所得税の申告においては、申告書に加えて各種証明書類の提出が義務付けられています。
これらの書類は窓口への持参または郵送で行うことができますが、オンラインの電子申告システムを利用すれば、一部の書類を省略可能です。
電子申告では画像データでの提出が認められているため、自宅やオフィスから手続きを完了させることが可能です。
電子申告を選択すれば、以下のメリットを享受できます。
- 青色申告者向けの特別控除
- 事務手続きの簡素化
これまで電子申告を利用したことがない人も、その利便性を体験してみることをお勧めします。
本稿では、電子申告の利用方法や具体的な恩恵について詳しく解説します。
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e-TAX(イータックス)って何?
e-TAX(国税電子申告・納税システム)は、インターネット環境があれば自宅やオフィスから確定申告や納税、行政手続きが可能なシステムです。
フリーランスだけでなく、確定申告が必要な会社員や法人も利用できます。
スマートフォンでの利用も可能ですが、申告書類のデータ作成には
- 確定申告書等作成コーナー
- e-Tax対応の会計ソフト
が必要です。
2023年1月からは、同コーナーで青色申告決算書や収支内訳書を作成すれば、事業所得や不動産所得もスマートフォンで申告できるようになります。
つまり、事業所得や不動産所得があるフリーランスは、スマートフォン一つで申告書作成からe-Taxへのデータ送信まで完結できます。
e-TAXでフリーランスができること
フリーランスの方がオンラインで行える手続きは多岐にわたります。
電子申告システムを活用すれば、以下のような申請や届出が可能となっています。
- 確定申告
- 住民税申告
- 開業届
- 変更届
確定申告の重要性
フリーランスの方は、収入に応じて所得税の支払いが必要となります。この場合、以下の手続きが義務付けられています。
- 1年間の収入と経費を申告し、実際に納める税額を確定する手続き
この確定申告は、前年の1月1日から12月31日までの期間における収入と経費を対象とします。
一部の例外を除き、確定申告はオンラインで行うことができ、幅広い目的に対応可能です。
フリーランス開業・廃業手続きにe-Tax対応
フリーランスの方々の事業開始や終了に関する手続きにも、e-Taxはサポートを提供しています。
ただし、この機能はe-Taxソフトウェアのみが対象で、確定申告書作成コーナーは含まれません。
青色申告の手続き
所得税の申告には、青色申告と白色申告の2つの選択肢があります。
白色申告は特別な手続きを行わなくても自動的に適用されますが、青色申告を選択すると一定の条件を満たすことで様々な優遇措置を受けられます。
- 青色申告を行うには、納税者が「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
一方、
- 青色申告を中止する場合は「所得税の青色申告取りやめの届出書」
- 家族を専従者として申告する場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が求められます。
これらの手続きは、オンラインサービスe-Taxで行うことができます。
e-Taxで行えるフリーランス関連手続き
フリーランスに関連する多くの手続きをe-Taxで行うことが可能です。
主な利用手続きとして、
- 消費税および地方消費税の申告
- 所得税の減価償却資産の届出
- 所得税および復興特別所得税の更正請求
- 納税の猶予申請
- 納税証明書の交付請求
- 国税関係帳簿の電子データ保存申請
などがあげられます。
また、確定申告作成コーナーからも、
物品税・地方消費税の確定申告 |
所得税の更正請求 |
を行えます。
e-TAXによる確定申告の事前準備
e-Taxソフトの推奨環境
e-Taxソフトやウェブ版e-Taxソフトを利用する際には、ハードウェア、オペレーティングシステム(OS)、ウェブブラウザなどの環境が重要です。
推奨されている環境は以下の通りです。
- Windows OSの場合、Windows 10またはWindows 11が推奨されます。
- ブラウザはMicrosoft Edge(Chromiumベース)またはGoogle Chromeが適しています。
- PDFファイルの閲覧にはAdobe Acrobat Reader DCが推奨されています。
- Macintoshユーザーの場合、ウェブ版e-Taxソフトの利用が推奨されます。
- 対応OSはmac OS 10.15(Catalina)、11.0(Big Sur)、12.0(Monterey)、13.0(Ventura)です。
- ブラウザはSafari 15.6、16.0、16.1が適しています。
- PDFファイルの閲覧にはAdobe Acrobat Reader DCが推奨されています。
スマートフォンやタブレットでの利用も可能です。
Androidの場合 | 10.0から13.0までのバージョンで、Google Chromeが推奨されます。 |
iOSまたはiPadOSの場合 | iOS 14.8、15.7、16.0に対応しており、iOS SafariまたはiPadOS Safariが推奨されています。 |
e-Taxで必要な電子証明書の準備
e-Taxを活用するには、データの作成者を特定し、送信情報が改変されていないことを証明する「電子証明書」が必要です。電子証明書としては、主にマイナンバーカードが利用されています。
すでにマイナンバーカードをお持ちの方は準備不要ですが、新規取得の場合は時間を要するため、早めの手続きをおすすめします。
マイナンバーカード以外にも、e-Taxで利用可能な電子証明書がありますので、
- 発行元
- 取得方法
- 費用
などの詳細は事前に確認しましょう。
e-Taxの利用者識別番号取得方法
電子申告システムe-Taxを活用するには、個人ごとに16桁の固有番号が必要となります。この番号の入手方法には、以下の2つの選択肢があります。
- オンラインによる申請
- 書面による申請
書面による申請の場合、以下の手順が必要です。
- 国税当局のウェブサイトから所定の用紙をダウンロードする
- 必要事項を記入する
- 所轄の税務署に郵送または直接持参する
一方、オンライン申請では、以下の手順が必要です。
- e-Taxの専用ページにアクセスする
- 求められる情報を入力する
- 入力した情報を送信する
マイナンバーカードの読み取り方法
国税電子申告システムe-Taxを利用する際には、マイナンバーカードが必須となります。
このカードを読み取るためのICカードリーダーは、以下の方法で用意できます。
- 家電量販店などで購入可能
- 対応したスマートフォンを使えば別途購入する必要はありません
お手持ちのスマートフォンがマイナンバーカードの読取機能に対応しているかどうかを確認してください。
e-Taxで確定申告をするメリット
確定申告をオンラインで行うことで、様々な利点を享受できます。
- e-Taxを利用すれば、手続きがスムーズに進み、時間と手間を節約できるでしょう。
- 紙の書類を準備する必要がなく、入力データを保存できるため、翌年以降の申告作業も楽になります。
- さらに、計算ミスのリスクを最小限に抑えられます。
便利で効率的な確定申告を実現するには、e-Taxが最適な選択肢と言えるでしょう。
確定申告の電子化
確定申告は自宅から行えるメリットがあります。e-Taxを利用すれば、
- 税務署や郵便局に赴く必要がなくなり、
- 外出する手間が省けます。
確定申告の訂正方法
税務申告後に誤りが発覚した場合でも、期限内であれば新たな申告書を提出することで修正が可能です。これは、新しい申告書が以前のデータを上書きするためです。
従って、別途訂正の手続きを行う必要はありません。
確定申告の還付金入金までの期間
納税者が還付申告を行う際、手続きの方法によって還付金の入金時期が異なります。
- 税務署での手続きや郵送での提出では、申告から概ね4週間から6週間程度を要します。
- 一方、e-Taxを利用した電子申告の場合は、通常3週間前後で還付金が振り込まれる傾向にあります。
e-Taxで省略できる書類
e-Taxを利用すると、従来は提出が求められていた各種証明書類の添付が不要になる場合があります。
主な例としては、
- 雑損控除の証明
- 医療費の通知
- セルフメディケーション税制の取り組み証明
- 社会保険料の控除証明
- 生命保険料の控除証明
- 寄附金の控除証明
などが挙げられます。
e-Taxソフトの活用
確定申告の際、専用ソフトウェアで作成したデータをe-Taxシステムに取り込むことが可能です。
対応するソフトウェアを利用すれば、e-Tax用のデータを一から入力する手間が省けます。
e-Taxのデメリット
e-Taxの活用には、事前の環境整備が欠かせません。
- コンピューターやインターネット接続
- 利用者IDナンバー
- マイナンバーカード
などが必須となり、これらが揃わないと利用は困難です。
環境が整えば、次年度以降の申告は手軽に行えますが、場合によっては準備に労力を要する可能性があります。
確定申告をする方法(スマートフォンからe-Taxを使う)
近年、スマートフォンやタブレットを活用した電子申告が可能になりました。
2023年度の申告からは、事業所得や不動産所得についても、一定の条件を満たせば携帯端末での申告が認められています。
この利用には、
- マイナンバーカードを用いてマイナポータルアプリに登録する必要があります。
マイナポータルとe-Taxを連携させることで、必要な書類データを一括取得し、確定申告書への自動入力が可能となります。
2023年からは医療費や年金保険料の控除証明書もマイナポータルから取得可能で、自動入力の範囲が拡大しています。
マイナポータルは公衆無線LANでも利用できるため、場所を選ばずに申告作業ができます。
パソコンからe-Taxを使って確定申告する方法
確定申告ソフトの利点
納税者は、専用のソフトウェアを活用することで、必要な書類を作成し、電子申告を完了させることができます。確かに、国税当局が提供するウェブサイトを利用して申告書を作成することも可能ですが、会計記録を効率的に管理できるのがソフトウェアの大きな利点となります。
確定申告ソフトとe-Taxの使い分け
税務申告の際、会計ソフトから出力されたデータを活用することができます。
ただし、会計ソフトが申告書作成機能を備えている場合、専用の申告ソフトで編集する必要性は低くなります。
会計ソフトの機能を最大限に活用することで、重複作業を避け、効率的な申告作業が可能となります。
e-Taxソフトとe-Taxの利用方法
e-Taxソフトで作成したデータを活用して、e-Taxによる申告手続きを完了させることも可能です。
ただし、
- 操作がやや複雑になる上
- パソコンの環境によっては正常に機能しない場合があります
Mac OSをご利用の場合は、
e-Taxソフト(WEB版)のみご利用いただけ |
ソフトのダウンロードによる利用はできません |
確定申告書作成ツール
国税当局のウェブサイトには、申告書類の作成を支援するセクションが用意されています。
そこで必要事項を入力すれば、確定申告書や決算書の作成が可能です。
ただし、申告内容によっては対応できない場合もあるため、注意が必要です。
e-Taxを利用すれば、作成したデータを使って電子申告を行うことができます。
確定申告に必要な書類
確定申告に際し求められる書類の内容と準備方法を解説します。必要書類は個人の立場や状況によって異なるため、自身に合わせた適切な書類を揃える必要があります。
- 個人事業主や会社員など、それぞれの状況に応じて適切な書類を用意することが重要です。
確定申告における本人確認
納税者本人であることを証明するための書類が求められます。
- マイナンバーカード
- 通知カード
- 住民票の写し
- 運転免許証
のいずれかが利用可能です。
番号の正確性と申告者が正当な所持者であることを確認する必要があります。
マイナンバーカードの場合は表裏のコピーを添付します。
他の書類を使う際は、
番号 | 本人確認ができる書類 |
の両方を提出する必要があります。
確定申告の還付金受取方法
税金の還付を受けるためには、納税額と確定した所得税額の差額が重要となります。
- 納税額が所得税額を上回っている場合、その超過分が還付されます。
- 一方、所得税額が予定納税額を下回れば、その不足分が払い戻されます。
還付方法には、以下の2つがあります。
- 金融機関口座への振込
- 最寄りの郵便局での受取り
口座振込は手間がかからず便利です。この場合、確定申告書の該当欄に金融機関名、口座種別、口座番号を記載する必要があります。通帳コピーの提出は不要で、口座情報がわかる資料を準備しましょう。
確定申告の準備
年間の収入状況を税務署に報告するのが確定申告です。そのため、収入の根拠となる金額などを記載する必要があります。
- 会社員の方は、給与収入額が記載された源泉徴収票を準備しましょう。
- 自営業者の方は、事業収入の内訳がわかる資料を用意する必要があります。
確定申告における控除の種類
申告所得の減額や納税額の控除を適切に行うことが、確定申告における重要な手続きとなります。
個人の事情に応じて、様々な控除制度が設けられています。
- 所得金額から差し引く所得控除と、最終的な税額から控除する税額控除の2種類があり、
- 前者には医療費や寄附金、生命保険料などが、
- 後者には住宅ローンや配当などが該当します。
基礎控除は全納税者に一律適用されますが、その他の控除を受けるには、要件を満たすことを証明する書類の提出が求められます。
確定申告後の処理
電子申告を行えば、デバイスから申告状況や還付金の進捗を確認できます。
納税が必要な場合も、メッセージボックスから手続きにアクセスできるため、デバイスのみで申告と納税が完結します。
まとめ
e-Taxの利用には一定の準備が必要ですが、一旦慣れれば確定申告を簡単に行えるようになります。
- 添付書類の省略や外部データの取り込みが可能なため、毎年の申告作業が効率化されます。
近年ではスマートフォンやタブレットからも利用できるようになっていますが、一部条件があります。
国税庁の専用サイトで申告書の作成方法を選択し、作成することができます。
確定申告の手間を省くためにも、e-Taxの活用をおすすめします。