OSS-DB技術者認定資格の取得は、将来コンピューターやWeb関連の職務に従事したい方にとって推奨されます。この認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japan事務局が主催する民間資格ですが、ITの現場においてデータベースに関する課題や問題を解決するうえで重要な資格の一つとなっています。
実際、OSS-DBの運用管理から大規模データベースのシステム運用・管理を担当する職種に就くことが可能です。
無事にこの資格を取得すれば、データ分析に不可欠なデータベースの設計、開発、構築に携わることになるでしょう。
本記事では、
- OSS-DB技術者認定試験の特徴
- 受験資格
- 難易度などの詳細について解説しています。
また、
- 試験の申込方法
- 資格取得後のメリット
- デメリット
についても紹介しています。
ぜひ最後までご一読ください。
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OSS-DB技術者認定試験とは
OSS-DB技術者認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japanが運営する民間資格です。
この資格は、オープンソースデータベースソフトウェア「PostgreSQL」に関する基礎的な知識とスキルを評価するものです。
合格者は正式に「OSS-DB技術者」として認定され、IT業界でデータベース関連の仕事に従事することができます。
この資格には「OSS-DB Silver」と「OSS-DB Gold」の2つのレベルがあり、受験者の知識とスキルに応じて認定されます。
OSS-DB技術者として認定されれば、以下のような業務を行うことが可能です。
- IT企業のデータベースエンジニアとして、適切なシステムの構築や運用・管理を行う
- データベースシステムのコンサルティングを通じて、業務効率化やコスト最適化に貢献する
データベーススペシャリスト試験とは異なり、OSS-DB技術者認定試験は民間資格であり、目的や用途が異なります。
試験内容も異なるため、企業内で携わる業務内容は似ていても、その目的や用途は全く異なるものと認識する必要があります。
OSS-DB技術者はより実践的なOSS-DBに携わる一方で、データベーススペシャリストはSQLを中心とした汎用的なデータベース開発に従事するため、実際の業務内容自体が異なります。
OSS-DB技術者認定試験のレベル
OSS-DBの技術者認定試験は、以下の2つのレベルに分けられています。
- OSS-DB Silver
- OSS-DB Gold
この2つのレベルは、難易度が異なり、「OSS-DB Silver」から「OSS-DB Gold」へと難しくなる順序となっています。
それでは、これらの認定試験の詳細について説明していきましょう。
OSS-DB Silver
OSS-DBの基礎的な理解を評価する試験として、「OSS-DB Exam Silver」が存在します。この資格では、以下が問われます。
- PostgreSQLのインストール手順
- セットアップ方法
- SQLコマンドの基本構造
「OSS-DB Exam Silver」に合格すると、上位レベルの「OSS-DB Gold」を受験できる資格が得られるため、OSS-DB技術者への入り口と位置付けられています。
実際、この資格を持つことで、以下を証明できます。
- RDBMSに関する基礎的な知識
- PostgreSQLを中心としたオープンソースデータベースに関する基礎的なスキル
「OSS-DB Exam Silver」は小規模システムを前提としているため、PostgreSQL開発におけるデータベース部分の理解を深めるのに適した資格と言えます。
OSS-DB Gold
OSS-DBの技術者認定試験において、最上位レベルの試験は「OSS-DB Exam Gold」と呼ばれています。
この試験では、以下の内容が問われます。
- オープンソースデータベースの実践的な運用
- 障害発生時の対処方法
合格者は、RDBMSやPostgreSQLを中心としたオープンソースデータベース関連の知見とスキルを有することが証明されます。
出題内容は実務を想定しており、
パフォーマンスチューニング |
不具合発生時の初動対応 |
事後対策 |
などが含まれています。
OSS-DB技術者認定試験の詳細
OSS-DBの資格認定プログラムについては、NPO法人LPI-Japan事務局が情報を公開しています。
この試験では、PostgreSQLをRDBMSとして利用しており、スキルレベルに応じて
- 「OSS-DB Silver」
- 「OSS-DB Gold」
の2つのランクに分かれています。
ここでは、NPO法人LPI-Japan事務局が公式に発表しているOSS-DB資格認定試験の詳細を説明します。
OSS技術者認定試験の受験資格
OSS-DB技術者認定試験は、「OSS-DB Silver」と「OSS-DB Gold」の2つのレベルに分かれています。
受験資格として年齢や実務経験の条件はなく、IT企業に勤務していない学生や他業種の方でも挑戦することができます。
また、OSS-DB技術者認定試験には再受験に関する制限がないため、万が一合格できなかった場合でも、一定期間受験を控える必要はありません。
ただし、上位レベルの「OSS-DB Gold」を受験するには、下位レベルの「OSS-DB Silver」に合格している必要があることに注意が必要です。
OSS-DB技術者認定試験の試験概要
OSS-DB技術者認定試験には、「OSS-DB Silver」と「OSS-DB Gold」の2つのレベルが存在します。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
OSS-DB Silver | OSS-DB Gold |
---|---|
試験名称: OSS-DB Exam Silver | 試験名称: OSS-DB Exam Gold |
試験会場: 全国の試験センター、自宅・職場からのオンライン受験(OnVUE) | 試験会場: 全国の試験センター、自宅・職場からのオンライン受験(OnVUE) |
試験日時: 随時(予約の空き状況は要確認) | 試験日時: 随時(予約の空き状況は要確認) |
試験形式: コンピュータベーストテスト(CBT)方式 | 試験形式: コンピュータベーストテスト(CBT)方式 |
試験時間: 90分間 | 試験時間: 90分間 |
出題数: 約50問 | 出題数: 約30問 |
受験料: 16,500円(税込) | 受験料: 16,500円(税込) |
認定条件:
|
認定条件:
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合否結果: 試験センターの場合は「テスト終了ボタン」押下後その場で表示、オンライン試験(OnVUE)の場合はピアソンVUEページへのログイン | 合否結果: 試験センターの場合は「テスト終了ボタン」押下後その場で表示、オンライン試験(OnVUE)の場合はピアソンVUEページへのログイン |
OSS-DB技術者認定試験の出題範囲
OSS-DB技術者認定試験は「OSS-DB Silver」と「OSS-DB Gold」の2つのレベルに分かれています。
「OSS-DB Silver」の試験範囲は、
- 一般的な知識(16%)
- 運用管理に関する事項(52%)
- 開発/SQLに関する事項(32%)
となっています。「OSS-DB Silver」の出題範囲の詳細については、こちらをご覧ください。
一方、「OSS-DB Gold」の試験範囲は、
- 運用管理に関する事項(30%)
- 性能監視に関する事項(30%)
- パフォーマンスチューニングに関する事項(20%)
- 障害対応に関する事項(20%)
です。「OSS-DB Gold」の出題範囲の詳細については、こちらをご確認ください。
OSS-DB技術者認定試験の受験者数・合格率・難易度
OSS-DB資格試験の受験者数や合格率に関する正確な情報は、一般には公開されていません。
そのため、実際の数値や過去の合格者に関するデータを確認することはできません。
難易度に関しては、
- 「OSS-DB Silver」では基礎的な知識が問われますが、
- 「OSS-DB Gold」ではより実践的で応用力が必要とされる具体的な知識が求められ、難易度が高くなります。
OSS-DB技術者認定試験の申し込み手順
OSS-DB資格試験の申込手続きは、次の順序で行われます。
- 特定非営利活動法人LPI-Japan事務局のウェブサイトから申し込む
- 指示に従い必要事項を入力する
- 受験料を支払う(クレジットカード、銀行振込、コンビニ支払いから選択)
- 受験チケットを入手する
決められた手順を守らないと、記入漏れなどで申し込みが受理されない可能性があるため、注意が必要です。
事前にピアソンVUEのアカウントを作成しておく必要があります。アカウント作成の前にEDUCO-IDの取得が求められます。EDUCO-IDをお持ちでない方は、ウェブサイトから新規登録できます。また、クレジットカード決済やコンビニ決済を希望する場合は、ピアソンVUEのアカウントとEDUCO-IDの両方が必須となります。
OSS-DB技術者認定試験の有効期限
OSS-DB技術者認定試験には期限切れの概念がありません。この試験は能力を評価するものであり、特定の権利を付与する資格とは異なるためです。
しかし、合格後は有効性の期限に関するルールに従う必要があります。
OSS-DBの公式サイトでは、認定取得日から5年以内に同レベルまたはそれ以上の試験に再度合格することが推奨されています。
ただし、5年以内に再合格しなくても、認定自体が無効になるわけではありません。この推奨事項は、最新の技術理解度を確認するためのものです。
5年以内に再合格すると、「ACTIVE」という認定ステータスが付与されます。
特に「OSS-DB Gold」の認定要件として、有効な「OSS-DB Silver」の認定を保持していることが重要なので、覚えておきましょう。
技術者認定試験の勉強時間
非営利団体LPI-Japanの公式アナウンスによれば、オープンソースデータベース技術者認定試験の一般的な学習期間は約2週間から1か月程度と見られています。
この期間は以下の試験に当てはまります。
- OSS-DB Silver
- OSS-DB Gold
ただし、OSS-DB Goldを受験するにはOSS-DB Silverの事前合格が必須条件となっています。
つまり、OSS-DB Goldに合格するためには、OSS-DB Silverの学習時間に加えて更なる期間が必要になることに注意が必要です。
OSS-DB技術者認定試験の資格取得のメリット
OSS-DB技術者認定試験の資格を手にすることで、以下のメリットがあります。
- データベース分野におけるIT知識を身につけることができる
- 就職活動や転職の際に強みとなる
この資格取得のメリットについて、ここで詳しく説明していきます。
オープンソースデータベース(OSS)の知識が身に付く
OSS-DBの資格取得により、オープンソースデータベースに関する知見を習得できることが利点と言えます。
その中でも、PostgreSQLを中心としたリレーショナルデータベース管理システムの実践的な知識が身につくため、優秀なデータベース技術者として活躍する機会が広がるでしょう。
就職や転職に役立つ
OSS-DBの専門知識と実践力を公に示すための資格を取得することで、就職活動や職場での地位向上に有利になります。
当初、特定非営利活動法人LPI-Japanが主導してPostgreSQLに関する知見を評価する制度として創設されたものの、現在では
- 企業内でのデータベース業務の実力を裏付ける指標としても機能しています。
- 就職や転職の際に自身の強みをアピールできるだけでなく、社内での評価にもつながるため、取得のメリットは大きいと言えます。
資格手当や報奨金を得られる
OSS-DB技術者認定試験の資格を取得することで、手当や奨励金を受け取れる可能性があります。
勤務している企業によっては、資格取得者に対して優遇措置が講じられることがメリットと言えるでしょう。
具体的な待遇内容は企業ごとに異なりますが、
- 一般的には基本給に上乗せされる形で手当が支給されるケースが多数を占めます。
- 中には、総合的な給与アップを期待して、OSS-DB技術者を目指す人もいるようです。
OSS-DB技術者認定試験の資格取得のデメリット
OSS-DBの資格取得には、いくつかの欠点があります。
- IT分野でデータベース技術に関する知見やスキルが求められるため、相当な学習時間を要することがその一例です。
それでは、より詳しく見ていきましょう。
勉強時間を確保する必要がある
OSS-DB技術者認定試験の資格取得には、学習時間の確保が必須となります。公式では2週間から1ヶ月程度の期間が推奨されていますが、就労中の方にとっては、そのような長期間の勉強時間を捻出することが困難な場合があります。
OSS-DB技術者認定試験は以下のように区分されています。
- OSS-DB Silver
- 上位のOSS-DB Gold
このため、段階的にレベルアップを目指すのが効率的です。
しかし、IT関連の知識やスキルが全くない初学者が受験する場合は難易度が高く、まとまった学習時間の確保が不可欠となります。
社会人が業務と並行して一定期間、勉強時間を捻出する必要があることは、デメリットと言えるでしょう。
OSS-DB技術者認定試験合格のためのおすすめの問題集
OSS-DBの資格試験に合格するには、問題集が欠かせません。
この記事では、OSS-DB技術者認定試験の効率的な対策に役立つ優れた問題集をご紹介します。
- 徹底攻略OSS-DB Silver問題集[Ver.2.0]対応
- [改訂新版]内部構造から学ぶPostgreSQL 設計・運用計画の鉄則
それぞれの問題集の概要と推薦ポイントについて、詳しく説明していきましょう。
徹底攻略OSS-DB Silver問題集[2024年6月対応]
この問題集は、OSS-DB技術者認定試験の合格を目指す際に最適な選択肢となります。
非営利団体LPI-Japanが厳格な審査を経て承認した問題集であるため、高い信頼性を備えており、安心して学習に取り組むことができます。
- 初学者にも理解しやすいよう、249問の問題に対して丁寧な解説が付されています。
内部構造から学ぶPostgreSQL 設計・運用計画の鉄則
ここでは、PostgreSQLの内部構造に関する書籍を活用して、OSS-DB技術者認定試験の合格を目指すことができます。
この書籍は、PostgreSQL 10のバージョンを基盤として解説されているため、最新の出題傾向を把握することが可能です。
- 基本的なPostgreSQLの設計や運用方法に加えて、大規模システムの障害対応などにも言及されており、様々な角度から試験対策を行うことができます。
- 初学者にも分かりやすい解説がなされているため、PostgreSQLの知識を効果的に習得できる一冊となっています。
公式の学習教材も活用しよう!
OSS-DB技術者認定試験の準備として、各出版社から発売されている問題集を利用することも有効ですが、特定非営利活動法人LPI-Japanが公開している公式の学習資料も推奨されます。
この団体が直接監修を行っているため、最新の出題動向や傾向を素早く把握することができます。
公開問題の数も豊富で、丁寧な解説により初学者でも理解しやすくなっています。
ぜひ、特定非営利活動法人LPI-Japanの公式学習資料もご確認ください。
OSS-DB技術者認定試験とORACLE MASTER、どっちの資格を取得すべき?
OSS-DB技術者認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japanが主催する民間資格です。
一方、ORACLE MASTERは、Oracle社が運営する民間資格となります。
双方とも民間の資格制度ではありますが、試験内容や目的、活用方法は異なっています。
例えば、
- PostgreSQLを活用した運用管理を志向する場合はOSS-DB技術者認定試験が適切です
- Oracle Databaseを用いた運用管理を目指すのであればORACLE MASTERの資格取得を目指すべきでしょう
自身のスキルアップ目標やキャリアプランを見据え、どちらの資格が適切かを判断する必要があります。
まとめ
この記事では、特定非営利活動法人LPI-Japanが運営するOSS-DB技術者認定試験について説明しました。
この試験は通年で実施され、コンピュータベーストテスト方式によるオンライン受験が可能です。
PostgreSQLの実務的な知識とスキルを身につけたい方におすすめです。
合格すれば、OSS-DB技術者として認定され、副業やフリーランスとしても活躍できるでしょう。
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この記事が皆様の助けになれば幸いです。