ネットワークの設計、構築、運用を担う専門家がネットワークエンジニアです。
企業や組織がクライアントとなり、
- 要件の確認から設計
- 実装
- テスト
- 保守運用
まで幅広い業務を行います。
IT化が進む現代社会では、ネットワークエンジニアの存在は不可欠となっています。
将来的にも需要の高い職種と見なされています。
本稿では、ネットワークエンジニアの
- 具体的な職務内容
- 必要なスキル
- 必要な知識
- 求人動向
について解説していきます。
ネットワークエンジニアの保守運用の仕事内容
ネットワークの基盤を構築し、利用者が快適にアクセスできるよう支援することがネットワークエンジニアの主な役割です。
- 要件定義
- 設計
- 構築
- テスト
- 運用
- 保守
の各工程があり、経験の浅い者は運用と保守を担当することが多くなります。
これらのフェーズでは高度な技術は求められず、初心者でも比較的容易に業務を遂行できるとされています。
ここでは、ネットワークエンジニアの保守運用業務について、
- ネットワーク機器の監視
- 不具合の調査と改修
- ソフトウェアのアップデート
の3点を説明します。
ネットワーク監視とエンジニアの役割
ネットワークシステムの監視は、SNMPマネージャなどの専用ツールを用いて実施されます。
しかし、監視ソフトウェアのみでは、全ての監視やトラブル対応を行うことはできません。
監視システムが検知した異常については、人間による対応が必要不可欠です。
ネットワーク技術者は、トラブルの内容を保守担当者に報告したり、状況に応じて問題解決に向けた措置を講じたりします。
ネットワーク技術者の求人には、以下のようなものがあります。
- 監視業務のみを行うもの
- 監視に加えて運用業務も担当するもの
ネットワーク機器の監視業務には、夜勤やシフト勤務が多く含まれるため、日勤のみを希望する人や、決まった休日を求める人は、求人の内容を慎重に確認する必要があります。
ネットワークエンジニアの仕事
ネットワーク機器に問題が発生した際、調査と修理が行われます。トラブルには、ユーザーが気づく大きなものと、気づかない小さなものがあります。ネットワークエンジニアには、大きな問題に発展する前に原因を特定し、修理を行うことが求められます。
一部のネットワークでは、トラブル発生時に監視アラートが作動します。ネットワークエンジニアにとって、監視アラートの確認と対応は重要な業務です。
ネットワークは24時間365日監視が必要です。大規模ネットワークでは、エンジニアがネットワーク運用センターに常駐し、24時間365日のシフト制で業務にあたります。ネットワークエンジニアは、トラブル発生時には深夜でも対応しなければなりません。
ネットワーク機器のアップデート管理
ネットワーク機器のソフトウェアは定期的に更新されます。
バグの修正、性能の向上、セキュリティの強化など、様々な目的でアップデートが行われます。
ネットワークエンジニアは、ネットワークとネットワーク機器を最新の状態に保つ役割を担っています。
ユーザーが常に最新のネットワーク環境を利用できるよう、適切なアップデートを実施することが重要です。
ネットワークエンジニアの保守運用に必要な知識・スキル
ネットワーク環境の維持管理には、多岐にわたる専門的な能力が必要とされます。技術的な側面に加え、社会人としての基礎的なスキルも求められます。
保守運用業務を円滑に遂行するために重要な7つの知識・スキルは以下の通りです。
- ネットワーク機器に関する理解
- TCP/IPなどのネットワーク基礎知識
- シェルスクリプトなどのプログラミング能力
- オペレーティングシステムの知見
- クラウドサービスに関する理解
- セキュリティに関する知識
- 円滑なコミュニケーション力
これらの項目について詳しく説明いたします。
ネットワークエンジニアの知識と対応力
ネットワーク環境を適切に維持管理するには、幅広い専門知識が求められます。
ネットワークの正常な稼働状況を保ち、さまざまな障害に対処するためには、
- ネットワークの基礎から機器の知識まで、多岐にわたる理解が不可欠となります。
発生し得るトラブルは多種多様であり、一概に言えないため、柔軟な対応力が必要不可欠です。
現場によって利用される技術は異なりますが、ある程度の基礎知識があれば、様々な場面で適切に対処することが可能です。
TCP/IPの概要
ネットワークの世界において、データの送受信を可能にする重要な技術体系がTCP/IPです。
この用語は、Transmission Control ProtocolであるTCPとInternet ProtocolであるIPを組み合わせたものです。
コンピューター間の通信を実現するネットワーク環境、特にインターネットの根幹をなすのがこのTCP/IPプロトコルであり、コンピューター同士がデータをやり取りするためには欠かすことのできない存在です。
プロトコルとは規則や約束を意味しますが、この通信の規範に従うことで、ネットワーク上でデータ交換が円滑に行われるのです。
ネットワークエンジニアのプログラミングスキル需要
ネットワーク分野においてプログラミングスキルの重要性が高まっています。
従来、ネットワークエンジニアの業務ではプログラミング言語を使用することはほとんどありませんでした。しかし、近年ではSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)の台頭により、状況が変化しつつあります。
SDNではネットワーク構成をソフトウェアで制御するため、プログラミング知識が不可欠となっています。これまでのネットワークでは物理的な機器の配置とケーブル接続によりアプリケーション設定を変更していましたが、SDNではそうした作業が不要になり、迅速かつ効率的なネットワーク構築が可能になりました。
SDNの普及に伴い、プログラミングスキルを持つネットワークエンジニアの需要が高まると予想されます。
プログラミング言語は多種多様ですが、ネットワークエンジニアにとって重要なのはShellスクリプトです。
- Shellではコマンド実行、変数操作、制御文記述などが可能であり、ネットワーク業務に不可欠な言語と言えます。
OSの役割と種類
OSとは、コンピューターの全体的な運用を管理し、ユーザーが利用しやすい環境を提供するシステムのことです。
ソフトウェアとハードウェアの橋渡し役も担っています。
- WindowsやLinuxなど、様々な種類のOSが存在し、それぞれの現場に適したOSを選択する必要があります。
幅広い知識を身に付けることで、どの環境でも対応できるようになります。
クラウド時代のネットワークエンジニアに求められる知識
従来は大手企業が自社のサーバーを活用することが一般的でした。
しかし、近年ではGoogleやAmazonなどの大企業がクラウドサービスを提供していることから、クラウド型のサーバーが広く普及しつつあります。
過去には、ネットワークエンジニアは自社のサーバーに関する知識があれば業務に対応できましたが、現在ではクラウドに関する知識も不可欠となっています。
加えて、クラウド型サーバーの普及に伴い、
- 仮想ネットワーク
- 仮想サーバー
についての理解も求められるようになりました。
ネットワークエンジニアのセキュリティキャリア
近年、企業はデータ保護の重要性を認識し、ネットワークセキュリティに注力しています。
ネットワークは情報の要であり、個人情報や機密データの取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
そのため、ネットワークエンジニアにはセキュリティに関する専門知識が不可欠となっています。
さらにキャリアアップを目指す場合、
- セキュリティ分野の高度な知識を身につけることで、セキュリティエンジニアへの転身も可能です。
ただし、
- 単に知識を持つだけでなく、クライアントにどのように貢献できるかを明確にすることが重要です。
ネットワークエンジニアのコミュニケーション力
ネットワーク技術者は専門的な知識を持つ職種ですが、人とのコミュニケーション能力も重要な要素となります。
例えば、
- システムに不具合が生じた際には、利用者から詳細な情報を収集し、原因究明と解決に努める必要があります。
- また、トラブルの経緯や状況を正確に把握するためのヒアリングスキルも求められます。
ネットワーク技術者には、相手に適切な質問をする力や、相手の言葉を正しく理解する力が不可欠なのです。
ネットワークエンジニアの保守運用業務の需要
ネットワーク技術者の保守・運用サービスに対する需要は、今後も継続すると予測されています。この分野における需要動向は、主に2つの側面から説明できます。
- 第一に、クラウドコンピューティングやサイバーセキュリティなどの最新トレンドに対応できれば、ニーズは根強く残ると考えられます。
- 第二に、独立したネットワーク専門家の収入水準についても言及します。
これら2点について詳しく解説していきます。
ネットワークエンジニアの需要と時代に合わせたスキル習得の重要性
現代社会においてIT化やデジタルトランスフォーメーションが進展する中、ネットワーク技術者の需要は高まっています。
ITインフラにおいてネットワークは欠かせない存在であり、ITが発展する限りネットワーク技術者の必要性は継続するはずです。
多くの企業が高度な専門性を持つネットワーク技術者を求めており、供給が需要に追いついていないとの指摘もあります。
経験が浅くてもスキルさえあれば実務に携わる機会があります。
しかし、ネットワーク技術者として活躍するには、時代の変化に合わせて新しい知識やスキルを身に付けることが不可欠です。
かつてはハードウェアの知見が重視されていましたが、現在では
- クラウドに関する知識が求められています。
トレンドを把握できなければ、ネットワーク技術者としての活躍は望めません。
ネットワークエンジニアのフリーランス年収
ネットワークエンジニアのフリーランス年収は、業務内容や案件によって大きな差があり、一概に言えません。
フリーランス向け求人サイトを確認すると、750万円から900万円前後の年収が見込める案件が多数ありました。
例えば、
- メーカー向けネットワーク構築は月額75万円で年収900万円
- 仮想マシン構築・保守は月額70万円で年収840万円
- 国内外拠点のネットワーク設計支援は月額70万円から80万円で最大960万円
となっています。
日本の平均年収が400万円前後であることを踏まえると、フリーランスのネットワークエンジニアは平均の約2倍の収入が期待できるでしょう。
まとめ
ITが浸透した現代社会において、ネットワークは企業活動を支える重要な基盤となっています。
ネットワークに障害が発生すれば、ほとんどの企業で業務が停止してしまうでしょう。
ネットワークエンジニアは、社会やクライアント企業の基盤を支える重要な役割を担っています。
そのため、現在だけでなく将来的にも需要が見込まれる職種です。
しかし、ネットワークエンジニアとして活躍するためには、
- 社会やITの変化に合わせてスキルを常に更新していく必要があります。
時代の潮流を捉えた知識と技術を身に付けたネットワークエンジニアは、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を通じて、様々な分野で活躍が期待できるでしょう。