セキュリティエンジニアという職種は、年収水準や具体的な業務内容が必ずしも明確ではありません。
しかし、IT分野の急速な進展に伴い、この職種への需要は高まっています。
転職を検討する際、年収は重要な要素となります。
本稿では、セキュリティエンジニアの
- 平均年収
- 最高年収
- 業務内容
- スキルアップに役立つ資格
- フリーランス案件の状況
- 将来性
まで、詳細に解説します。
特に、この職種の年収に関心がある方、現役のセキュリティエンジニア、将来的にこの職を目指す方には、ぜひ一読していただきたい内容となっています。
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セキュリティエンジニアの仕事内容
ここでは、情報セキュリティを専門とするエンジニアの役割と業務内容について説明します。
このエンジニアは、ITインフラにおけるサーバーの構築や運用、保守を担当し、セキュリティに配慮したシステム設計や運用、サイバー攻撃の未然防止対策を実施します。
クライアントとのコミュニケーション能力や人柄も重視される職種です。
具体的な業務としては、
- まずクライアントのITシステムを把握し、必要なセキュリティを企画・提案します。
- OSやファイアウォール、認証などのレイヤー別に要件を整理し、情報セキュリティマネジメントシステムやプライバシーマーク取得のサポートも行います。
- 次に、ネットワークやサーバーを分析し、各レイヤーにおけるセキュリティ対策を設計書に落とし込みます。
- 機器のセットアップ、コンフィグ作業、セキュアプログラミング、暗号化や認証設定、アクセス権設定などを実装します。
- クラウド環境の構築ニーズも高まっています。
実装後は、セキュリティ対策が適切に行われているかテストを実施します。
- システムの脆弱性を発見し対策を講じたり、ペネトレーションテストや脆弱性診断を行います。
- 導入後は障害対応や運用保守、最新情報の収集とシステムアップデートなどの業務を継続的に行います。
セキュリティエンジニアの年収
この節では、セキュリティエンジニアの収入状況について説明します。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」の情報によると、フリーランスのセキュリティエンジニアの平均年収は817万円、最高年収は1,560万円、最低年収は360万円です(2021年7月時点)。
この年収は、
- 月額単価の平均68.1万円
- 中央値66万円
- 最高130万円
- 最低30万円
を年換算したものです。
また、時給単価では
- 平均3,978円
- 中央値3,220円
- 最高5,000円
- 最低2,770円
(2021年7月時点)となっています。
一方、企業に雇用されたセキュリティエンジニアの平均年収は489万円と言われています。
これは全エンジニアの平均年収469万円を上回り、
20代 | 373万円 |
30代 | 509万円 |
40代 | 605万円 |
50代以上 | 701万円 |
(年代別平均)の範囲内にあたります。
フリーランスとして働く場合、セキュリティエンジニアの平均年収は企業に雇用される場合よりも328万円(約1.7倍)高くなることがわかりました。収入面ではフリーランスのセキュリティエンジニアがより有利であると言えます。
セキュリティエンジニアの年収アップに必要なスキル
この節では、セキュリティ専門家の収入向上に役立つ能力について説明します。
セキュリティ分野で求められる知識と技術を身に付けることで、高い報酬を得られる可能性が高まります。
将来的にセキュリティの仕事に従事する予定の方も、この内容を参考にしていただき、収入アップを目指すための一助としてください。
セキュリティスキルの重要性
セキュリティ専門家にとって収入を増やすための重要な能力は、セキュリティに関する知識と技術です。
企業や個人の機密情報は、外部に漏れることがあってはなりません。
そのため、システムを構築する際には、セキュリティ対策を講じることが不可欠となります。
- セキュリティ管理
- ファイアウォール
- セキュリティソフトウェア
など、幅広い分野に渡るセキュリティに関する知見と実践力が求められます。
サーバースキルがセキュリティエンジニアの年収アップに必須
セキュリティ専門家にとって収入を向上させるためには、サーバー関連の技術が不可欠です。
- Linux、Windows Server、UNIXなどのサーバーOSに関する知識と実践力が求められます。
- 特に、業務用サーバーで広く利用されているLinuxベースのOSは、サーバー技術者にとって欠かすことのできない重要なスキルと言えるでしょう。
- また、商用やオープンソースを問わず、様々なミドルウェアに関する幅広い知見が必要とされます。
Webサーバーの場合は | Apache、Nginx | など |
データベースサーバーの場合は | Oracle、MySQL | などの技術力が求められます。 |
近年では、サーバーの仮想化が一般的になっており、VMwareやHyper-Vなどの仮想化技術に関する知識とスキルを持つことが有利になるでしょう。
セキュリティエンジニアに求められるネットワークスキル
セキュリティ専門家にとって収入を向上させるための重要なスキルは、ネットワークに関する知見です。
セキュリティシステムの構築には、以下の幅広い知識が求められます。
- TCP/IPプロトコルの理解
- プロバイダーの仕組み
- ルーター機器の管理
- スイッチングハブの運用
- DHCPの仕組み
- LAN及びWANの構成
- 無線LANの技術
セキュリティエンジニアのクラウド知識の重要性
セキュリティ専門家にとって収入を向上させるには、クラウド関連の知見と能力が不可欠です。
近年、クラウドサービスの浸透に伴い、
- 仮想化の理解
- 仮想化技術を考慮したシステム設計力
- IaaS、PaaS、SaaSなどクラウドサービス全般の知識
が重要視されるようになってきました。
そのため、クラウド対応の知識と技能を備えていれば、セキュリティ専門家としてより有利になるでしょう。
セキュリティエンジニアの年収アップに必要なスキル
セキュリティ分野で活躍する専門家にとって、収入を伸ばすための重要な能力は、円滑なコミュニケーション力です。この職種では、顧客や現場スタッフと緊密に連携し、情報を共有することが求められます。
つまり、相手の立場に立って適切に意思疎通を図る資質が不可欠となるのです。
収入アップを目指すのであれば、コミュニケーション能力の向上に努める必要があります。
加えて、自ら課題を発見し解決策を提示することも重要な役割です。
そのため、論理的な思考力と説明力の習得も有益でしょう。
セキュリティエンジニアの年収アップにおすすめの資格
この節では、セキュリティ専門家の収入向上に役立つ資格について説明します。
セキュリティ分野では多岐にわたる知識が求められるため、関連資格の取得により、自身の能力を裏付けることができます。
- セキュリティ分野では多岐にわたる知識が求められる
- 関連資格の取得により、自身の能力を裏付けることができる
情報セキュリティマネジメント試験の概要
情報保護に関する知識と技能を評価する試験があります。この資格は、サイバーセキュリティに関する以下の業務を行い、セキュリティレベルの維持向上を目指しています。
- 情報の収集
- 調査
- 分析
- 評価
- 指導
セキュリティ専門家にとって、以下の点について学ぶ機会となるため、有益な資格と言えます。
- 情報保護管理
- 関連技術
- 対策方法
- 法令遵守
セキュリティ人材の国家資格「情報処理安全確保支援士」
国家資格である情報処理安全確保支援士試験(SC)は、企業などにおけるサイバーセキュリティ対策を支援する人材を認定するものです。
情報処理の促進に関する法律に基づき、経済産業大臣が認定しています。
この資格を持つ者は、
- 組織のシステムに対する脅威や脆弱性を評価し、
- 技術面や管理面での適切な対策を講じることができます。
セキュリティエンジニアや情報システム管理者など、サイバーセキュリティに携わる職種の方におすすめの資格となっています。
セキュリティ分野の国際認定資格CompTIA Security+
CompTIA Security+は、特定のベンダーに依存しない中立的な認定資格です。
この資格は、業務遂行に不可欠なエントリーレベルのセキュリティ関連のスキルと知識を身につけることができる、国際的に評価の高い試験です。
世界中の企業やセキュリティ専門家から活用されています。
- ネットワークの概念
- インフラストラクチャー
- 運用
- セキュリティ
- トラブルシューティング
- 暗号化
- PKI
などに関する知識とスキルを習得できるため、セキュリティエンジニアを目指す方におすすめの資格です。
フリーランス求人・案件数から見るセキュリティエンジニアのニーズ
この節では、フリーランス求人・案件の数値からセキュリティエンジニアに対する需要を分析します。
フリーランス求人サイトの統計によると、セキュリティエンジニアの募集は184件と記録されています。
全体の求人・案件数に占める割合は約0.1%と少数ながら一定の需要があることがわかります。
IT分野の進展に伴い、サイバーセキュリティへの関心が高まっていることから、セキュリティエンジニアの人材不足が懸念されます。
したがって、今後のセキュリティエンジニアに対する需要はさらに増加すると予測されます。
セキュリティエンジニアの将来性
この節では、セキュリティエンジニアの将来展望について説明します。
セキュリティエンジニアの需要は今後も高水準で推移すると予想されます。
この理由として、
- フリーランス求人サイトにおいても一定数のセキュリティエンジニア向け案件が存在すること
- 実際に184件の関連案件が掲載されており、IT分野の中でも需要の高い職種であること
が挙げられます。
市場調査会社IDC Japanの予測によれば、
国内のセキュリティ製品市場は | 2019年に前年比3.8%増の2,638億円 |
セキュリティサービス市場は | 同4.9%増の8,275億円 |
と拡大しています。
さらに、
- デジタルトランスフォーメーションの進展
- クラウドサービスの安全性評価制度の導入
によって、SaaSを中心としたセキュリティソリューションの需要がさらに高まると見込まれています。
加えて、AI、IoT、5G、ビッグデータ、ブロックチェーン、XRなど新技術の台頭に伴い、ITエンジニア全体での人材不足が懸念されており、2030年までに79万人の不足が生じる可能性があります。
以上の点を勘案すると、セキュリティエンジニアの需要は今後も底堅く推移すると考えられます。新しい技術分野に対応できるスキルや知識を身に付けることが重要となります。
まとめ
この記事では、セキュリティエンジニアという職種に焦点を当て、その年収の詳細、仕事内容、スキルアップに必要な要素、将来性などについて詳しく解説しています。
セキュリティエンジニアとして活躍するためには、以下の点が重要となります。
- 明確な目標を設定すること
- 常に学習を続けること
目標を持つことで、取り組むべき方向性が定まり、自然と年収もアップすることでしょう。
高年収を望むならフリーランスとして独立するのがおすすめですが、未経験者にはフリーランス案件への参加が難しい場合があります。
そのため、まずは会社員としてシステムエンジニアやネットワークエンジニアなどの実務経験を積んだ上で、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を活用し、フリーランス独立を検討するのが賢明です。
セキュリティエンジニアとして第一歩を踏み出し、高年収を目指しましょう。