フリーランスと会社員の損得を解説！

2024年6月19日

フリーランスは自由で充実した働き方と考えられがちですが、実際には会社員との比較で損失が生じる場合もあります。
フリーランスになることで得られるメリットと同時に、デメリットも存在します。
会社員との違いを理解し、フリーランス転身時の損得を事前に把握しておくことが重要です。

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1 フリーランスって損なの？得なの？
2 フリーランス市場の現状
3 フリーランス市場の今後の変化とは？
4 フリーランスと会社員、どっちが損で得だと思いますか？
5 まとめ

フリーランスって損なの？得なの？

自営業者と従業員には、収入源、労働形態、福利厚生、税制面などで大きな相違点があります。これらの違いを事前に理解しないまま自営業を選択すると、期待と現実のギャップに直面する可能性があります。

ここでは、4つの観点から両者の長所と短所を比較し、メリットとデメリットを確認していきましょう。

収入源

労働形態

福利厚生

税制面

フリーランスの収入面における得失

フリーランスは固定給与がなく、定期的な収入も保証されていません。
この不安定さは、従業員と比べると収入面での欠点となります。
フリーランスは必ずしも良条件の仕事に恵まれるわけではなく、時には報酬の低い案件を引き受けざるを得ません。
また、案件が中途で打ち切られることもあり、予定していた収入を下回る可能性があります。
有給休暇がないため、収入を維持しながら休暇を取ることができません。
病気やケガ、冠婚葬祭など、予期せぬ事態で休まざるを得ない場合、収入が減少してしまいます。
フリーランス協会の調査では、64.2%のフリーランスが収入の不安定さを課題と捉えており、2019年調査から9%増加しています。
契約内容次第では、会社員時代より収入が減る可能性もあります。

一方で、フリーランスの収入は実績次第です。

案件を増やしスキルを磨けば、会社員時代を上回る収入を望めます。

会社員は実績が収入に反映されるまで時間がかかりますが、フリーランスは努力が直接的に収入につながる利点があります。

フリーランスの得失

フリーランスは独立して業務を行うため、案件の発掘から単価交渉、請求書の作成まで自身で対応する必要があります。会社員とは異なり、上司からの指示や方針がないため、仕事を進めるプロセスが多岐にわたります。
そのため、業務開始までの準備工程が会社員より手間がかかる面があります。
また、フリーランスは突然の案件が入ることも多く、休日を取りづらい状況にあります。過剰な労働を強いられ、健康を損なうリスクも存在します。
さらに、業務中の怪我や病気に対する労災補償がないため、自費での治療費や休業補償がない点でデメリットがあります。
一方で、フリーランスの働き方には自由度が高いメリットがあります。

無理な残業は避けられ、自分に合わない業務は断ることができます。
働く場所や時間を自身で決められるため、ストレス軽減や生産性向上につながる働き方が可能です。

このような柔軟性は、会社員にはない大きな利点といえます。

フリーランスの福利厚生面での損失と対策

フリーランスは従業員と比べると福利厚生面で不利な立場にあります。

国民年金や国民健康保険など、社会保障制度の費用を全額自己負担しなければならず、雇用保険や労災保険といった社会保険からも除外されています。
また、企業が従業員に提供する法定外福利も受けられません。
スキルアップ支援、リフレッシュ休暇、各種手当金、育児・介護休業給付などの恩恵を享受できないのです。

一方、最近は従業員向けの選択型福利厚生制度も普及しつつあり、会社員の方が有利になっています。
フリーランスはこうした不利を補うため、自主的に健康保険などに加入したり、専用の補償プランを活用したりする必要があります。
万一の事態に備え、関連する保険や補償サービスをあらかじめチェックしておくことが賢明でしょう。

フリーランスの税金事情

フリーランスとして働く際には、所得税、消費税(売上が一定額以上の場合)、住民税、国民健康保険料、個人事業税(収入が一定額以上の場合)などの納税義務が発生します。
会社員の場合は雇用主が源泉徴収を行いますが、フリーランスは自身で確定申告を行い、適切な納税を行う必要があります。
このため、税制に関する知識を身につけ、収支管理を自身で行うなど、会社員時代とは異なる手間がかかります。

確定申告に不慣れな間は、作業が負担となりがちです。
また、ミスがあれば追徴課税のリスクもあります。
自身で納税の責任を負うことは、フリーランスにとってデメリットと言えるでしょう。
一方で、経費の計上により節税が可能となるメリットもあります。

自宅を事務所とすれば、家賃や光熱費の一部を経費にできます。
さらに、青色申告を選択すれば最高65万円の特別控除や3年間の赤字繰越しが認められます。
また、小規模企業共済の掛金やふるさと納税の寄附金も所得控除の対象となり、節税につながります。

このように、フリーランスには納税に関する手間がかかる反面、様々な節税の機会があります。
真剣に節税対策を検討することができるのは、フリーランスならではの利点と言えるでしょう。

フリーランス市場の現状

フリーランス市場の動向を把握することは、その分野で活動する際の損益を検討する上で重要な要素となります。
近年、フリーランスの人口は年々増加傾向にあり、多くの人々の関心を集めています。
2021年度の実態調査によると、日本におけるフリーランス従事者数は1,670万人に上り、労働人口の24%に相当します。
2018年と比較すると約500万人の増加が確認されており、市場の拡大が示唆されています。
一方、アメリカでは2019年時点で5,700万人がフリーランスとして働いており、5年前から400万人増加しています。
全人口の約35%がフリーランスに従事していることになります。
このように、日本のフリーランス市場にはさらなる発展の余地があると考えられます。
経済規模の推移を見ると、日本のフリーランス市場は2018年と2019年に20兆円を超えていましたが、2020年は減少しました。
しかし、働き方によっては増加も見られるため、コロナ禍がどのような影響を及ぼすのか注目されています。
このようなデータから、フリーランス市場は拡大傾向にあると推測できます。
つまり、フリーランス従事者に対する需要も高まっていると言えるでしょう。
実際、1年以内にフリーランスを開始した人数は増加しており、2020年には前年比8%増の312万人に上りました。
会社員ではなくフリーランスを選択することは、もはや珍しいケースではなくなっています。

フリーランス市場の今後の変化とは？

フリーランスの世界は、様々な要因により今後変化を遂げると見込まれています。
以下の観点から、フリーランス市場がどのように進化していくかを検討しましょう。

テクノロジーの進化
労働人口の変化
企業のニーズの変化
法制度の変更

要因	影響
テクノロジーの進化	リモートワークの増加、新しいスキルの需要
労働人口の変化	高齢化、ミレニアル世代の台頭
企業のニーズの変化	柔軟な人材活用、コスト削減
法制度の変更	フリーランス規制の緩和または強化

フリーランス市場の拡大とITインフラの底上げ

社会全体のIT基盤の進化は、フリーランス市場の更なる拡大につながる可能性があります。
職場におけるIT環境が当たり前になれば、業務に役立つツールやサービスの導入が加速するでしょう。

連絡ツール
支払いサービス
クラウド上での電子契約など

企業と外部の人材とのやり取りが容易になります。
つまり、IT基盤の進化によってフリーランスなどへの業務委託が増加すると考えられます。

2004年の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」提唱
2006年頃の第三次AI(人工知能)ブーム

を背景に、ITインフラは整備が進みました。
その結果、フリーランスは自宅やコワーキングスペースでも仕事ができるようになりました。
今後は企業側も、ITインフラを活用してフリーランスとのコミュニケーションを円滑化すると予想されます。
それにより、フリーランスと企業の協業機会が増え、フリーランスの働き方に恩恵をもたらすことになるでしょう。

企業とフリーランスの新しい関係

企業における雇用形態は大きな変化を遂げつつあります。

正規雇用者の比率が低下し、非正規雇用や副業の許可など、従来の雇用概念から脱却する動きが加速しています。

経済産業省の調査によれば、半数以上の企業がフリーランスの活用を検討または実施しており、特に情報通信業ではその割合が6割を超えています。
このような傾向から、フリーランスは今後、企業を支える重要な人材として浸透していくことが予想されます。
それに伴い、

フリーランス市場の拡大
報酬水準の上昇
雇用の安定化

などのメリットが期待できるでしょう。

フリーランス市場の拡大と多様な働き方の浸透

労働者の意識の変化に伴い、フリーランスという働き方が広がりつつあります。内閣官房の調査では、フリーランスを選んだ理由として

「自分のスタイルで働きたい」が最多で
「時間や場所の自由」が次に多く

なっています。つまり、柔軟な環境を求める労働者が増えているのです。

一方で、企業側も

ITインフラの整備
新しい働き方への対応

が進んでいます。労働者の意向を尊重しつつ、効率的な管理が可能になりつつあるため、多様な働き方が定着しやすくなっています。

このように、企業と労働者の双方のニーズが合致してきたことから、フリーランス市場の拡大が見込まれます。

フリーランスと会社員、どっちが損で得だと思いますか？

フリーランスと従業員の労働形態には、それぞれ長所と短所があります。フリーランサーを見ると、自由な働き方から恩恵を受けているように見えるかもしれません。
しかし、生活の不安定さや福利厚生の欠如など、多くの欠点も経験することがあります。
そのため、従業員からフリーランサーに転職する際は、事前にメリットとデメリットについて知識を持つことが重要です。