偽装請負とは何か?準委任との違いや法令違反および罰則の対象にならないための注意点

労働法規に抵触する偽装請負は、重大な違法行為であり、制裁の対象となります。
エンジニアとして適切に業務を遂行していたにもかかわらず、突如として違法状態にあったと知らされ、職を失うリスクがあります。
フリーランスや常駐勤務を希望する技術者は、無知による偽装請負に陥らぬよう、その実態と危険性を十分に理解する必要があります。
本稿では、以下の点を解説します。

  • 偽装請負の概要
  • エンジニアが被るリスク
  • 適法な雇用関係を維持するための留意点

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偽装請負に関する基礎知識

偽装請負に関する基礎知識

偽装請負の概念について初めに説明しましょう。
請負とは、労働者が企業から直接雇用されるのではなく、別の会社に雇用され、その会社から労働者派遣を受けることを指します。
しかし、実態としては派遣先の企業が労働者に対して指揮命令を行っている場合、これは偽装請負と見なされます。
つまり、

  • 形式上は請負契約であっても、実質的には直接雇用と同様の状態にあり、労働者保護の観点から問題があるとされているのです。

偽装請負の問題点と注意点

業務委託契約における発注者と労働者の関係では、直接的な指示や命令は認められていません。
直接的な指示や命令を行うには、直接雇用契約または労働者派遣契約が必要です。
偽装請負とは、業務委託契約にもかかわらず、直接的な指示や命令を行うことを指し、本来は労働者派遣契約を結ぶべきため、法律違反となります。
偽装請負には双方に罰則があり、労働者側も無知では済まされません。
契約時に気づきにくいため、労働者が騙されて働くケースが後を絶ちません。
発注者や雇用者の悪意がなくとも、労働者側に利点があれば偽装請負となる可能性があり、隠蔽されやすいのが問題です。

偽装請負の背景と問題点

偽装請負が発生する背景には、請負契約における労働者の保護が不十分であることが挙げられます。

  • 労働者派遣契約では法的な保護が受けられますが、請負契約の場合は容易に契約を終了させられる可能性があります。
  • 本来、請負契約では直接的な指示や命令は控えるべきですが、雇用主側は自由に解雇でき、かつ指示を出せる方が都合がよいため、偽装請負が生じがちです。

また、請負契約であれば労働者が直接報酬を得られるはずですが、派遣元を介すると手数料が発生し、中間搾取となってしまいます。
結果として、発注元や派遣元の利益のために、労働者は低い報酬で責任を負わされ、雇用主側に都合のよい人材活用が行われてしまうのです。

偽装請負の問題点と法的規制

労働者の権利を守るために、法令では偽装請負を違法行為とし、罰則を設けています。労働者の立場は弱く、発注者や雇用主に搾取されかねません。偽装請負では責任が労働者側にあり、損害賠償請求のリスクもあります。

企業は必要に応じて労働力を調達したいが、労働者は生活の糧を奪われかねません。そのため、法的保護が必要不可欠です。

  • 正規の労働者派遣制度があるにもかかわらず、偽装請負が行われるのは、企業都合が優先されるためです。
  • 労働者保護のため、法令違反には罰則が課されています。

請負契約と準委任契約の違い

契約形態には請負契約と準委任契約があり、それぞれ報酬を得る条件が異なります。

  • 請負契約では成果物の完成が条件であり、納期を守ることで報酬が支払われます。
  • 一方、準委任契約では特定の業務を遂行することが条件となり、一定期間業務に従事することで報酬を得ることができます。

請負契約の場合、発注者は成果物の完成に向けて指示や命令を出すことはできません。
準委任契約においても、特定業務の遂行過程で指示や命令を受けることはなく、労働者側の裁量で業務を進めていきます。
エンジニアの例で言えば、要件を満たすプログラムの開発が請負契約、プロジェクト内の特定業務担当が準委任契約と捉えられます。
準委任契約では条件変更があれば対応が求められますが、偽装請負の場合は本来指示できない成果物に対して指示や命令が出されてしまうため、法令違反ながら都合の良い存在となってしまいます。

偽装請負の実態と課題

労働者を派遣する企業の中には、適切な許可を得ずに偽装請負を行っている悪質な事例も存在します。法的には労働者派遣事業として認められていないにもかかわらず、実質的には偽装請負によって労働者を派遣しているのが実情です。

一般の労働者は法律の詳細を熟知しているわけではありません。そのため、

  • 生活のために収入を得る必要があり、様々な働き口を探すことになります。
  • 転職活動に疲れを感じた人の中には、契約内容を十分に確認せずに就労を開始してしまう者もいます。

偽装請負契約では、成果物の完成責任を負いながらも、場合によっては損害賠償などのリスクを抱えつつ、不利な立場を甘受することになります。

早期に収入を得たい労働者と、都合の良い人材を求める派遣元や雇用主がマッチングしてしまうため、偽装請負を完全に防ぐことができないのが現状です。

偽装請負によるエンジニア側のリスク

偽装請負によるエンジニア側のリスク

偽装請負の問題においては、エンジニアにも様々な危険性が伴います。
偽装請負の実態が発覚した場合、エンジニアは不当な扱いを受ける可能性があります。

  • 適切な労働条件が保証されず、権利が侵害される恐れがあるのです。

このような事態を回避するためにも、企業側は適正な雇用関係を構築することが重要となります。
エンジニアの尊厳と安全を守るためには、法令を遵守し、公正な労働環境を整備する必要があります。

偽装請負によるエンジニアのリスク

偽装請負は法令違反であり、エンジニアにとって深刻な影響を及ぼします。

  • 労働者派遣法、職業安定法、労働基準法などの法律に抵触するため、場合によっては雇用主が罰則を受け、エンジニアは職を失う可能性があります。
  • 収入の喪失は避けられず、大きな打撃となります。
  • さらに、違法行為であることが判明すれば、エンジニアとしての志気は失せ、業界への信頼も揺らぐでしょう。
  • 結果として、キャリア形成を見直さざるを得なくなり、長期的な展望が立てられなくなるリスクがあります。

偽装請負のリスクと報酬の適正化

仲介業者を介すると、本来受け取れるはずの適正な報酬が搾取されてしまう危険性があります。
実際には仲介業者に支払われている金額を受け取れるはずなのに、仲介業者が大幅に搾取していれば、エンジニアとして得られる報酬が減少してしまいます。
現実的には、エンジニアの実績やスキルに応じた適切な報酬や年収を得るべきであり、実績やスキルに見合わない金額で働くこと自体がリスクとなります。
生涯年収の観点からも、エンジニアとしての実績やスキルに見合わない報酬で働いた期間があれば、非常に損失が大きくなります。
無知や生活の事情で仕方なく低報酬を受け入れた場合でも、結果として自身に降りかかる不利益を考えると、このような搾取は避けるべきです。

偽装請負の弊害

雇用主が偽装請負を行う背景には、以下の理由があります。

  • 職場環境の悪化による従業員の離職や退職
  • 企業や組織の維持のために違法な手段に走ること
  • 正社員や派遣労働者に比べ、偽装請負の方が人件費を抑えられるためコスト削減につながる

しかし、実際には以下のようなケースもあり得ます。

雇用主の上位にクライアントが存在し、クライアントからの報酬を確保しつつ、人件費を抑えるために偽装請負を選択する。

このような行為は極めて不適切であり、以下のリスクがあります。

  • サービス残業や休日出勤が常態化する
  • 法令違反のリスクがある
  • エンジニアが健康被害を受けた場合でも補償がない

そのため、偽装請負は避けるべきです。

偽装請負の危険性

雇用主が不適切な雇用形態を選択した場合、労働者側にも法的リスクが及ぶ可能性があります。
労働者は単に業務に従事しているつもりでも、実際には違法行為に関与していた可能性があります。
その結果、労働者自身が責任を問われる事態に陥る恐れがあります。
誠実に働いていたつもりでも、雇用主の不当な行為により、労働者が犯罪者となってしまうリスクさえあります。
したがって、不適切な雇用形態は労働者にとって何の利益もなく、

  • 法的リスクのみを負うことになります。

偽装請負の危険性

偽装請負の場合でも、契約上は請負契約として扱われます。しかし、契約内容によっては予期せぬ責任を負う可能性があります。

例えば、

  • 違法行為と知らずに作業を行っていた場合、事件が発覚すれば損害賠償を求められるかもしれません。
  • 成果物の完成や納期、品質基準の達成など、契約条件を満たせなければ、雇用主の顧客から賠償請求される恐れがあります。
  • 指示や命令に従って作業を行った結果、不具合やエラーが発生した場合にも、エンジニア個人に責任が及ぶ可能性があります。

偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点(2024年6月)

偽装請負による法令違反や罰則の対象とならないための注意点(2024年6月)

労働法規を遵守するための重要なポイントを説明しましょう。
偽装請負と見なされないためには、適切な業務委託契約を締結し、発注者による指揮命令関係がないことが不可欠です。

  • 委託業務の範囲や成果物の明確化
  • 委託先の業務遂行方法への不当な介入を控えること

が肝心です。
法令違反を避けるには、専門家のアドバイスを仰ぐことをお勧めします。

請負契約と偽装請負への注意

雇用関係や契約内容を入念に確認することが重要です。
疑問点があれば、複数の情報源から情報を収集し、一つの案件だけで判断するのは避けましょう。
派遣会社との契約が実際は請負契約になっていないか、注意が必要です。

  • 担当する業務内容を十分に理解し、成果物の完成や納期までの納品が求められる場合は、請負契約の可能性があります。
  • 責任範囲についても確認しましょう。

契約形態に関わらず、エンジニア側の責任も存在するため、過度な責任や損害賠償条項には注意を払いましょう。
業務内容が実質的に成果物の納品と同等の場合も、請負契約と見なされる可能性があります。
請負契約は直接の契約関係となるため、派遣会社を介した請負契約は偽装請負と判断される点に留意が必要です。

偽装請負に注意

労働契約の実態を把握することが重要です。契約書の内容と実際の業務内容が異なる場合があります。
指揮命令系統や報酬の支払い方法を確認し、業務の実態を明らかにしましょう。
現場では契約書とは異なる指示や命令が出される可能性があります。
そうした場合、派遣元や専門家に相談し、契約内容と実態の違いについて適切な対応を検討する必要があります。
良かれと思って業務を引き受けても、結果的に不適切な雇用形態になってしまう恐れがあるためです。

偽装請負に注意、働き方の選択肢を広げよう

雇用契約を締結する前に、偽装請負の疑いがある場合は断固として契約を控えるべきです。
転職を急ぐあまり、あるいは収入が途絶えているために冷静な判断ができなくなり、つなぎの形で偽装請負に手を染めてしまえば、ブラック企業の環境から抜け出すのが困難になります。
偽装請負を行う企業は違法行為にも手を染めている可能性が高く、事前に排除することが肝心です。

  • 複数の選択肢を用意し、情報収集を怠らず、偽装請負の疑いのある企業を見極める努力が必要不可欠です。

偽装請該の危険に直面したタイミングは、エンジニアとしての働き方を見直す好機ともなります。

正社員 派遣社員 フリーランス
など、様々な選択肢を検討することで、より良い環境を見つけられるでしょう。

フリーランスエンジニアの落とし穴

エンジニアがフリーランスとして活動する際、様々な契約形態を理解した上で業務を請け負うことがあります。準委任契約のように働きやすい環境を求めたり、スキルアップにつながる短期的な仕事を希望したりする場合もあるでしょう。

しかし、案件を確保するために必死になりすぎると、クライアントの要求に応えられなければ仕事が得られないと焦ってしまうリスクがあります。

  • エンジニア経験しかない場合、営業や経理など全ての業務を一人で行いながら、継続的に案件を獲得するのは容易ではありません。
  • 仕事が思うように獲れず、一時的に収入が減少するといったネガティブな状況に陥ると、エンジニア自身が偽装請負と同様の行為に走ってしまう可能性もあります。

つまり、エンジニアとしての良心や弱みにつけ込まれ、契約外の業務を押し付けられるリスクがあるのです。そのため、契約の範囲を超えた要求は断る覚悟が必要不可欠です。

偽装請負の危険性と対処法

偽装請負には深刻なリスクが伴います。不当な損害賠償を求められたり、違法行為に加担させられる可能性があります。
誠実に働いていても、トラブルに巻き込まれ、エンジニアとしての活動が困難になる恐れがあります。

  • 契約内容と実際の業務が異なる
  • 不利益な契約内容
  • 違法行為につながる可能性を感じたら、すぐに法律専門家に相談しましょう。

また、雇用主が不当な要求を押し付け、責任を転嫁しようとする悪質な事例もあります。

  • 業務範囲の逸脱や成果物の完成が困難な場合も、専門家に相談し、違法な契約からの解放を図ることが重要です。

まとめ

まとめ

この記事では、偽装請負の基本的な知識、エンジニアが直面するリスク、そして法令違反や罰則を回避するための注意点について説明しました。
偽装請負は予期せぬリスクをもたらすだけでなく、明らかに違法な行為であり、健全な労働環境とは言えません。
雇用主が負うべき責任を負わず、真摯に働こうとするエンジニアの労働力を搾取している行為でもあります。
万が一、責任を問われたり、適切な報酬を受け取れていなかったりすれば、エンジニアとしての成長は阻害されてしまうでしょう。
長期的にエンジニアとして活躍したいのであれば、法律や規制についても学び、自身を守る備えが重要です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。