教育とIT技術を融合したEdTechは、近年注目を集めている分野です。テクノロジーや教育に携わる人々にとって、馴染みのある概念かもしれません。IT技術は多くの産業に革新をもたらしていますが、教育分野もその例外ではありません。
この分野で先駆的な役割を果たしている企業の一つが、スタディプラス株式会社です。本記事では、この企業のビジネスモデルについて詳細に解説します。同時に、EdTech業界全体の動向についても考察を加えていきます。
EdTechは、従来の教育方法に新たな可能性をもたらし、学習者と教育者双方に革新的なツールを提供しています。スタディプラス社の事例を通じて、この新しい教育技術がどのように実践されているかを探ります。
気になる内容をタップ
EdTech業界の拡大続く、2026年には3,000億円規模へ
EdTechは新しい分野ながら、着実に成長を続けています。
市場調査によると、2025年までに市場規模が1,000億円以上拡大すると予測されています。
この分野では、多様な技術が活用され、幅広いサービスが提供されています:
- SNS
- ビッグデータ
特に注目されているのは、AIを用いて個々の学習者に最適化された学習を提供するアダプティブラーニングです。
このように、EdTechは教育と技術の融合により、より効果的で個別化された学習体験を実現しようとしています。
EdTechの主な分野
EdTechは主に3つの分野に分類されます:
- オンライン学習
- 学習者間および教師とのコミュニケーションプラットフォーム
- 学習管理システム
「オンライン学習」は従来のeラーニングを進化させた分野で、最近ではVR技術を活用したバーチャル講義など、革新的なサービスが登場しています。2番目と3番目の分野は、直接的な教育ではなく、学習プロセスをサポートする仕組みを提供します。
これらの分野の中で、特に注目されているのが学習支援と管理に特化したサービスです。このような「教える」以外のEdTechサービスは、学習効率の向上や個別化された学習体験の提供など、教育の新たな可能性を開拓しています。これらのサービスは、従来の教育方法を補完し、より効果的な学習環境の構築に貢献しています。
スタディプラス株式会社の主なサービス
スタディプラス株式会社は、主力製品の「Studyplus」を中心に、多様な教育関連サービスを展開しています。
同社のポートフォリオには、学習者のニーズに応える様々なソリューションが含まれており、それぞれが独自の特徴を持っています。
これらのサービスは、現代の教育環境に適応し、効果的な学習体験を提供することを目指して設計されています。
受験生向け多機能学習管理アプリ
大学受験を目指す高校生に特に人気の高い学習管理ツールです。
パソコンだけでなくスマートフォンでも利用可能で、使いやすさが特徴です。
- 勉強時間を簡単に計測でき、その記録を日別、週別、月別のグラフで視覚的に確認できます。
- 使用している参考書をバーコードで登録し、アプリ内で整理したり評価したりする機能も備えています。
- アプリ内でSNSのような交流機能があり、同じ目標を持つ仲間と励まし合うことができます。
これは、周りに同じ志を持つ仲間がいない学生にとって、特に魅力的な機能といえるでしょう。
学習管理・指導支援システム
こちらは学習塾の指導者を主な対象としたサービスです。
生徒の学習時間、学習計画、面談時間などの情報を収集し、グラフ化して視覚的に把握しやすくします。
このサービス内では、以下の機能が備わっています:
- 生徒とオンラインでメッセージのやりとりができる機能
- 生徒の学習活動に変化が見られた際に通知するアシスタント機能
- LINEと連携することで、生徒の学習データを保護者に直接共有できる機能
参考書読み放題サブスクの台頭
受験生向けの人気参考書が読み放題となるサブスクリプションサービスが注目を集めています。
スマートフォンを使って、多数の参考書を手軽に持ち運べるため、学生にとって非常に便利なツールとなっています。
このサービスはStudyplusと連携しており、以下を取り揃えています:
- 一般的な参考書
- オリジナルの参考書
さらに、他のEdTech企業との連携を促進するため、Studyplusのサービスと教材アプリを簡単に連携できるAPIプラットフォームの開発も進めています。
これらの取り組みにより、教育テクノロジー分野での革新が加速することが期待されています。
大学受験生の半数が使う超人気サービスとなったStudyplus
Studyplusは、総ユーザー数500万人を超える人気の学習支援サービスです。受験生の半数が利用しているという事実からも、その評判の高さがうかがえます。
- 2016年には日本e-ラーニング大賞を受賞
- Google Playでも2年連続でベストアプリに選出
など、その品質と有用性が広く認められています。
また、学習塾向けのサービス「for School」も500校以上の予備校で採用されており、教育機関からの信頼も厚いことがわかります。企業としても、シリーズCラウンドまでの資金調達で累計17億円を獲得するなど、財務面でも順調な成長を遂げています。
これらの実績から、Studyplusは教育テクノロジー分野において、サービスとしても企業としても大きな成功を収めていると評価できるでしょう。
サービスごとに異なるビジネスモデル
この会社は、中核となるサービスにおいて、
2種類の事業モデルを運営しています。
Studyplusの無料学習支援と広告戦略
Studyplusは、誰もが無料で利用できる学習支援サービスです。
広告収入により、無料でありながら充実した機能を提供しています。
主なユーザーは大学受験生で、高校生をターゲットにした教育機関からの広告が中心となっています。
少子化や広告のデジタル化の影響で、大学からの広告収入は増加傾向にあります。
多くの高校生向けアプリがエンターテイメント系である中、Studyplusは学習に特化しているため、教育機関にとって安心して広告を出せるプラットフォームとなっています。
スタディプラス株式会社は、ユーザーデータを活用して効果的な広告配信を行うためのプラットフォームも自社で開発しており、より精密なターゲティングを可能にしています。
教育分野におけるサブスクリプションモデルの台頭
Studyplus for Schoolは、学習塾や教育機関向けに提供されるサービスで、生徒1人あたり月額750円で利用できます。
これは、ソフトウェアをサービスとして提供し、利用料を得るSaaSの典型的なビジネスモデルです。
一方、参考書読み放題サービスのPORTOは、ユーザーが直接月額980円を支払う月額制サービスです。
両サービスともサブスクリプション型のビジネスモデルを採用しており、ユーザーは一定期間ごとに料金を支払って継続利用します。
多くの場合、無料トライアル期間が設けられており、ユーザーはサービスを試した後に有料プランへの移行を決めることができます。
このようなモデルは、教育分野でも広く採用されつつあります。
SaaS(サブスク)型へのさらなるシフトは続くのか?
スタディプラス株式会社は、現在主力事業として広告収益モデルのStudyplusを展開しています。
しかし、同社は将来的な事業展開を見据え、サブスクリプション型のSaaSサービスにも注力しています。
この新たな方向性に向けて資金調達を実施しており、今後はビジネスモデルの重心がサブスクリプション型へとシフトしていく可能性が高まっています。
Studyplusが有料版をスタート
2020年3月、「Studyplus」は有料版の提供を開始しました。
月額600円または年間4,800円の2つのプランから選択できるサブスクリプションサービスとなっています。
有料版では以下の機能が利用可能になりました:
- 広告が非表示
- タイムラインのミュート
- お気に入り機能の追加
- イベントカウントダウンの登録数増加
これにより、ユーザーはより快適で効果的な学習環境を得られるようになりました。
スタディプラスの機能拡充と収益戦略
将来的には、仲間との勉強計画共有機能やAIを活用した個別コーチング機能など、さらなる機能拡充が予定されています。
スタディプラスは、ユーザー体験を重視し、アプリ内の広告要素を最小限に抑える方針を示しています。
企業戦略としては、以下の方向性が見られます:
- サブスクリプションサービスの強化に注力
- 機能の充実と差別化を図る
同時に、大学広告のデジタル化も推進しており、広告収益の拡大とサブスクリプションサービスの両立を目指しています。
これらの取り組みにより、ユーザーにとってより価値のあるサービスを提供することが期待されています。
スタディプラス株式会社のベンチャーとしてのビジョン
スタディプラス株式会社は、教育における機会均等を重視し、すべての人々に学習の喜びを提供することを企業理念としています。
同社の代表取締役社長である廣瀬氏は、公の場で、同社が開発・運営するStudyplusというサービスを通じて、教育格差の解消に取り組む決意を表明しました。
この取り組みは、社会的な課題に対する企業の責任を示すものとして注目されています。
親の背景が子どもの学習意欲に与える影響
親の背景が子どもの学力に影響を与えることは広く知られています。
しかし、廣瀬氏の指摘によると、親の経歴は子どもの基本的な「学習意欲」にも差をもたらすとのことです。
さらに、現在の教育制度はこの格差を拡大させる傾向にあると考えられています。
この問題は、単に学力だけでなく、子どもたちの将来的な可能性にも影響を及ぼす可能性があり、社会全体で取り組むべき重要な課題となっています。
教育機会の平等化を目指すStudyplus
Studyplusは、社会的背景に関係なく、すべての人が高い学習意欲を持つことの重要性を強調しています。
彼らの製品「Studyplus for School」は、以下の幅広い教育機関に導入されています:
- 都市部の学習塾
- 過疎地域の教育機関
- 経済的に恵まれない層向けの施設
これは、同社が掲げるミッションである「誰もが平等に学べる機会の創出」を実践している証といえるでしょう。
彼らの取り組みは、教育の機会均等を推進し、社会全体の学習環境の向上に貢献しています。
スタディプラス株式会社への転職情報
ここまでの紹介内容を通じて、スタディプラス株式会社に関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。
同社は教育テクノロジー分野で革新的なサービスを提供し、成長を続けている企業です。
その独自の企業文化や、社員の成長を重視する姿勢は、キャリアアップを目指す方々にとって魅力的な環境といえるでしょう。
今後の展開にも期待が高まります。
スタディプラス:若き精鋭が挑む教育スタートアップ
スタディプラスは、30代の社長と社員が中心となる若い企業文化が特徴です。
多くのユーザーを抱えるサービスを展開しながらも、会社規模は小さく精鋭揃いのスタートアップ企業として運営されています。
新規事業への挑戦も盛んで、活発なコミュニケーション能力を持つ人材が求められています。
応募の際は、以下の点をアピールすることが重要です:
- 同社のサービスに対する理解と共感
- 自主的な学習姿勢
さらに、教育分野での経験や教育に対する熱意を示すことができれば、採用において有利に働く可能性が高いでしょう。
スタディプラス社の多彩な人材募集
スタディプラス株式会社では、多岐にわたる職種の募集を行っています。
- エンジニアや法務担当者といった専門職
- 新規事業に関わるポジション
特に注目すべきは、マーケティングプランナーの募集が活発なことです。これは、会社の成長戦略と密接に関連しています。
サービスの普及と拡大に情熱を持つ方にとって、魅力的な職場環境が整っていると言えるでしょう。
常に変化を続けるスタディプラス株式会社とEdTech業界
EdTech業界は近年急速に注目を集めており、スタディプラス株式会社はこの分野で先駆的な役割を果たしています。教育のデジタル化と生活様式の変化に伴い、EdTechはますます私たちの日常に浸透していくと予想されます。
スタディプラス株式会社は、拡大を続けながらも積極的にビジネスモデルの転換に取り組む革新的なスタートアップです。彼らは常に新しいサービスを開発し、教育分野に変革をもたらし続けています。
IT技術を活用した教育サービスに関心がある方にとって、スタディプラス株式会社は注目に値する企業です。彼らの取り組みや最新のサービスについて調べることで、EdTech業界の最前線を知ることができるでしょう。今後も、この企業がどのように教育の未来を形作っていくのか、目が離せません。