フリーランスに人気な小規模企業共済制度とは?

フリーランスや個人事業主として活動している人の中には、退職金制度について考えていない人もいるかもしれません。
会社員とは異なり、フリーランスや個人事業主には退職金はありません。
しかし、専用の制度を利用することで、退職金に代わるものを受け取ることができます。

ここでは、フリーランスや個人事業主向けの退職金代替制度について、長所と短所を詳しく説明します。
各制度の内容を理解し、加入を検討することが重要です。

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フリーランス(個人事業主)に退職金はない!

フリーランス(個人事業主)に退職金はない!

フリーランスや個人事業主には退職金制度がないため、会社員とは異なるリスクがあります。
収入が途絶えた際の備えとして、退職金に代わる制度の活用が欠かせません。
将来に備え、様々な制度について十分な知識を持つことが重要です。

小規模企業共済制度とは?

小規模企業共済制度とは?

独立行政法人中小機構が運営する制度は、フリーランスや個人事業主、経営者向けの共済制度です。事業を終える際の生活資金として積み立てを行うことができます。つまり、自営業者向けの退職金制度と言えます。

  • 月々の掛金は1,000円から7万円までの範囲で、500円単位で自由に設定可能です。
  • 加入後も増減が可能です。
  • 掛金の支払い方法は月払い、半年払い、年払いから選択できます。
  • 万が一の際は借り入れも利用できます。

この制度の利用実績は約160万件を超えており、実績が豊富です。

以下では、この共済制度のメリットとデメリットについて詳しく説明します。

小規模企業共済制度のメリットデメリット

小規模企業共済制度のメリットデメリット

個人事業主向けの退職金制度である小規模企業共済制度には、様々な利点と欠点があります。この制度の長所と短所を理解した上で、加入の是非を判断することが重要です。

以下では、小規模企業共済制度の特徴について詳しく説明します。

  • 長所
    • 掛金の一部が所得控除の対象となる
    • 老後の生活資金を準備できる
    • 税制優遇措置がある
  • 短所
    • 掛金の納付が義務付けられている
    • 掛金の額が高額である
    • 脱退時の手続きが煩雑である
項目 内容
対象者 常時使用する従業員がいない個人事業主
掛金月額 10,000円〜70,000円
加入期間 最短3年、最長20年

フリーランスの節税対策としての小規模企業共済制度

フリーランスまたは個人事業主が小規模企業共済制度に加入することで、支払う掛金額が所得から控除されるメリットがあります。この制度は、自営業者の節税対策として有効な手段となります。
所得水準が高ければ高いほど、節税額も増加し、より恩恵を受けられます。
例えば、年収400万円の場合、月々の掛金額によって節税額は以下のようになります。

  • 月額掛金1万円なら36,500円
  • 3万円なら109,500円
  • 5万円なら182,500円

の節税が可能です。掛金を多く支払えば支払えばほど、控除額が大きくなる仕組みとなっています。
収入が不安定になりがちな自営業者にとって、こうした所得控除制度は大変有利なものと言えるでしょう。

フリーランスの節税対策

フリーランスや個人事業主は、税金対策として小規模企業共済制度を利用することができます。

  • 掛金は所得控除の対象となり、受取時にも節税効果があります。

共済金の受取方法には以下の3つのパターンがあり、それぞれで節税対策が可能です。

受取方法 節税対策
一括 「退職所得」扱いとなり、退職所得控除が適用されます。
分割 -
併用 -

受取パターンによって節税額は変わりますが、いずれの場合も所得税の軽減につながります。

小規模企業共済制度の活用

フリーランスや個人事業主の方々は、資金繰りに関する対策として小規模企業共済制度を活用することができます。この制度では、

  • 事業資金の貸し付けや病気・ケガの際の貸し付けが低金利で利用可能です。

事業資金の一般貸付けでは、

  • 10万円から2,000万円までの範囲(5万円単位)で借り入れが可能で、年利率は1.5%となります。
  • 随時申し込みが可能です。

一方、傷病災害時の貸し付けでは、

  • 50万円から1,000万円までの範囲(5万円単位)で借りられ、年利率は0.9%となります。
  • 申し込み受付期間は、傷病の場合は入院日から6ヶ月以内、災害の場合は発生日から6ヶ月以内です。

さらに、事業承継や廃業準備のための借り入れも認められています。新型コロナウイルス拡大による資金繰り悪化への対応も可能です。
万が一の事態に備えておくことで、安心して業務に専念できるでしょう。

小規模企業共済制度のメリット・デメリット

ここまでの説明では、小規模企業共済制度は、個人事業主にとって多くの利点があると思われるかもしれません。しかし、欠点もあります。最大の問題点は、加入期間が6か月未満の場合、掛金が没収され、共済金を受け取ることができないことです。

加入時には、長期的な計画で積み立てる必要があります。前述のように、月額1,000円から7万円まで、毎月の掛金額を選択できるため、無理なく貯蓄することが可能です。ただし、20年(240か月)未満で中途解約(任意解約)した場合、元本割れが発生するので注意が必要です。

掛金月額1万円の場合、掛金納付月数と解約手当金額は以下の通りです。

掛金納付月数 掛金総額 解約手当金額
247か月 2,470,000円 2,476,175円
151か月 1,510,000円 1,340,125円
11か月 110,000円 88,000円

共済金の課税と節税対策

共済金の受領時には課税対象となることを念頭に置く必要があります。

  • 事業終了の時期を事前に検討しておくことが肝心です。
  • しかし、節税対策の余地もあるため、総合的に見れば利点の方が大きいと言えるでしょう。

小規模企業共済制度以外にも退職金の代わりになるフリーランス(個人事業主)向けの制度

小規模企業共済制度以外にも退職金の代わりになるフリーランス(個人事業主)向けの制度

中小企業の経営者や個人事業主にとって、取引先の倒産は深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのような事態に備えるため、政府は「中小企業倒産防止共済」という制度を設けています。

  • この共済に加入すれば、取引先が倒産した際に、事前に積み立てた金額の10倍(最高8,000万円)を借り入れることができます。
  • 掛金は5,000円から20万円の範囲で選択可能で、加入後も増減が可能です。
  • 個人事業主の場合、掛金は必要経費として控除されるため、節税対策にもなります。
貸付金は無担保・無保証人・無利子で、
返済期間は5年から7年となっています。

ただし、取引先が不正な行為により倒産した場合は、この制度の適用外となる点に注意が必要です。

まとめ

まとめ

フリーランス(個人事業主)には退職金制度がありませんが、小規模共済制度を利用すれば、退職時や廃業時に共済金を受け取ることができます。
この制度には以下のメリットがあります。

  • 節税対策
  • 資金繰りの面でメリット

一方、以下のデメリットもあります。

  • 6ヶ月未満の場合は掛け捨てになる
  • 共済金受け取り時に課税される

別の選択肢として、中小企業防止共済制度の活用も検討できます。
万が一のことを考え、フリーランス(個人事業主)向けの「退職金制度」加入を検討するのがよいでしょう。
フリーランスとして活躍するためには、このような制度を上手に活用することが重要です。
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