アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の難易度や出題範囲、おすすめ参考書を解説

ソフトウェア開発の手法として知られるアジャイル手法には、関連する資格制度が設けられています。
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験は、この分野の知識とスキルを評価する試験です。
出題範囲や難易度など、具体的な内容について知りたい人も多いでしょう。
IT業界には様々な資格があり、目的に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
本記事では、

  • アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の概要
  • 試験内容
  • 難易度

などを解説し、資格取得のメリット・デメリットについても考察しています。
資格取得を検討する際の参考情報としてご覧ください。

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アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験とは

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験とは

アジャイル開発の理解を深め、開発能力を客観的に評価することを目的とした試験がアジャイルソフトウェア開発技術者検定試験です。
NTTデータ、オージス総研、戦略スタッフ・サービス、テクノロジックアート、トランスコスモス・テクノロジーズ、日本IBM、日立製作所の7社が共同で準備委員会を設立しています。

アジャイルとは俊敏さを意味する英語で、アジャイル開発は小さな単位で実装とテストを繰り返すソフトウェア開発手法のことです。

  • この手法を活用することで開発期間の短縮や顧客への早期提供が可能になり、また修正の影響範囲を最小限に抑えられるメリットがあります。

この検定試験に合格すれば、アジャイル開発に関する知識とスキルを有していることが証明されます。

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験試験概要

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験試験概要

アジャイル開発の資格試験について理解を深めたら、次は取得に向けた具体的な準備プロセスを把握したくなるでしょう。
本稿では、この試験の出題範囲や難易度、申請方法など、一連の流れを詳しく説明します。
別の案内サイトへの誘導は控えさせていただきます。

アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の概要

アジャイルソフトウェア開発の技術力を評価する試験は、レベル1とレベル2に分けられています。
レベル1では、アジャイル開発の基礎知識と実践的な内容が問われます。
一方、レベル2は、プロジェクト運用に必要な知識とスキルがより深く問われる実践的な内容となっています。

両試験の概要は以下の通りです。

  • レベル1とレベル2の共通点:
    • 全国の試験会場で実施
    • 試験時間は60分
    • 多肢選択式(四肢択一)の出題形式

レベル1 レベル2
問題数は60問 問題数は40問
合格基準は80%以上 合格基準は65%以上
受験料は11,000円(税込) 受験料は16,500円(税込)
受験資格は不問 レベル1合格者のみ受験可能

試験結果は、試験終了後に試験会場でスコアレポートが渡され、後日合格者に合格証明書が発行されます。

アジャイル開発技術者検定試験の出題範囲

アジャイル開発の基礎理解と実践経験に基づく問題がアジャイルソフトウェア開発技術者検定Lv.1試験の出題対象となります。
例えば、アジャイル開発の根本理念である「アジャイル・マニフェスト」や「アジャイル原則」などの基本事項が含まれます。

一方、Lv.2試験では、アジャイルプロジェクトを運用する上で必須の知見とスキルが問われます。
オブジェクト指向設計を中心としたモデリングや、開発チームのコミュニケーションとルール運用などがその例です。

このように、両試験の出題範囲は異なり、また出題数にも違いがあるため、難易度が変わってきます。
ここでは、Lv.1試験とLv.2試験それぞれの具体的な出題範囲をまとめました。

Lv.1試験の出題範囲 Lv.2試験の出題範囲
  • アジャイル開発の基礎理解
  • 実践経験に基づく問題
  • アジャイル・マニフェスト
  • アジャイル原則
  • アジャイルプロジェクトの運用
  • 必須の知見とスキル
  • オブジェクト指向設計を中心としたモデリング
  • 開発チームのコミュニケーションとルール運用

アジャイル開発技術者検定Lv.1の出題範囲

アジャイル開発の基礎的な理解と実践的な知見が問われるLv.1試験の出題範囲は以下の通りです。

  • アジャイル開発の基本概念、アジャイル・マニフェスト、アジャイル原則に関する知識
  • 開発チームの運営方法、コミュニケーション手法、自律性と協調性のあり方、ルールと振り返りのプロセス
  • アジャイルプロジェクト管理における会議体、役割分担、反復的なアプローチ、ドキュメンテーションの扱い方
  • チーム編成、計画立案、見積り、ビジョン設定、品質管理の実務
  • ペアプログラミング、リファクタリング、継続的インテグレーション、テスト駆動開発などのアジャイル開発技法

アジャイル開発技術者検定Lv.2の出題範囲

以下は、アジャイル開発の実践的な知識と技術について説明しています。

アジャイル開発チームのメンバーとして必要な実務的な内容が問われます。

  • モデリングやオブジェクト指向設計の概念
  • コーディングルール
  • ペアプログラミング
  • テストコード作成
  • 静的解析ツールの活用
  • ドキュメンテーション作成

また、

  • チーム開発のための構成管理
  • ブランチ戦略
  • コンテナ技術の知識

も求められます。

テスト駆動開発(TDD)の実践、単体テスト、結合テスト、システムテストなどの品質管理のためのテスト手法も重要です。継続的インテグレーション(CI)の目的と自動化の効果、導入方法についても理解が必要とされます。

さらに、

  • デザインパターンの利用メリット
  • オブジェクト指向開発の考え方
  • リファクタリングの手法
  • UMLモデリング
  • システムアーキテクチャ設計の知識

も問われる範囲となります。

加えて、

  • スプリント計画
  • 自己組織化されたチームの行動規範
  • レトロスペクティブ(振り返り)の実施

など、チームのスキルとプロセスに関する理解も求められています。

アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の難易度

アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験は、CBT方式で四肢択一問題を採用し、平均正解率が70%程度に設定されています。

  • Lv.1は80%以上、Lv.2は65%以上の正解率が合格基準となっています
  • 正確な受験者数や合格率、難易度については非公開です

2018年7月のLv.1試験では約1,000名が受験したとの報道があります。
国内では同種の試験がなく、海外のスクラム関連資格の合格率から難易度を推測すると、

CSM 正答率75%程度
LSM 正答率75%程度
PSM 正答率85%以上

と言われており、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の難易度もこれらと同等レベルと考えられます。

アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の申し込み手順

アジャイルソフトウェア開発の資格試験を受けるには、ウェブサイトから申し込む必要があります。
手順は以下の通りです。

  • 公式サイトにアクセスし、オンライン予約フォームから申し込みを行います。初めて受験する場合は、IDの取得が必要です。
  • 取得したIDでログインし、新規予約ページから手続きを進めます。
  • 個人情報の入力、試験会場と日時の選択、支払い方法の選択など、必要事項を確認・入力していきます。
  • 予約が完了したら、本人確認書類を持って指定された日時に受験会場へ赴きます。
  • 合格者には認定証が発行されます。不合格の場合は、一定期間後に再受験が可能です。

有効期限のないアジャイル技術者認定

アジャイルソフトウェア開発の専門家認定試験には期限がございません。
スキルの証明を目的とした試験であり、特権を付与する資格とは異なるためです。
ただし、試験内容や基準が変更された際には、有効期限が設けられる可能性があります。
そのため、認定者の皆様には公式ウェブサイトを定期的にチェックいただくことをお勧めいたします。

アジャイルソフトウェア開発技術者検定の勉強時間

アジャイルソフトウェア開発技術者検定Lv.1の合格者の学習期間は概ね1週間程度と言われています。
この試験では過去問が公開されていないため、出題範囲を把握するのが難しい面があります。
そのため、多くの受験生が参考書を活用して対策を進めています。

一方でLv.2試験はLv.1よりも難易度が高いため、1週間以上の準備期間が必要不可欠でしょう。
ただし、これらの学習期間は個人の知識レベルや学習効率によって大きく変動する可能性があり、あくまで目安として捉えるべきです。

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のメリット

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のメリット

アジャイル開発の専門知識を公に示すことができ、職場においても資格に応じた手当てを受けられるなど、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の資格取得には様々な利点があります。
具体的な恩恵について、より深く探っていきましょう。

恩恵 説明
専門知識の証明 アジャイル開発の専門知識を公に示すことができます。
手当ての受給 職場においても資格に応じた手当てを受けられます。

アジャイル開発の資格取得とメリット

アジャイル開発の手法を習得することで、システム変更への柔軟な対応力が身につきます。
リリースサイクルを短縮できるだけでなく、タスクを最小化して開発を進められるため、修正が容易になります。
具体的には、

  • 計画
  • 設計
  • 実装
  • テスト

のサイクルを繰り返しながらシステムを構築していきますが、アジャイル開発の知識とスキルを証明する資格制度があります。

アジャイル開発と論理的思考力

アジャイル開発の資格を取得したことで、合理的な思考力と課題解決能力が身についたことが証明されます。
システム開発の過程で矛盾のない仕組みを構築することは、生産性の高い効率的なコーディングにつながります。
合理的思考と課題解決能力があれば、アジャイル開発を円滑に実践できるのは大きな利点です。

アジャイル開発資格の価値

アジャイル開発の専門知識を証明する資格を取得すれば、職場で手当てや賞与を受け取れる機会があるかもしれません。
現代の多様性を追求する最先端の開発手法の一つであり、同時にソフトウェア環境構築の主流ともいえます。
この資格を持つことで、就職や転職の際に有利になるだけでなく、転職先での高い待遇を期待できる可能性があります。

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のデメリット

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験の資格取得のデメリット

確かに、アジャイル開発の資格取得には一定の努力が必要となります。
しかし、その過程で得られる知識と経験は、将来的に大きな強みとなるでしょう。
アジャイル開発の理解を深めることで、プロジェクト管理能力が向上し、チームの生産性と品質が高まります。
資格取得に向けた学習は決して無駄にはなりません。
ぜひ前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。

アジャイル開発技術者検定試験の勉強時間

アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験は、一定の難易度を有する資格であるため、初級レベルの試験でさえ、約1週間程度の学習期間を設けることが求められます。
ただし、個人差があり、さらに長い期間が必要となる場合もあります。
本記事で推奨した学習時間は目安に過ぎず、合格を目指すには初級試験で1週間以上の準備期間を確保することが肝要です。
就労しながらの受験であれば、貴重な休息時間を割かなければならないというデメリットがあります。

アジャイル開発資格の活用場面

アジャイルソフトウェア開発の知見を活用できる機会は、職務によって異なります。
IT企業であっても、アジャイル開発に関連しない業務もあるためです。

  • 例えば、営業職ではテストコードやコード可読性の知識は不要です。

また、転職や就職の際、メジャーでない資格は評価されにくい場合があります。
つまり、資格取得の目的次第で、その価値が変わってくるのです。

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験合格のためのおすすめ参考書

アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験合格のためのおすすめ参考書

アジャイル開発の資格試験では、過去の問題が公表されていないため、問題集は存在しません。
そのため、関連書籍を熟読し、知識を深めることが最適な対策方法となります。
本記事では、アジャイル開発の資格試験に向けた学習に役立つ参考図書をご紹介します。

参考図書 概要
アジャイルサムライ アジャイル開発の基本的な考え方や実践方法がわかりやすく解説されている。
アジャイルプラクティス アジャイル開発の具体的な手法やツールについて詳しく解説されている。
スクラムガイド スクラムの考え方や実践方法が公式ガイドとして記載されている。

アジャイル検定公式テキスト 理解を深める

この書籍は、アジャイル開発の基礎から実践までを網羅した体系的な内容となっています。
各分野の詳細な解説と用語の説明があり、アジャイル開発の基礎知識を身につけたい方に最適です。
さらに、演習問題も収録されているため、アジャイル開発の理解を深めるのに役立つでしょう。
アジャイル開発の入門書としてお勧めの一冊です。

アジャイルサムライ入門

この書籍は、ジョナサン・ラスムソン氏が執筆し、西村直人氏と角谷信太郎氏が翻訳を手掛けた「アジャイルサムライ」と題された一冊です。
オーム社から発行されており、アジャイル手法を活用してソフトウェア開発を迅速に進める方策が説明されています。

  • 図版が多数掲載されており、平易な言葉遣いで解説がなされているため、アジャイル開発の理解を深めるのに適した参考書となっています。
  • また、実際の開発現場でも役立つ実践的な内容が盛り込まれているため、ソフトウェアエンジニアにとって有益な一冊と言えるでしょう。

リーダブルコードの実践テクニック

この書籍は、コードの可読性を高めるための実践的なテクニックを解説しています。
著者は大手企業で活躍した経験豊富なエンジニアで、多くの非効率的なコードを分析し、分かりやすく読みやすいコードを書くためのアプローチを提案しています。

  • アジャイル開発やリーンに関心のある方
  • 資格試験の合格を目指す方
  • システム開発の業界を志す方

におすすめの一冊です。

まとめ

まとめ

この記事では、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の特性、申請プロセス、難易度などについて説明しました。
システムやソフトウェア開発分野での就職や転職に有利な資格の1つですが、取得のメリットとデメリットがあるため、よく検討しながら学習することをお勧めします。
簡単に合格できるわけではありませんが、しっかり勉強すれば、レベル2の試験に合格する可能性は十分にあります。
この資格取得が皆様の将来の選択肢の一つとなれば幸いです。