フリーランスになる前にやっておくべき退職の準備について

会社勤めを離れ、自由な職業人としての道を歩もうとする際、単に退職後だけでなく、そこに至る前から様々な準備が求められます。

保険や年金の手続き、会社の就業規則に沿った対応など、いくつかの手順を踏む必要があるのです。

本日は、フリーランスへの移行を目指す方々に向けて、退職前と退職後に行うべき事柄について、それぞれのポイントを解説していきましょう。

退職前 退職後
  • 保険や年金の手続き
  • 会社の就業規則に沿った対応
  • 開業手続き
  • 税務申告の準備
  • 事務所の確保

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退職前にしなければいけないこと

退職前にしなければいけないこと

雇用者から独立し、フリーランサーとしての道を歩むことを選択した場合、事前に行うべき重要な手順があります。
適切な準備を怠らず、一つひとつ着実に進めることで、スムーズな移行が可能となり、新たな挑戦に落ち着いて取り組めるでしょう。

退職届の提出

職場を離れる際には、適切な準備と手続きが必要不可欠です。

  • 退職の意向を事前に伝達し、業務の引き継ぎや人員補充を円滑に進める必要があります。
  • 通常、退職予定日の1ヶ月から1.5ヶ月前までに上司に意思表示を行うことが求められます。

上司との面談では、単なる不満の表明ではなく、前向きな理由を示すことが賢明です。例えば、フリーランスとしての独立を目指すなど、上司の理解と支援を得られるような説明が望ましいでしょう。

  • また、退職届の提出時期は概ね1ヶ月前が一般的ですが、各企業の就業規則を確認する必要があります。

リスト表記やテーブル表記は以下のとおり維持されます。

備品の返却

勤務先から支給された物品、例えば社員証や制服、健康保険証、携帯端末、名刺、文具類などの会社所有物品は全て返還する必要があります。

必要書類の用意

退職に際して、以下の手続きを退職日までに済ませておくことが賢明です。

  • 雇用保険の給付を受け取るための雇用保険被保険者証
  • 確定申告時に必要となる源泉徴収票

雇用保険被保険者証は、雇用保険への加入を証明する書類で、ハローワークから交付されます。
多くの企業では紛失防止のため、この証明書を会社で保管しています。
雇用保険被保険者証の見本は以下をご覧ください。

クレジットカードの作成

フリーランスは会社員と比べると社会的な信頼性が低いため、クレジットカードやローンの審査に落とされる可能性があります。それは会社員には安定した収入源があるためです。
フリーランスへの転身を決めたら、退職前にクレジットカードを作っておくことをおすすめします。
フリーランスとして活動する際の銀行口座の選び方については、下記の記事をご覧ください。

  • フリーランスの銀行口座はどうすればいいの?選び方のポイントも解説!

また、フリーランスがクレジットカードを持つメリットやおすすめのクレジットカードについては、下記の記事で詳しく解説しています。

  • フリーランス(個人事業主)がクレジットカードを作るべき理由 | おすすめクレジットカードも紹介

退職後にしなければいけないこと

退職後にしなければいけないこと

この節では、退職後にフリーランサーとしての活動を開始するための準備作業について説明します。
退職直後からフリーランサーとしての仕事が始まるため、

  • 期限内に提出が求められる書類の作成や
  • フリーランサーとして必要な知識の習得など

重要な取り組みが待っています。
退職後は休暇を取りたい気持ちもあるかもしれませんが、フリーランサーとしてスムーズな船出を切るために、改めて意気込みを持って取り組みましょう。

失業保険の申請

フリーランスとして活動を開始する際、多くの人は退職後1か月程度で業務に着手すると考えられます。しかし、失業保険の受給要件を満たすことはできないため、その申請は行えません。
それでも、制度自体の理解は重要です。
失業保険とは、失業状態にある人に対し、ハローワークから一定期間にわたり金銭的支援を行うものです。
対象者は、

  • 会社の倒産や解雇などの理由で職を失った人と
  • 自己都合で退職した人

とに分かれます。
失業の経緯により、支給開始時期が異なります。
会社側の事情による失業の場合、申請から1か月後に受給が可能となりますが、自己都合退職の場合は4か月後となります。
支給額は、退職前6か月間の給与の50%から80%の範囲内で、受給期間は90日から360日間と定められています。
失業保険の手続きには、以下の書類が必要となります。

・離職票
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか1点)
・本人確認書類(免許証、パスポート、写真付き資格証明書など)
・最近の正面上半身写真(縦3.0cm×横2.5cm)2枚
・印鑑
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

国民健康保険の切り替え

雇用形態の変更に伴い、健康保険の加入手続きが必要となります。
退職後は、国民健康保険への加入が義務付けられています。

  • 市区町村の窓口で手続きを行い、退職日が記録された書類を提示する必要があります。
  • 保険証は即日発行されます。

ただし、国民健康保険は全額自己負担となるため、会社員時代より保険料が増額することを覚悟しましょう。
前年の所得が高ければ、保険料も高額になる点に留意が必要です。

フリーランスで社会保険を継続したい場合は、任意継続制度を利用できます。
ただし、

  • 期間は2年間に限られ、保険料は全額自己負担となります。
  • 健康保険組合の任意継続では、退職翌日から20日以内に手続きを行う必要があります。

任意継続のメリットは、企業による手続き代行や負担軽減があることです。

参照資料 任意継続被保険者資格取得申出書

国民年金の切り替え

フリーランスとなると、会社員時代の厚生年金や共済年金から国民年金に切り替える必要があります。
国民年金への加入手続きは、居住地の市区町村役場で行えます。
手続き時には「年金手帳」「社会保険の資格喪失証明書」「雇用保険の離職票」など退職日の記載された書類を持参します。
手続き後数日で、年金納付書が届きます。
離職票などが手元にない場合は、前職の事業所名・電話番号・入退職年月日を伝えれば、職員が代わりに確認してくれます。

国民年金以外にも、様々な年金制度に加入できます。

  • 国民年金基金は、国民年金に上乗せして受給できる年金です。
  • 確定拠出年金(iDeCo)は、自身で毎月一定額を積み立て、運用した資金を60歳以降に年金や一時金として受け取る制度です。
  • 付加年金は、国民年金保険料に上乗せする形で将来の年金額を増やせる制度です。
  • 小規模企業共済は、個人事業主や法人役員が退職・廃業時に、積立金に応じた共済金を受け取れる制度です。

本格的にフリーランス活動を始める前に、税務署で開業届(個人事業の開業・廃業届出書)を提出しましょう。
開業時は開業届のほか、身分証明書やマイナンバーカードの提示が求められます。
開業届は事業開始日から1ヶ月以内に提出する必要があります。

フリーランスに関する有益な情報は、以下の記事をご覧ください。
►フリーランスという働き方について~歴史から今後のフリーランス市場まで徹底解説~

青色申告承認申請書の提出

フリーランスとして活動する際、年間収入に基づいて納税額を算出し、確定申告を行うことが義務付けられています。確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの選択肢があり、青色申告の方が複式簿記による記録が求められるため、手続きが複雑になります。
しかし、節税を意識するのであれば、初年度から青色申告を選択することをお勧めします。
青色申告のメリットは以下の通りです。

  • 最大65万円の所得控除が可能
  • 最大3年間の赤字繰り越しが認められる
  • 家族への給与支払いを経費計上できる(青色申告の専従者給与)

※ただし、開業届の提出が前提条件となります。開業届を提出していない場合、確定申告時に青色申告承認申請書の提出は認められません。

フリーランスとして青色申告について詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

►フリーランスにおける青色申告と白色申告の違い、青色申告の申請手順を分かりやすく解説!

印鑑作成

フリーランサーが仕事で利用するハンコには、以下のようなものがあります。

  • 丸型のもの
  • 金融機関向けのもの

個人事業主として活動を始めると、以下のような場面でハンコが求められるようになります。

  • 請求書の発行
  • 専用の銀行口座開設時

そのため、個人用とビジネス用のハンコを別々に準備しておくことが賢明でしょう。

名刺の作成

フリーランスとして活動する際、クライアントや仕事の紹介者との接点が増えることになります。そういった場面で自身を効果的にアピールするためには、名刺の準備が有益でしょう。
名刺には以下の情報を記載します。

  • 氏名または屋号
  • 職種(エンジニア、ライター、デザイナーなど)
  • 住所
  • 連絡先(電話番号、メールアドレス)

名刺は自己PRツールですので、わかりやすくデザインすることが重要です。フリーランスにおける名刺の役割や必要性について詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。

►独立した職業人として名刺は必須アイテム!作成のポイントや活用方法を解説

雛形

フリーランスとして活動する際、見積書や請求書の作成と管理は避けられない業務の一つとなります。
ネット上には無料で利用できるテンプレートが多数存在するため、それらを活用するのが賢明です。
会計ソフトと連携させるなど、自身に合った運用方法を工夫することで、効率的な管理が可能になるでしょう。
見積書や請求書が不足することのないよう、余裕を持った対応が肝心です。

フリーランスとして活躍する上で請求書作成に関する注意点を理解したい方は、以下の記事をご覧ください。

  • 【保存版】フリーランスの請求書の注意点・源泉徴収などの対応について完全解説!

事業計画の作成

フリーランスとして成功を収めるためには、長期的な視点に立った事業計画の策定が極めて重要となります。

  • 独立した目的や設定した目標、期待する収益水準など、事業の方向性を明確に定めることが不可欠です。
  • 併せて、月次の支出見込みを初期段階から把握しておくことをお勧めします。

まとめ

まとめ

この記事では、フリーランスに転身する際の準備について説明しています。
フリーランスとなる目的や目標を明確にすることが何より重要であり、その上で退職手続きなどの準備を進めるべきだと述べられています。
また、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」が紹介されており、フリーランスを目指す方々に活用を促しています。