業務委託契約の解除前のポイントなど解説!

フリーランスとして締結した業務委託契約の終了に頭を悩ませていませんか。
様々な事情により、契約関係を解消せざるを得なくなった場合、合意内容の把握や終了手続きは極めて重要となります。
知識不足や誤解が原因で、損害賠償などの深刻なリスクに見舞われる可能性があるのです。
本稿では、業務委託契約の終了を検討する際に求められる知見や手順について、詳細に説明していきます。

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業務委託契約を解除出来る?

業務委託契約を解除出来る?

契約の終了は法令上「解除権」と規定されていますが、その定義が不明確なため、実務上は契約の種類や契約書の文言によって要件が異なります。
そこで、まずは契約の種類について知見を深めることが重要です。

契約の種類 解除要件の例
売買契約
  • 目的物に瑕疵がある場合
  • 代金の支払いが遅れた場合
請負契約
  • 工事に瑕疵がある場合
  • 工期に遅れが生じた場合
賃貸借契約
  • 賃料の支払いが遅れた場合
  • 借主が転貸した場合

委任(準委任)契約の場合

契約の一種である委任契約(準委任契約)は、受託者(フリーランス)の行為そのものを目的とした合意です。
例えば、フリーランスエンジニアがシステム開発を委任(準委任)契約で請け負った場合、対価の発生は完成したプロダクトの出来栄えではなく、決められた工数の業務を遂行したかどうかによります。
委任(準委任)契約の特徴は、委託者(クライアント)と受託者(フリーランス)の双方が、いつでも契約を解除できる点にあります。
ただし、相手に不利な時期に解除した側は、損害賠償請求のリスクがあります。
つまり、受注したフリーランスも業務委託契約を解除する権利を有しています。
委任契約と準委任契約は、委託される行為が法律行為かどうかで区別されます。
フリーランスのWebエンジニアやWebデザイナーが「委任された」業務は、基本的に準委任契約に該当します。
業務委託契約の詳細を知りたい方は、関連記事をご覧ください。

請負契約の場合

委託者(クライアント)から依頼された業務について、受託者(フリーランス)が完遂することを目的とする契約が請負契約です。
フリーランスの場合、例えば

  • 「計画書」
  • 「設計書」
  • 「プログラム」

などの成果物の提出が、業務の完了に該当します。
請負契約の特徴は以下の通りです。

  • 受託者(フリーランス)側からは契約違反となるため、契約解除はできない
  • 委託者(クライアント)側は契約を解除できる
  • 受託者(フリーランス)から契約解除の申し出があり、委託者(クライアント)が承諾すれば、契約解除が可能

請負契約では、成果物の完成が契約に含まれるため、原則として受注したフリーランス側から業務委託契約を一方的に解除することはできません。

業務委託契約の解除はどんな時にするの?(2024年6月)

業務委託契約の解除はどんな時にするの?(2024年6月)

契約の終了事由となる状況について、それぞれ説明いたします。

1. 当事者の一方による解除

  • 相手方が契約上の義務に違反し、是正されない場合
  • 相手方が支払不能に陥った場合
  • 相手方が破産手続き開始の申立てを行った場合

2. 合意による解除

  • 両当事者が互いに合意し、契約関係を終了させる場合

3. 期間満了による終了

  • 契約期間が満了し、更新されない場合

4. 業務完了による終了

  • 契約の目的とする業務が完了した場合

5. 不可抗力による解除

  • 天災地変など不可抗力により、契約の履行が不可能となった場合

契約期間満了時の対応

委託契約には有効期限が設定されているため、期間満了とともに契約は終了します。
クライアントとの関係や将来的な取引を考えれば、契約の途中解除は避けたほうが賢明です。
不満やトラブルがあっても、期限が近ければ我慢して期間満了を待つ方がリスクは低くなります。
期限までに待てない場合は、

  • 理由を説明してクライアントに期限の短縮を交渉するのが良いでしょう。

ただし、企業側に不都合なタイミングで解除を申し出ると、フリーランス側が損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。

合意に至った時

業務委託契約の終了に際し、双方の合意に基づく解約合意書の締結が一般的な手続きとなります。この解約合意書には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 合意解約の旨と日付の記載
  • 成果物に関する権利帰属の明記(通常はクライアント側への帰属)
  • クライアントからフリーランスへの報酬支払い条件の明示
  • 原契約における債権債務の存在しないことの確認

特に4番目の債権債務に関する記載は重要で、解約合意書締結後の損害賠償請求等を双方が行わないことを明らかにしています。フリーランス側で解約合意書を作成するか、クライアント側の雛形を使用する場合は債権債務の記載を確認することが賢明です。

契約違反があった際の対応

業務委託契約においては、基本的に受託者側からの契約解除は認められていません。しかし、委託者側に契約違反があれば、この限りではありません。
委託者側の契約違反としては、以下のようなケースが考えられます。

  • 支払期限を過ぎても報酬を支払わない
  • 受託者の業務を妨害する
  • 必要な資料を提供しない

ただし、受託者側が契約解除を求める前に、委託者に対して契約履行を求める必要があります。
例えば報酬不払いの場合、支払期限を再度設定し、書面で支払いを求めます。それでも報酬が支払われなければ、契約解除の手続きに移ることができます。

損害賠償義務を負うこともある

損害賠償義務を負うこともある

業務委託契約を終了する際、最も重要な点は損害賠償責任の有無です。
特に、請負契約で業務を受注しているフリーランサーは注意が必要です。
請負契約では、依頼された成果物を提出できないことは契約違反となります。
契約違反により発注者(クライアント)に損害が生じた場合、受注者(フリーランサー)が賠償責任を負うことになります。

また、受注者(フリーランサー)側から自由に解除できる委任(準委任)契約でも、解除のタイミングによっては損害賠償義務が発生する可能性があります。
相手方に不利な時期に委任を解除した場合、解除した側が民法第651条に基づき賠償責任を負うためです。

「委任(準委任)契約なら問題ない」と一方的に業務委託契約を終了するのは大きなリスクがあります。
契約解除を申し出る際は、事前に発注者(クライアント)と十分に協議することが賢明です。

業務委託契約を解除する前に確認すること

業務委託契約を解除する前に確認すること

業務委託契約を終了させる際には、一定の危険性が伴うことがお分かりいただけたかと存じます。
ここからは、実際に業務委託契約を解消する場合に、事前に確認が必要な重要事項について説明させていただきます。

  • 契約書の内容を確認する
  • 契約期間と解約条件を確認する
  • 解約予告期間を確認する
  • 解約違約金の有無を確認する
確認事項 内容
契約書の内容 契約書に記載された内容を確認する
契約期間と解約条件 契約期間と解約条件を確認する
解約予告期間 解約の予告期間を確認する
解約違約金 解約時の違約金の有無を確認する

契約形態の確認

業務委託契約の解消には、その契約形態を把握することが重要です。委任(準委任)契約か請負契約かによって、求められる責任が異なります。契約書に明記がない場合は、内容から判断する必要があります。判断基準は、契約目的、責任の所在、成果物の有無などです。

委任契約と請負契約の違いは以下の通りです。

  • 委任契約
    目的:行為の遂行
    責任:善管注意義務
  • 請負契約

    目的:仕事の完成
    責任:瑕疵担保責任
    成果物:原則としてあり

善管注意義務とは、受託者の職業・専門性に応じた注意義務のことです。成果がなくても対価の支払いが発生し、委託者に損失が及ぶのを防ぐためです。

瑕疵担保責任は、不備なく仕事を完成させる義務です。請負契約において、受託者側に課せられます。

契約解除時は、解除条項の記載に従う必要があります。期間や手続きを確認しましょう。

業務委託契約の詳細は、関連記事をご覧ください。

報酬が支払われるか

業務委託契約の終了時における報酬の取り扱いは、契約形態により異なります。

  • 委任(準委任)契約の場合、契約解除前に実施した業務については、受任者(フリーランス)は報酬を請求する権利を有します。
  • 一方、請負契約においては、未完了の作業に対して、受託者(フリーランス)は報酬を受け取ることができません。

請負契約では、委任(準委任)契約とは対照的に、作業過程そのものに対する報酬は発生しないことに留意が必要です。
作業完了前に報酬を得たい場合は、前払いに関する特約を締結する必要があります。

信頼関係の構築

業務委託契約は、委託者とフリーランスの双方の信頼関係に基づいて締結される合意です。
クライアントとの健全な関係を維持するためには、契約解除を検討する前に、話し合いの機会を設けることが肝心です。
契約内容に不満がある場合は、

  • 一部を修正したり
  • 次回の契約から条件を追加したりするなど

お互いが納得できる妥協案を探るべきです。
法的措置による一方的な契約解除は、最終手段と考えるべきです。
まずは平和的な解決を目指しましょう。

まとめ

まとめ

契約解除の手順やノウハウについて説明しました。フリーランスとして働く上で、業務委託契約の締結は不可欠です。
しかし、内容を十分に理解せずに軽々しく契約を交わすと、後々深刻な問題に発展する可能性があります。
契約解除に関する知見を深めながら、契約締結時には条項をしっかりと確認することが重要です。
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本記事がお役に立てば幸いです。