ネットワーク分野における専門家は、ITインダストリーにおいてネットワークに関する高度な知見を活用し、ネットワーク固有の技術からサービストレンドまで幅広い業務を担っています。
この職種を名乗るには、独立行政法人情報処理推進機構が主催する情報処理技術者試験に合格する必要があります。
- IT関連の専門知識を習得することが求められ、長期的な学習期間の確保に加え、プログラミング要素を含む広範なIT知識の習得が不可欠です。
本稿では、ネットワークスペシャリスト試験の学習者を対象に、
- この試験の詳細
- 資格取得のメリット・デメリット
- おすすめの参考書や過去問集
について総合的に解説します。
ネットワークスペシャリスト試験に関する包括的な情報がまとめられていますので、ぜひご覧ください。
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ネットワークスペシャリスト試験とは
ここでは、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験「情報処理技術者試験」の一区分であるネットワークスペシャリスト試験について解説します。
この試験は、ネットワークに関する高度な専門知識と技術を有し、情報システムの企画から運用・保守までを主導できる人材を認定するものです。
合格者は、共通キャリア・スキルフレームワークのレベル4に位置づけられ、公的にネットワーク技術者としての実力が証明されます。
近年のIT社会においてネットワークは不可欠な基盤であり、この分野の専門家は幅広い業界で求められています。
試験の出題範囲も、
- サイバー攻撃への対策など、セキュリティ関連の知見が重視される傾向
にあります。
ネットワークスペシャリストを目指す人はもちろん、IT業界全般で活躍したい人にとっても、この資格は大きな武器となるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験の詳細
ネットワークスペシャリスト試験の各項目の詳細な内容を説明します。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している試験の概要に基づいて解説を行います。
各項目に関する更なる情報が必要な場合は、適切な情報源を参照してください。
ネットワークスペシャリスト試験概要
ネットワークスペシャリスト試験は、国内の主要都市62か所で実施されます。
受験者は、自身の都合に合わせて試験地を選択し、予約する必要があります。
試験会場の一覧は公式サイトで確認できます。
この資格試験は年に1回のみ実施され、2022年度は4月17日(日)に予定されています。
受験料は7,500円(税込)で、原則として払い戻しはできません。
ただし、主催者側の判断により試験が中止となった場合は、受験料の返金手続きが行われる可能性があります。
ネットワークスペシャリスト試験の時間割
ネットワークスペシャリスト試験は、試験項目ごとに時間配分が異なります。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開した資料によると、
- 午前Ⅰは50分
- 午前Ⅱは40分
- 午後Ⅰは90分
- 午後Ⅱは120分
と設定されています。
出題形式や問題数も区分によって変わるため、事前に把握しておくことが重要です。
各区分の詳細は、
午前Ⅰ | 四肢択一形式で30問 |
午前Ⅱ | 四肢択一形式で25問 |
午後Ⅰ | 記述式で2問 |
午後Ⅱ | 記述式で1問 |
出題されます。
ネットワークスペシャリスト試験の出題範囲
ネットワークスペシャリスト試験は、午前と午後の2部構成となっており、それぞれの出題範囲が異なります。
午前試験では、ITに関する基礎知識が問われます。
具体的には、
- テクノロジー
- マネジメント
- 戦略
に関する問題が出題されます。
テクノロジー分野では、
- 数学や情報理論
- データ構造
- プログラミング
- アルゴリズム
- コンピューター構成要素
- システム構成要素
- ソフトウェア
- ハードウェア
- インターフェイス
- データベース
- セキュリティ
などが対象となります。
マネジメント分野では、
- プロジェクト管理
- サービス管理
- システム監査
が出題されます。
戦略分野では、
- システム戦略
- システム企画
- 経営戦略
- 技術戦略
- ビジネス
- 企業活動
- 法務
などが問われます。
午後試験では、ネットワークに関する専門的な知識が必要とされます。
- コンピューター構成要素
- システム構成要素
- ネットワーク
- セキュリティ
- システム開発技術
- ソフトウェア開発管理技術
が出題範囲となります。
特にネットワークとセキュリティについては、より高度な問題が出題される傾向にあります。
さらに、午後試験では、
- ネットワークシステムの企画
- 要件定義
- 設計
- 構築
- 運用
- 保守
- ネットワーク技術
- ネットワークサービス活用
- ネットワークアプリケーション技術
- ネットワーク関連法規や標準
に関する深い知識が問われます。
ネットワークスペシャリスト試験の現状と課題
ネットワークスペシャリスト試験の受験者数は減少傾向にあり、その背景には人口減少やクラウド技術の普及による需要の変化が考えられます。
情報処理技術者機構(IPA)の統計によると、令和3年度春期の合格率は12.8%と、試験の難易度は高い水準が維持されています。
受験者数の減少は続くと予想されますが、合格を目指す場合は十分な準備が必要不可欠です。
過去5年間の受験者数、合格者数、合格率の推移は以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成28年秋期 | 11,946名 | 1,840名 | 15.4% |
平成29年秋期 | 12,780名 | 1,736名 | 13.6% |
平成30年秋期 | 12,322名 | 1,893名 | 15.4% |
令和元年秋期 | 11,882名 | 1,707名 | 14.4% |
令和3年春期 | 8,420名 | 1,077名 | 12.8% |
受験申込の手順
資格試験の申込プロセスは次の通りです。
- まず公式サイトから案内資料を確認し、そこに記載された手順に従って本人が必要情報を入力します。
- その後、受験票が送付されてきますので、指定された日時に試験会場へ赴きます。
申込手続きは所定の方法から逸れると、受理されない可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。
データベーススペシャリスト試験の受験資格と資格の永続性
データベース専門家の試験では、受験する際の条件や資格の有効期限は設けられていません。誰でも自由に受験が可能で、一度取得した資格は永久に有効です。
つまり、この資格は無期限で保持できるということになります。
ネットワークスペシャリスト試験合格への道のり
ネットワークスペシャリスト試験は合格率が低く、難関試験として知られています。この資格を取得するためには、相当な学習時間が必要不可欠です。
未経験者の場合、最低でも半年から1年間の準備期間が望ましいでしょう。
この試験は、共通キャリア・スキルフレームワークのレベル4に位置づけられており、
- レベル1から3までの知識が前提とされています。
したがって、
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- セキュリティマネジメント試験
- 応用情報技術者試験
などの下位レベルの資格を事前に取得しておくことが賢明です。
特に応用情報技術者試験は決して簡単ではありません。初心者は、ネットワークスペシャリスト試験の勉強に加えて、これらの資格取得にも時間を割く必要があります。
一方、実務経験者は過去問を解いてみて、自身の実力を確認し、適切な学習期間を設定するのが賢明でしょう。
ネットワークスペシャリスト試験の資格取得のメリット
ネットワーク分野の専門知識を身につけることができるだけでなく、以下のメリットがあります。
- 就職活動や転職の際に役立つ
- フリーランスとしての実力アピールに役立つ
資格 | メリット |
---|---|
ネットワークスペシャリスト試験 | 上記のメリットがあります |
ネットワーク資格の価値
ネットワーク分野における専門性の向上は、ネットワークスペシャリスト試験の資格取得による最大の利点と言えるでしょう。
この資格取得に向けた学習プロセスを通じて、
- ネットワークに関する知見
- セキュリティ
- 開発
- 法令
- マネジメント
など、幅広い分野の体系的な知識を習得することができます。
こうした多岐にわたる知識は、
- ネットワークエンジニア
- インフラエンジニア
を始めとするIT技術者の業務に活かすことができ、キャリアアップの機会にもつながります。
ネットワークスペシャリスト試験の価値
ネットワーク分野の専門知識を公的に証明できるネットワークスペシャリスト試験のレベル4は、IT企業への就職や転職の際に大きな強みとなります。
企業側が懸念する人材とのミスマッチリスクを払拭し、実践的なスキルを備えた人材として安心して雇用してもらえます。
ネットワークの知識は幅広い領域で活用できるため、担当業務の幅も広がる可能性があります。
キャリアアップに役立つ専門知識を身に付けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ネットワークスペシャリスト資格の収入アップメリット
ネットワークスペシャリスト試験の資格を持つと、勤務先企業から様々な待遇を受けられる可能性があります。
- 多くの会社が資格取得に対する一時金や手当を支給しており、収入アップや評価向上につながるメリットがあります。
- 具体的な金銭的処遇は企業によって異なりますが、基本給に上乗せされるケースが多数見られます。
- 中には昇給や昇格の条件としている企業もあり、ネットワークスペシャリスト試験は単なる知識習得以上の価値があると言えます。
ネットワークスペシャリスト試験の受験メリット
ネットワークスペシャリスト試験に合格すると、2年間の有効期間内に申請を行えば、情報処理技術者試験の高度試験や情報処理安全確保支援士試験の共通科目が免除されます。
そのため、
- 専門科目のみに集中して学習できるメリットがあります。
他の情報処理技術者試験の上位レベルの資格を目指す際も、
- 共通科目の対策が不要になるため、本番で重要な専門分野に注力することができます。
ネットワークスペシャリスト試験の資格取得のデメリット
ネットワーク分野の専門資格を取得することには、一定の課題があります。
高度な知識が求められるため、相当な学習時間を要するのが現実です。
具体的な側面を確認しましょう。
- 資格取得のための学習には長い時間がかかります
- ネットワークの理論や技術に関する深い理解が必要です
- 実践的なスキルを身につける必要があります
資格取得のための勉強時間の確保
資格取得には長期的な学習が欠かせません。
特にレベル4の資格は高度な専門知識を要するため、相当の時間を費やす必要があります。
そのため、ネットワーク技術が本当に必要かどうかを事前に確認することが賢明です。
資格取得に多大な時間を費やすことになるため、
- より優先度の高い資格や業務がないか吟味した上で
- 勉強を開始するのが賢明でしょう
ネットワークスペシャリスト試験合格のためのおすすめ参考書や対策法
ネットワークスペシャリスト試験に合格するためには、適切な参考書を活用し、確実な対策を立てることが重要です。
多数の参考書が出版されている中で、特に以下の書籍は書店などで一読する価値があります。
- 参考書の選定と効果的な学習方法を組み合わせることで、試験合格への道筋が見えてくるでしょう。
情報処理技術者試験対策の決定版
本書では、幅広い知識を要求される午前試験の出題範囲を包括的に網羅し、技術的な仕組みなどは豊富な図解で解説しています。
午後試験については、問題文の分析と重点事項の把握方法を徹底して解説しており、過去の重要テーマからの出題を題材に長文問題対策力を身につけることができます。
さらに、2年分の午前I(高度共通試験)・午前IIの過去問題を収録した過去問演習Webアプリを利用できます。
自動採点と分析機能で弱点分野を効率良く対策でき、スマホやPCから随時過去問に取り組めるので最終直前対策にも適しています。
合格に必要なすべてが凝縮された実践的な資格試験対策書
この書籍は、例題を豊富に取り入れた丁寧な解説で、着実な実力向上を図ることができます。
過去問解説は10回分が用意されており、重要事項のチェックリストも直前対策に役立ちます。
電子版やウェブアプリなどの特典も含まれ、合格に必要な内容が凝縮されています。
ネットワーク管理やクラウドなど、近年の出題傾向にも対応した解説が充実しているため、これら分野の知識を補完する資料としても活用できます。
ネットワークスペシャリスト試験対策
ネットワークスペシャリスト試験に合格するには、参考書だけでなく過去問を活用することが重要です。
- 公的機関である情報処理推進機構が公開する過去問には、解説や講評が付されています。
- 「ネットワークスペシャリストドットコム」では、試験回や出題範囲を指定して問題に取り組めるほか、間違えた問題のみを出題して確実な復習ができます。
過去問を効果的に活用することが、合格への確実な道筋となります。
ネットワークスペシャリスト試験とCCNP、どっちが良い?(2024年6月)
ネットワーク分野の資格試験には、
- ネットワークスペシャリスト試験
- CCNP
があります。
どちらを選択するかは、個人の事情や目的によって異なります。
- CCNPはCiscoが主催する試験で、レイヤー2・レイヤー3の深い知識が求められ、難易度が高めです。
- 一方、ネットワークスペシャリスト試験は幅広い分野をカバーしますが、受験機会が年1回と限られています。
両者とも有益な知識が身につくため、自身の状況に合わせて選択することをおすすめします。
まとめ
この記事では、ネットワークスペシャリスト試験の概要、資格取得のメリットとデメリット、推奨される参考書や過去問集について詳しく説明しました。
ネットワークスペシャリスト試験の勉強を予定している方は、この情報を活用して合格を目指してみてはいかがでしょうか。
勉強に役立てば幸いです。