税務調査の概要や流れ、注意点を解説!

フリーランスの方々は、税務当局による調査を経験したことがあるでしょうか。自営業者であっても、税務調査の対象となる可能性は十分にあります。
しかし、フリーランスの中で実際に調査を受けた人は多くないかもしれません。
では、どのような条件下で調査の対象となりやすいのでしょうか。
本稿では、フリーランスの税務調査について、以下の点を中心に解説します。

  • 税務調査とは何か
  • フリーランスでも調査されやすい人の特徴
  • 調査が行われる一連の流れ
  • 万が一調査された場合の対処法

自分には関係ないと考えている人ほど、実は該当してしまう可能性があります。
将来的な税務調査に備え、平素から適切な準備を怠らないことが重要です。
フリーランスの現役の方や、今後独立を検討している会社員・学生の皆様は、ぜひ一読いただければと思います。

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税務調査の解説

税務調査の解説

税務調査とは、税務当局が納税者の申告内容を精査し、適正な納税がなされているかを確認する公的な手続きです。

本稿では、フリーランスの方も税務調査の対象となり得ることについて説明します。

フリーランスも実は税務調査の対象に入っている

フリーランスの方々も税務調査の対象となる可能性があります。国税当局のウェブサイトを確認すると、前年度の個人所得税に関する現地調査のうち、半日程度で完了する「着眼調査」は約17,000件、1日から数日を要する「特別調査・一般調査」は約42,600件に上りました。
全体の調査件数が約43万1千件であることを踏まえると、税務調査の対象となる確率は13.8%と決して高くはありません(およそ10人に1人強)。
この数値だけを見れば、フリーランスの方は税務調査を心配する必要はないと考えられるかもしれません。
しかし、確定申告時に収入金額に比べて所得金額が極端に低い場合など、フリーランスでも税務調査が入りやすくなる状況があります。
万が一に備え、税務調査への準備を怠らないことが重要です。

参考:所得税の税務調査件数

重点的に見られる書類は何か?

万が一、税務当局による調査が実施された場合、以下の書類が重点的に確認されます。

過去3年分の以下の書類がチェック対象となります。ただし、調査の過程で疑わしい点が発覚した場合は、最大7年前までさかのぼって書類が精査されることがあるため、事前の準備が重要です。

  • 総勘定元帳
  • 申告書の控え
  • 領収書
  • 請求書
  • 預金通帳
  • 販売契約書などの契約書類
  • 従業員関係の書類
  • 給与関係の書類
  • 議事録
  • その他必要な書類

調査官は、これらのほとんどすべての書類を確認しますが、フリーランスの場合は特に収入金額と必要経費に重点が置かれます。

具体的には、

  • 収益の計上ミスや漏れ
  • 必要経費の内容や金額
  • 人件費・外注費など

が精査されます。これらについては、十分な説明ができるよう準備しておく必要があります。

フリーランスとして税務調査されやすい人って?

フリーランスとして税務調査されやすい人って?

独立した職業に従事する方々は、税務当局による調査の対象となりやすい傾向にあります。

以下の事項に該当する場合、税務調査を受ける可能性が高まるため、十分な注意を払う必要があります。

  • 収入金額が高額である
  • 経費の計上が多額である
  • 確定申告書の記載内容に不備がある
  • 過去に税務調査を受けたことがある

項目 説明
収入金額が高額である 高収入者は税務当局の注目を集めやすい
経費の計上が多額である 過大な経費計上は疑念を招く
確定申告書の記載内容に不備がある 記載ミスは調査のきっかけとなる
過去に税務調査を受けたことがある 再調査のリスクが高まる

フリーランスとして収入が900万円台である

フリーランスで高収入を得ている方は、税務当局から注目される可能性が高くなります。
その主な要因は、消費税の取り扱いにあります。
フリーランスの場合、年間収入が一定額を超えると、消費税の納付義務が生じます。
しかし中には、

  • 節税を過度に意識し、不適切な方法で消費税の支払いを回避しようとする人もいます。

確かに節税は重要ですが、法令を逸脱するようなことは避けるべきです。

収支の変動が激しい

自営業者の場合、収入や経費の変動が大きいと税務当局から疑念の目を向けられがちです。
前年度と比較して収入が不自然に増加したり、必要経費が不合理に膨らんでいたりすると、詳細な調査対象となる可能性が高まります。
不正な行為は一切なかったとしても、収支の大幅な変動理由を明確に説明できるよう、事前に十分な準備を怠らないことが賢明でしょう。

税務調査のペナルティを受けた経験がある

過去に個人事業主として税務調査で制裁を受けた経験がある人は、再び税務調査の対象となりやすくなります。税務当局には詳細な記録が残されているため、確実にフラグが立てられているからです。
「延滞加算税」の対象になった場合はそれほど深刻ではありませんが、「重加算税」を課された場合は確実にマークされているので、注意が必要です。
フリーランスとして税金に関する制裁措置について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

確定申告していない経験がある

フリーランスの方で確定申告を怠っている場合、税務当局から調査対象となる可能性が高まります。
過去に適切に申告していた方でも、当年度の申告を失念すると注目されがちです。
確定申告を怠ると遅延や無申告に対する加算税が課され、本来より多額の納税義務が生じてしまいます。
余計な支払いを避けるためにも、確定申告は確実に行う必要があります。
フリーランスの確定申告義務違反にはどのような影響があるのか、詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください↓

税務調査する場合の流れ

税務調査する場合の流れ

この節では、万が一税務当局による調査の対象となった場合、その手続きがどのように進行するかについて説明します。

  • 税務調査の開始
  • 関連資料の提出要求
  • 事情聴取
  • 税務指摘事項の通知
  • 修正申告または更正処分
  • 不服申立て

税務当局による調査は、上記のような一連のプロセスを経て行われます。各ステップにおいて、納税者は適切に対応する必要があります。

事前調査

国税当局は、フリーランサーに対する税務調査の対象者を選定します。
事前の調査では、

  • 過去数年間の確定申告内容を参照し、収益の著しい増加の理由や経費の疑わしい点がないかを確認します。

フリーランサーの場合、

  • 自宅や作業場所、個人所有物のチェックが行われることもあります。

個人事業主であれば、

  • 実際に店舗内に立ち入り、内部調査が実施される可能性があります。

これらの調査結果を踏まえ、税務調査の対象となったフリーランサーに事前通知が送付され、実地調査が開始されます。

事前通知

フリーランスに対する事前連絡が行われます。通常は税務署から通知書が送付されますが、過去に不正があった場合は事前通知なしで突然の現地調査が入る可能性があります。
連絡内容には

  • 調査の有無
  • 日時
  • 場所
  • 目的
  • 対象税目
  • 期間

などが記載されています。
調査種別には

  • 現況調査
  • 一般調査
  • 特別調査
  • 反面調査

などがあげられます。一般調査が最も一般的で、特別調査は大規模な不正が疑われる大企業などに対して行われる詳細な調査です。反面調査は、調査対象者の取引先などに対する調査を指し、不審な取引があれば関係先に対して書面や実地で確認が行われます。

実地調査

事前の通知内容に基づいて実地検査が実施されます。
基本的には概ね2日から3日程度で検査は終了します。

  • 顧問税理士がいる場合はその税理士が対応し、いない場合は税務検査対象者自身が応対することになります。

しかし、実地検査と言っても恐れる必要はありません。不正がなければ堂々と待っていれば問題ありません。
ただし、検査中の軽率な発言が後々トラブルに発展する可能性もあるため、指摘事項や質問内容には確実に応答しましょう。
東京税理士会の2019年度の税務検査アンケート結果によると、検査日数については回答のあった検査件数3,229件のうち

  • 「1日」で終了したものが633件で20.1%
  • 「2日」が1,556件で49.4%
  • 「3~4日」は591件で18.8%
  • 「5日以上」が368件で11.7%

でした。

調査結果の連絡

税務当局の職員は実地検査後、収集した書類や情報に基づき、調査対象者の状況を精査します。
検討の結果、問題がなければ「申告は適切である」ことを示す承認書面が送付されます。
この時点で税務調査は終了となります。
しかし、もし問題があると判断された場合は、指摘事項に関する通知が届きます。
この際、

  • 双方で再調査を行い
  • 問題が解決するまで税務当局と協議を重ねる必要があります。

問題対応とペナルティ

税務当局からの指摘に対処します。
指摘内容に同意する場合は修正申告を行いますが、否認する場合は更正の通知を待ちます。
更正では、税務側が一方的に申告内容を訂正し、不足税額の支払いを求められます。
この更正に納得がいかない場合、

  • 再審査の申立て
  • 不服審査請求

を行うことができます。
修正申告後は、

  • 不足税額
  • 延滞税
  • 過少申告加算税など

のペナルティが課されます。
無申告の場合は無申告加算税、悪質な申告では重加算税が加算されます。
また、所得額の変更に伴い、

  • 住民税
  • 健康保険料

の増額にも注意が必要です。
ペナルティの詳細については、以下の記事を参照してください。

フリーランスとして万が一の税務調査に備えて

フリーランスとして万が一の税務調査に備えて

この節では、万が一フリーランスとして税務調査を受けた場合、または調査を回避するための対策について説明します。
毎年の確定申告を適切に行い、納税義務を果たしていれば、税務調査の可能性は低くなります。
しかし、フリーランスとして業務を行う際、確定申告が正しく実施できているか不安に感じるかもしれません。
そのような場合は、信頼できる税理士に相談することをお勧めします。
確定申告書には税理士の署名・捺印欄があり、税務署に対する信頼性を示すことができます。
フリーランスの確定申告について詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

  • 記事リンク

書類や領収書(レシート)の整理整頓をする

税務調査時に必ず確認される書類の一つが領収書です。トラブルを避けるため、日頃から適切に管理しておくことが重要です。
単に分類するだけでなく、

  • 発行月や週、日付ごとに整理することをお勧めします。

また、

  • 裏面に用途や取引相手の情報を記載しておけば、後々の確認作業が容易になります。

フリーランスの方で、領収書の管理方法について詳しく知りたい場合は、関連記事をご覧ください。

まとめ

まとめ

この記事では、フリーランスとしても税務調査の対象となることを説明しました。
税務調査とは、納税者が適切に申告しているかを確認する調査です。
フリーランスでも

  • 年収が高額
  • 収支の変動が大きい
  • 過去に調査を受けた経験がある
  • 確定申告を怠った経験がある

などの場合、調査対象となりやすくなります。
調査の流れは、

  • 事前調査
  • 事前通知
  • 実地調査
  • 結果連絡
  • 問題対応

の順序です。
フリーランスとして調査を受けた際、または受けないよう対処するには、毎年確定申告を行い、書類や領収書を整理しておくことが重要です。
適切に納税していれば、調査を恐れる必要はありません。
フリーランスも調査対象となるため、税金関連の管理を怠らず、特に確定申告と書類整理、帳簿付けを日常的に行うよう心がけましょう。
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