フリーランス(個人事業主)が法人化するメリットデメリット|設立の手続きも解説!

自営業者の中には、企業化を検討している人もいるでしょう。しかし、個人事業から法人化すると利点がある一方で、欠点もあることを認識しておく必要があります。
また、手続きも簡単ではありません。
本記事では、以下の点を解説します。

  • 個人事業主が法人化するメリット
  • 個人事業主が法人化するデメリット
  • 法人化の適切なタイミング
  • 法人化の具体的な手順

法人化を検討中の自営業者は、ぜひ目を通してみてください。

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法人化とは

法人化とは

フリーランスから法人へと移行することは、個人事業から株式会社や合同会社などの法人格を取得し、その法人の代表者に就任することを指します。

様々な形態がありますが、一人で活動していたフリーランスの場合は、代表者一人のみで従業員がいない状況が一般的です。

個人事業から法人へと移行すると、さまざまな規則が変更になります。そのため、変更点を十分に理解した上で、法人化の是非を判断する必要があります。

フリーランス(個人事業主)が法人化するメリットとデメリット

フリーランス(個人事業主)が法人化するメリットとデメリット

個人事業主がフリーランスから法人化に移行する際の長所と短所について説明します。
利点と欠点を慎重に検討し、自身にとって有利かどうかを判断することが重要です。

長所:

  • 法人税率が低く、節税効果が期待できる
  • 社会的信用力が高まる
  • 従業員を雇用しやすくなる
  • 事業承継が容易になる

短所:

  • 設立費用や運営コストがかかる
  • 税務・会計処理が複雑になる
  • 責任の範囲が広がる
長所 短所
法人税率が低い 設立費用がかかる
社会的信用力が高まる 運営コストがかかる
従業員を雇用しやすい 税務・会計処理が複雑
事業承継が容易 責任の範囲が広がる

フリーランスの法人化メリット

フリーランサーが企業体制に移行することで得られる利点は複数存在します。

  • 税金の軽減効果があり、事業リスクを限定的に抑えることができます。
  • また、社会的な信頼性が高まる可能性があります。

個人事業主から法人化への移行によるメリットについて、詳細を説明していきます。

法人化によるフリーランスの節税メリット

企業形態を法人化することで、税負担を軽減できる可能性があります。

  • 個人事業主の場合、個人に対して所得税と住民税が課されますが、法人化すると法人税が適用されます。
  • 一定の収入水準を超えると、法人税率の方が低くなるため、法人化した方が手取り収入が増える可能性があります。

法人化のメリット

企業形態を法人化することで、事業上の責任を個人から法人に移行できるというメリットがあります。
経営が困難な状況に陥った際、借入金の延滞や取引先への未払いなどの債務不履行が発生しても、適切な手続きを経ていれば、個人資産への影響を最小限に抑えることができます。
ただし、このような事態に至らないよう、健全な経営を心がける必要があることは言うまでもありません。

法人化のメリット

企業形態を法人化することで、信頼性が高まるという利点があります。

  • 大企業では、個人事業主との取引を避ける傾向にあります。
  • さらに、クレジットカードの発行や金融機関からの融資においても、法人のほうが優遇されることが多くなります。

以上が、個人事業主が法人化するメリットの概要です。

フリーランスの法人化のデメリット

個人事業主から法人化に移行する際の不利益点は次のようなものがあります。

  • 収支が赤字であっても課税対象となる
  • 会計処理が複雑化する
  • 経費の範囲が制限される

などです。

個人事業主が法人化を選択する際のデメリットについて、詳細を説明していきます。

法人化のデメリット:赤字時の課税

企業形態の変更には課税上の影響があります。
個人事業から法人化すると、収支が赤字であっても一定の税金が課されることになります。

  • 個人事業主の場合は赤字なら所得税や住民税の納付義務がありませんが、
  • 法人となると赤字でも法人住民税の支払いが必要となるのです。

この法人住民税は小規模企業でも年間約7万円の負担があり、赤字経営下でこの金額を支払うことは経営上の負担となります。

法人化の会計処理の複雑さ

企業形態の変更により、会計手続きの煩雑さが増す可能性があります。
法人となれば、個人事業主に比べて会計基準がより複雑になるため、専門家への外注が一般的です。
その結果、

  • 税理士や公認会計士への報酬支払いが必要となってきます。

一方で、個人事業主の場合は会計処理が比較的簡素なため、

  • 会計ソフトウェアを活用して自身で対応することが多くみられます。

法人化と交際費の経費計上

企業が法人化すると、ビジネス上の飲食代である交際費の経費計上に制限がかかるというデメリットがあります。

  • 個人事業主の場合、ビジネス関連の交際費は全額を経費として計上できますが、法人では交際費の損金計上は50%に限られます。

つまり、法人化により交際費の経費計上が制限されるため、節税がしづらくなります。
ただし、資本金1億円以下の法人であれば、年間800万円までは交際費の全額を経費計上できる点は留意しておく必要があります。

フリーランス(個人事業主)が法人化するベストなタイミング

フリーランス(個人事業主)が法人化するベストなタイミング

フリーランス(個人事業主)が法人化を検討するタイミングは一概に言えませんが、
利益が500万円を超えた時点や売上が1,000万円を上回った際に、法人化のメリットを検討するのが適切でしょう。
法人化すれば税率が低くなる可能性がありますが、個人事業主のままでいる方が有利な場合もあります。
したがって、

  • 利益や売上の水準を目安にしつつ
  • 税理士に具体的な数値を示して相談することで

法人化による税率面での得失を正確に把握できるはずです。

フリーランス(個人事業主)が法人化するための手続き

フリーランス(個人事業主)が法人化するための手続き

フリーランサーが企業体制に移行するには、いくつかの手順を踏む必要があります。

  • まず、会社の基本的な事項を決定し、法人化に必要な書類を準備します。
  • 株式会社の場合は、公証人による定款の認証手続きが求められます。
  • 次に、法務局に登記申請を行い、税務関係や社会保険関係の各種届出を提出します。
  • さらに、個人事業主時代の資産を新会社に引き継ぎ、預金通帳や賃貸借契約など、様々な名義変更を行う必要があります。

このように、フリーランサーが法人化するためには、複数の段階を経る必要があります。

会社設立の基本事項

ここでは、企業設立の際の基礎的な事項について説明しています。
まず、

  • 会社の名称
  • 本社所在地
  • 事業範囲
  • 資本金額
  • 決算期日

などの基本情報を定める必要があります。
会社名については、事前に重複がないかをオンラインで確認することが賢明です。
事業内容は将来的な展開も見据えて決定するべきでしょう。
資本金は最低1円から設定可能で、決算期日は設立前月末が一般的とされています。

法人化の必要書類準備

会社設立に向けた次のステップは、法人登記に必要となる書類の準備です。
具体的には、

  • 取締役の印鑑登録証明書
  • 定款
  • 会社実印
  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 印鑑届出書
  • 印鑑カード交付申請書

などが必要となります。
注意すべき点は、定款と登記申請書には収入印紙を貼付する必要があることです。
株式会社の場合、

定款 4万円
登記申請書 15万円

の印紙代がかかります。

定款認証手続きの準備

次の段階は、公証人による定款の認証プロセスとなります。この手続きには公証役場への訪問が必要となるため、担当者と事前に日程調整を行い、必要書類などの確認をしておくと円滑に進められます。
ただし、合同会社設立の場合はこの工程は省略可能です。

会社設立の登記申請

会社設立の手続きを進める際、本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行う必要があります。
この登記手続きは、

  • 司法書士に依頼して数万円の費用を支払うことが一般的です
  • 自身で申請することも可能です

手間と費用を考慮した上で、専門家に委ねるか自力で対応するかを判断しましょう。

法人設立に伴う各種届出手続き

次のステップは、様々な機関への申請手続きを行うことです。

  • 税務署への法人設立届出書や青色申告承認申請書の提出
  • 自治体への法人設立届出の提出
  • 年金事務所に対しては健康保険・厚生年金の新規適用届を提出

従業員を雇用する場合は、以下の届出も求められます。

  • 労働基準監督署への届出
  • 公共職業安定所への届出

フリーランスから法人化への資産引継ぎ

個人事業から法人化する際、フリーランスとして獲得した資産を新設会社に移転することが重要なステップとなります。
資産には

  • 売掛金
  • 備品
  • 什器

などが含まれ、

  • 借入金

などの負債も併せて引き継ぐ必要があります。
資産の移転方法としては、

  • 現物出資による現物資産の移転
  • 法人への売却
  • 法人への賃貸借

の3つの選択肢があります。
適切な方法は保有資産の額や種類によって異なるため、専門家である税理士に相談することが賢明です。

法人化に伴う名義変更手続き

次のステップは、さまざまな名義の切り替えです。
具体的には、

  • 銀行口座
  • 事業所や店舗
  • 駐車場
  • 車両
  • 公共料金
  • 借入金
  • 官公署への届出書類など

個人名義から法人名義への変更が必要となります。
また、取引先や仕入れ先にも、新しい振込口座などの変更点を通知することが重要です。
個人事業から法人化する際には、名義変更作業を確実に行う必要があります。

まとめ

まとめ

個人事業主が法人化すると、税金の節税や信用力の向上などのメリットがありますが、赤字時の課税や経費計上の制限といったデメリットもあります。
これらのプラスマイナスを総合的に勘案し、法人化の是非を判断する必要があります。
最終的には、税理士に相談して節税効果を確認するのが賢明でしょう。
個人事業主から法人化するかどうかは、慎重に検討すべき重要な選択肢です。