IT検証技術者認定試験について理解が深まらず、受験するかどうか迷っている人が多数いるようです。
この資格は知名度が低く、口コミや評判があまり見つからないため、取得する意義に疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、この試験はエンジニア職、特にテスト業務に従事する人にとって関連性の高い資格です。
そのため、興味があれば受験を検討してみる価値はあります。
本稿では、この試験の
- 出題範囲
- 合格率
- 申込手順
などについて解説します。
内容を確認することで、受験するかどうかの判断材料になるでしょう。
関心のある方は、本稿を参考にしてみてください。
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IT検証技術者認定試験とは
ソフトウェア開発における検証作業を適切に実施できる人材を認定する制度が存在します。一般社団法人IT検証産業協会が主催するIT検証技術者認定試験は、
- テストやバリデーションに関する知識とスキルを評価し、合格者に認定証を授与します。
この資格は業界で高く評価されており、保有者にはテスト業務を安心して任せられるとされています。
試験のレベルは5段階に分かれ、上位レベルほど高度な内容が問われます。
近年、ソフトウェアの複雑化に伴いテスト工程が増加する一方で、高度な検証を行えるエンジニアが不足しているため、この制度を通じて優秀な人材の育成が図られています。
IT検証技術者の役割と責務
ソフトウェアの品質保証に携わる専門家は、テスト・検証業務に従事するエンジニアを指します。
具体的には、
- 実際にテストを実行する担当者
- テストの設計や運用管理を行う責任者
- テスト工程を含むプロジェクト全体の管理を行う役割
があります。
この分野の専門家には、単なるテスト実行者よりも高度な能力が求められます。
テスト実行者は、他者が作成したテスト仕様に基づいて作業を行うのみですが、専門家はテスト仕様の作成から、テスト結果に基づくソフトウェアの改善提案まで、幅広い業務を担います。
IT検証技術者認定試験
この認定試験の概要、範囲、受験者数、合格基準、難易度、申込方法、有効期間、学習時間などの詳細情報を網羅しています。
公式ウェブサイトの内容を参考にまとめた、試験に関する包括的な解説となっています。
IT検証技術者認定試験の概要
IT検証の資格試験について、開催地域、日時、形式、料金などの詳細情報をまとめました。
ただし、これらのデータは2022年春季試験のものであり、秋季以降は変更される可能性があります。最新情報は公式ウェブサイトで確認する必要があります。
試験は5つのレベルに分かれ、会場は
- 札幌
- 岩手
- 東京
- 横浜
- 名古屋
- 大阪
で実施されます。
時間は180分で、PCを使った記述式問題が出題されます。
出題数と合格基準は非公開です。
受験料は19,800円から25,300円の範囲です。
レベル1と2には受験資格は不要ですが、レベル3以上では下位レベルの合格が条件となります。
合否結果はマイページで2か月後に確認できます。
IT検証技術者認定試験の出題範囲
本文書では、IT検証技術者認定試験の出題範囲を概説します。
この試験は、エントリー、ミドル、ハイの3つのレベルに大別されています。
各レベルの出題範囲について、個別に説明を加えていきます。
エントリーレベル(レベル1・2)の出題範囲
エントリーレベルでは、テスト実施者やテストをまとめる役割に必要な能力が問われます。
このレベルの出題範囲は、
- テスト実行計画
- 環境準備
- ケース作成
- テスト実施
- 記録
- 不具合報告
- 実施報告
- プロジェクト管理(個人の進捗管理含む)
などが含まれます。
エントリーレベルの出題範囲の詳細については、関連資料をご確認ください。
テスト設計・実装スキルの重要性
ミドルレベルの試験では、テストの実装や設計に関する能力が問われます。
このレベルの出題範囲には、以下が含まれます。
- テスト仕様の理解
- トレーサビリティ
- 網羅性設計
- テストの種類
- テスト実装
- モニタ設計
- テスト環境設計
- プロジェクト管理
- テスト報告
テストアイテムやテスト変数の抽出、基本フロー、組み合わせ、期待値設計などの実践的なスキルが求められます。
出題範囲の詳細については、関連資料をご覧ください。
テスト要求分析とテストアーキテクチャ設計
上位レベル(レベル5)のテストでは、適切なプロジェクト管理能力が問われます。
この段階の出題範囲は以下の通りです。
- テスト要求の分析、準備、獲得
- テストアーキテクチャの設計
- テスト要求分析の成果物やテストベースの準備
- アーキテクチャスタイルに関する要求の獲得
さらに、テスト評価として、
- テスト報告書の作成
- テスト活動全般の情報収集と分析
が求められます。
出題範囲の詳細については、関連資料をご確認ください。
IT検証技術者認定試験の受験者数・合格率・難易度
IT検証の分野における認定資格の現状と難易度について概説します。
まず、2022年1月時点でのIT検証技術者認定試験の認定者数は、
- レベル1が885人
- レベル2が1,455人
- レベル3が279人
- レベル4が520人
- レベル5が112人
となっています。レベル3以降は認定者数が減少する傾向にあります。
次に、年度別の受験者数と合格率を見ると、
2018年 | 受験者745人中412人が合格し55% |
2019年 | 702人中399人が合格し56% |
2020年 | 270人中156人が合格し58% |
2021年 | 864人中520人が合格し60% |
となっています。合格率は徐々に上昇しているものの、大きな変化はありません。
この資格の難易度を判断するため、同じくIT検証技術者向けのJSTQB認定テスト技術者資格の合格率を参考にします。JSTQB認定のなかでもっとも合格率が高いFoundation Levelでさえ、2022年は51.7%にとどまっています。したがって、IT検証技術者認定試験の方が比較的難易度は低めと推測されます。
しかし、ソフトウェア検証の知識がない場合は一定の学習時間が必要不可欠です。また、JSTQB認定に比べ参考書や問題集が少ないため、勉強する際の障壁が高いという特徴があります。レベルが上がるにつれ難易度も高くなることから、上記の合格率は目安にすぎません。受験者によっては苦戦する可能性もあります。
IT検証技術者認定試験申込手順
IT検証技術者認定試験の受験手続きについて説明します。
まず、試験開催の約2か月前に公式ウェブサイトで受験申込みを行います。
次に受験料の支払いを済ませる必要があり、
- クレジットカード
- コンビニ決済
から選択できます。
その後、試験日の約10日前にマイページから受験票をダウンロードします。
受験票には
- 受験番号
- 試験会場の情報
が記載されています。
当日は受験票に写真を貼り付け、忘れずに持参することが重要です。
IT検証技術者認定試験の有効期限
IT検証の専門家資格における有効期間の設定は、従来は存在していましたが、現時点では撤廃されています。
しかし、最上位レベルの認定については、今後有効期限が導入される可能性が検討されています。
ソフトウェア検証の基礎知識習得
IT検証技術者の資格取得には、一定の学習時間を要します。
おおよそ30時間程度の勉強が目安とされています。
難易度は極端に高くはありませんが、ソフトウェア検証の知識がゼロの場合は基礎から学ぶ必要があり、相応の時間を費やす必要があります。
資格取得に向けて最初に重要なのは、ソフトウェア検証に関連する専門用語の意味を理解することです。
用語の定義を押さえないと、過去問題や参考書の内容を十分に理解できません。
IT検証技術者認定試験の資格取得のメリット
確かに、IT検証技術者認定試験の資格を取得することには、さまざまな利点があります。
- ソフトウェアの検証に関する専門的な技能と知識を身につけることができます。
- IT業界やWeb関連企業への就職や転職の際に、この資格が強みとなる可能性があります。
- 会社によっては、資格取得者に対して手当てや報奨金が支給される場合もあります。
これらの恩恵を一つずつ詳しく説明していきましょう。
ソフトウェア検証技術力を身につける
ソフトウェア開発の現場において、検証工程の重要性が高まっています。
IT検証技術者認定試験を受験することで、テストやデバッグに関する専門的な知見を習得できます。
この資格は、以下のような方々にとって有益なスキルを身につけられます。
- テスト担当者
- プログラマー
- プロジェクトマネージャー
- 開発に携わる様々な職種の方々
近年、ソフトウェアの複雑化が進む中で、高度な検証能力が求められるようになっており、この認定試験を活用することで、そうした要求に応えられる力を養うことができるでしょう。
IT検証技術者認定試験の価値
ITソフトウェア検証の専門性を客観的に示すことができるため、IT検証技術者認定試験の取得は転職や就職の際に有利に働く可能性があります。
この資格を持つことで、ソフトウェア検証に関する技術力を証明できます。
実務経験がない場合、スキルをアピールする手段が限られますが、この試験に合格すれば検証能力を裏付けられます。
難易度は高くなく、エンジニア未経験者でも合格が可能なため、キャリアの段階を問わず、幅広い層におすすめできる資格試験です。
IT資格取得のメリット
この資格を取得すると、企業から月々の手当てや一時金の支給を受けられる機会があります。
多くの会社が従業員のスキルアップと業績向上を期待しているため、資格取得者に対する金銭的なインセンティブを用意しています。
一般的な月額手当ては
5,000円 | から | 10,000円 |
程度で、継続して支給されるため決して小さな金額ではありません。
IT検証技術者認定試験の資格取得のデメリット
確かに、IT検証技術者認定試験の資格を取得するためには、一定の時間を費やして学習する必要があります。
しかし、その努力は将来的にキャリアアップや収入増加につながる可能性があります。
資格取得に向けて計画的に取り組むことで、新しい知識やスキルを身につけられるでしょう。
IT検証技術者認定試験の難易度と勉強の必要性
IT検証技術者認定試験は、他の試験と比べると難易度は低めですが、勉強なしで合格することは容易ではありません。
この資格を取得するには、十分な学習時間を確保する必要があります。
IT分野には、
- IT検証技術者認定試験
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
など、様々な資格試験が存在します。
どの試験を優先するかは、個人の
- スキル向上目標
- キャリアプラン
によって異なります。
仕事が多忙な方や他の資格取得を検討している方は、IT検証技術者認定試験の学習優先度を慎重に検討する必要があるでしょう。
IT検証技術者認定試験合格のためのおすすめの参考書や対策法
IT検証技術者認定試験の学習資料が限られているため、多くの受験生が効果的な勉強方法を見つけるのに苦労しているかもしれません。
そこで、この試験に合格するための優れた参考書と対策を提案させていただきます。
関連サイトへの誘導は控えさせていただきます。
参考書:
- 「IT検証技術者認定試験 公式テキスト」
- 「IT検証技術者認定試験 問題集」
対策:
IT検証技術者認定試験公式テキスト
この書籍は、IT検証技術者認定試験の公式教材として位置づけられています。同試験に特化した参考書は市場に出回っていないため、この書籍を中心に学習を進めることになるでしょう。
本書はエントリーレベルからミドルレベルまでの範囲をカバーしていますが、ハイレベルについては対象外となっているので注意が必要です。
公式教材ならではの特徴として、
- 出題範囲を正確に網羅しており
- 分かりやすくコンパクトにまとめられています
- 順を追って着実に学習を進められる構成となっています
なお、「IT検証技術者認定試験(IVEC) 知識試験 テキスト」という名称ですが、2018年の制度変更により知識試験そのものが廃止されたため、試験の全体像を掴む目的で活用するのが適切でしょう。
過去問活用の重要性
基礎知識を習得した後は、公開されている過去問題を活用することが重要です。
過去問題には模範解答が付いているため、適切な解き方を学ぶことができます。
さらに、
- 実際に時間を計りながら問題を解くことで、自分のペースを確認し、課題を発見できます。
繰り返し練習することで、確実な実力向上が期待できます。
まとめ
この記事では、IT検証技術者認定試験について説明しました。
この資格のメリット・デメリットや学習方法などを理解していただけたと思います。
IT検証技術者認定試験に合格すれば、ほとんどのITエンジニアに必要なソフトウェアテスト技術を身につけることができます。
ソフトウェアテストの重要性は今後さらに高まると予想されるため、関心のある方はできるだけ早く取得することをおすすめします。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。