フロントエンドエンジニアの職務は、オフィス外での勤務が一般化しつつあります。
この傾向は今後も継続すると見込まれ、収入面での減少は予想されていません。
本稿では、フロントエンドエンジニアのリモートワークに関する以下の点について詳しく説明します。
- 実態
- 展望
- 報酬
- 求職方法
- 必要なスキル
- 留意点
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フロントエンドエンジニアはリモート/在宅ワークできる?
Webサイトの見た目や動作を担当するフロントエンドエンジニアの仕事は、リモートワークに適しています。
この職種では、以下のようなことを行います。
- HTMLやCSSなどのマークアップ言語を使ってコーディングを行う
- JavaScriptなどのプログラミング言語を使ってコーディングを行う
作業環境さえ整えば自宅からでも業務を進められるため、場所を選ばずに働くことができます。
また、クラウドツールの発達により、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションも円滑に行えるようになっています。
実際に、以下のような求人が多数出されています。
フリーランスのフロントエンドエンジニア |
正社員募集の在宅勤務のフロントエンドエンジニア |
リモートワーク増加とエンジニア就業実態
リモートワークの機会が拡大している状況が確認されています。
ITスキルを持つ専門家の間では、自宅からの就労形態が一般化しつつあります。
転職サポート企業が実施した調査では、
- 4人に3人がテレワークを実践中であり
- そのうち過半数が完全な在宅勤務を送っていること
が明らかになりました。
オフィスに出勤する必要がなくなり、柔軟な働き方が可能になっている実態が浮き彫りとなりました。
リモート/在宅ワークが難しいエンジニア職種
フロントエンドエンジニアと比べると、リモート勤務が困難な職種もあります。
具体的には、オンラインだけでは業務が完結できない職種です。
- 端末や配線を直接扱う必要があったり、現場でのコーディング作業が必須の場合、リモート勤務は難しくなります。
該当する職種 |
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ネットワークエンジニア |
インフラエンジニア |
サーバーエンジニア |
組み込みエンジニア |
フロントエンドエンジニアでも、業務内容によっては完全リモートが難しい場合があります。
しかし、2022年現在ではクラウドツールやコミュニケーションツールの発達により、上記の職種でもリモート勤務が可能になるケースが増えています。
ただし、実際にできるかどうかは、企業の業務体制に大きく左右されます。
フロントエンドエンジニアのリモート/在宅ワーク求人・案件実情
フロントエンドエンジニアの在宅勤務やリモートワークの機会は、全体の求人数と比べると割合は低いものの、実数としては決して少なくありません。
2022年8月時点で、フリーランス求人サイトのデータを分析すると、フロントエンドエンジニアの求人の約4割がリモート勤務可能なものでした。
前年同月と比べると、リモート勤務の求人比率は15%以上増加しています。
また、正社員やアルバイト求人サイトでも、フロントエンドエンジニアの求人の約6割がリモート勤務に対応していることがわかりました。
在宅勤務の機会は着実に増えており、フロントエンドエンジニアにとって選択肢が広がっています。
フロントエンドエンジニアのリモート/在宅ワークの将来性
フロントエンドエンジニアの在宅勤務の需要は、当面減少することはないと考えられます。
エン転職が実施した調査では、エンジニア職種がテレワークを活用している割合が最も高く、半数を超えていました。
これは、他の職種と比べてリモートワークが浸透していることを示しています。
また、フロントエンドエンジニアに必須の言語である
- JavaScript
- HTML/CSS
の利用率が高いことから、ウェブサイトの増加に伴い、この職種の需要も高まっていくと予測されます。
ただし、コロナ禍の影響もあり、リモート環境が整っていない企業も存在します。
最新の情報を確認しながら、求人や転職先を選ぶ必要があります。
フロントエンドエンジニアの年収
フロントエンドエンジニアの収入状況について、正社員とフリーランスでは大きな差があることが分かります。
dodaの調査では、正社員のWebエンジニアの平均年収は約416万円と算出されています。他の転職サイトの情報でも、400万円から600万円の範囲内と推測されています。
一方、フリーランスのフロントエンドエンジニアについては、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」の掲載データから平均年収は約787万円、中央値では840万円と計算されています。
収入面では、フリーランスの方が有利であることが伺えます。
リモート/在宅ワークと年収の関係
フロントエンドエンジニアに限らず、技術者の募集情報を調査した結果、勤務形態がリモートかオフィス勤務かによって年収に大きな差はないと考えられます。
この傾向は、フリーランスの案件と正社員の雇用契約の両方に当てはまります。
その理由として、
- リモート勤務であってもオフィス勤務と業務内容に大きな違いがないこと
- リモート勤務だからといって報酬が著しく低くなることは、法的にも想定しづらいため
が挙げられます。
コーダーとフロントエンドエンジニアの業務と年収の違い
Webサイトやアプリケーションが適切に機能するためには、デザイナーによって作成された設計に基づき、HTML/CSS、JavaScriptなどのコーディングが必要不可欠です。
この作業を専門的に行う職種がコーダーと呼ばれています。
コーダーは、フロントエンドエンジニアの業務範囲のうち、コーディングに特化した役割を担っています。
フロントエンドエンジニアとコーダーの年収を比較すると、業務内容や責任範囲の違いから、フロントエンドエンジニアの方が高い収入を得る傾向にあります。
実際、フリーランス求人サイトの情報によれば、
- コーダーの平均年収は約588万円であり、フロントエンドエンジニアより約200万円低くなっています。
これは、コーダーの業務が下流工程に位置し、作業範囲が限定されているためと考えられます。
フロントエンドエンジニアのリモート/在宅ワーク求人・案件獲得方法
独立したフロントエンド開発者は、基本的に自身の営業努力によって仕事を確保する必要があります。
ここでは、フリーランスのフロントエンド技術者がリモートワークや在宅勤務の案件を獲得するための3つの推奨方法を提案します。
- 自身のポートフォリオサイトを作成し、スキルと実績を示す
- フリーランス向けの求人サイトに登録する
- SNSやオンラインコミュニティで自身のスキルをアピールする
フリーランスエージェントの活用メリット
フリーランスの仕事探しや案件獲得において、サポートを提供するサービスがあります。
このサービスは、フリーランサーの営業活動や交渉を代行し、適切な求人や案件とのマッチングを行います。
具体的には、
- 希望条件に合った案件の紹介
- クライアント企業との面談同席
- スキルシートや経歴書の添削
- 契約手続きの代行
- 面接対策
などを行います。
このサービスを利用することで、大手企業や高単価の案件を見つけやすくなり、営業が苦手でも安定した仕事を得られるようになります。
また、市場の相場感を把握しながら、様々な相談にのってくれるメリットもあります。
さらに、フリーランス向けの福利厚生制度を利用できる点も魅力的です。
このようなサービスを提供しているのが、フリーランスエージェントと呼ばれる存在です。
クラウドソーシングサービスの活用法
クラウドソーシングプラットフォームは、副業としてWebエンジニアリングに携わりたい人や、フリーランス活動を始めたばかりの人にとって、足がかりとなるサービスとして注目されています。
これらのプラットフォームは、仕事を発注する側と受注する側をオンラインで仲介する役割を果たします。
利用するメリットとしては、
- インターネット環境さえあれば時間や場所を選ばず仕事を探したり受注できること
- 初心者でも気軽に利用できること
- 実績やポートフォリオを公開できること
などが挙げられます。
フロントエンドエンジニアの求人に加え、コーディングの案件も多数掲載されています。
フリーランスのWebエンジニアを目指す際は、コーディング案件から始め、プラットフォーム上での評価や経験を積み重ねていくのも一つの方策です。
一方で、低単価の案件があったり手数料がかかるなどのデメリットもあります。
代表的なプラットフォームとして、
クラウドワークス |
ランサーズ |
ココナラ |
などが知られています。
SNSを活用した求人・案件獲得
自身のセールススキルやコミュニケーション力に確信を持つ人は、SNSを活用した求職・案件獲得の可能性も検討すべきでしょう。
現在では、
- インスタグラム
- フェイスブック
- ツイッターなどのSNSプラットフォームを利用することで、仲介者や仲介サービスを介さずに企業や採用担当者、個人事業主と直接つながることができます。
そこから求人・案件の獲得や、新規クライアントの紹介につながる機会が期待できます。
SNSを活用したメリットには、
- 直接のやり取りによる円滑なコミュニケーション
- 手数料や第三者の介入がないこと
- 一般の求人サイトでは見つからない独自の案件に出会える可能性
- 上手なアカウント運用による自身のブランディング効果などがあげられます。
一方で、営業サポートが受けられないデメリットや、意図せぬ評判の拡散リスクもあります。
フロントエンドエンジニアがリモート/在宅ワーク求人・案件で要求されやすいスキル (2024年6月)
フロントエンド開発者にとって、遠隔勤務や在宅勤務の職を得るための重要なスキルセットを習得することは、より良い条件の仕事を手に入れる機会を広げることにつながります。
テクニカルな能力に加え、以下の汎用的なスキルも求められます。
- コミュニケーション力
- タスク管理能力
適切な知識と経験を蓄積することで、望ましい雇用機会を掴む可能性が高まるでしょう。
フロントエンドエンジニアのスキルアップ
Webフロントエンド開発者として活躍するためには、HTML/CSS、JavaScriptの知識と実践経験が不可欠です。
しかし、より高い報酬を望むのであれば、バックエンドやインフラなどの領域でも役立つプログラミング言語の習得が賢明です。
- PHP
- Ruby
- Python
- C言語
- C++
- TypeScript
- Java
などを学ぶことで、設計からコーディングまでを一手に担えるオールラウンダーとなり、クライアントから信頼を得やすくなります。
さらに、フレームワークの活用スキルも身につけることで、高品質な成果物を提供できるようになるでしょう。
多様な技術力を兼ね備えることが、仕事の機会拡大と収入アップにつながる可能性があります。
フロントエンドエンジニアに求められるUI/UXデザインスキル
フロントエンドエンジニアは単にクライアントの要求に沿ってデザインやコーディングを行うだけでなく、ウェブサイトを訪れるユーザーの感情や行動を予測し、UI/UXデザインのスキルと経験を備えている必要があります。
UIとは、ユーザーがデバイスを介して行う入力やウェブサイトの表示方法など、ユーザーが目にするすべての情報を指します。具体的には、
- ボタン
- 入力フィールド
などのコンテンツ全般が該当します。
一方、UXは、ユーザーがウェブサイトやサービスを通じて得られる体験を意味し、使いやすさの指標やユーザー満足度を表す数値ともいえます。
UI/UXを考慮したデザインと機能を備えたウェブサイトを構築できれば、
- ECサイトの売上増加
- リピーター獲得
など、クライアントの利益に直接貢献できます。
そのためには、
デザインスキル |
市場分析力 |
SEOスキル |
ユーザーの視点に立つ能力 |
などを身につける必要があります。
フロントエンドエンジニアに求められるスキル
フロントエンドエンジニアは、コーディングやデザインに関する能力だけでなく、Webサイト制作全般に関する幅広い知識と経験を持つことが重要視されます。
具体的には、
- 画像編集スキル
- CMSの運用能力
- バックエンド技術の理解
- セキュリティ対策の知見
- Webライティングの力
などが求められます。
これらの多岐にわたる専門性を身につけることで、フロントエンドエンジニアは自社やクライアントから高く評価され、さまざまな案件に携わる機会が広がるでしょう。
フロントエンドエンジニアのコミュニケーション力
Webフロントエンド開発者は、社内プロジェクトチームやクライアントだけでなく、外部のデザイナーとも協力する機会があります。
そのため、他の職種と同様にコミュニケーション能力が不可欠です。
エンジニアは個人作業が多い一方で、最終成果物は複数のメンバーで完成させます。
円滑な情報共有、他者への働きかけ、マネジメント能力を備えることで、クライアントからの評価が高まります。
さらに新規案件の獲得や報酬アップの交渉においても、コミュニケーションスキルと経験が重要な役割を果たします。
フリーランスエンジニアの自己管理スキル
フロントエンドエンジニアとしてフリーランスで活動する際は、適切な時間管理と自己規律が極めて重要となります。
- 企業に所属せず独立して働く場合、受注する案件の量やスケジュール、休暇の取得など、すべてを自身で判断し決定する必要があります。
- 体調や能力を無視して過剰な仕事を請け負えば、健康を損なうリスクがあるだけでなく、納期遅れによってクライアントに損害を与えかねません。
- また、フリーランスは自身の裁量で気まま仕事を休めてしまうため、自制心がなければ簡単に納期遅延や成果物の質の低下を招いてしまいます。
そうなれば、クライアントや関係者からの信頼を失い、フリーランスとしての活動が困難になる可能性が高まります。
リモート/在宅ワーク求人・案件に参画する際の注意点
在宅勤務や遠隔作業の機会に携わる際には、従来の職場環境とは異なる様々な留意事項があります。
オフィスでの就労時とは対照的な側面に気を配る必要があるでしょう。
成果物とコミュニケーションが重要なリモートワーク
リモートワークやテレワークでは、出社して職場で働く場合とは異なり、業務成果物の質が重視されます。
- 納期の遵守や修正対応の迅速さ
- コミュニケーションの円滑さ
も、上司やクライアントから高く評価される点です。
在宅勤務では、同僚や協力者と直接顔を合わせる機会が少ないため、人柄や作業態度、本業以外の評価が難しい側面があります。
そのため、リモートワークの求人や案件に応募する際は、成果物の品質と円滑な連絡体制を特に意識した業務遂行が求められます。
リモートワークの長時間労働リスク
リモートワークやテレワークは、通勤の時間が省けるため、余裕のある働き方ができると考えられがちです。しかし、実際には長時間労働に陥りやすい側面があると指摘されています。
- プライベートと仕事の境界線が曖昧になり、集中力の持続が難しくなったり
- 一人作業で疑問点が生じた際に他者に相談しにくいこと
が原因とされています。
実際に、日本労働組合総連合会の調査では、テレワークにおいて通常勤務よりも長時間労働になることがあったと半数以上の人が回答しています。また、アチーブ人財育成株式会社の調査でも、労働時間が長くなりがちだと半数以上が感じているようです。
フリーランスの場合、労働時間を自ら調整する必要があるため、過剰な働き過ぎに注意を払う必要があります。
リモートワークにおける情報漏洩リスクと対策
リモートワークや在宅勤務では、企業のセキュリティ環境が利用できず、第三者に情報を盗み見られる恐れがある場所で業務を行うため、情報漏えいのリスクが高まります。
そのため、出社時よりも自身のセキュリティ意識を高める必要があります。
具体的には、
- 個人の端末のセキュリティを徹底する
- 公共の無線LANを業務に使わない
- 外出先では端末から目を離さず、第三者に端末やデータを覗かれないよう対策を講じる
- 自宅やコワーキングスペース以外では作業しない
などの対策が推奨されます。
情報漏えいにより企業やクライアントに損害を与えた場合、多額の賠償責任が発生する可能性があります。
まとめ
フロントエンドエンジニアのリモートワークや在宅勤務の機会が増加しており、求人案件でもよく目にするようになりました。
主な内容は以下の通りです。
- フロントエンドエンジニアのリモート・在宅ワークの求人案件数が以前より多くなった。
- 常駐案件と年収水準に大きな違いはない。
- フロントエンドエンジニアの仕事探しにはITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」の活用が有効。
リモート・在宅ワークでは、以下のスキルや経験が重視される。
プログラミング言語全般 |
UI/UX |
Web制作 |
コミュニケーション |
自己管理 |
リモート・在宅ワークには以下の点に注意が必要。
- 評価基準の違い
- 労働時間の増加
- 情報漏洩
リモート・在宅勤務のフロントエンドエンジニアを目指す人は、これらの点を参考にしてください。