを最小限に抑える必要があります。

自社開発とよく比較される受託開発とは

自社開発とよく比較される受託開発とは

企業内で開発を行うことを指す自社開発は、外部への委託や依頼を伴わず、開発プロセス全体または一部を社内で実施することを指します。
技術力と人材が揃えば、自社開発を選択するメリットが高まります。
しかし、自社開発には長所と短所があるため、受託開発との比較を十分に行い、現状に適した選択肢を慎重に検討する必要があります。

自社開発のメリット

自社開発のメリット

自社で製品を開発することには、さまざまな利点があります。

  • まず、顧客のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。
  • また、外部委託に比べてコストを抑えられます。
  • さらに、ノウハウの蓄積や技術力の向上にもつながります。
  • 自社開発は、製品の品質管理や機密保持の面でも有利です。

ただし、開発リソースの確保や技術力の維持が課題となる場合があります。

自社開発の重要性

企業内で開発を行うことにより、システムやソフトウェアの構築ノウハウが蓄積され、自然と社内エンジニアの育成と技術的リソースの確保が可能になります。
しかし、発注側の技術力不足やIT人材不足が深刻化すると、

  • 生産性の低下
  • 新しいものを生み出すことが困難になる恐れがあります

技術的な知見がなければ、

  • 新しい技術を取り入れることも難しく
  • 企業の理念やブランドイメージに沿った開発も行いにくくなります

一方、社内でエンジニアの雇用と育成のための体制を整備することで、

  • 技術的知見とリソースを蓄積し
  • 新技術を活用した開発
  • 新規事業の創出
  • 新サービスの展開が容易になります

自社開発のメリット:指揮命令権による柔軟な対応

自社開発の大きな利点は、エンジニアとの直接的なコミュニケーションが可能なことです。
社内であれば物理的な距離も近く、リモートワークでも気軽に話しかけられます。
根本的な変更や細かい指示も柔軟に出せるのが強みです。
受託開発の場合、法的な制約から無理な指示や後からの注文は難しい面があります。

自社開発の柔軟性

自社で開発を行う利点の一つとして、納期の変更が柔軟に対応できることが挙げられます。

  • 要件変更により機能を追加する必要が生じた場合や、逆に納期を早めたい場合でも、自社開発であれば対応が可能です。

一方、外部委託の場合は契約内容に縛られるため、

  • 納期変更や機能追加は困難な場合があり、追加費用が発生したり、受注先の事情で対応してもらえないリスクがあります。

ただし、納期短縮にはクオリティ低下の危険性があり、社内メンバーへの過剰な負荷により離職や退職のリスクにも留意が必要です。

自社開発のデメリット

自社開発のデメリット

自社開発には様々な課題が存在します。
まず、

  • 開発に必要な人材の確保と育成が挙げられます。高度な技術力を持つエンジニアを雇用し、継続的な教育を行うことは容易ではありません。

また、

  • 開発期間が長期化する可能性があり、市場のニーズに適切に対応できない恐れがあります。

さらに、

  • 開発コストが高額になる傾向にあり、投資に見合う成果が得られない場合もあります。

加えて、

  • 技術の陳腐化リスクも無視できません。

これらの理由から、自社開発には慎重な検討が求められます。

自社開発のデメリットと受託開発のメリット

内製化の欠点は、技術者の雇用と育成が進む一方で、技術選択が社内エンジニアに依存することです。
業界や分野によっては、特定の技術や市場、顧客層に焦点を当てる場合、技術が特定の領域や方向に偏る可能性があります。
必ずしも問題ではありませんが、業界固有の観念に捉われ、同種のものや革新的ではないものしか生み出せなくなるリスクがあります。

一方、外部委託では、

  • 幅広い業界を対象とする企業や個人であれば、社内にない発想や技術的知見を持ち、第三者の視点から新しい提案や機能の実装など、多様な開発が期待できます。

自社開発のデメリットと外部リソース活用の重要性

企業内での独自開発には、外部の技術者や開発会社とのつながりが希薄になるリスクがあります。
社内のエンジニアに依存する傾向が強まれば、新しい発想や革新的なアイデアを生み出すことが難しくなります。

また、新しい技術を取り入れるために人員を増強しても、人件費の負担が大きく、面接時に求める人材が集まるとは限りません。

可能な範囲で、以下の対応が賢明です。

  • フリーランスエンジニアの協力を仰ぐ
  • 一部の工程を外部委託する

など、柔軟な対応が賢明です。

自社開発のリスクと課題

内製開発には大きな危険性が伴います。
外部委託や請負開発であれば、一定の品質が確保される可能性が高いのに対し、自社開発では費用対効果の保証がほとんどありません。

  • 人件費
  • 機材費
  • 場所代
  • ランニングコスト

など多額の投資をしたにもかかわらず、結果的に成果物が完成しない恐れがあるからです。
状況によっては、外注にある程度のコストをかけた方が、納期も短く確実な品質の製品が得られるかもしれません。

まとめ

まとめ

この記事では、受託開発と自社開発の基礎知識、それぞれのメリット・デメリットについて説明しました。
エンジニアや企業が開発方式を選択する際の参考になれば幸いです。
受託開発と自社開発には一長一短があり、技術的リソースの確保、開発コスト、将来的な拡張性などの観点から、適切な方式を検討する必要があります。
発注側と受注側の双方にとってメリットがあることを理解しておくことが重要です。
技術的リソースの有無に関わらず、求める成果物を得られる可能性や利益を得られる機会があるということです。
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