MedTechのメリットや将来性、活用事例を紹介!

医療とIT分野の技術革新により、両分野の融合が病気の早期発見や予防に寄与する時代が到来しました。
この動向を表す用語として「MedTech」が注目を集めていますが、その具体的な内容は必ずしも明確ではありません。
本稿では、MedTechの概念と期待される効果、さらにMedTech市場の将来展望について解説します。

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MedTech(メドテック)とは

MedTech(メドテック)とは

MedTechは医療分野にIT技術を導入することを指します。この用語は、Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。
具体例としては、

  • AIによる画像解析や
  • ビッグデータを活用した新薬開発の効率化

などが挙げられます。
現代社会では、

  • 高齢化の進行
  • 医療従事者の不足
  • 地域格差

など、医療現場が抱える課題が山積しています。
MedTechの活用により、こうした課題を解決し、より質の高い医療サービスを提供することが期待されています。

HealthTechの概要と重要性

MedTechと類似した用語としてHealthTechが存在します。
HealthTechは健康維持とテクノロジーを組み合わせた言葉で、病気の予防や健康増進に関わるITサービスを指します。
政府の調査によると、

  • 死亡原因の6割が癌や心臓病などの生活習慣病であり
  • 国民医療費の3割も生活習慣病が占めています

生活習慣病は名前の通り、日常の生活習慣が原因となる病気です。
そのため、予防のために健康的な生活を心がける人が増えています。
そこで注目されているのがHealthTech分野です。
具体例としては、

  • 健康管理・ダイエットアプリ
  • 分析機能付き体重計

などがあげられます。
MedTechとHealthTechは混同されがちですが、MedTechは病気になってからの治療用ITサービス、HealthTechは病気予防や健康維持のための自主的ITサービスと区別して考えるのが適切でしょう。

MedTechで期待できる可能性

MedTechで期待できる可能性

医療技術の進歩により、私たちの生活にはどのような変化が訪れるでしょうか。
革新的な医療機器の活用が、さまざまな恩恵をもたらすことが期待されています。

  • 人々の健康維持や疾病予防に役立つ可能性があります。
  • 高度な診断機器は、早期発見と適切な治療を可能にします。
  • また、リハビリ支援機器は回復過程を促進し、QOL向上に貢献するでしょう。

さらに、遠隔医療システムの発達により、地理的制約を超えた医療アクセスが実現します。
専門家との円滑なコミュニケーションで、適切な治療を受けられるようになるかもしれません。

このように、医療技術の革新は、健康で質の高い生活を送る上で大きな助けとなることが期待されています。

介護現場へのロボット導入で負担軽減

高齢者ケアの分野では、AI搭載ロボットを活用することで、介護従事者の負担軽減が見込まれています。
介護業界は従来から過酷な労働環境と低賃金が課題とされ、慢性的な人手不足に直面してきました。
少子高齢化が進む日本において、介護人材の確保は喫緊の課題です。
介護サービスの質を維持するには十分な人員が不可欠ですが、現状では人手不足が深刻化しています。
そこで、ロボット技術の導入により介護従事者の業務負担を軽減し、介護の職場環境を改善することで、将来的な人材確保につなげることが期待されています。

AIによるがん早期発見の可能性

AIを活用した画像診断では、肉眼では見落とされがちながんを発見することが期待されています。また、簡便にがん検査を受けられるようになる可能性もあります。

がんは日本人の死因の上位を占める病気であり、厚生労働省の2019年度人口動態調査によると、全死亡者の27.3%ががん(悪性新生物)によるものでした。がんの完治や寛解には、早期発見と治療が重要です。しかし、日本のがん検診受診率は低く、検診種別によらず40%台後半から50%台前半程度にとどまっています。そのため、がんが進行してから発見されるケースも少なくありません。

その理由として、

  • がん検診に伴う痛みや時間的制約などが挙げられます。

このような状況を受けて、MedTechの発展により、がんの早期発見や、痛みのない簡便ながん検診が実現されつつあります。

AIによる糖尿病網膜症の早期発見

AIを活用した画像診断技術が、糖尿病に伴う網膜症の早期発見に貢献することが期待されています。
網膜症は、糖尿病性腎症や神経障害と並ぶ三大合併症の一つで、細小血管の血流障害により視力低下を引き起こす病気です。
重症化すると出血や網膜剥離が生じ、最悪の場合は失明に至ります。
従来は目視による診断が主流だったため、初期段階での発見が困難でした。
しかし、2018年にアメリカで登場した専用カメラで撮影した画像をAIが解析するサービスが、日本でも普及しつつあります。

  • 日本人の失明原因の2位が網膜症であり、
  • 1位の緑内障も網膜症が一因となるケースが多いことから、

こうした技術による早期発見が視力維持につながると考えられます。

MedTech市場の将来性

MedTech市場の将来性

MedTech業界は日本においても有望な市場であり、将来性に富んでいます。

  • 少子高齢化が進む中、高齢者向けの医療サービスへの需要が高まる一方で、医療・介護従事者の不足が懸念されています。
  • そこでIT技術を活用することで、現場の負担を軽減できるため、国内におけるMedTech製品・サービスの需要は自然と高まります。

さらに、MedTech業界は日本経済の活性化と競争力向上の起爆剤ともなり得る分野として注目されています。

  • 現時点で日本のMedTech市場は世界的に見ても一定の地位を確立していますが、オリンパスや日立などの大手企業に加え、今後の活躍が期待される中小企業も存在します。
  • 日本には高い技術力を有する企業が多数あり、世界と伍して競争できる素地があります。

しかし、バイオメディカル分野への人材不足など、課題も山積しています。
とはいえ、国内需要と将来性を兼ね備えた有望分野であり、今後の発展が見込まれるため、注目に値する業界だと言えるでしょう。

MedTechの活用事例

MedTechの活用事例

ここでは、MedTech技術が日本で活用されている実例を紹介します。

まず、東京大学発のベンチャー企業Lily MedTechが開発した超音波を利用した乳がん画像診断装置があります。

  • 従来の乳がん検診で使われるマンモグラフィーは痛みを伴うため、検診を避ける人が多かったり、アジア人の発達した乳腺では小さな腫瘍を見つけにくいなどの課題がありました。
  • しかし、この新しい装置は痛みや圧迫がなく、立体的な乳房画像により乳がんの早期発見が期待できます。

また、カメラメーカーのニコンでは、糖尿病網膜症の早期発見に役立つ画像診断装置を開発しています。

  • この装置は、機械学習を活用してVerily社と共同で開発されました。
  • 超広角レーザー検眼鏡で撮影した網膜画像を世界中から収集し、複数の医師が診断することで、糖尿病網膜症の早期発見が可能になりました。
  • 現在は糖尿病網膜症のみに対応していますが、将来的には糖尿病やアルツハイマー病など、目以外の全身の病気にも応用できる可能性があります。

まとめ

まとめ

MedTech業界は、医療分野にIT技術を応用する領域であり、現在の日本においても有望な産業と言えます。
他の分野が停滞する中、MedTech分野は今後、世界と肩を並べられる可能性を秘めています。
この業界では、以下の知識を持つエンジニアが求められています。

  • AI
  • IoT

現状と将来性を考えると、エンジニアにとってMedTech業界は魅力的なキャリアアップ・キャリアチェンジの選択肢となり得るでしょう。
自身の活躍の場に悩んでいるのであれば、MedTech業界も視野に入れてみる価値はあります。
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