ここ数年、あらゆるモノをネットワークに接続させるIoT(モノのインターネット)の推進が進められています。
このような状況下で、IoTに精通した人材が企業から求められるようになりました。
IoTに関する能力や専門知識を評価する基準の一つとして、IoT関連の資格試験が注目を集めています。
企業でIoT業務に従事するには資格は必須ではありませんが、資格保有者は就職・転職活動で有利になる可能性があり、自身のスキルを可視化し第三者に証明できます。
本稿では、以下について分かりやすく解説します。
- IoT検定
- IoTシステム技術検定試験
内容 | 試験レベル | 受験対象者 |
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IoT検定(全ての人が対象)
インターネットに接続されたデバイスが増加する中、様々な場所でセンサーがデータを収集し、そのデータが活用されています。
IoTは単にモノをネットワークに接続するだけでなく、収集したデータを分析し、将来を予測して、社会システムの自動化と効率化を目指しています。
IoTを推進するには、以下の知識を持つ人材が必要とされます。
- ネットワーク
- デバイス
- セキュリティ
- データ分析
IoT検定準備委員会はIoT人材育成の重要性を認識し、IoT検定を開始しました。
IoT検定は誰でも受験可能で、推奨参考書や模擬問題を活用することで合格できるとされています。
IoT検定は技術者の視点だけでなく、以下の視点からのカテゴリやスキル要件を網羅しており、各立場でIoTに関わる業務で求められる知識を認定します。
- サービス提供
- マーケティング
- ユーザー視点
IoT検定の構成
IoTの資格試験は、複数のレベルに分かれています。
- 初級者向けのユーザー試験から、上位レベルのアーキテクト試験まで、幅広い範囲をカバーしています。
受験者の知識やスキルに応じて、適切な試験を選択することができます。
各試験の内容は、IoT分野における役割や責任に合わせて構成されています。
IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザーの概要
IoTに関する基礎的な知識を有することを証明する試験がIoT検定ユーザー試験パワー・ユーザーです。
この資格試験はCBT方式の三肢択一形式で、40分間に48問が出題されます。
出題範囲は8分野からそれぞれ6問ずつとなっています。
- 採点はグレード制で、正答率86%以上がグレードA、76~85%がグレードB、66~75%がグレードCと評価されます。
試験終了後に合否が通知され、合格者には認定証が発行されます。
受験料は8,800円(税込)です。
- IoT関連の用語や業務内容の理解が問われるほか、IoTプロジェクトにおける提案力や法律・セキュリティ、リスク管理についての知見も求められます。
IoT検定レベル1試験概要
IoTに関する専門的な資格試験の概要を説明します。
正式名称は「IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ」と呼ばれ、CBT方式の四肢択一問題が出題されます。
- 試験時間は60分で、70問が出題されます。
- 合否判定は全体の60%以上の正解で合格となります。
- 合格者には「プロフェッショナル・コーディネーター認定証」が発行されます。
この資格を持つことで、IoTプロジェクトのメンバーとして業務を遂行できる能力が証明されます。
- 単に指示に従うだけでなく、IoTに関する提案や企画立案、顧客への説明など、主体的に働くスキルと知識が求められます。
- さらに、IoT関連の法律やセキュリティに関する深い理解と、リスク管理能力も必要とされます。
IoTエンジニア向け試験の概要
IoTに関する高度な専門知識を評価する試験が計画されていますが、現時点では公式ウェブサイトに詳細が掲載されていません。
この試験は、IoT技術者を対象とし、IoTに関する知識レベルを確認することを目的としています。
合格者は、以下の能力があることが証明されます。
- ハードウェア開発
- データ解析
- AI活用
- ネットワークやサーバーの通信設計
- IoTプラットフォーム構築
IoT検定レベル3試験の概要
この試験は、IoTの専門家としての高度な知識を持つことを証明するために実施されるものです。
しかし、現時点では試験の詳細な情報は公開されていません。
IoT検定協会のウェブサイトでは、
- この試験に関する受験情報
- 内容などの具体的な情報
は掲載されていないためです。
IoTの上級者向けの資格試験として位置付けられており、今後の情報公開が待たれます。
IoTシステム技術検定試験(技術者が対象)
モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MSPC)が主催する民間資格であるIoTシステム技術検定は、IoT技術者の育成を目的としています。
合格者は高度なIoT関連知識を有することが証明されます。
この試験では、IoTの基礎知識に加え、優れた技術者に求められる幅広い知識が問われます。
難易度が高いため、技術者向けの試験と言えますが、基礎と中級レベルには受験資格はありません。
ただし、上級試験のみ一定の条件を満たす必要があります。
IoTシステム技術検定試験の構成
IoTシステムの資格試験は、レベル別に分かれています。
- 初級は「IoTアドバイザー」
- 中級は「IoTエキスパート」
- 上級は「IoTプロフェッショナル」と呼ばれています。
それぞれの試験内容や難易度について、詳しく説明していきましょう。
IoTシステム技術検定(基礎)の概要
IoTシステム技術検定(基礎)は、以下の内容を含みます。
- AIやIoTに興味のある学生や、システム開発関係の仕事に就く予定の新入社会人を主な受験対象とする
- CBTの形式で行われる
- IoT、ビッグデータ、AIに関する基礎的な理解度を問う
- 60分間の制限時間内に4択形式の問題に解答する
- 合格すれば、以下が認定される
- IoTを構成する要素の基本用語を理解できる
- 関連書籍を読解できる力がある
- 基本的なデータの流れや蓄積、分析についての理解力がある
- ビジネスの現場で即戦力となることは難しい
- IoT関連業務に一定の適性があることが採用担当者に伝わる
IoTシステム技術検定(中級)の概要
IoTシステムの構築に関する基礎的な知識と実践的な技術力を評価する試験が、IoTシステム技術検定(中級)です。
この資格は、IoT分野で実務に携わる技術者を対象とし、難易度は比較的高めに設定されています。
試験時間は90分で、4者択一方式の問題が出題されます。
受験料は一般15,400円、会員種別によって異なります。
- IoTシステムの構成や構築技術
- センサ・アクチュエータ
- 通信方式
- データ活用
- プロトタイピング
などの知識と技術力が問われます。
クライアントへの適切なヒアリングスキルも求められる資格試験となっています。
IoTシステム技術検定(上級)の概要と受験資格
IoTシステムの構築や活用に関する高度な専門知識と実践力が求められる資格が、IoTシステム技術検定の上級(IoTエキスパート)です。この資格を取得するには、以下の条件を満たした上で専門技術講習の受講と論述式試験に合格する必要があります。
難易度は高めですが、IoT分野でリーダー的な役割を担いたい方には適した資格と言えます。
受験資格は、
- 中級合格者
- 情報処理技術者
- 早稲田大学のスマートエスイーコース修了者
のいずれかを満たしている必要があります。
試験は
の構成となっています。
この資格を持つことで、IoTシステムに関する顧客ニーズの深い理解力と、課題解決のためのシステム企画・提案力が認められます。また、IoTプロジェクトにおいてリーダー的な活躍が期待できる資格でもあります。
IoT関連の資格取得に向いている人
IoTに関連する資格を取得することが適している人物は、次のようなケースが考えられます。
- IoTシステムの開発に従事する技術者
- IoTから得られるデータを活用するデータ分析の専門家
- IoTの導入を検討している経営陣や管理職の方々
それぞれの立場に応じた詳細な説明を以下に記します。
IoTエンジニアの仕事と資格
エンジニアの中には、IoTシステムの開発に従事する者もいます。IoT開発者の主な業務は以下のとおりです。
- 設計
- コーディング
- テスト
これらは他分野の技術者と大きな違いはありません。
しかし、IoT開発者はソフトウェア開発とは異なり、ハードウェアに関する知見も求められます。
IoT開発に携わる人材需要は高まりつつあります。就職活動などでIoT関連の資格を持っていれば、以下のメリットがあります。
- 自身の知識やスキルを示す一つの手段となり得る
- IoTシステム開発の現場では即戦力として評価される可能性がある
ただし、IoT関連の資格がエンジニア全体の評価に直結するわけではないことに留意が必要です。
データサイエンティストのためのIoT資格の重要性
データサイエンティストとしての職務を遂行する上で、特定の資格を保有することは義務付けられていません。
しかし、IoTデータを活用する場合、関連資格を取得しておくと業務上有益な場面が生じるかもしれません。
データサイエンティストの役割には大規模なデータの収集も含まれるため、IoTに関する知見があれば業務をスムーズに進められます。
今後、ビッグデータやIoTがより一層普及すると予想されるため、IoT関連資格の取得や学習を行うことは、職務上プラスになるはずです。
IoT導入のための経営者・管理者向け資格取得
IoTの導入を検討する企業の経営陣や管理職は、実際の導入作業を自ら行うことは稀でしょう。
しかし、IoT関連の資格を取得することで、
- 導入後の方向性を明確にしたり
- 自社での活用シーンを想像しやすくなります。
IoTを社内に浸透させたい企業の経営陣や管理職は、自らIoTに関する知見を深めることが賢明です。
まとめ
IoTの需要は今後さらに高まると予想されています。しかし、多くの企業がIoTに対応できる人材不足に直面しています。
企業が時代に遅れを取らず、将来的な利益を確保するためにはIoTは不可欠です。
IoT関連業務に従事する際、必須の資格はありませんが、関連資格を保有することで、
- IoTに関する知識を証明し
- 自身のスキルレベルを可視化できます
IoTの発展に伴い、関連する専門知識やスキルを身につけることが重要となってきます。
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