COBOLの特徴と業界での活用を解説

長年にわたり金融業界で活躍してきたプログラミング言語「COBOL」は、現代においても重要な役割を果たしています。
この言語は歴史が古く、根強い人気を誇っており、今後も一定の需要が見込まれています。
本稿では、以下の点について解説します。

  • COBOLの概要
  • COBOLの機能
  • COBOLの得意分野
  • COBOLが近年再び注目を集めている理由

COBOLの全容を把握したい方、この言語の長所を整理したい方、再び注目を集めている背景を知りたい方は、ぜひお読みください。

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COBOLとは

COBOLとは

COBOLは1959年にアメリカで誕生した長い歴史を持つプログラミング言語です。この言語は「共通事務処理用言語」を意味し、その名の通り事務処理に特化した目的で開発されました。COBOLは生産性と保守性に優れているため、現在でも金融業界などで活用されています。

この言語は当時53歳だった女性プログラマー、グレース・ホッパー氏によって考案されました。彼女は計算機科学者としての活躍だけでなく、アメリカ軍の准将にもなった人物です。COBOLが登場する以前は、事務処理用のコンピューター言語はメーカーごとに異なり、難解なものばかりでした。そこでアメリカ国防省が共通言語としてCOBOLを考案しました。そのためCOBOLは英語に近い記述で書くことができ、比較的読みやすい言語となっています。ただし、ソースコードが冗長になりがちな点には注意が必要です。

COBOLは規格化されており、現在も拡張が続けられています。2002年にはオブジェクト指向にも対応し、最新の規格は「COBOL2014」となっています。

COBOLでできること・得意領域

COBOLでできること・得意領域

この節では、COBOLの機能と適した分野について説明します。
COBOLは長い歴史を持つ言語ですが、今なお幅広く活用されています。

数値計算に優れたCOBOLの特徴

COBOLは数値計算に長けた言語です。
コンピューターでは通常2進法が用いられますが、COBOLでは二進化十進法による演算が可能です。
これにより、人間にとって分かりやすい形で四則演算などの計算を行えます。
二進化十進法とは、十進数の1桁を2進数の4ビットで表現する方式です。
COBOLでは桁数の多い数値計算も比較的簡単に処理できます。
また、浮動小数点データでは切り捨てが発生しがちですが、COBOLでは小数点以下の桁数を明示的に定義できます。
他の言語では誤差発生に注意を払う必要がありますが、COBOLの数値計算は分かりやすく、誤りが起きにくいと言えます。
このように数値計算を確実に行えるため、COBOLは事務処理に適しており、正確かつ高速な業務遂行が期待できます。

COBOLの特徴と勘定系システムへの活用

COBOLは数値計算と事務処理に長けており、金融機関の勘定系システムの開発で現在も幅広く活用されています。
勘定系システムとは、

  • 口座や融資の残高管理
  • 利息計算などの勘定処理を行うシステム

を指します。
COBOLはバッチ処理と呼ばれるオフラインでの一括コンピューター処理に適しており、正確かつ高速な数値計算処理が可能です。

  • 大量のデータの入出力や管理
  • ソートや抽出作業

も円滑に実行できます。
例えば銀行では、夜間の時間外データ処理時に

入出金や送金処理など

を行うために利用されています。

COBOLエンジニアの需要と高齢化

COBOLは長年にわたり活用されてきたプログラミング言語ですが、現在ではその扱いに長けたエンジニアが限られ、高齢化が進んでいます。

  • 40代後半から50代がCOBOLエンジニアの中心年齢層とされ、60代のフリーランスエンジニアも存在します。

一方で若手エンジニアの参入が少ないため、大規模システムなどでの需要は今後も続くと見られます。
現役世代が次々と退職期を迎えれば、COBOLエンジニアの需要はさらに高まる可能性があります。

  • 若手エンジニアの中にはメインフレームすら知らない者も多く、そうした場面でCOBOLエンジニアが重宝されることでしょう。

例えば、COBOLシステムからの移行作業においては、ソースコードを読めるエンジニアが必要不可欠となるはずです。

COBOLと金融業界の親和性

金融業界において長年活躍してきたCOBOLは、数値計算に長けており、正確性と大量データ処理能力が高く評価されています。
金融取引では1円の誤りも重大な問題となるため、ソースコードのばらつきが少ないCOBOLの特性が好まれています。
金融は生活を支える重要な分野であり、コンピューター処理の自動化が早期から導入されてきました。
現在も多くのシステムがCOBOLをベースに構築されており、COBOLエンジニアの需要は今後も一定程度見込まれています。

COBOLが再注目を浴びている理由

COBOLが再注目を浴びている理由

古くから存在するCOBOLは、時代遅れのイメージがありましたが、2020年に再び注目を集めることになりました。
この注目の契機となったのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴うアメリカ・ニュージャージー州の事態でした。

  • 同州では感染拡大防止のためロックダウンが実施され、多くの住民が失業に陥りました。
  • その結果、失業保険給付申請システムが大量のアクセスで過負荷となり、システムダウンに見舞われました。
  • このシステムがCOBOLで構築されていたため、知事はCOBOLエンジニアの確保が急務であると発表しました。

エンジニアの高齢化が課題視されていた中、コロナ禍によってその重要性が改めて浮き彫りになったのです。
こうした経緯から、COBOLの価値が広く認識されるようになりました。

まとめ

まとめ

COBOLは1953年にアメリカ国防省の提案により開発されたプログラミング言語です。
現在でも金融システムの多くで活用されており、高速かつ正確な事務処理を行うことが得意とされています。
勘定系システムにおいては非常に重要な言語だと言えるでしょう。
近年、COBOLの重要性が再び注目されるようになり、銀行などのシステムでは今後も使用され続けることが予想されます。
そのため、COBOLの需要は一定以上の水準を維持し続けると考えられています。