日常生活に溶け込んだ電子機器には、機能を制御する特殊なソフトウェアが組み込まれています。このソフトウェアを「ファームウェア」と呼びます。
ファームウェアは機器の動作に不可欠な存在ですが、目に触れる機会が少ないため、その実態を理解していない人が多数いるでしょう。
本稿では、以下の点について解説します。
- ファームウェアの概要
- ソフトウェアやOSとの違い
- 搭載される機器
ファームウェアの定義を知りたい方、ソフトウェアとの違いが分からない方、搭載機器を確認したい方は、ぜひお読みください。
気になる内容をタップ
ファームウェアってなに?
この節では、ファームウェアの概要と、ソフトウェアやオペレーティングシステムとの相違点を説明します。
ファームウェアとは、デバイスの基本的な動作を制御するプログラムのことを指します。
ハードウェアに密接に関係しており、デバイスの起動時に読み込まれ、デバイスの基本機能を実行します。
一方、ソフトウェアは
- アプリケーションプログラムなどの上位レベルのプログラム
を指し、ファームウェアの上で動作します。
OSはソフトウェアの一種ですが、
- ハードウェアリソースを管理し
- ソフトウェアの実行環境を提供する役割
があります。
ファームウェアの役割と特徴
ハードウェアを直接制御するために組み込まれたソフトウェアがファームウェアです。
例えば、コンピューターでは
- ハードディスクの回転
- データの読み書き
- CPU演算
- ディスプレイ表示
などをファームウェアが管理しています。
また、
- ROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーに書き込まれた状態で出荷される
ことも特徴です。
ROMに格納された場合、ユーザーによる書き換えは不可能で、アップデートにはROM自体の交換が必要となります。
ファームウェアは製品の一部として意識されずに利用されるソフトウェアですが、
- スマートフォン
- ゲーム機
など様々な機器に組み込まれています。
ファームウェアとは
ファームウェアは、ハードウェアに組み込まれたソフトウェアの一種と言えます。ユーザーによる書き換えは想定されていませんが、フラッシュメモリに搭載されている場合はアップデート可能です。
ソフトウェアとの違いは、定期的なアップデートがなされないことです。
重大な欠陥が発見された場合など、限られた状況でのみファームウェアのアップデートが行われます。
ユーザー自身がアップデート情報を確認し、適宜実施する必要があります。
OSとファームウェアの違い
デバイスを使用する際に必要不可欠なのがオペレーティングシステム(OS)です。
OSは、ユーザーがデバイスを直感的に操作できるインターフェースを提供し、他のアプリケーションの実行やインストール、アンインストールを可能にします。
一方、ファームウェアはユーザーが意識することなく動作するソフトウェアであり、OSとは異なる役割を担っています。
ファームウェアをユーザーが意識するのは、アップデートが必要な場合のみです。
OSはデバイスの操作に不可欠な存在であり、ユーザーがデバイスを活用するための重要な要素となっています。
BIOSの役割と機能
パソコンに搭載されている基本的なソフトウェアとして、「BIOS」が広く知られています。
BIOSはマザーボード上に組み込まれており、「Basic Input Output System」の略称です。
- デスクトップ型、ノート型を問わず、すべてのパソコンに必須のプログラムです。
- OSが起動する前に、CPU等の主要デバイスの管理・制御を行います。
- パソコンの電源投入時、BIOSがOSの起動プログラムを読み込むことで、WindowsなどのOSが立ち上がります。
- ハードディスクなどの周辺機器の制御も、BIOSが担当しています。
ファームウェアが搭載されている機器
本文では、ファームウェアが実装されている代表的な製品について説明します。
ファームウェアは、デバイスの基本的な動作を制御するソフトウェアです。
機器の種類によって搭載されるファームウェアは異なりますが、その役割は共通しています。
製品の機能を最大限に発揮させるためには、適切なファームウェアの選択と更新が重要となります。
ネットワーク機器のファームウェア管理
ネットワーク機器には、ソフトウェアが組み込まれていることが一般的です。
プリンターなどの製品では、メーカーから提供される最新のソフトウェアを適用することで、適切な動作を維持する必要があります。ソフトウェアのバージョンが古い場合、印刷エラーなどの不具合が発生する可能性があります。
ネットワークストレージやネットワークカメラなども、同様にソフトウェアが搭載されており、定期的な更新が求められます。
無線ルーターのファームウェア更新
ネットワーク機器の中でも、無線ルーターはファームウェアを搭載した代表的な製品です。
無線ルーターを導入する際には、ファームウェアの更新が必須となります。
- ネットワークの入り口として重要な役割を担うため、セキュリティ性能が何より重視されるためです。
ユーザーはOSを介して無線ルーターを操作し、手動でファームウェアの更新を行います。
- 一部の無線ルーターでは、自動更新機能を設定することも可能です。
プロバイダが提供する無線ルーター | 市販されている主要な製品 |
基本的にファームウェアが実装されています。 |
ファームウェアの役割
多くのコンピューターに搭載されている光学式ドライブにも、ファームウェアが組み込まれています。
光学式ドライブは、コンピューターで以下の重要な機能を担っています。
- CDを再生する
- DVDを再生する
さらに、以下の記憶装置にも、ファームウェアが実装されています。
- ハードディスクドライブ
- ソリッドステートドライブ
PCの調子が悪い時はファームウェアの更新がおすすめ
ハードウェアの性能向上は頻繁に行われる必要はありませんが、機器の動作が不安定になった場合には、ソフトウェアの更新が有効な対策となります。
近年、ネットワーク機器が広く普及したことで、新しい規格に対応するためにソフトウェアが更新されることがあります。
そのため、メーカーのウェブサイトで最新版のソフトウェアがリリースされていないかを定期的に確認し、アップデートを適用すれば、不具合が解決される可能性があります。
特に手動でアップデートを行う機器の場合は、メーカーのサイトを定期的にチェックし、最新バージョンのソフトウェアに更新することをお勧めします。
無線LANの環境でも、ソフトウェアの更新は問題解決に効果的です。
まとめ
ファームウェアとは、ハードウェア機器の動作を直接制御するために組み込まれたソフトウェアのことを指します。
ソフトウェアの一種ではありますが、ユーザーが自由に書き換えることは想定されていません。
- パソコンのBIOS
- 光学ドライブ
- 無線ルーター
など、様々な機器に搭載されており、重要な制御機能を担っています。
パソコンの調子が悪い場合は、ファームウェアを更新することで改善する可能性があります。
本記事が皆様の理解の一助となれば幸いです。