「内定」と「内々定」の違いって何？

最終面接に合格した後、企業や転職エージェントから「内定」の連絡を受けることは喜ばしい出来事です。

ただし、企業によっては「内々定」という表現を用いることもあります。

「内々定」と「内定」の間に実質的な違いはあるのでしょうか。

この記事では、以下の点について詳しく解説します：

• 両者の違いや法的な意味合い
• 転職活動中の方々が知っておくべき重要なポイント

転職プロセスにおける内定の位置づけや、求職者が注意すべき事項についても触れていきます。

「内々定」と「内定」の法的性質における違いとは

内々定の意味と特徴

内々定とは、企業と正式な労働契約を結ぶ前の段階を指す概念です。

通常、最終面接に合格した求職者に対して通知されます。

この段階では、まだ内定通知書への同意や労働契約の締結は行われていません。

そのため、内々定を受けた人が入社を辞退しても、法的な責任を負うことはありません。

内々定は、企業と求職者の間の非公式な合意であり、双方が本採用に向けて進む意思を示す段階と言えます。

内定の意味と成立過程

内定とは、企業と労働者の間で正式な雇用契約が結ばれた状態を指します。

これは入社が確定したことを意味し、法的な拘束力を持ちます。

通常、以下の過程を経て内定が成立します：

• 最終面接に合格
• オファー面談
• 候補者が入社承諾書に同意

この過程を経ることで、企業と労働者の間に雇用関係が生まれるのです。

内々定と内定の違い

「内々定」と「内定」は就職活動における重要な段階を表す用語ですが、その法的な位置づけが異なります。

「内々定」は企業からの採用の意思表示ではありますが、正式な労働契約はまだ結ばれていない状態を指します。そのため、法的な拘束力はありません。

一方、「内定」は企業と求職者の間で労働契約が締結された状態を意味し、法的な拘束力が生じています。

つまり、労働契約の有無が「内々定」と「内定」を区別する主な要素となっています。

「内々定」から「内定承諾」までの流れは？

最終面接合格後の対応と内定承諾の期間

最終面接に合格した後、転職活動中の人はどのように対応すべきでしょうか。

企業側は通常、優秀な候補者に対して転職活動を終了し、内定を承諾してもらうことを望んでいます。これは、他社への入社を防ぎ、限られた採用枠を効率的に埋めるためです。

内々定を出すことは、企業が「ぜひ入社してほしい」という強い意思表示です。そのため、合格者には迅速な対応が求められます。一般的に、内定を受諾するかどうかの返答は1週間以内、遅くとも2週間以内に行うことが期待されます。

この期間中、候補者は慎重に検討し、自身のキャリアプランと企業の提案を照らし合わせる必要があります。また、他の進行中の選考プロセスがある場合は、それらの状況も考慮に入れるべきでしょう。最終的には、自分の将来にとって最適な選択をすることが重要です。

内々定後の迅速な対応の重要性

企業は最終面接に合格した候補者に「内々定」を通知し、入社への強い期待を示します。

ただし、内定承諾までに時間がかかると、志望度を疑われる可能性があります。そのため、最終面接後すぐに内定の連絡を受けた場合の対応を事前に考えておくことが賢明です。

近年では、最終面接合格者に対してオファー面談を行う企業も増えています。特に第一志望の企業から合格通知を受けた場合は、迅速に日程調整を行うことが重要です。これにより、企業側に強い入社意欲を示すことができます。

労働条件通知書と入社承諾書の違いについて

労働条件通知書の重要性と対応

労働条件通知書は、最終面接に合格した候補者に対して、採用時の労働条件を通知するための重要な書面です。この文書には、理論年収、勤務時間、転勤の可能性など、雇用に関する主要な条件が詳細に記載されています。企業によっては、この文書を「内定通知書」「採用通知書」または「雇用契約書」と呼ぶこともあります。

近年では、最終面接合格後に、企業や転職エージェントからメールで労働条件通知書が送付されることも増えています。受け取った際は、内容を慎重に確認し、できるだけ迅速に返信することが望ましいです。もし何らかの理由で返答に時間がかかる場合は、検討期間と返答予定日を明確にして企業側に連絡することが重要です。これにより、専門性と誠実さを示すことができます。

入社承諾書の役割と提出プロセス

入社承諾書は、企業からの内定を受けて入社の意思を表明する重要な文書です。

通常、内定通知を受け取った後に、企業から提出を求められます。

この書類は、労働条件通知書と共に以下の方法で受け取ることが多いです：

• メールで送られてくる
• 最終面接に合格した後のオファー面談で直接手渡される

提出方法としては、後日郵送で企業に送り返すのが一般的です。

入社承諾書の提出は、求職者と企業の間で正式な合意が成立したことを示す重要なステップとなります。

内定承諾から入社日まで準備することは？

内定承諾書に同意し企業へ提出すると、入社日までの待機期間に入ります。

最終面接合格後、労働条件通知書や内定承諾書が企業から送られてこない場合は、積極的に確認を取るべきです。

また、労働条件に不明点がある場合も同様に問い合わせましょう。

人材紹介サービスを利用している場合、担当の転職エージェントやキャリアアドバイザーに相談するのも有効な選択肢です。

専門家を介することで、以下のような利点があります：

• 書類のやり取りにおける時間的負担の軽減
• 条件交渉における精神的負担の軽減

内定承諾した人が、内定辞退をする場合は？

内定辞退のリスクと適切な対応

入社承諾書に同意した後、別の企業への入社や現職残留を決めた場合、速やかに内定を出した企業へ連絡し、辞退の意思を伝える必要があります。

ただし、企業側はすでに入社準備を進めている可能性が高いため、慎重な対応が求められます。

特に入社直前の辞退や、企業の信頼を大きく損なうような形での辞退は避けるべきです。そのような場合、企業側が内定者に対して損害賠償を請求する可能性があります。

実際に、過去の裁判例（東京地裁平成24年12月28日）でも、企業側による損害賠償請求が認められたケースがあります。

内定辞退の際は、このようなリスクを十分に認識し、適切な対応を心がけることが重要です。

内定辞退の適切な対処法

キャリアの方向性を熟考した結果、内定を辞退せざるを得ない状況に直面した場合の対処法について考えてみましょう。

内定辞退に伴う損害賠償の可能性は、実際には低いと言えます。これは過去の事例からも裏付けられています。

しかし、内定辞退の連絡をすることに心理的な負担を感じる人も少なくありません。将来的に、辞退した企業と取引先として関わる可能性もあるため、慎重に対応する必要があります。

内定辞退の際は、必ず企業に直接連絡を入れることが重要です。連絡なしの辞退は、企業との信頼関係を著しく損なう結果となります。

どのような理由であれ、誠実に説明し、相談することが望ましいでしょう。

まとめ

本記事では、内々定と内定の違い、法的性質、そして内々定から入社承諾までの流れについて解説しました。

最終面接に合格した後は、労働条件通知書を慎重に確認し、1週間程度で入社承諾書に同意することが重要です。これにより、企業に対して高い入社意欲を示すことができ、入社後の印象も良くなります。

ただし、内定承諾を遅らせるなどの行為は、企業から入社意志がないと誤解される可能性があるため注意が必要です。最終面接合格後は心理的に安心しがちですが、労働条件通知書の確認や入社承諾書への同意など、書面での確認を怠らないようにしましょう。

転職は人生やキャリアに大きな影響を与える重要な決断です。内定承諾後も入社前まで悩み、転職活動を続けるか現職に留まるかを再考することもあるでしょう。しかし、入社直前の内定辞退は企業との信頼関係を損ねる可能性があり、場合によっては損害賠償請求のリスクもあります。内定辞退を考えている場合は、速やかに連絡を入れることが大切です。

内々定や内定に関する法的な疑問や、労働条件通知書、入社承諾書について不明点がある場合は、一人で悩まず企業に直接確認するか、担当者に相談することをおすすめします。これにより、入社までの心理的負担を軽減し、スムーズに新しい職場へ移行することができるでしょう。