組み込みエンジニアの転職実情や年収、転職実現のコツを解説!

組み込みエンジニアの職務内容や転職方法について十分な知識を持たない人が多いのが実情です。
Webやモバイル分野のエンジニアの業務は比較的理解しやすいものの、組み込みエンジニアの全容を把握するのは難しい場合があります。
組み込みエンジニアには多くのスキルが求められ、転職の難易度も高めです。
そのため、転職を目指すなら、

  • 組み込みエンジニアの職務内容や必要スキルを把握し
  • 資格取得などに取り組む必要があります

本記事では、

  • 組み込みエンジニアの定義
  • 職務内容
  • 年収
  • 将来性

などをまとめています。
さらに、

  • 組み込みエンジニアに求められるスキル
  • 採用に向けたコツ

も解説しています。
本記事を読めば、組み込みエンジニアへの転職に向けて今後何をすべきかが分かるでしょう。
組み込みエンジニアの仕事に関心がある方は、ぜひ本記事をご一読ください。

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組み込みエンジニアとは

組み込みエンジニアとは

エレクトロニクス製品に組み込まれたシステムの開発を担当するのが組み込みエンジニアの役割です。
設計、プログラミング、テストなどの業務に従事する技術者が分担して、製品に求められる機能を実装します。
例えば、テレビの場合、

  • チャンネル切り替え
  • 録画機能

など、個々の動作を制御するシステムを構築する必要があります。
また、誤操作時の安全性確保も重要な要件となります。
このように日常的に利用される製品の根幹を支える仕事が組み込みエンジニアの職務です。

組み込みエンジニアと制御エンジニアの違い

制御エンジニアと組み込みエンジニアは、しばしば混同されがちな職種です。
両者とも家電製品や工業機械に搭載されるシステムの開発に携わる点では共通していますが、その役割は異なります。

  • 組み込みエンジニアは機器の動作そのものを実現するシステムを構築します
  • 制御エンジニアは人の操作に応じて機器の動作を制御するシステムを担当します

簡単に言えば、

  • 組み込みエンジニアは自動的な動作部分を
  • 制御エンジニアは人の介入に対応する部分を開発するのです

例えば、テレビの音量調整やチャンネル変更機能などは、制御エンジニアが開発対象とする領域になります。

組み込みエンジニアの仕事内容

電子機器に組み込まれる機能の企画から、システムの設計、ハードウェアとソフトウェアの開発、さらにはプログラミングとテストまでを一連の作業として行うのが、組み込みエンジニアの主な業務です。
それぞれの工程について詳しく説明しましょう。

  • 機能の検討: 製品に求められる機能を洗い出し、実現可能性を検証します。
  • システム設計: ハードウェアとソフトウェアの全体構成を決定します。
  • ハードウェア・ソフトウェア設計: 具体的な回路設計やプログラムの設計を行います。
  • プログラミング・テスト: 設計に基づいてプログラミングを実施し、動作確認を行います。

電子機器に搭載する機能の検討

製品開発の初期段階では、目的とする電子機器に求められる機能について綿密な検討が行われます。
主要な機能を実現するための仕組みや、付加的な機能の必要性を慎重に吟味します。
例えば、エアコンの場合、

  • 部屋の温度調節が中心的な役割ですが、その実現には室内の空気を外部に排出する機構が不可欠です。
  • さらに、タイマー設定や除湿機能、リモコン操作など、利便性を高める機能の搭載も求められるでしょう。

このように、開発対象製品の仕様を詳細に決定していきます。
機能面の検討は、製品市場の動向や競合製品との差別化など、幅広い視点から経験豊富な組み込みエンジニアが担当するのが一般的です。
また、この段階で概算の開発コストも算出されます。
組み込み開発においては、このように電子機器の機能面から着手することが重要視されています。

システム設計

機能が決定した後、それらをどのように具現化するかシステム設計が行われます。
電子機器に必要なディスプレイやソフトウェア構成、必要なCPUなどが決められていきます。
ハードウェア選定において重要なのは、規格を仕様に沿ったものにすることです。
規格が異なれば、正常に動作しなくなる可能性があります。
また、組み込み機器向けCPUには多くの種類があり、組み込みエンジニアは各CPUの機能を比較し、電子機器に最適なものを選択する必要があります。
システム設計では、正常動作だけでなく、安全性も考慮することが肝心です。
例えば、自動車で利用される組み込みシステムに不具合があれば、人命が脅かされかねません。
設計段階で安全性や耐久性を十分に検討する必要があります。
組み込みシステムはモバイルアプリなどと異なり、リリース後にバグが見つかってもアップデートができず、製品を回収せざるを得ないケースもあります。
このようなことにシステム設計段階で配慮する必要があるのです。

ハードウェア・ソフトウェア設計

次に、ハードウェアとソフトウェアの設計作業に取り掛かります。
ハードウェア設計では、

  • 部品同士を接続する回路図の作成や、基板のレイアウト設計を行います。
  • 部品点数を最小限に抑えることで、消費電力の削減などのメリットが生まれます。

一方のソフトウェア設計では、

  • ハードウェアを制御するためのドライバー開発が必須となります。
  • さらに、アプリケーションやミドルウェア、プリント基板の設計作業も並行して進めていきます。

近年の電子機器の小型化に伴い、基板の小型化も避けられず、効率的な設計が求められる状況にあります。

プログラミング・テスト

実際の組み込みシステムの開発では、設計に基づいてプログラミングが行われます。
C言語、C++、C#、Java、アセンブラ言語などが一般的に使用されます。
メモリ容量が限られているため、効率的なコーディングが求められます。
開発の過程で、シミュレーター環境を活用しながらテストを重ね、正常な動作を確認していきます。
最終的に製品チェックに合格すれば、作業は完了となります。
このように、組み込みエンジニアは設計から製品化までの一連の工程を担当します。

組み込みエンジニアの年収

組み込みエンジニアの年収

組み込み分野のエンジニアの平均年収は455万円となっています。政府統計によれば、プログラマー全体の平均年収は約425万円で、組み込みエンジニアの方が若干高い水準にあります。

IoTデバイスの普及などを背景に、高度な技術を持つ組み込みエンジニアの需要が増加しており、収入面での上昇が見込まれます。

また、組み込み分野においても、

  • 上流工程の業務を担う場合は責任が重くなり、幅広い知識が求められるため、年収水準が高くなる傾向にあります。

一方、フリーランスの組み込みエンジニアの収入状況は以下の通りです。

平均年収 中央値年収 最高年収 最低年収
組み込み・制御 710万円 660万円 2,160万円 288万円

高収入を望む組み込みエンジニアにとって、フリーランスは有力な選択肢となり得ます。組み込み分野のフリーランス案件を検討してみましょう。↓

組み込みエンジニア需要の動向

組み込みエンジニア需要の動向

組み込みエンジニアの人材需要を転職市場の動向から分析します。
この職種の現状と展望について、転職希望者の関心事項を整理しました。

  • 組み込みエンジニアの仕事内容
  • 求められるスキル
  • 年収・給与水準
  • 転職のポイント
項目 詳細
仕事内容 組み込みソフトウェアの開発
主な就職先 自動車・家電メーカー、通信機器メーカー、制御機器メーカーなど
求められるスキル C/C++、アセンブリ言語、リアルタイムOS、ハードウェア知識
年収・給与水準 経験年数に応じて300万円~800万円程度

組み込みエンジニアの現状

現在、組み込み分野におけるエンジニアの需要は非常に高い水準にあります。
この背景には、企業が組み込みエンジニアの不足に直面していることが挙げられます。
組み込みエンジニアが不足している要因の一つとして、この分野を教育する機関の少なさが指摘されています。

  • 大学の情報工学部以外では、プログラミングを学ぶ機会が限られており、スキルを持つ人材が不足しているのが実情です。

近年、プログラミングスクールが増えてきたものの、Web系エンジニア向けのコースが中心で、組み込み分野を対象としたものは少数に留まっています。
加えて、組み込み開発で使用される

プログラミング言語
C言語
C++
C#
Java
アセンブラ言語

などは、初心者にとって習得が容易ではありません。
このようにプログラミング言語の面でもある程度のハードルがあることが、組み込みエンジニアの人材不足につながっていると考えられます。
結果として、企業は優秀な組み込みエンジニアを確保するために高額の報酬を支払う必要に迫られ、この分野での需要が高まっているのです。

組み込みエンジニアの将来性

組み込み分野の専門家の需要は今後も高まると考えられます。
IoTの進化が鍵となり、私たちの生活に関わる様々な製品がネットワークに接続されることで、大きな変化が訪れるからです。
そのためには、組み込みシステムの開発者の存在が不可欠となります。

  • IT企業による組み込み技術者の採用増加が見込まれています。

しかし、専門家自身も新しい技術動向を常に把握し、スキルを磨き続ける必要があります。
技術の進歩に遅れをとれば、将来的に仕事を失う可能性もあるでしょう。

未経験から組み込み/制御エンジニアへの転職を実現させるには

未経験から組み込み/制御エンジニアへの転職を実現させるには

組み込み/制御分野への転職は容易ではありませんが、適切な準備と意欲を示せば実現可能です。
この業界では実務経験が重視されるため、未経験者の採用は難しい場合があります。
しかし、一定のスキルを身につけ、面接で熱意をアピールすれば内定を勝ち取ることができます。
特に以下の4点に注力することが、組み込み/制御エンジニアへの転職の近道となります。

  • 実践的な開発経験を積む
  • 関連資格を取得する
  • 一貫した転職理由と志望動機を持つ
  • 転職サイトやエージェントを活用する

組み込み/制御の開発経験を身に付ける

ハードウェアとソフトウェアの両方の専門知識が求められる組み込みエンジニアの職務には、以下が必須となります。

  • コンピュータの構造や電子回路に関する理解
  • C言語、C++、C#、Java、アセンブリ言語などのプログラミング言語の習得

JavaやPHPと比較して、C言語やC++は難易度が高いため、学習に割く時間を多めに見積もる必要があります。
また、機械語に近いアセンブリ言語の理解も容易ではありません。
このように、組み込みエンジニアに求められるスキルセットは他の分野のエンジニアよりも幅広いと言えるでしょう。

組み込み/制御関連の資格を取得する

未経験者がスキルを証明する一つの方法として、資格取得が挙げられます。
IT関連の基本情報技術者試験以外にも、組み込み・制御分野の資格を取得することをお勧めします。

  • 例えば、一般社団法人組込みシステム技術協会が実施するETEC(組込み技術者試験制度)があり、初級者向けの内容なので、まずはこの資格の取得を目指すと良いでしょう。
  • この試験はエントリレベルとミドルレベルの2段階に分かれています。

また、世界的に実施されているOCRESという資格も、スキルの高さを示す指標となります。

  • OCRESの試験はファンダメンタル、インターメディエイト、アドバンストの3段階に分かれています。

このような資格を取得することが、未経験者のスキルアップに役立つでしょう。

転職理由と志望動機を一貫させる

面接では、転職の背景と新しい職場への思いを一貫させることが重要です。これらを統一することで、面接官は応募者の考え方や目標を理解しやすくなり、働く姿を想像しやすくなります。
そうすれば、安心して採用の判断ができるでしょう。

また、志望動機を軸に転職理由を検討すると、ポジティブな内容になりやすくなります。

  • 人間関係の悩みや業務への不満など、ネガティブな理由は好ましくありません。

「Webの分野で経験を積んできたが、IoTデバイス開発に将来性を感じた」など、志望動機と転職理由を一致させることで、前向きな印象を与えられます。

転職サイトや転職エージェントを活用する

組み込みエンジニアとしての転職を目指す際、転職サイトや転職エージェントを活用するのが賢明な選択肢です。

転職サイトでは、以下のメリットがあります。

  • 自身の希望条件に合致する求人を簡単に検索し、応募することができます
  • 年収や職種で絞り込みを行えるほか、企業とのやり取りもサイト上で完了します
  • スカウト機能を利用すれば、自身のスキルやプロフィールを登録しておくと、企業側から直接スカウトメールが届きます

現職が多忙で転職活動に時間が割けない方は、転職サイトの利用がお勧めです。

一方、転職エージェントでは、以下のサポートを受けられます。

  • 専任の担当者が転職活動全般をサポートしてくれます
  • 希望条件やスキルにマッチした組み込みエンジニア求人の紹介
  • 企業とのやり取りや給与交渉の代行
  • 面接練習や職務経歴書の添削

効率的な転職活動を実現するため、転職サイトや転職エージェントの活用は必須といえるでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、組み込みエンジニアの職務内容と必要なスキルについて説明しました。
組み込みエンジニアは、電子機器に搭載されるシステムの開発を行う職種で、IoTデバイスの普及に伴い需要が高まっています。
5Gの本格導入により、自動車をはじめとするIoT分野がさらに発展すると予想されます。
しかし、組み込みエンジニアになるには多くのスキルと実務経験が求められ、未経験者が採用されるのは容易ではありません。

  • 資格取得などでスキルを証明することが重要です。
  • 転職サイトや転職エージェントを上手に活用すれば、転職の成功率が高まるでしょう。

ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」をご活用いただければ幸いです。
この記事がお役に立てば幸いです。