副業から収入を得た場合、納税義務が発生する可能性があります。収入から経費を差し引いた金額が所得となり、利益とは異なる概念です。
副業の形態は多岐にわたり、
- アフィリエイト
- 配達
- 請負業務
- 手作り品販売
などがあげられます。
所得の種類によって申告方法が変わるため、正確な理解が不可欠です。
本文では、
- 確定申告の要否判断基準
- 手続き
- 副業所得の種類
について解説します。
漏れのない適切な申告を行うためにも、十分な注意を払う必要があります。
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会社員やサラリーマンの副業でも2024年6月確定申告が必要?
収入源が給与のみの場合、雇用主が年末調整を行うため、個人での確定申告は不要です。
しかし、副業収入が20万円を超えると、自身で申告が必要になります。
副業所得は
- 収入から経費を差し引いた金額
となります。
個人で申告が求められるのは、
- 給与以外の収入合計が20万円超の場合
- 複数の給与があり、年末調整が行われていない給与とその他の収入合計が20万円超の場合
です。
副業報酬が源泉徴収対象の場合もあり、その際は確定申告で所得税の還付を受けられる可能性があります。
副業の所得計算方法
副業から得られる収益は、収入から必要な費用を差し引いた金額となります。
例えば、フードデリバリーの副業を行った場合、収入60万円に対し、スマートフォンの通信料やバイクの燃料代など15万円の経費がかかったとすれば、純利益は45万円になります。
複数の副業を掛け持ちしている場合は、それぞれの純利益を合算する必要があります。
ただし、本業が会社員で副業として派遣やアルバイトを行っている場合、副業の収入から給与所得控除額を差し引いた金額が純利益となります。
具体例として、会社員が休日に
- アルバイト収入40万円
- アフィリエイト収入30万円(経費8万円)
を得た場合、アルバイト収入から給与所得控除額を差し引き、アフィリエイト収入22万円(30万円-8万円)と合算した金額が副業の純利益となります。
なお、アルバイト収入は税金や社会保険料を差し引く前の金額を計算の対象とします。
副業の確定申告と還付
副業から得た収入が一定額を下回る場合でも、源泉徴収された所得税があれば、確定申告を検討する必要があります。申告を行えば、徴収された税金の一部または全額が還付される可能性があるためです。
具体例を挙げましょう。副業で100万円の収入があり、支払額から10万2,100円が源泉徴収されたとします。しかし、必要経費が95万円かかったため、実際の所得は20万円以下となります。このような場合、確定申告をすれば、源泉徴収された税金の一部または全額が還付される可能性があります。
還付額は個人の状況によって異なりますが、国税当局のウェブサイトで必要な情報を入力すれば、概算額を確認できます。
不用品売却の所得税課税の有無
日常生活で使用しなくなった品々を処分して得た収入は、通常は課税対象外となり、申告義務もありません。
ただし、この適用範囲は一般的な生活用品や衣服、通勤車両などに限定されます。
フリマアプリで日用品を売却した場合は、所得税は課されません。
しかし、宝石や美術作品などの高価な物品(30万円以上)は例外とされ、課税の対象になります。
非課税となるのは、日常生活に不可欠な物の売却益のみです。
- 例えば、着なくなった衣服をフリマで売れば非課税ですが、古着店やフリマで大量に仕入れた衣服を転売して収入を得れば、副業所得として申告が必要になります。
判断基準は、自身や家族が日常的に使用するかどうかです。
自宅の不用品を処分する場合は、通常は申告不要と考えられます。
ただし、不安な場合は税務署に相談するのが賢明です。
副業収入の種類を知ろう
収入の種別は多岐にわたり、「給与収入」や「雑収入」など10種類が存在します。しかし、「副業収入」という呼称は税制上定められていません。
副業の内容によって、どの種別に該当するかが決まるため、収入の種別を見極める必要があります。
この判断は申告者自身が行わなければなりません。
ここでは、副業で一般的な
- 「給与収入」
- 「雑収入」
- 「事業収入」
について、それぞれの意味と判断基準を確認しましょう。
給与所得の基礎知識
雇用主から支払われる報酬は給与所得と呼ばれます。
雇用形態に関係なく、企業などに雇用され、労働の対価として受け取った金銭は全て給与所得に該当します。
複数の職場がある場合、どちらが本業で副業なのか判断が難しい状況も起こり得ます。
各職場での労働時間がほぼ同じであれば、以下の通りとなります。
- 扶養控除等異動申告書を提出した職場を本業
- その他を副業とみなします(原則として、この申告書は1か所にしか提出できません)
会社員が副業から得た収入も給与所得である場合、確定申告では本業の給与所得と合算して申告することになります。
給与所得控除の金額は、本業と副業の給与所得を合計した金額に応じて決まり、個別の給与所得ごとに控除額を計算するわけではありません。
副業収入の所得区分
副業から得られる収入は、不動産や証券投資による利益を除き、主に雑所得に分類されます。
- アフィリエイトやフードデリバリーなどのサービス提供、プログラマー、デザイナー、ライター、翻訳家などの個人事業主としての報酬は、雑所得に該当します。
一方、企業に雇用され給与を受け取る場合は給与所得となります。
ただし、副業の規模が事業的な水準に達すれば、事業所得と見なされます。
副業の所得が事業所得か雑所得か
個人事業主の収入は、事業活動から生じた所得を指します。
副業による収益も、一定の規模と継続性があれば、事業所得として申告する可能性があります。
副業の所得が事業所得か雑所得かは、
- 事業の規模
- 継続性
- 独立性
などを総合的に判断します。
年間売上が300万円以下でも、事業所得と認められる場合があり、その際は帳簿の保管と実態の確認が必要です。
副業が継続的で、将来的に一定以上の収益が見込まれれば、事業所得に該当するかを検討すべきです。
事業所得として申告できれば、
- 青色申告の選択
- 給与所得との損益通算
が可能となり、節税効果が期待できます。
該当するかどうか不明な場合は、税務署に相談することをおすすめします。
所得の種類と申告
収入源の一つとして、ビジネス規模の不動産からの収益は「不動産収入」と分類されます。
また、
- 株式や不動産の売却による利益は「譲渡収入」として申告する必要があります。
副業の確定申告のやり方
所得税の確定申告期限と延滞税への注意
1年間の収入に関する所得税の確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までの期間に申告書を提出し、納税を行う義務があります。
ただし、3月15日が休日や祝日にあたる場合は、次の営業日まで期限が延長されます。
所定の期限内に納税がなされない場合、延滞税が課されるため、期限を守ることが重要となります。
確定申告の準備と申告書作成
雇用主から提供される源泉徴収票を準備する必要があります。
万一入手できない場合は、発行を依頼しましょう。
通常は給与所得者向けの「確定申告書A」を作成しますが、年末調整で対応できない控除項目がある場合は「確定申告書B」を選択します。
国税庁の申告書作成コーナーを活用し、質問に答えながら源泉徴収票の数値を入力することで、申告書を完成させることができます。
副業の確定申告方法
1年間の収入と経費を算出し、雑所得を計算する必要があります。
収入と経費は、実際に発生した時期に基づいて計上されます。
例えば、今年12月に納品しても、収入が翌年1月であれば、当年の収入として扱われます。
経費についても同様です。
雑所得の収入と経費を確定した後、「確定申告書A」に雑所得を記入します。
ただし、年末調整で対応できない控除がある場合は、「確定申告書B」を使用します。
副業による利益は雑所得として扱われるため、確定した収入と経費を申告書に記載する必要があります。
その他、適用可能な所得控除があれば入力してください。
事業所得の計算方法
自営業や農業から得た収益については、確定申告書の「事業所得(営業等・農業)」の欄に記入する必要があります。
農業以外の自営業からの所得は全て「営業等」の欄に記載しましょう。
そこでは、
- その年に得た売上から経費を控除し
- 事業から生じた純利益を算出することになります。
青色申告
副業収入に対する確定申告の際、青色申告を選択することができます。
青色申告を行うための要件と、その利点および欠点について説明します。
青色申告は、以下の条件を満たせば可能となる申告方式です。
- 正規の簿記の原則に従って正しい会計帳簿を備え付けること
- その会計帳簿に記録した収入金額及び支出金額の合計額を、確定申告書に計上すること
- その会計帳簿及び関係する書類を、一定期間保存すること
収支の状況を正確に把握でき、必要経費の全額を控除できるというメリットがありますが、一方で帳簿の記帳や保存が義務付けられるなどのデメリットもあります。
メリット | デメリット |
---|---|
収支の正確な把握が可能 | 帳簿の記帳が義務付けられる |
必要経費の全額控除が可能 | 帳簿の保存が義務付けられる |
適切な判断のもと、自身に合った申告方式を選択することが重要です。
青色申告の対象と手続き
個人事業主や自営業者、フリーランスの方々は、以下のいずれかの所得を得ている場合、青色申告の対象となります。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
副業としてライター、デザイナー、プログラマーなどの活動から収入を得ている方も、事業所得に該当すれば青色申告が必要です。
青色申告を行うには、通常、所定の期限までに管轄税務署に対して「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
青色申告のメリット
税務申告において、複式簿記の実施などの条件を満たすと、最大65万円の控除が受けられるほか、電子申告や電子データ保存を行えば、さらに10万円の追加控除が適用されます。
また、
- 家族従業員への給与支払いを経費計上できるケースもあり、
- 債権の一部を貸倒引当金として計上することで、取引先の倒産リスクにも備えられます。
さらに、赤字年度の損失を翌年以降3年間繰り越して、黒字年度と相殺することで納税負担を軽減できるほか、前年が黒字であれば、当年の赤字分を還付申請することも可能となります。
青色申告のデメリット
青色申告には特典がある一方で、いくつかの義務も伴います。
最大65万円の特別控除を受けるには、
- 複式簿記の原則に従った記録や財務諸表の作成が求められます。
これらの要件を手作業で満たすのは困難なため、確定申告ソフトを活用するのが賢明です。
また、
- 開業時に所轄税務署へ開業届と青色申告の承認申請を行う必要があります。
承認申請の期限は通常、申告年の3月15日ですが、1月16日以降に開業した場合は開業から2か月以内に提出すれば、その年から青色申告が可能となります。
確定申告書の提出方法
申告書の作成が終わると、次は提出の段階に移ります。
提出方法には、以下があります。
- 税務署への直接持参
- 郵便による送付
- オンラインでの電子申告(e-Tax)
税務署に持参する場合は、営業時間内に行うのが賢明ですが、休日などの場合は提出用の箱に入れて提出しましょう。
一方、確定申告期間中であれば、いつでも電子申告を利用することができます。電子申告なら24時間いつでも提出が可能です。
スマートフォンでの提出
所得税の申告は、従来の紙の書類への記入だけでなく、モバイル端末を活用した方法も選択できます。
最初に、
- 給与所得や事業収入の金額を算出し、
- マイナンバーカードなどの必要書類を用意します。
次に、
- スマートフォンのアプリから申告書作成画面を開き、
- 案内に沿って所定の情報を入力していきます。
これらの手順を経ることで、電子申告が完了し、オンラインで国税当局へ提出することが可能となります。
所得税の納付方法
収入に応じて算出された所得税は、支払う義務があります。支払い方法は、以下に分類されます。
- キャッシュレス決済
- 現金などの現物による支払い
納税のキャッシュレス化
現金を使わずに税金を支払う際には、
- 銀行口座からの引き落とし
- クレジットカードでの決済
- スマートフォンアプリを活用した納付
など、様々な選択肢があります。
自分にとって最も便利な方式を選ぶことができます。
振替納税の利便性
所得税の支払い方法として振替納税を選択すれば、納付金額が指定の口座から自動的に引き落とされるようになります。
振替納税の引き落とし日は、他の納付方法よりも遅い時期に設定されています。
2023年分の所得税については、4月24日に口座から引き落とされる予定です。
確定申告のe-Tax利用手続き
電子申告システムを活用すれば、即座に口座引き落としが可能となります。
ただし、
- 事前に電子申告の利用開始手続きと、
- 税務署または金融機関への届出書の提出が義務付けられています。
所得税のオンライン納付
所得税の支払いには、オンラインバンキングやATMを活用することができます。
- 納付情報を入力し、税金を納めることが可能です。
- ただし、事前にe-Taxへの登録が求められます。
クレジットカード納付の手順
政府の税金支払いポータルサイトで、クレジットカード情報を登録すれば、プラスチックマネーによる納税が可能です。
ただし、支払い金額に応じて一定の手数料がかかります。
マイナポータルアプリの決済機能
スマートフォンアプリ「マイナポータル」を活用すれば、支払いの際に利用することができます。
決済手段として、
- PayPay
- d払い
- au PAY
- LINE Pay
- メルペイ
- Amazon Pay
がご利用いただけます。
ただし、残高からの支払いに限られ、30万円以下の金額であれば手数料は発生しません。
現金納付方法の説明
現金による支払い方式には、以下の2つがございます。
- 銀行やゆうちょ銀行の窓口での納入
- コンビニエンスストアでの納付
それぞれの手順をご案内いたします。
所得税の納付方法
所得税の支払いは、金融機関や税務署の窓口で行えます。
その際、
- 納付書
- 支払い金額
を持参する必要があります。
窓口に赴き、手続きを済ませましょう。
コンビニ所得税納付の手順
所得税の支払い金額が30万円以内であれば、コンビニエンスストアで納税が可能です。
国税当局のウェブサイトにて二次元コードを生成し、店内の専用端末でそのコードを読み取ることで、現金による納付手続きを行えます。
外部サイトへの案内は控えさせていただきます。
副業の確定申告の注意点
個人事業主の副業所得と確定申告
個人事業主として活動する場合、副業から得られる収入が少額であっても、必ず申告する義務があります。
たとえば、飲食店経営者がアフィリエイト収入として10万円を得ていれば、その金額を申告しなければなりません。
本業と副業の関連性によって、副業収入が本業の所得に含まれるか、雑所得として扱われるかが決まります。
- デザイナーがWebデザインの個人依頼を受けた場合は本業の一環とみなされますが、手作り品の販売収入は雑所得となります。
本業関連の副業収入は、本業所得と合算して損益通算が可能ですが、雑所得の場合は損益通算ができません。
少額であっても、副業から生じた全ての収入を申告する必要があります。
副業所得と住民税申告
副業収入があっても確定申告の対象とならない場合でも、居住地の自治体に対して住民税の申告を行う義務が生じることがあります。
副収入の金額が一定水準以下であっても、総合課税の対象となる全収入額に応じて住民税が課されるためです。
つまり、本業の収入だけでなく副業収入も含めた年間所得額に基づいて住民税の計算がなされるので、副業収入の有無にかかわらず申告が求められます。
確定申告と副業の関係
会社に内緒で副業をしている場合、確定申告や住民税の申告方法によっては、本業の会社に副業の事実が露見する恐れがあります。
給与所得者は通常、住民税が給与から天引きされる特別徴収の対象となります。
しかし、副業による収入があると、給与に比べて住民税額が高くなり、ダブルワークが発覚する可能性が高まります。
確定申告時に住民税を自分で納付することを選択しても、給与所得が主な収入源であれば、特別徴収が適用され、副業の存在が会社にバレかねません。
従って、副業を隠したい場合は、申告方法に細心の注意を払う必要があります。
副業所得の確定申告の必要性
副業収入があっても少額であれば、確定申告の必要がない場合もありますが、一定の事情で申告を行う際には、金額に関わらずすべての収入を開示しなければなりません。
会社員であっても、以下の場合には確定申告が求められます。
- 医療費控除の適用
- 住宅ローン控除の初年度
- ふるさと納税の申告
- 高額所得者の場合
そのような時は、副収入の有無にかかわらず、すべての所得を正確に報告する義務があります。
つまり、申告自体を回避できれば副業収入の開示は不要ですが、一旦申告する以上は、本業や副業を問わず、収入全体を隠さずに記載することが求められます。
まとめ
副業収入を得ているサラリーマンや会社員は、所得税の再計算のために確定申告を行う必要があります。
副業収入が20万円以下であれば申告は義務付けられていませんが、意図的に行えば節税のメリットがあります。
また、副業収入が事業所得に該当する場合は、青色申告による税制上の優遇措置を受けられます。
ただし、本業が多忙な場合は、確定申告に伴う手続きの手間や時間的負担が課題となることもあります。
さらに、誤った申告をすれば後から修正申告が必要になり、追加の手続きが発生します。
そのため、状況に応じて税理士に依頼することをおすすめします。
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