eスポーツという言葉が近年注目を集めています。
この新しいスポーツジャンルは、特に若い世代の間で急速に人気を高めており、市場規模も拡大の一途をたどっています。
多くの若者がeスポーツに詳しく、競技を目指してゲームに取り組む人も増えています。
eスポーツの将来性は非常に高く、様々な人気オンラインゲームが競技として採用されています。
この成長産業は、今後さらなる発展が期待されており、ゲーム業界だけでなく、エンターテインメント全体に大きな影響を与える可能性があります。
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eスポーツとは?
eスポーツとは、ビデオゲームを用いて競技として対戦を行う活動の総称です。
この言葉は「エレクトロニック・スポーツ」の略称として広く知られています。
近年、eスポーツの人気は世界中で急速に高まっており、特に海外では大規模な大会が頻繁に開催されています。
これらの大会では、一万人以上の観客を集める巨大な会場が使用されることも珍しくありません。
eスポーツの成長は、デジタル時代におけるスポーツの新しい形態として注目を集めています。
eスポーツの主要ジャンルと代表作
格闘ゲームは日本のeスポーツの基盤を築いたジャンルで、ストリートファイターや大乱闘スマッシュブラザーズが有名です。
短時間で決着がつき、結果が明確なのが特徴です。
多くのプロゲーマーが得意とし、メディアでの露出も多いです。
スポーツゲームでは、サッカーを再現したウイニングイレブンやFIFAシリーズが人気です。
スコアで優劣が判断しやすいのが特徴です。
MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)は、複数プレイヤーで協力して戦う陣取りゲームです。
LeagueofLegendsやDota2などのPCゲームが代表作で、高額賞金の大会が開催されることもあります。
シューターゲームは、銃で対戦相手を倒し続けるゲームです。
視点の違いによりFPS(一人称視点)とTPS(三人称視点)に分類されます。
場面の変化が激しく、臨場感があります。
代表作には以下があります:
- コールオブデューティー(FPS)
- フォートナイト(TPS)
CCG(Collectible Card Game)は、オンラインのデジタルトレーディングカードゲームです。
ハースストーンやシャドウバースなどが代表的なタイトルとして知られています。
eスポーツの公認条件と国際大会での採用実績
eスポーツの公認条件は、日本eスポーツ連合(JeSU)によると、競技性、稼働実績、大会の継続、興行性の4つを満たすことです。
eスポーツには、以下のような多様なジャンルがあります:
- FPS
- 格闘ゲーム
- スポーツゲーム
- MOBA
- RTS
- レーシングゲーム
- パズルゲーム
- トレーディングカードゲーム
- オンラインストラテジーゲーム
- MMORPG
国際大会での採用実績を見ると、2007年のアジアインドアゲームズでは『FIFA 07』『NBAライブ07』『ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド』の3タイトルが正式なメダル種目となりました。
2018年のアジア競技大会では初めて公開競技として採用され、『ウイニングイレブン 2018』『クラッシュ・ロワイヤル』『StarCraft II: Legacy of the Void』『ハースストーン』『League of Legends』『Arena of Valor』の6種目が実施されました。
2022年のアジア競技大会(1年延期)では、以下の8種目が予定されています:
- 『伝説対決 -Arena of Valor-(アジア競技大会バージョン)』
- 『Dota 2』
- 『Dream Three Kingdoms 2』
- 『EA SPORTS FIFA branded soccer games』
- 『ハースストーン』
- 『League of Legends』
- 『PUBG Mobile(アジア競技大会バージョン)』
- 『ストリートファイターV』
これらの事例から、eスポーツの国際的な認知度と競技種目の多様化が進んでいることがわかります。
eスポーツの歴史と日本でのeスポーツ事情
eスポーツの発展と歴史
eスポーツの歴史は1972年、スタンフォード大学での大会が起源とされる説があります。プロゲーマーの始まりは1997年、アメリカで「サイバーアスリート・プロフェッショナル・リーグ(CPL)」が設立されたことが契機とされています。
1990年代には通信インフラの発展に伴い、海外を中心に大規模なゲーム大会が開催されるようになりました。2000年代はeスポーツが世界的に飛躍した時期と言われています。
この時期、韓国やドイツなどで次々とeスポーツ団体が設立されました。また、各国の企業や公的機関もeスポーツ市場の潜在性に着目し、積極的な参加や支援を行うようになりました。これらの動きがeスポーツの更なる発展と認知度向上につながっていきました。
日本eスポーツの起源と発展
日本のeスポーツの起源は、アーケードゲームと格闘ゲームに深く根ざしています。
1991年に登場した「ストリートファイター2」は、対戦型格闘ゲームとして大きな成功を収め、新たなゲーム文化を生み出しました。その後、セガから世界初の3D対戦格闘ゲーム「バーチャファイター」が発売され、格闘ゲームの人気は一層高まりました。
この時期に形成された対戦ゲームを通じた競争文化が、日本におけるeスポーツの基盤となったと言えるでしょう。2015年には一般社団法人日本eスポーツ協会(JeSPA)が設立され、eスポーツの組織化が進みました。
同時期に、プロゲーマーという新しい職業も注目を集めるようになりました。特に「ウメハラ選手」は、2010年にアメリカの周辺機器メーカーとスポンサー契約を結び、日本初のプロゲーマーとして知られています。このように、日本のeスポーツシーンは、アーケードゲームの文化を基盤としながら、徐々に発展を遂げてきたのです。
eスポーツの大会
日本のeスポーツを牽引する3大ゲーム
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALは、主に任天堂のゲームキャラクターが対戦する人気の格闘ゲームです。このeスポーツ大会は国内外から多くのプレイヤーを集め、2020年の「EVOJAPAN2020」では約3000人が参加する大規模なイベントとなりました。
ストリートファイターVは、日本のeスポーツの礎を築いたシリーズの最新作です。一対一の対戦形式で行われ、高額な賞金が特徴です。国内で頻繁に大会が開催され、トッププレイヤーの中には1000万円以上の賞金を獲得する者もいます。
スプラトゥーン2は、対戦型シューティングゲームとして人気を博しています。芸能人の対戦や実況配信など、メディアでも注目を集めています。国内外で大会が開催されており、プロゲーマーの多くは大会の賞金だけでなく、企業スポンサーやプロチームからの収入で活動しています。これらのゲームは、日本のeスポーツシーンを牽引する主要タイトルとなっています。
eスポーツの高額賞金大会:世界の人気ゲームタイトル
eスポーツの世界では、日本よりも先進的な国々で10億円を超える賞金が出る大会が開催されています。その代表的な例として、Dota2(ドータ2)というアクション・ストラテジーゲームがあります。5対5のチーム戦で相手の本拠地破壊を目指すこのゲームの2019年世界大会では、賞金総額が約37億円に達しました。
PCゲームであるDota2は、日本ではあまり知名度が高くありませんが、無料でダウンロードして遊べる手軽さが魅力です。プロゲーマーレベルの腕前になれば、数十億円を稼ぐ可能性もあるeスポーツの大型タイトルと言えるでしょう。
Fortnite(フォートナイト)は、TPSジャンルのバトルロイヤル形式シューティングゲームです。世界中で約2万人のプレイヤーを抱え、賞金総額10億円以上の大会も珍しくありません。2019年の世界大会では賞金総額が約32億円に達しました。銃撃戦の緊張感や爽快感が魅力のゲームです。
League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)は、Dota2に次ぐ人気を誇るストラテジーゲームです。大会のストリーミング配信では4500万人近くの視聴者を集めたこともあり、非常に注目度の高いタイトルとなっています。
eスポーツの市場規模
eスポーツ市場の急成長:中国とコロナの影響
eスポーツ市場は急速に成長しており、2023年には売上が1700億円を超えると予測されています。
この市場拡大の主な要因として、「中国」と「コロナ」という2つのキーワードが挙げられます。
2020年のデータによると、中国はeスポーツ全体の売上の約35%を占めており、市場の中心的な役割を果たしています。
また、新型コロナウイルスの影響で世界中で「お家時間」が増加したことも、eスポーツの人気と売上向上に寄与しました。
この状況下で、家庭でも楽しめるeスポーツに注目が集まり、世界的に有名なテニスプレイヤーの大阪なおみ選手など、著名人の参入によってさらに注目度が高まりました。
2020年のeスポーツの売上を事業別で見ると、最も大きな割合を占めたのはスポンサーシップで約676億円、次いでメディアライツが約194億円となっています。
これらの数字は、eスポーツ産業の多様な収益源と成長の可能性を示しています。
eスポーツ市場の成長要因と展望
eスポーツの市場規模拡大の主な要因として、以下の点が挙げられます。
- 選手とファンの増加が見込まれます。
- 大会数の増加も市場拡大に寄与するでしょう。
- スポンサーシップの売上高が示すように、世界中でスポンサー企業が増加傾向にあります。この傾向は日本においても顕著です。
技術面では、5Gの普及がeスポーツ市場に大きな影響を与えると予想されます。通信速度の飛躍的向上により、モバイル端末をプラットフォームとしたeスポーツの成長が期待されます。経済産業省も、eスポーツの主戦場がパソコンからスマートフォン、そしてクラウドへと移行していく可能性を指摘しています。
これらの要因が相まって、eスポーツ市場は今後さらなる成長を遂げると考えられます。
日本のeスポーツ市場、急成長の予測
日本のeスポーツ市場は急速に成長しており、日本eスポーツ連合(JeSU)の予測によると、2025年には180億円規模に達する見込みです。
2018年の48.3億円から2021年には78.4億円と160%の成長を遂げ、2025年までには2018年比で375%の拡大が予想されています。
大手企業の参入も相まって、eスポーツファンの数も増加傾向にあり、2025年には1,200万人を超えると予測されています。これは試合観戦や動画視聴の経験者を含む数字です。
市場の内訳を見ると、スポンサー収入が全体の6割以上を占めており、最も大きな割合を示しています。また、2021年には特にストリーミング分野が顕著な成長を見せ、今後もさらなる発展が期待されています。
これらの数字から、日本のeスポーツ市場が着実に拡大し、今後も成長が続くと予測されることがわかります。
日本のeスポーツ市場が抱える課題
eスポーツ:高認知度と低理解度の狭間で
日本でeスポーツの認知度が急上昇し、プロ選手を志す若者が増加しています。
しかし、知名度の高まりに比べ、その理解度は依然として低いのが現状です。
世代間でも認識の差が顕著で、若年層には馴染み深い一方、大人世代では「名前は聞いたことがある程度」という人が多いようです。
調査によると、eスポーツの認知度は全世代で80%を超えていますが、同時に「興味がない」と答えた人も8割以上に上ります。
このような状況下で、経済産業省はeスポーツ産業の成長を支援しており、政府は長期的な視点でこの分野の発展を推進しています。
日本のeスポーツ:中間層育成が課題
日本のゲーム業界では、個人で楽しむゲーマーが5500万人以上、熱心なファンが700万人いると推定されています。
しかし、プロゲーマーとして認定されている人数は非常に少なく、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発行するライセンス保持者は300名にも達していません。
人気のあるプレイヤーの中にはライセンスを持たない人もいますが、一般プレイヤーとプロゲーマーの間に位置する中間層の育成が大きな課題となっています。
海外では教育機関でeスポーツを取り入れる動きが広がっており、日本でも今後、プレイヤーの育成環境の充実に向けた取り組みが必要とされています。
eスポーツの法的課題と対応
eスポーツの発展に伴い、法的な課題が浮き彫りになっています。
主な問題点としては、
- ゲーム配信時の著作権
- 賞金や景品に関する規制
- 大会運営に関する法的枠組み
などが挙げられます。
これらの課題は、eスポーツ産業の健全な成長を妨げる可能性があるため、適切な法整備が求められています。
政府機関も、こうした問題の重要性を認識しており、eスポーツの持続可能な発展のために、法的環境の整備を検討しています。
日本のeスポーツ市場参入企業
トヨタ、eスポーツ界に本格参入:TGR GT Cup開催
トヨタは2019年3月にeスポーツ業界への本格的な参入を開始しました。
その後、2021年4月には「TOYOTA GAZOO Racing GT Cup 2021」(TGR GT Cup)という新しいシリーズを発表しました。このシリーズは、人気レースゲーム「グランツーリスモSPORT」を使用して行われます。
TGR GT Cupの特徴は、以下の通りです:
- レース専用車両やGRモデルを含むGRラインナップの車両を使用してシーズンを戦うこと
- 参加者は対戦相手に応じて車種を変更できるなど、より現実的なモーターレース体験を楽しむことができること
これにより、eスポーツの世界でもリアルなレース感覚を味わえるようになりました。
NTTのeスポーツ施設「eXeFieldAkiba」がオープン
2020年1月31日、通信業界の最大手NTTは、eスポーツ事業を展開する「NTTe-Sports」を複数の企業と共同で設立しました。
NTTはeスポーツ施設事業にも注力しており、2020年8月11日には交流施設「eXeFieldAkiba(エグゼフィールドアキバ)」をオープンしました。
この施設は、ゲーマーに最適化された環境を提供しています。高速で安定したオンライン回線や最新のサーバー設備により、ストレスなくゲームを楽しむことができます。さらに、専用アプリを使用すれば大画面でトーナメント戦を簡単に開催できるなど、機能性も充実しています。
施設内では飲食も可能で、eスポーツを存分に楽しめる総合的な環境が整っています。これらの特徴により、eXeFieldAkibaはeスポーツファンにとって理想的な場所となっています。
よしもとゲーミング:eスポーツ界への本格進出
吉本興業は、ダウンタウンをはじめとする著名なお笑いタレントが所属する芸能事務所として知られていますが、eスポーツ分野にも進出しています。その取り組みが「よしもとゲーミング」です。
よしもとゲーミングの特徴は、プロゲーマーを得意分野ごとに分類して所属させている点です。例えば、「ファイティング・アクション部門」には格闘ゲームを専門とするメンバーが所属しており、世界大会優勝経験を持つプロゲーマーも含まれています。
また、「スポーツ部門」にはウイニングイレブンの日本代表経験者が所属しています。さらに、ポケモンアクションゲーム専門の「ぽっ拳部門」や、ゲーム実況者・配信者をサポートする「ストリーマー部門」なども設けられています。
このように、よしもとゲーミングはeスポーツに関わる多様な人材のマネジメントを行い、プロゲーマーたちを幅広くサポートしています。eスポーツ界における吉本興業の存在感は、今後さらに高まっていくことが予想されます。
セガのeスポーツ戦略:ぷよぷよとバーチャファイター
セガは、アーケードや家庭用ゲームの分野で革新的な製品を提供してきただけでなく、eスポーツ界においても先進的な取り組みを行っている企業として知られています。
その一例が「ぷよぷよeスポーツ」です。このゲームはeスポーツの普及を主な目的として開発された対戦特化型のソフトウェアで、以下の特徴があります:
- 手頃な価格で購入できる
- 世界中のプレイヤーとオンライン対戦を楽しむことができる
セガは定期的にぷよぷよの公式大会を主催し、eスポーツシーンの活性化に貢献しています。
さらに、2021年7月18日には「VIRTUA FIGHTER esports PRESEASON MATCH」という、バーチャファイターの公式世界大会を開催し、格闘ゲームのeスポーツ化にも積極的に取り組んでいます。
まとめ
eスポーツの台頭により、ゲームの位置づけが大きく変化しました。
従来の単なる娯楽から、競技性の高いスポーツへと進化したのです。
これにより、ゲームプレイヤーの立場も劇的に変わりました。
- 以前は単にゲームを購入して楽しむだけでしたが、
- 今では企業からサポートを受けるプロフェッショナルとして活躍する機会が生まれています。
この新しい産業の成長に伴い、競技者や観客の数も今後さらに増加していくことが予想されます。