フリーランスの魅力は仕事の自由度が高いことですが、業務上のトラブルが発生した場合、保険に加入していなければ自身で損害賠償責任を負わなければなりません。
しかし、フリーランス向けの保険サービスに加入しておけば、損害賠償請求があっても補償を受けられます。
また、契約書の内容を入念にチェックし、不利な条項がないか確認することも重要です。
本稿では、フリーランスが損害賠償請求を受ける事例や、保険加入の必要性について説明します。
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フリーランス向け損害賠償保険とは?
フリーランサーは業務上の過失により取引先に損害を与えた場合、個人事業主として賠償責任を負う可能性があります。
フリーランサー向け損害保険は、以下のような損害賠償請求から経済的負担を軽減するサービスです。
- 情報漏洩
- 納品物の欠陥
- 著作権侵害
会社員であれば、従業員の過失は雇用主の責任となり、企業が対応しますが、フリーランサーは自らの責任において対処する必要があります。
万が一のトラブルに備え、損害保険への加入を検討することが賢明です。
フリーランスが損害賠償を請求される場合
フリーランサーが賠償責任を問われる状況や、そうした事態を回避するための対策について説明します。
予期せぬトラブルに備え、フリーランサーは損害保険への加入も検討すべきでしょう。
- 契約不履行
- 納期遅延
- 瑕疵ある成果物の提供
- 個人情報の漏洩
上記のような事態が発生した場合、フリーランサーは賠償責任を負う可能性があります。
対策としては、以下のようなことが考えられます。
- 契約書の作成・確認
- 納期の適切な設定
- 成果物のダブルチェック
- 個人情報の適切な管理
さらに、損害保険への加入も検討すべきです。
保険により、万が一の場合の損害を補填することができます。
フリーランスの情報漏洩リスクと対策
企業が管理する重要なデータが外部に流出することを情報漏洩といいます。その原因は、以下のようなものです。
- 人的ミス
- 不正アクセス
フリーランスの場合、以下のような恐れがあります。
- 感染したPCから機密情報が流出する
- 紛失したデバイスから第三者に情報が盗まれる
企業から仕事を請け負う際は機密保持契約を結ぶ場合があり、フリーランスは知り得た機密を漏らしてはなりません。過失による情報漏洩でも損害賠償請求のリスクがあるため、以下のような対策を講じる必要があります。
- パスワード設定
- ウイルス対策ソフトの導入
- 機密情報の持ち運び禁止
フリーランス納品物のトラブル対策
フリーランスの作業成果物に不備があり、企業のシステムに障害を引き起こしたり、要求事項を満たさない場合、企業の業績や収益に悪影響を及ぼす可能性があり、損害賠償を求められることもあります。
納品後のトラブルに備えて、企業との契約時に
- 成果物に関する責任範囲を明確化する
- 不具合対応期間を設ける
などの取り決めを行うことが重要です。
また、フリーランス側も納品前に不具合がないかを確認する必要があります。
フリーランスの納期遅延対策
フリーランスが業務の期限を守れない場合、企業側の活動に影響を及ぼす可能性があり、損害賠償を求められるリスクがあります。
しかし、病気や予期せぬ事態により、期限に間に合わなくなることもあるでしょう。
期限遅延を防ぐ対策として、
- 余裕を持った期限設定
- 作業を細分化した期限管理
- 契約書に期限調整条項の追加
が挙げられます。
対策を講じていても期限が守れそうにない場合は、早期に企業と連絡を取り、期限の調整について協議することが重要です。
著作権侵害対策
企業が被る可能性のある著作権侵害による損害を回避するには、適切な対策が必要不可欠です。
- フリーランスのエンジニアは、他社に権利が移転したソースコードの使用を控え、プライベートで利用する可能性のあるプログラムも避けましょう。
- 一方、ライターは引用箇所の出典を明記し、記事の再利用は厳禁です。
- また、契約書に記載された著作権条項を確認することが重要です。
エンジニア、ライター、クリエイターなど、成果物を制作する職種の方は、著作権侵害に十分注意を払う必要があります。
フリーランスが損害賠償保険に加入する理由
業務上の問題が発生した場合、フリーランサーは自身の責任を負うことになります。
しかし、賠償金の全額を個人で支払うことは簡単ではありません。
トラブルに備えて、フリーランサーが損害保険に加入する必要性を確認しておくことが重要です。
フリーランスの倒産リスク軽減
フリーランサーは業務上のリスクに備えて損害保険への加入が賢明です。
- クライアント企業との間で紛争が生じ、高額の賠償金を請求された場合、自己資金だけでは対応が困難になる可能性があります。
- しかし、損害保険に加入していれば、保険金によって賠償金の負担を軽減することができ、経済的な破綻を回避できます。
フリーランスの損害保険加入が信頼獲得に役立つ
フリーランスが損害保険に加入していると、クライアントから高い信頼を得られる可能性が高まります。
仕事の完了後に何らかの問題が発生した場合、保険に加入していないフリーランスとの契約はクライアント側にとってリスクとなり、結果として仕事の受注機会が減る恐れがあります。
そのため、契約時に損害保険に加入していることを伝えることで、フリーランスとしての信頼性を高めることができるでしょう。
フリーランス向け損害保険の重要性
独立したフリーランスとして活動する際、万が一の事態に備えるため、専門の損害保険に加入することが賢明です。
業務上の過失により、発注元企業に多額の損害を与えてしまった場合、保険によってその賠償金の一部または全額を補填してもらえます。
例えば500万円の賠償金が発生しても、保険を適用することで自己負担額を大幅に抑えられるのです。
このように、損害保険は予期せぬリスクから自身を守る重要な役割を果たします。
おすすめする損害賠償保険があるサービス2選
独立した職業人向けの損害賠償保険プランが存在します。
FREENANCE(フリーナンス)とフリーランス協会が提供する賠償責任保険について説明いたします。
- フリーランスとして活動する際に備えるべき保険制度の一つとなっており、業務上の過失による損害に対する補償が受けられます。
保険料は業務内容や収入水準によって異なりますが、リスクに対する備えとして有用なオプションと言えるでしょう。
フリーランス向け損害保険と信頼性アピールサービス
GMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するFREENANCE(フリーナンス)は、フリーランスや個人事業主向けの損害賠償保険と収納代行サービスを提供しています。
同サービスの「あんしん補償」は、以下のトラブルが発生した際、状況に応じて最大5,000万円までの補償を受けられます。
- 業務中の事故
- 納品物の欠陥
- 情報漏えい
- 著作権侵害
この保険は会員登録すれば無料で付帯されます。万が一のトラブルに備え、フリーランスはこの損害保険に加入しておくことをおすすめします。
また、FREENANCEでは会員登録時に反社会的勢力データベースを用いた厳正な審査を実施しています。登録フリーランスがこのデータベースに載っていないことを証明できるため、信頼性の高いフリーランスであることをアピールできます。
フリーランス協会の会員特典
フリーランスの方々が業務中に発生したトラブルから守られるよう、一般社団法人フリーランス協会では会員に対し賠償責任保険を自動付帯しています。
この保険は、以下のリスクから会員を保護します。
- 業務遂行中の事故
- 情報漏洩
- 納品物の欠陥
- 著作権侵害
年会費は1万円で、補償内容に応じて以下の損害保険金が支払われます。
損害保険金 | 期間中の限度額 |
---|---|
1,000万円から1億円 | 10億円 |
保険は大手4社による共同保険であり、会員だけでなく受注先企業も補償対象となるため、安心して業務を依頼することができます。
また、会員には以下の特典が用意されています。
- 福利厚生サービス
- ケガや病気で仕事ができなくなった際の所得補償制度
損害賠償のリスク回避のため、業務委託契約書を必ず確認しよう
独立した職業人として活動するフリーランスは、業務上の過失によって生じる可能性のある損害賠償責任に注意を払う必要があります。そのため、業務委託契約の条項を入念に吟味することが重要です。
契約内容を確認する際の留意点を以下に示しますので、参考にしてください。
- 契約書に「損害賠償責任の範囲」が明記されているか確認する
- 損害賠償責任の上限額が設定されているか確認する
- 損害賠償責任の対象となる事項が具体的に記載されているか確認する
- 損害賠償責任の免責事項が明記されているか確認する
項目 | 内容 |
---|---|
損害賠償責任の範囲 | 過失による損害に対する賠償責任の範囲を明確にする |
損害賠償責任の上限額 | 賠償額の上限を設定し、リスクを一定範囲に抑える |
損害賠償責任の対象事項 | 賠償責任が発生する具体的な事項を列記する |
損害賠償責任の免責事項 | 賠償責任が免除される事項を明記する |
業務委託契約における損害賠償責任の範囲
契約書の条項を入念に確認し、軽微な過失に対しても賠償責任が生じるのか、それとも重大な過失に限定されるのかを確認することが重要です。
責任範囲が不明確な場合、フリーランスとして過度な賠償義務を負う可能性があります。
そのため、責任範囲が曖昧であれば、明確化を求める交渉を行うべきです。
損害賠償責任の確認
仕事中に生じた損害への対処方針を事前に明確化しましょう。
- 無償での対応期間や賠償請求可能期限、事故時の金銭補償の有無など、損害発生時の対応ルールを確認しておきます。
また、賠償範囲を明確にし、賠償金額の上限を設定することで、フリーランスの損失リスクを最小限に抑えられます。
- 契約締結時に、損害賠償金の上限額を取り決めておくことをおすすめします。
対等な業務委託契約の重要性
契約書の締結時には、その内容が公平であるかを慎重に確認する必要があります。
フリーランサーにとって不利な条件で合意してしまうと、後から修正を求めることは難しくなります。
不公平な契約は業務の遂行を阻害し、損害賠償請求のリスクを高めかねません。
- 期限が現実的でない
- 不要な文言が含まれている
- 必要な条項が欠けている
など、公平性に欠ける場合は、企業側に内容の変更を求めましょう。
フリーランスなら知っておくべき「下請法」について
下請代金支払遅延等防止法は、独占禁止法の特別法として1956年に制定された法律です。
この法律は、親事業者から不当な扱いを受けないよう、フリーランスなどの下請事業者を保護することを目的としています。
対象となる取引には、
- サービス提供委託
- 製造委託
- 修理委託
- 情報成果物作成委託
が含まれます。
フリーランスのエンジニア、デザイナー、ライターなどは「情報成果物作成委託」に該当します。
資本金が1000万円を超える親事業者が、システム開発、デザイン制作、ライティングなどの業務をフリーランスに委託する場合、この法律が適用されます。
親事業者には、以下の4つの義務が課されます。
1つ目は、発注内容を記載した書面の交付義務です。
親事業者は、業務委託時に詳細な内容を記した書面をフリーランスに渡さなければなりません。
2つ目は、納品日から60日以内に報酬を支払う義務です。
支払期日は、フリーランスと合意の上で決める必要があります。
3つ目は、取引内容を書類に記録し、2年間保管する義務です。
記録内容は細かく定められています。
4つ目は、遅延利息の支払い義務です。
報酬の支払いが60日を過ぎた場合、年率14.6%の遅延利息を別途支払わなければなりません。
フリーランスにとって重要な法律ですので、内容を理解しておくことが大切です。
まとめ
フリーランスの業務において、事故やトラブルによる損害賠償が最大の懸念事項となります。多額の賠償金を求められれば、廃業に追い込まれる可能性があります。
対策としては、
- フリーランス向け損害保険への加入や
- 業務委託契約書の内容確認が重要です。
万が一の事態に備え、リスク管理を怠らずに業務に取り組む必要があります。
フリーランスとして活躍するためには、適切な準備と対策が不可欠なのです。
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