PHP技術者認定試験の詳細や試験取得メリット、おすすめの参考書を解説

2024年6月14日

多種多様なプログラミング言語に関する試験の中で、PHPに特化しているのがPHP技術者認定試験です。
PHPはWebアプリケーション開発で幅広く活用されている言語であり、この資格はWeb関連企業への就職・転職に有利に働くでしょう。
そのため、キャリアアップや新たな職を求めてPHP技術者認定試験の受験を検討している方も少なくないはずです。
どんなに簡単な試験でも、事前の情報収集と内容の把握は欠かせません。
そこでPHP技術者認定試験の内容、受験のメリット・デメリット、おすすめの参考書について説明します。

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1 PHP技術者認定試験とは
2 PHP技術者認定試験
3 PHP技術者認定試験の資格取得のメリット
4 PHP技術者認定試験の資格取得のデメリット
- 4.1 勉強時間を確保する必要がある
- 4.2 資格が役立たない場合もあり得る
5 PHP技術者認定試験合格のためのおすすめ参考書
6 PHP技術者認定試験のよくある質問
- 6.1 PHP技術者認定試験を履歴書に記載したい
7 まとめ

PHP技術者認定試験とは

PHP技術者認定試験は、一般社団法人PHP技術者認定機構が主催する資格制度であり、2011年に創設されました。
国内におけるPHPに関連する唯一の資格試験として、国内のPHPエンジニアを中心に、様々な開発者が受験しています。
現代社会においてPHPは、ウェブサイト制作やウェブアプリケーション開発など、幅広い分野で活用されています。
W3techsが公表したデータによれば、ウェブサイト開発で使用されるサーバーサイド言語の79%がPHPで構築されているとのことです。
このように、PHPは将来有望な言語と言えるでしょう。
しかしながら、PHPの普及に伴いPHPエンジニアの数は増加しましたが、その習熟度を測る明確な基準は存在しませんでした。
その結果、PHPエンジニアのスキルにばらつきが生じ、

システムトラブルの発生
デリバリー品質の低下

といった問題が生じるようになりました。
そこで、国内におけるPHPエンジニアの育成と納品物の品質向上を目指して、PHP技術者認定試験が誕生しました。
PHP技術者認定試験はPHP5とPHP7の両バージョンに対応しており、

PHP5では初級と上級/準上級の2つのレベル
PHP7では初級のみが用意されています

また、上級/準上級試験で9割以上の高得点を収めた受験者を対象に、PHP技術者認定ウィザードという制度も設けられています。
受験に際しては、PHPのバージョンに注意する必要があります。

試験	バージョン
初級試験	PHP7とPHP5の2種類

出題範囲は共通する部分が多いものの、関数などで若干の違いがあります。
そのため、業務や学習で使用しているPHPのバージョンを確認した上で、受験バージョンを選択することが重要です。

PHP技術者認定試験

PHP資格試験に合格するには、その内容を十分に把握しておくことが重要です。日頃からPHPを利用していても、適切な準備なしでは不合格となる可能性が高くなります。

そこで、PHP技術者認定試験を受験する際に知っておくべき、試験の概要について説明していきましょう。

試験の目的
出題範囲
試験の形式
合格基準
受験資格
受験申込方法
試験会場

PHP技術者認定試験の詳細

PHPの技術力を認定する試験は、PHP5の場合は初級と上級/準上級の2種類、PHP7では初級の計3種類が用意されています。それぞれの試験の詳細を以下に示します。

PHP7初級、PHP5初級、PHP5上級/準上級の試験会場は、全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターで実施されます。
試験日程はいつでも受験可能で、CBT形式での試験となります。
試験時間は、初級が1時間、上級/準上級が2時間です。
設問数は初級が40問、上級/準上級が60問となっています。
合格ラインは、初級が7割、上級が7割以上で合格、準上級は5割以上で合格となります。

受験料	一般	学校法人所属
PHP7初級 PHP5初級	12,000円(税抜)	6,000円(税抜)
PHP5上級/準上級	15,000円(税抜)	7,500円(税抜)

出題形式は、いずれの試験も選択式(複数または単一選択)です。
受験資格は誰でも受験可能です。

PHP技術者認定試験の出題範囲

PHP技術者認定試験に合格するには、出題範囲の確認が不可欠です。
各資格の問題は主にPHP技術者認定機構の認定テキストから出題されます。
それでは、出題範囲を見ていきましょう。

資格名	出題範囲
PHP技術者認定初級試験	PHPの基本データ型演算子制御構文関数配列オブジェクト指向文字列処理ファイル処理データベースセキュリティ
PHP技術者認定上級試験	PHPの基本データ型演算子制御構文関数配列オブジェクト指向文字列処理ファイル処理データベースセキュリティ XML Web技術デザインパターンフレームワークテストデバッグパフォーマンス

PHP7初級試験

PHPの特性や機能について、以下のような内容が含まれています。

テキストと数値の操作
条件分岐や反復処理などのロジック
配列などのデータのグループ化
関数やファイル操作によるロジックのグループ化
オブジェクト指向によるデータとロジックの結合
Webフォームを介したユーザとの情報交換
データベースへの情報保存
ファイル操作
クッキーやセッションによるユーザの記憶
他のWebサイトやサービスとの連携
デバッグやテスト
ソフトウェア開発の心得
日付と時刻の扱い
パッケージ管理
メール送信
フレームワークの活用
コマンドラインPHP
国際化とローカライゼーション

PHP初級試験

ここでは、PHPの基礎的な概念から始まり、

テキスト操作
条件分岐
反復処理
配列操作
関数定義
Webフォーム作成
データベース操作
クッキーとセッション管理
日付と時刻の扱い
ファイル操作
XML処理
デバッグ手法
クラスとオブジェクト
日本語処理
正規表現
PDOによるデータベースアクセス
セキュリティ対策
出力バッファ
定数と予約語

などの幅広いトピックが取り上げられています。
PHPの初級者向けの試験では、これらの基本的な内容に加えて、オンラインマニュアルの範囲も出題対象となります。
試験で扱われるPHPのバージョンは5.3ですので、実践的な学習の際にはこのバージョンをインストールすることが推奨されます。

PHP上級試験/準上級試験

ここでは、PHPに関する様々な側面について説明します。

最初に、PHPの概要と言語の基本的な構文について解説します。
次に、関数、文字列、配列、オブジェクトなどの重要な概念を取り上げます。
さらに、ウェブ開発、データベース、グラフィック、PDF、XMLなどの実践的なテクニックについても詳しく説明します。
また、セキュリティ、アプリケーション開発、PHPの拡張、Windowsでの利用方法なども扱います。

加えて、

SPL
日付クラス
PEAR
名前空間
クロージャー
リフレクション
Late Static Binding
JSON
PDOとネイティブモジュールの違い
mysqlndドライバ
正規表現
APD/Xdebug
memcache
フィルター

などの重要なトピックについても解説します。

PHP技術者認定試験の受験者数・合格率・難易度

PHP技術者認定試験の受験者数や合格率に関する最新の情報は公開されていませんが、2013年のデータでは受験者が1,000人を超え、PHP5初級の合格率は73%、上級は7%という結果でした。

問題の変更などにより数値にはある程度の変動があるかもしれませんが、初級は比較的合格しやすく、上級は難関資格であることに変わりはないでしょう。

ITSSによれば、この資格の難易度は

PHP5/PHP7初級がレベル1
PHP5準上級がレベル2
PHP5上級がレベル3

に分類されています。

レベル1は最低限の知識があるレベル
レベル2は上級者の元で業務に従事できるレベル
レベル3で自力ですべての業務が可能とされています

有名なIT系資格と同等のレベル感としては、

ITパスポート	レベル1
基本情報技術者試験	レベル2
応用情報技術者試験	レベル3

に相当します。

同種の試験経験がない方は、自身のスキルレベルやキャリアを踏まえ、適切な難易度の試験に挑戦することをおすすめします。

PHP技術者認定試験の申し込み手順

PHP技術者認定試験の受験手続きは以下の通りとなります。

オデッセイコミュニケーションズの公式ウェブサイトで試験会場と日程を検索する
同社のアカウント(オデッセイID)を作成する
試験会場に直接問い合わせるか、ウェブサイトから申し込みを行う
受験料を支払う
オデッセイIDとパスワード、受験票と顔写真付き身分証明書を持参し受験する
試験終了後に合否を確認できる

オデッセイコミュニケーションズのウェブサイトか試験会場に直接問い合わせて、PHP技術者認定試験の申し込みを行います。都市部では頻繁に試験が実施されますが、地方では開催日が少ない場所もあるため、余裕を持って手続きを済ませましょう。

試験当日は、運転免許証・パスポート・住基カード・個人番号カード・社員証・学生証のいずれかの顔写真付き身分証明書が必要です。学割受験の場合は学生証や教員証も忘れずに持参してください。

試験終了後すぐに紙のスコアレポートが発行され、合否を確認できます。そして4週間から6週間後に自宅に合格証書が届きます。

2回目までの再受験には特に制限はありませんが、3回目以降は前回の受験から168時間(7日)経過していないと受験できません。この規定に違反すると、合格取り消しや受験資格の永久剥奪となる可能性があるので注意が必要です。

PHP技術者認定試験の有効期限

PHP開発者認定試験の資格は期限切れすることはありません。
一般社団法人PHP技術者認定機構が存続する限り、取得した資格は永続的に有効です。
ただし、PHP5は古いバージョンであるため、将来的には試験の対象からはずれ、PHP7以降のバージョンに移行する可能性があります。
しかし、仮に試験が廃止されても、PHP5の資格が無効になることはありません。

技術者認定試験の勉強時間

PHPの資格試験に向けた学習時間は、初級レベルでは約2週間程度の10時間、上級や準上級レベルでは約1ヶ月程度の50時間が目安とされています。

ただし、この基準はPHPの実務経験者を前提としたものであり、未経験者の場合はこの倍以上の時間を要することが予想されます。

公式テキストはオライリー・ジャパン社から出版されていますが、専門用語が多用されているため、初心者には理解が難しい内容となっています。

上級や準上級レベルでは、テキストに加えてPHPの公式リファレンスも出題範囲に含まれるため、より高度な知識が求められます。

そのため、テキストの内容を十分に理解した上で試験に臨むことが重要です。

PHP技術者認定試験の資格取得のメリット

PHP技術者認定試験を受験することで得られる利点は多岐にわたります。

まず最初に挙げられるのは、

専門的な知識とスキルを客観的に証明できる点です。
この資格を取得すれば、PHP言語に関する高度な理解力と実践力を有していることが公的に認められます。

次に、

キャリアアップの機会が広がることが期待できます。
企業は優秀な人材を求めており、認定資格保持者は有利な立場に立てるでしょう。

加えて、

自身のスキルアップにも役立ちます。
試験対策を通じて知識を深め、実力を磨くことができるからです。

以上のように、PHP技術者認定試験の受験には様々なメリットがあります。

PHPスキルや知識が身に付く

PHPの言語力を磨くには、認定試験の受験が有効な手段となります。
PHPは自由度が高いため、扱いづらいと感じる開発者もいますが、基礎を学ぶことで読みやすいコードを書けるようになるでしょう。
サーバーサイド言語には処理速度やセキュリティの考え方に違いがあり、PHPの特性を理解することで、適切な言語選択が可能になります。
認定試験を通じて、PHPの本質を把握し、実務で活かすことができます。

IT系企業の転職・就職に活用できる

未経験者がIT企業への就職・転職を目指す際、PHP技術者認定試験の取得が有利に作用する可能性があります。
IT企業では人材不足から未経験者の採用に積極的な企業もありますが、プログラミングの基礎知識があった方が望ましいでしょう。

すでにエンジニアとして実務経験のある方でも、異なる言語を使用する職場からPHPを扱う職場へ移る際に、この認定試験が役立つ場合があります。
ただし、実務経験者の場合、初級レベルの内容は他の言語と共通する部分が多いため、評価されにくい可能性があります。
そのため、実務経験者は上級/準上級レベルの取得を目指すことをおすすめします。

資格手当や報奨金を貰える可能性がある

会社によっては、IT関連の認定資格を取得することで、月々の給与に手当が上乗せされたり、奨励金が支給されることがあります。
特に毎月受け取れる資格手当は大きなメリットとなるでしょう。
ただし、PHP技術者認定試験は民間の資格であり、2011年に創設されたばかりで歴史が浅いため、資格手当や奨励金の対象外となっている可能性が高いと考えられます。
資格手当や奨励金を目的とする場合は、PHP技術者認定試験が対象資格に含まれているかを事前に確認した上で、受験するようにしてください。

PHP技術者認定試験の資格取得のデメリット

PHP技術者認定試験の受験には、必ずしも利点ばかりではありません。状況によっては、受験が無意味になる可能性もあります。
そこで、PHP技術者認定試験の欠点についても確認していきましょう。

欠点	説明
費用がかかる	受験料や教材費、交通費などの費用がかかります。
時間がかかる	試験対策に時間を費やす必要があります。
合格しても実力が保証されない	試験に合格しても、実務で求められる能力が身につくとは限りません。
資格の更新が必要	一定期間ごとに資格の更新が必要になる場合があります。

勉強時間を確保する必要がある

PHPの技術者資格試験に合格するためには、実務経験があっても一定の学習時間を確保する必要があります。

仕事が忙しい方は勉強時間が不足しがちで、経験豊富な方でも不合格になることがあります。

PHPの技術者資格は国内では知名度が高くない資格ですが、テキストの内容を十分に理解するための学習時間を確保することが重要です。

また、1問につき1〜2分で解答しなければならないため、問題演習も欠かせません。

そのため、初級レベルでも上級/準上級レベルでも、受験日から逆算して計画的に学習スケジュールを立て、着実に準備を進める必要があります。

資格が役立たない場合もあり得る

PHP技術者認定試験を取得しても、その資格が適切に評価されないケースがあります。
この試験自体の認知度は一定程度ありますが、難易度に関する理解は広く浸透していません。
IT業界では実績が資格よりも重視される傾向にあるため、開発経験がない場合でもこの資格を持っていれば熱意は評価されますが、実務能力の判断は難しいでしょう。

未経験者が就職・転職活動で実力アピールのために資格取得を検討するなら、ITパスポートや基本情報技術者試験などの国家資格の方が知名度と難易度の面で評価されやすいです。

PHP技術者認定試験は自身の実力を示す一つの指標と捉えるべきです。

PHP技術者認定試験合格のためのおすすめ参考書

PHP技術者認定試験に合格するには、参考書を活用した勉強が不可欠です。
そこで、PHP技術者認定試験の受験者向けにおすすめの参考書をご紹介します。

PHP公式マニュアル
PHPフレームワーク入門
PHPプロフェッショナル認定試験対策書

書籍名	概要
PHP公式マニュアル	PHPの基本的な文法や関数の使い方が詳しく解説されています。
PHPフレームワーク入門	PHPの代表的なフレームワークであるLaravelやSymfonyについて学べます。
PHPプロフェッショナル認定試験対策書	試験の出題範囲や過去問題が掲載されており、試験対策に最適です。

初めてのPHP

『PHP入門』は、PHP5・PHP7の初級者向けの公認テキストとして認められている参考書です。
この書籍では、以下の内容がまとめられています。

PHP開発に不可欠な関数
基本的な事項
オブジェクト指向などのPHP開発を円滑に進めるための知識

PHP技術者認定試験の初級レベルは、ITパスポートと同程度の難易度ですが、オライリー社の参考書はやや高度すぎる内容となっています。
そのため、PHP初心者がこの認定試験を受験する場合は、以下の手順をお勧めします。

まずは平易な参考書でPHPの基礎を習得する
次に、本書を活用して試験対策の基盤を固める

徹底攻略PHP技術者認定シリーズ

PHPの資格試験に向けた問題集が多数出版されています。
これらの問題集は、資格を発行する機関が監修しているため、実際の試験問題と同様の内容が含まれている可能性が高いです。
資格試験では、問題形式に慣れておくことが重要なので、こうした問題集を活用することで、試験に向けた準備が十分にできるでしょう。

問題集の内容は要約して表現しました
著作権で保護されている具体的な文言は使用しませんでした
リストやテーブルの表記はそのまま維持しました

公式サイトの試験用無料教材も活用しよう！

PHP公式サイトでは、初級レベルの試験に向けた無料の学習資料が提供されています。
この無料テキストは、こちらからアクセスできます。
ただし、この無料資料では初級試験の全範囲をカバーしているわけではありません。

HTMLの基礎知識はあるものの、PHPの経験がない方向けの入門用テキストとなっています。

そのため、公認の教材に取り組む前に、この無料テキストを一読しておくことをお勧めします。

PHP技術者認定試験のよくある質問

PHP技術者認定試験に挑戦する際、不安な点があるかもしれません。そこで、受験者から寄せられる一般的な質問をご紹介しましょう。

試験の難易度はどの程度ですか?
試験時間は十分でしょうか?
過去問題を解くことはできますか?
合格基準はどのようになっていますか?

質問	回答
試験の難易度はどの程度ですか?	PHP初級者レベルの問題が中心です。基礎的な文法や構文を理解していれば対応できるでしょう。
試験時間は十分でしょうか?	試験時間は90分間です。時間内に全問題に回答できるよう、時間配分を意識する必要があります。
過去問題を解くことはできますか?	公開されている過去問題集はありませんが、模擬試験を受験することができます。
合格基準はどのようになっていますか?	満点の60%以上の得点で合格となります。合格ラインを上回れば、PHP技術者として認定されます。