新卒でSES企業に入社して1年が経過しましたが、職場環境に満足できずに転職を検討している方も少なくありません。
SES企業の中には劣悪な労働環境が指摘されているところもあり、早期の転職を望む声があがっています。
しかし、初めての転職には不安も付きものです。
- 転職のタイミングが適切なのか
- 他の人々の転職理由は何なのか
といった疑問を抱えている人も多いでしょう。
本記事では、SESエンジニアが1年目で転職を考える理由と、転職の是非について詳しく解説します。
併せて、SES企業を離れた後の就職先の選択肢についても触れていきます。
この内容を通して、SES企業からの転職のイメージをつかむことができるはずです。
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SESについて改めて確認しよう!
ソフトウェア開発やシステム運用を請け負う契約形態がSESです。
この契約では、
- エンジニアがクライアント企業の事務所に常駐して業務を行うことが一般的です。
- 報酬は労働力に対して支払われるため、成果物の品質や納品については責任を負わない点が特徴です。
- また、派遣とは異なり、クライアント企業から直接的な指示を受けることはできません。
エンジニアが転職したくなる理由
新人エンジニアが職場を変えたくなる背景には、さまざまな要因が存在します。
- 技術力の伸び悩み
- 報酬面での不満
- 過剰な業務負荷
などが、よく指摘される点です。
IT業界未経験者でも門戸が広いSESという雇用形態は、一方で課題も抱えています。
新人エンジニアが転職を望む具体的な理由を、次に詳しく説明しましょう。
SES企業での初心者エンジニアのスキルアップの難しさ
SES契約では、納品物の品質に対する責任は負わないため、特に開発経験の浅いエンジニアの場合、担当できる業務範囲が限られてしまい、スキルアップが困難になる可能性があります。
単純な作業のみを任されることで、専門的な知識や技術を身に付けることができません。
また、途中で異動となれば、一貫した開発経験を積むことができなくなります。
IT業界への転職を視野に入れた場合、これまでに培ってきた専門スキルや実績が重要なアピールポイントとなります。
初心者がSES企業で働く場合、専門性の高いスキルを身に付けるのは難しく、将来的な転職に不利な影響を及ぼす可能性があります。
下請け構造における給与格差
SIer企業から業務を受託するSES企業は、発注元と比べて報酬が低くなる傾向にあります。
発注元企業から直接案件を請け負うことを元請けと呼びますが、大規模開発では人員が足りず、一部を他社に外注する下請け構造が一般的です。
この構造が複雑化すると、発注元から遠ざかるほど中間マージンが発生し、報酬が減少します。
実際、リクナビの調査では、発注元と3次請負の年収差は30代前半で138万円にも上ります。
- しかも、業務量は発注元と変わらないか多い場合でも、報酬は労働時間に応じた支払いなので、優秀な技術力を持っていても報酬が上がりにくい実情があります。
長時間労働に陥りやすいSESの課題
SESの労働環境には課題があります。
労働時間の上限と下限は設定されていますが、長時間労働になりがちです。
報酬が時間給制のため、クライアントは長く働いてもらいたいと考えがちです。
企業側も長く働けば売上が上がるので、労働時間の上限を設けないところもあります。
一部の企業では、
- 労働条件をあいまいにして、状況次第で残業や休日出勤を命じられるようにしています。
クライアントの中には、
- 指揮命令権がないことを知らないエンジニアに無理な残業を求めるケースもあります。
エンジニア側も時間給制のため、
- 業務の効率化やスピードアップに意欲を持ちにくく、長時間労働につながっています。
結局SES 2年目エンジニアでも転職できる?
要約すると、SESエンジニアの転職は可能性が高いものの、人気企業への転職には一定の経験とスキルが必要となります。
IT人材不足が深刻化する中、企業は積極的に人材確保に動いており、労働環境の改善にも努めています。
しかし、即戦力として求められる開発力を身に付けるには、1年では不十分な場合が多いでしょう。
- 2~3年の経験を経て転職活動を行えば、より良い条件の企業に移ることができます。
- また、中小企業やベンチャーなどを経由しながら、徐々にスキルアップを図るのも一つの選択肢です。
転職を検討する際は、将来のキャリアビジョンを明確にし、エージェントの活用も有効な手段となるでしょう。
転職先は?SES 1年目エンジニアの
初年次のエンジニアが転職を検討する際の選択肢として、
- 製品開発企業
- 受託開発企業
- フリーランスエンジニア
などが考えられます。
現在の環境よりも良い待遇条件を求めて転職を希望するケースが多いでしょう。
ただし、人気企業への応募倍率は高く、求められるスキルレベルも高くなります。
人気企業にとらわれすぎずに幅広く選択肢を持つことで、より良い条件の職場に就くチャンスが広がります。
それぞれの選択肢の特徴について、次に詳しく説明します。
自社開発企業への転職のメリット
より高い収入を得たい場合や開発能力を磨きたい場合は、自社製品の開発を行う企業への転職が賢明な選択肢となるでしょう。
自社開発企業に勤務するメリットとしては、
- 納期に余裕があること
- 実力に応じた給与アップが期待できること
- 自身の手で製品を生み出せる達成感が得られること
などが挙げられます。
請負開発企業に比べ、待遇面でも有利となる可能性が高く、高年収やスキルアップの機会にも恵まれやすくなります。
さらに、自社開発企業で培った経験を活かし、より上位の企業に転職することも容易になるでしょう。
一方で、環境の変化が少ないことやスキルが偏りがちになることがデメリットとして考えられます。
自社開発企業への転職を検討する際は、現在の職場でスキルを磨くか、プログラミングスクールなどを活用してあらかじめ実力をつけておくことをおすすめします。
SESからSIer企業への転職メリット・デメリット
受託開発企業への転職は、SESの経験を生かしながらキャリアアップを目指す選択肢となります。
受託開発企業では、
- 給与水準が高く
- 上流工程の経験を積むことができ
- 人脈形成も容易です
上位職への転職に有利となる上流工程の経験を積んでおくことで、高年収が期待できます。
一方で、
- 責任が重く
- 残業が発生しやすい
というデメリットもあります。
受託開発では納期遅延が赤字リスクにつながるため、スケジュールが厳しくなり、残業が必要となる場合があります。
大規模開発に携わりながらキャリアアップを目指したい方にとって、SESからの転職は有力な選択肢となるでしょう。
フリーランスエンジニアの選択肢
会社員から離れ、独立したフリーランスエンジニアとして活動することも選択肢の一つです。
フリーランスならば、働く場所や時間、案件を自身で決められ、高収入を望むことができます。
また、人間関係に縛られることもありません。
フリーランス白書2022によれば、
- 年収200万円から600万円未満の層が最多数を占めていますが、
- 600万円以上の高収入者も3割を超えており、
- 1,000万円を上回る人々も一定数存在します。
会社員エンジニアの平均年収と比べても、フリーランスの方が高収入を期待できるでしょう。
一方で、完全な実力主義であり、不測の事態への補償が少ないこと、確定申告など税務関連の知識が求められるというデメリットもあります。
経験が浅く、スキルが十分でない場合、会社員時代より収入が下がる可能性もあります。
フリーランスを志すのであれば、現在の職場か新天地で実務経験を重ね、スキルを磨くことが賢明でしょう。
まとめ
SES契約の1年目エンジニアが転職を検討する理由と、転職する際の注意点について説明します。
SESは契約上の特性から、ブラック企業と呼ばれるケースがあり、1年目の段階で転職を考える人もいます。
スキルを身に付けていれば、より良い条件の企業に移ることができます。
将来への不安やストレスで体調を崩すよりは、転職した方が賢明でしょう。
ただし、無計画に転職活動を始めると失敗する可能性があります。
- 転職前に今後の目標を明確にし、行動することが重要です。
- 転職の際は、エージェントに相談するのがよいでしょう。