ITエンジニアには様々な職種が存在し、それぞれ異なる役割と責務を担っています。自身が目指す職種を明確にし、必要な技能を身につけることが肝心です。
そうしないと、本来の目標とは異なる分野の知識を習得してしまい、無駄な時間を費やすことになりかねません。
本稿では、代表的なITエンジニアの職種17種類について、業務内容、求められるスキルや知識、平均的な報酬水準を解説しています。
ITエンジニアを志す学生や、キャリアチェンジを望む社会人の方々は、この機会にITエンジニアの基礎知識を習得することをお勧めします。
気になる内容をタップ
- 1 ITエンジニアとは?
- 2 フリーランスエンジニアが今後増える?
- 3 ITエンジニアの職種17選
- 3.1 フロントエンドエンジニアの役割と技術スキル
- 3.2 サーバーサイドエンジニアの役割と必要スキル
- 3.3 インフラエンジニアの役割と必要なスキル
- 3.4 ネットワークエンジニアの役割と必要なスキル
- 3.5 データベースエンジニアの仕事と必要なスキル
- 3.6 セキュリティエンジニアの役割と必要なスキル
- 3.7 汎用機エンジニアの仕事と必要スキル
- 3.8 システムエンジニア(SE)の役割と必要スキル
- 3.9 プログラマーの仕事と将来性
- 3.10 社内SEの役割と必要なスキル
- 3.11 モバイルアプリエンジニアの仕事と年収
- 3.12 組込み・制御エンジニアの仕事と給与
- 3.13 AIエンジニア(人工知能)の仕事と必要なスキル
- 3.14 機械学習エンジニアの仕事と給与
- 3.15 データサイエンティストの重要性と必要スキル
- 3.16 PMの役割と必要なスキル
- 3.17 コンサルタントの仕事と必要なスキル
- 4 ITエンジニアの将来性
- 5 まとめ
ITエンジニアとは?
コンピューターやソフトウェアなどの情報技術を扱う職業がITエンジニアです。この分野の専門家は、テクノロジーを活用して人々の生活を向上させたり、企業の収益を伸ばしたりすることを目指しています。
理系出身者が多いイメージがありますが、実際には文系からも多くの人材が活躍しています。
コンピューターに興味があり、常に学び続ける姿勢があれば、学部を問わずITエンジニアを目指すことができます。
フリーランスエンジニアが今後増える?
ITエンジニアの働き方が多様化する中、フリーランスとして活躍する人材が増加すると予測されています。
フリーランスエンジニアとは、特定の企業に所属せず、個人で複数の企業と契約を結び、プロジェクトベースで業務を請け負う形態です。
この働き方が広まる背景には、
- 時間と場所に縛られない自由度の高さ
- 自身のスケジュールに合わせて柔軟に仕事を選択でき、実力次第で収入を増やすことができる
- クラウドソーシングサービスの普及
が挙げられます。
これらのプラットフォームを活用することで、企業とフリーランス人材がスムーズにマッチングできるようになりました。
2018年の働き方改革における副業解禁や、雇用のあり方が見直されたことも後押ししています。
代表的なクラウドソーシングサービス |
---|
クラウドワークス |
ランサーズ |
ココナラ |
このように、自由度の高さと需要の増加から、フリーランスエンジニアの人口は今後も拡大していくと考えられます。
ITエンジニアの職種17選
ITの分野には多様な職種が存在し、それぞれ異なる役割と責務を担っています。
本文では、17種類のITエンジニア職種について、その業務内容、必要とされる技能や知識、そして報酬水準などを解説しています。
ITに携わる者にとって、この多岐にわたる職種の存在を理解することは重要です。
特に関心のある分野があれば、さらに詳しく調査を行うことが推奨されます。
フロントエンドエンジニアの役割と技術スキル
Webアプリケーションの開発において、ユーザーインターフェースを担当するのがフロントエンドエンジニアです。
彼らの主な業務は、ブラウザ上で動作するプログラムの作成です。
フロントエンドエンジニアが扱う主要な技術は以下のとおりです。
- JavaScript
- HTML
- CSS
- jQuery
優れたフロントエンドエンジニアは、デザインにも関心を持ち、Photoshopや Illustratorなどのデザインツールを使いこなすことができます。
フロントエンドエンジニアの平均年収は以下のとおりです(2021年11月時点)。
平均年収 | 694万円 |
---|---|
最高額 | 1600万円 |
最低額 | 200万円 |
サーバーサイドエンジニアの役割と必要スキル
Webアプリケーションの開発において、サーバー側の処理を担当するのがサーバーサイドエンジニアです。彼らの役割は、Webページに表示するデータを生成するプログラムやシステムを構築することです。
この分野では、
- PHPやPython、Ruby、JavaScriptなどのスクリプト言語
- Java、C言語、C++、C#、Go言語などのコンパイル言語
の知識が求められます。スクリプト言語は習得しやすい一方、コンパイル言語は処理速度が速いというメリットがありますが、学習難易度が高くなります。
また、
- MySQLやOracleなどのデータベース技術
の理解も重要視されます。
サーバーサイドエンジニアは、Webデザイナーやフロントエンドエンジニアと協力しながら業務を遂行するため、コミュニケーション能力も必須です。
この職種の平均年収は738万円程度で、最高額は2,000万円、最低額は250万円となっています(2021年11月時点)。
項目 | 金額 |
---|---|
平均年収 | 738万円 |
最高額 | 2,000万円 |
最低額 | 250万円 |
インフラエンジニアの役割と必要なスキル
ユーザーが快適にサービスを利用できるよう、基盤を構築する役割を担うのがインフラエンジニアです。
サーバーの準備やOS、ソフトウェアのインストールを行い、ユーザー数や通信量を予測して適切な基盤を整備します。
- 物理サーバーの構築・運用スキルが求められますが、近年ではクラウドサービスの利用が増えており、AWS、Azure、GCPなどの知識も必要とされます。
インフラエンジニアの平均年収は678万円で、最高額は2,000万円、最低額は30万円となっています(2021年11月時点)。
ネットワークエンジニアの役割と必要なスキル
ITエンジニアの一種であるネットワークエンジニアは、通信環境の構築と維持管理を担う役割を果たします。
クライアントとの打ち合わせを経て、適切なネットワーク機器を選定し、実際に設置作業を行います。
トラブル発生時には原因究明と対処を行う必要があります。
ネットワークエンジニアには、以下が求められます。
- WAN/LANなどのネットワーク知識
- Cisco、Juniper Networks、Fortinet、Palo Alto Networks、Dell、NECなどのベンダー製品の理解
- 冷静な対応力
ネットワークエンジニアの平均単価は58.1万円、最高値170万円、最低値20万円となっています(2021年11月時点)。
平均単価 | 最高値 | 最低値 |
---|---|---|
58.1万円 | 170万円 | 20万円 |
データベースエンジニアの仕事と必要なスキル
データベースの設計、運用、メンテナンス、管理を担うITエンジニアがデータベースエンジニアです。
個人情報や企業データなど、様々な情報を格納するデータベースを構築します。
データベースエンジニアは、サーバーサイドエンジニアなどの役割を兼務することが多くあります。
- MySQL
- PostgreSQL
- Oracle
- Microsoft SQL Server
などのデータベース製品に関する深い知識が求められます。
近年では、大規模で複雑なビッグデータを扱う技術も重要視されています。
ビッグデータを扱う場合は、
- MongoDB
- Memcached
- Redis
などのデータベース技術が必要とされます。
データベースエンジニアの平均年収は661万円、最高年収は1600万円、最低年収は300万円となっています(2021年11月時点)。
セキュリティエンジニアの役割と必要なスキル
情報システムの安全性を確保するのが情報セキュリティ専門家の役割です。
サイバー攻撃から重要データを守るため、セキュリティ対策を施したシステム開発に従事します。
個人情報や企業機密を保護しつつ、利用者に安心して使えるサービスを提供することが求められます。
- ネットワークやサーバー、データベースに関する深い知識が必要不可欠です。
- さらに、Webアプリケーション開発のためのプログラミングスキルも有すると望ましいでしょう。
- また、クライアントとのコミュニケーション能力も重要な要素となります。
情報セキュリティ専門家の平均年収は604万円、最高で1,300万円、最低でも280万円程度となっています(2021年11月時点)。
汎用機エンジニアの仕事と必要スキル
多様な情報処理が可能なコンピュータを指す汎用機は、従来の単一機能のコンピュータとは異なり、1つの機器で様々な処理を実行できるようになりました。
汎用機エンジニアは、富士通や日立製作所の汎用機を活用し、業務系アプリケーションなどの開発に携わります。
この分野では、
- COBOL
- PL/I
- Java
- アセンブラ
などのプログラミング言語の知識やスキル、AS/400などの知識が求められます。
これらの言語は事務処理用のプログラムを効率的に開発するのに適しています。
汎用機エンジニアの平均単価は52.3万円で、最高単価は130万円、最低単価は20万円となっています(2021年11月時点)。
汎用機エンジニアに興味のある方は、スキルの詳細や実際の求人・案件を確認してみましょう。
システムエンジニア(SE)の役割と必要スキル
ITエンジニアの中でも、システム開発における設計業務を担当するのがシステムエンジニア(SE)です。
クライアントと協議を重ね、開発するシステムの内容を決定します。
仕様が固まれば、設計書を作成し、プログラマーに開発を委託します。
SEには、以下の能力が求められます。
- 顧客の要望を正確に汲み取るコミュニケーション力
- 分かりやすい文章力
- 論理的思考力
SEの平均単価は63.2万円、最高は200万円、最低は20万円となっています(2021年11月時点)。
プログラマーの仕事と将来性
コーディングの専門家は、ウェブアプリケーションやモバイルアプリの開発に携わるIT技術者の総称です。
ウェブアプリの場合は
- PHP
- Python
- JavaScript
- Ruby
など、モバイルアプリでは
- Swift
- Objective-C
- Kotlin
- Java
などのプログラミング言語の知識が必要とされます。
コーダーは、システムのソースコードを明確かつ効率的に記述する責務があります。
実務経験を積めば、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーへのキャリアアップの道も開かれます。
コーダーの平均報酬は53.1万円、最高額は120万円、最低額は20万円となっています(2021年11月時点)。
平均報酬 | 53.1万円 |
---|---|
最高額 | 120万円 |
最低額 | 20万円 |
社内SEの役割と必要なスキル
企業内で利用されるシステムの開発やネットワーク管理を担うITエンジニアが社内SEです。
社内業務の効率化を目的としたプログラムやシステムの構築が主な役割となります。
また、自社製品に関する問い合わせやクレームへの対応も行うことがあります。
社内SEには、以下が求められます。
- 社員の要望を正確に把握するコミュニケーション力
- 課題解決能力
- 企業の製品知識
システム開発のためのプログラミング言語やネットワークに関する知識も必要不可欠です。
ヘルプデスク業務を担当する場合は、ユーザーからの問い合わせに対応するため、自社製品の理解が重要視されます。
社内SEの平均年収は以下の通りです(2021年11月時点)。
平均年収 | 551万円 |
---|---|
最高年収 | 1300万円 |
最低年収 | 240万円 |
モバイルアプリエンジニアの仕事と年収
スマートフォン向けのアプリケーションを開発するIT技術者をモバイルアプリエンジニアと呼びます。
開発対象は多岐にわたり、
- ゲームアプリ
- ビジネス用ツール
- マッチングサービス
など様々なジャンルがあります。
モバイルアプリエンジニアは、
- iOS向けアプリを担当する技術者
- Android向けアプリを担当する技術者
に大別されます。
iOSアプリ開発ではSwiftやObjective-Cが、Androidアプリ開発ではKotlinやJavaがよく使われるプログラミング言語です。
iOSアプリエンジニアの年収 | Androidアプリエンジニアの年収 |
---|---|
平均で725万円 | 平均で717万円 |
最高で1400万円 | 最高で1500万円 |
最低で300万円 | 最低で30万円 |
(2021年11月時点)
組込み・制御エンジニアの仕事と給与
家電製品やIT機器の内部で動作するシステムを開発するのが組込み・制御エンジニアの役割です。
炊飯器などの家電には「マイコン」と呼ばれるコンピューターが搭載されており、音声出力やボタンの点滅など様々な機能を制御しています。
組込み系の開発では、
- C言語やC++
- Java
- C#
などのプログラミング言語の知識が求められます。
また、リアルタイムOSと呼ばれる、時間制約のある処理を実行するための特殊なOSに関する理解も必要とされます。
組込み・制御エンジニアは、ユーザーに不具合の少ないシステムやプログラムを提供する責務があります。
この職種の平均年収は577万円で、
最高額 | 1700万円 |
最低額 | 250万円 |
となっています(2021年11月時点)。
AIエンジニア(人工知能)の仕事と必要なスキル
人工知能を活用したアプリケーションの開発を担うITエンジニアが、AIエンジニアです。
AIエンジニアは、以下の業務を行います。
- アプリケーションの設計
- アプリケーションの開発
- アプリケーションの保守
例えば、人工知能が搭載された「スマート冷蔵庫」などの製品開発に携わります。
AIエンジニアには、以下の知識が求められます。
- Python等の機械学習やディープラーニングに適したプログラミング言語の知識
- NumPy、Pandas、scikit-learnなどの機械学習・ディープラーニング向けフレームワークやライブラリに関する知識
AIエンジニアの単価は以下の通りです(2021年11月時点)。
平均単価 | 78.3万円 |
---|---|
最高単価 | 200万円 |
最低単価 | 20万円 |
機械学習エンジニアの仕事と給与
機械学習の高度な技術を活用してプログラムを構築するのが機械学習エンジニアの役割です。人工知能分野の中でも、機械学習に特化した専門家と言えます。
機械学習エンジニアには、以下の能力が求められます。
- Python言語の基礎知識
- 機械学習やディープラーニングに適したフレームワークやライブラリを扱う能力
- データベースの知識
機械学習エンジニアの平均単価は81.3万円程度ですが、最高で200万円、最低でも20万円の幅があります(2021年11月時点の情報です)。
データサイエンティストの重要性と必要スキル
データ分析の専門家は、企業に有益な情報を提供するIT技術者です。
特に、ソーシャルメディアなどから収集されるビッグデータには、企業にとって価値ある情報が多数含まれており、そのデータを企業戦略にいかに活用するかが重要な課題となっています。
データ分析の専門家には、以下の知識・スキルが求められます。
- 統計学、論理的思考力、ビジネススキルに関する知識
- SPSS、Tableau、SASなどのデータ分析ツールを使いこなす能力
- Python、Rなどのデータ分析・解析に適したプログラミング言語のスキル・知識
データ分析の専門家の年収は以下の通りです(2021年11月時点)。
平均年収 | 901,000円 |
---|---|
最高年収 | 2,000,000円 |
最低年収 | 200,000円 |
PMの役割と必要なスキル
プロジェクトの全体を統括する役割を担うのがITエンジニアのプロジェクトマネージャーです。
プロジェクト開始前に、クライアントと協議しながらスケジュール、コスト、人員を決定します。
プロジェクト開始後は、
- システムエンジニアやプログラマーに指示を出し
- スケジュールが守られているかをチェックする必要があります。
プロジェクトマネージャーには、リーダーシップ、コミュニケーション能力、俯瞰力、マネジメント力、幅広いIT知識が求められます。
実際にプロジェクトマネージャーとして活躍している人の多くは、システムエンジニアやプログラマーの経験があります。
プロジェクトマネージャーの平均単価 | 82.1万円 |
最高単価 | 200万円 |
最低単価 | 20万円 |
(2021年11月時点)
コンサルタントの仕事と必要なスキル
コンサルティング業務は、顧客企業の課題を解決するための提言を行うことが主な役割です。
顧客企業の現状を把握し、最適なシステム開発案を提示することが求められます。
この職種には、以下が必要不可欠です。
- 企業の問題点を分析する力
- 解決策を提案するためのIT知識や業界知識
- 論理的思考力
- 顧客を説得するためのコミュニケーション能力
- プレゼンテーション力
コンサルタントの平均報酬は以下の通りです(2021年11月時点)。
平均報酬 | 84.7万円 |
最高額 | 220万円 |
最低額 | 10万円 |
ITエンジニアの将来性
ITスペシャリストの需要は今後も高まると予想されます。
経済産業省の調査によれば、2030年にはIT人材が最大79万人不足する可能性があるそうです。
このデータからも、この分野の将来性が窺えます。
現代社会ではコンピューターやスマートフォンなどのIT製品が私たちの生活に浸透し、利用時間も長くなっています。
- ウェブシステム
- モバイルアプリ
- ゲーム
- 家電製品
など、IT関連の製品は日々進化を遂げ、新しいものが次々と登場しています。
そのため、これらの製品を開発するIT技術者や関連する仕事の需要は、今後も高水準で推移するでしょう。
さらに、ITエンジニアの職務はAI(人工知能)に置き換えられる可能性が低いと考えられます。
AI技術の進歩により、多くの仕事が機械化されると言われていますが、単純作業ばかりでなく、創造性や人間らしい思考が求められるITエンジニアの仕事は、AIに代替されにくい分野だと思われます。
以上の理由から、ITスペシャリストの将来展望は明るいと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、ITエンジニアの様々な職種とその内容、必要なスキル、平均単価などについて説明しました。
ITエンジニアには多くの職種があり、目指す職種によって求められるスキルや知識が異なります。
将来のキャリアを見据え、自分に合った職種を選び、必要な学習を行うことが重要です。
ITエンジニアは将来性が高く、フリーランスとして独立する選択肢もあり、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」を利用することができます。
この記事を参考にITエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。ITエンジニアとしての活躍を期待しています。