情報セキュリティマネジメント試験詳細と資格取得メリット、おすすめ参考書

情報セキュリティマネジメントの試験に臨もうとしている方々、または将来受験を検討されている方々に向けて、この試験の概要、難易度、詳細内容、資格取得による恩恵、そして推奨の参考書について説明させていただきます。

試験の概要

  • 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である ISO/IEC 27001 に基づいた試験です。
  • 情報セキュリティマネジメントの基礎知識と実践的な運用能力を問われます。

難易度

  • 合格率は約 50% と比較的難しい試験です。
  • 情報セキュリティに関する専門知識と実務経験が必要とされます。

詳細内容

分野 割合
セキュリティポリシー、組織、資産 28%
人的資源セキュリティ 20%
物理的及び環境的セキュリティ 14%
通信及び運用管理 10%
アクセス制御 13%
システム開発及び保守 15%

資格取得による恩恵

  • 情報セキュリティマネジメントの専門知識を持つことが証明されます。
  • 企業の情報セキュリティ対策の強化や ISO 27001 認証取得に貢献できます。
  • キャリアアップやスキルアップの機会が広がります。

推奨の参考書

  • 「よくわかる ISO/IEC 27001:2013」(富士通エフ・アイ・ピー株式会社)
  • 「ISO/IEC 27001:2013年版 セキュリティマネジメントシステム 実践ガイド」(日本規格協会)

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情報セキュリティマネジメント試験とは

情報セキュリティマネジメント試験とは

政府の戦略と産業構造審議会の方針を受け、情報処理技術者試験の新たな区分として情報セキュリティマネジメント試験が設けられました。この試験は情報処理推進機構が運営しています。

情報セキュリティマネジメント試験は、

  • 計画
  • 運用
  • 評価
  • 改善

のプロセスを通じて組織の情報セキュリティを確保し、脅威から継続的に守るための基本的な能力を認定するものです。

この試験の背景には、ITの進化に伴うサイバー攻撃手口の巧妙化があります。ITの高度化は社会に多くの恩恵をもたらしましたが、一方でサイバー攻撃の複雑化は大きな脅威となっています。そのため、情報セキュリティの確保が組織の重要な経営課題になりました。標的型攻撃や内部不正など、脅威は多岐にわたるため、技術的対策だけでなく、従業員の意識向上や業務フローの改善など、組織全体での取り組みが必要とされています。

情報セキュリティマネジメント試験の対象は、情報システム利用部門で情報セキュリティリーダーとして、規定や対策の内容を理解し、情報セキュリティが確保された状況を実現・維持・改善する人物です。企業の情報管理者や委託先への情報セキュリティ確認・評価の際に、この資格の取得が求められるでしょう。さらに、ITパスポートの上位資格とされているため、スキルアップを目指す方にも適しています。

情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の違い

最初に、両試験の出題範囲が異なることが挙げられます。

  • 情報セキュリティマネジメント試験では、主に情報セキュリティに関する内容が問われる一方
  • 基本情報技術者試験では、開発系の知識を含め、ITの基本知識が広範囲にわたって出題されます。

次に、対象者が異なります。

  • 情報セキュリティマネジメント試験は、個人情報や企業/組織の機密情報を扱う方を対象としていますが
  • 基本情報技術者試験はIPアドレスの計算や開発系の設問があり、技術者を対象としています。

最後に、難易度の違いがあります。基本情報技術者試験の方が難易度が高いと言えます。IPAの定義では両試験ともレベル2とされていますが、情報セキュリティマネジメント試験の合格率が約36%であるのに対し、基本情報技術者試験の合格率は28.5%と低くなっています。

情報セキュリティマネジメント試験の詳細

情報セキュリティマネジメント試験の詳細

この試験は、情報セキュリティに関する知識と理解度を評価するものです。組織のセキュリティ対策を適切に実施するための能力を測ることを目的としています。

試験の範囲は以下の通りです。

  • リスクマネジメント
  • セキュリティポリシーと規程
  • 人的資源のセキュリティ
  • 物理的および環境的セキュリティ
  • システムとネットワークのセキュリティ
  • アクセス制御
  • システム開発とメンテナンス
  • インシデント対応
  • ビジネス継続マネジメント

合格者には、情報セキュリティマネジメントの専門家として認定されます。組織のセキュリティ強化に貢献できる実践的な知識とスキルを身につけることができます。

情報セキュリティマネジメント試験の試験会場・日程・受験料

ここでは、試験の実施場所、日程、受験料について説明しています。
試験会場は全国各地に設置されており、遠方への移動は不要です。会場の詳細は、予約期間中のみPROMETRICのウェブサイトで確認できます。
試験は上下期の年2回、コンピューターを使用したCBT方式で行われます。令和4年度上期の試験日程はウェブサイトで確認可能です。
受験料は2021年7月に値上げされ、現在は7,500円(税込)となっています。

試験会場
  • 全都道府県に1か所以上設置
  • 遠方への移動は不要
  • 予約期間中のみPROMETRICサイトで会場確認可能
試験日程
  • 年2回、上下期にCBT方式で実施
  • 令和4年度上期日程はウェブサイトで確認可能
受験料
  • 7,500円(税込)
  • 2021年7月に値上げ改定

情報セキュリティマネジメント試験の試験時間・出題形式・出題数

情報セキュリティ管理に関する試験の時間配分、問題形式、出題数は以下の通りとなっています。

試験名称 試験時間 出題問題数 問題形式
情報セキュリティ管理試験(午前の部) 90分 50問
  • 四者択一方式の多肢選択問題
情報セキュリティ管理試験(午後の部) 90分 3問
  • 多肢選択式

情報セキュリティマネジメント試験の出題内容

情報セキュリティマネジメント試験は、午前と午後で出題範囲が異なります。
午前試験では、テクノロジー系とストラテジー系の幅広い分野から出題されます。具体的には、

  • 情報セキュリティの基礎知識
  • 管理
  • 技術評価
  • 対策
  • 実装技術
  • 知的財産権
  • 関連法規
  • 労働関連法
  • その他の法律・ガイドライン
  • 標準化関連

などが含まれます。
一方、午後試験は以下の2つの大きな領域に焦点が当てられています。

1. 情報セキュリティマネジメントの計画と情報セキュリティ要求事項
  • 情報資産管理の計画
  • リスクアセスメントとリスク対応
  • 情報資産に関する情報セキュリティ要項事項の提示
  • 情報セキュリティ要求事項の提示
2. 情報セキュリティマネジメントの運用と継続的改善
  • 情報資産の管理
  • 部門のシステム利用時のセキュリティ確保
  • 外部委託におけるセキュリティ確保
  • インシデント管理
  • 意識向上
  • コンプライアンスの運用
  • 継続的改善
  • 動向・事例情報の収集と評価

情報セキュリティマネジメント試験の受験者数・合格率・難易度(2024年6月)

IPAは試験の難易度を1から4までのレベルに分類しており、情報セキュリティマネジメント試験の難易度は以下のように規定されています。

  • ITパスポート:レベル1
  • 情報セキュリティマネジメント試験:レベル2
  • 基本情報技術者試験:レベル2
  • 応用情報技術者試験:レベル3

令和元年度から令和3年秋期までの受験者数と合格者数は次のとおりです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成29年度 34,084人 19,914人 58.4%
平成30年度 30,328人 15,146人 49.9%
令和元年度 28,116人 13,902人 49.4%
令和2年度 9,121人 6,071人 66.6%
令和3年度 14,089人 7,376人 52.4%

(出典:情報処理技術者試験情報処理安全確保支援士試験統計資料)

令和2年度の合格率が66.6%と高かったのは、その年からコンピュータを使用したCBT方式が導入され、難易度が調整されたためと考えられます。また、令和2年度の応募者数と受験者数の乖離が小さかったことから、コロナ禍による在宅勤務や外出自粛で学習時間が確保できたことも、合格率向上の一因と推測されます。

ITパスポート試験は平成21年度から令和元年にかけて50%前後の合格率で推移し、累計合格率は51.3%です。一方、情報セキュリティマネジメントの累計合格率は59.9%となっており、合格率から判断すると情報セキュリティマネジメント試験の方が易しいと言えます。

基本情報技術者試験は情報セキュリティマネジメント試験と同じくレベル2に位置づけられていますが、累計合格率は22.3%と低くなっています。

情報セキュリティマネジメント試験申し込み手順

情報セキュリティマネジメント試験の申込は、オンラインで行う必要があります。
手順は以下の通りです。

  • プロメトリック社のウェブサイトから申込を行う
  • 指示に従い必要事項を入力する
  • 受験料を支払う(クレジットカード、ペイジー、コンビニ払い)
  • 受験票が届く

初めてプロメトリックの試験を受ける場合は、IDの取得が必要です。
また、一度予約すると理由を問わずキャンセルできないので注意が必要です。
合格発表は、午前と午後の試験を受けた翌月の下旬に、IPAのサイトで合格者のIDが公開されます。

情報セキュリティマネジメント試験の有効期限の更新

情報セキュリティマネジメント試験の資格には期限がございません。
しかし、IT分野における知見は絶えず進化を遂げています。
そのため、定期的に最新動向の把握や継続的な学習を心がけることが賢明でしょう。

情報セキュリティマネジメント試験の勉強時間

情報セキュリティマネジメント試験に合格するための学習時間は、自己学習の場合、およそ200時間が必要とされています。

  • 1日2時間勉強すれば約3か月
  • 1日5時間勉強すれば概ね1か月で合格が可能です

ただし、200時間は目安に過ぎず、長期間にわたり学習を継続すると、モチベーションが低下し、思うような成果が得られない可能性があります。
IT経験者の中には、より短期間で合格に至る人もいます。
効率的な学習を心がけ、目安よりも少ない時間で合格できるよう努めましょう。
午後の試験では実践的な知識が問われるため、テキストで用語や知識を習得した後は、過去問中心の学習をお勧めします。

情報セキュリティマネジメント試験の資格取得のメリット

情報セキュリティマネジメント試験の資格取得のメリット

情報セキュリティ分野における専門知識を習得することと、資格取得による金銭的なインセンティブを得られることが、情報セキュリティマネジメント試験の資格を取得するメリットとして挙げられます。それぞれについて詳しく説明いたします。

1. 情報セキュリティに関する幅広い知見を獲得できる

  • 試験対策を通じて、情報セキュリティの理論や実践的なノウハウを体系的に学習できます
  • 最新の脅威や対策についても理解を深めることができます

2. 資格取得による金銭的なインセンティブが期待できる

  • 多くの企業で、資格手当や報奨金の支給制度が設けられています
  • 昇給や昇格の際の評価ポイントにもなり得ます

情報セキュリティの知識が身に付く

情報セキュリティマネジメント試験は、セキュリティに関する広範な知識を身につけることができ、以下の4点が可能となります。

  • 部門のセキュリティマネジメントの一部を自力で実行できる
  • セキュリティインシデントの発生やリスクに適切に対応できる
  • IT全般の基本的な用語や内容を理解できる
  • セキュリティ技術やセキュリティ規程の基礎知識を持ち、外部から動向や事例を収集し、評価できる

この試験に合格することで、セキュリティ関連の知見を証明でき、人材としての価値が高まります。ただし、試験はIT技術者よりもIT利用者向けのため、IT経験者がこの資格を取得しても、就職や転職に有利になるとは限りません。しかし、非エンジニア職やIT未経験者の場合は、チャレンジ精神の証しとなるでしょう。

資格手当や報奨金を得られる

会社によっては、資格取得に関連する費用の一部または全額を補助したり、合格者に対して報奨金を支給したりする制度があります。
公式サイトに掲載されている事例では、

  • 受験者に対して書籍代や検定料、一定期間の資格手当の支給
  • 全社員への受験奨励
  • 受験料の全額補助
  • 合格者への一時金支給

などの支援策が紹介されています。

情報セキュリティマネジメント試験の資格取得のデメリット

情報セキュリティマネジメント試験の資格取得のデメリット

情報セキュリティ分野の専門知識を習得し、自身の価値を高められるという利点がある一方で、資格取得に伴う手当や報酬の支給を受けられる可能性もあります。
しかし、その裏返しとして、情報セキュリティマネジメント試験の資格取得には欠点も存在します。

勉強時間を確保する必要がある

情報セキュリティマネジメント試験の資格を手に入れるには、十分な学習時間を確保することが不可欠です。
この試験に合格するためには、平均して200時間の勉強が必要とされています。
職務と並行して200時間の学習時間を確保するのは容易ではありません。
さらに、200時間の学習で合格できるという保証はありません。
個人差により、より多くの学習時間を要する場合もあり得ます。
情報セキュリティマネジメント試験などの資格取得が、自身の目標達成に本当に必要なのかを再検討する価値があるかもしれません。

情報セキュリティマネジメント試験合格のためのおすすめ参考書3選(2024年6月)

情報セキュリティマネジメント試験合格のためのおすすめ参考書3選(2024年6月)

情報セキュリティマネジメント試験に合格することを目指し、自主的に学習を進めたい方々に向けて、3冊の推薦図書をご紹介いたします。

  • 情報処理教科書 重要事項のみ! 情報セキュリティマネジメント 教本&問題集 2022年版
  • 令和3年度【後期】情報セキュリティマネジメント 完全マスター過去問題集 (情報処理技術者試験)
  • 徹底解説 情報セキュリティマネジメント参考書 令和3年度版

情報処理教科書 出るとこだけ! 情報セキュリティマネジメント テキスト&問題集 2024年版

この参考書は、他の学習書を難解と感じた人や、効率的に学習したい人に最適です。2019年度と2020年度には、情報セキュリティマネジメント試験の参考書の中で最も売れ行き好調で、累計240万部を超える販売実績を誇っています。

本書には以下のような特長があります。

  • 専門用語を平易に解説しているため、初心者でも挫折することなく学習できる
  • 午後の長文問題対策について丁寧に解説している
  • 全過去問題の解答と解説が掲載されており、間違えやすいポイントを詳しく説明している

情報セキュリティマネジメント パーフェクトラーニング過去問題集 (情報処理技術者試験)

本書では、試験の特徴を分析し再現した模擬問題を収録しています。
紙面には5回分の問題を掲載し、さらにダウンロード可能なPDFを合わせると、合計13回分の問題に取り組むことができます。
情報セキュリティマネジメント試験に合格するには、試験の傾向を理解し、知識を身につけることが重要です。
本書を活用して、しっかりと対策を立てましょう。

徹底攻略 情報セキュリティマネジメント教科書 2024年6月

経験豊富な著者が、AIを活用して分析を行い、情報セキュリティ分野のみならず、テクノロジーやビジネス戦略などの幅広い内容を網羅した参考書となっています。

付録には

  • 予想問題と解説が掲載されている
  • 過去の問題の解説PDFもダウンロードできます

電子書籍版も販売されており、モバイル端末での学習にも適しています。

まとめ

まとめ

この記事では、情報セキュリティマネジメント試験に関する説明を行いました。
情報処理推進機構(IPA)が主催するこの国家資格は、取得することで人材価値が高まるだけでなく、手当や報奨金を受け取れる可能性があります。
この試験は年2回開催され、午前と午後の2部構成となっています。

  • 午前は情報セキュリティ
  • 午後は情報セキュリティマネジメントの計画・運用・改善について出題されます

資格取得に向けた平均学習時間は200時間程度です。
受験を検討中の方は、時期を決めて学習を進めましょう。

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本記事がお役に立てば幸いです。