業務委託契約で収入印紙が必要な場合って?

契約書作成時に収入印紙の使用が求められるかどうかを確認したい場合、この記事が役立ちます。
収入印紙の定義と、業務委託契約において収入印紙が必要となる状況や注意点について説明します。
本文を読めば、業務委託契約で収入印紙が必要かどうか、また必要な場合の金額がわかるようになります。

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そもそも収入印紙とは

そもそも収入印紙とは

収入印紙とは、契約書などの文書に貼付することで、その文書の法的効力を担保する目的で発行される証紙のことです。

収入印紙の貼付が必要となる主な文書は以下のとおりです。

  • 不動産の売買契約書
  • 賃貸借契約書
  • 金銭の消費貸借契約書
  • 和解契約書

収入印紙の料金は、

契約金額 印紙代
10万円以下 200円
10万円超~50万円以下 400円
50万円超~100万円以下 1,000円
100万円超~500万円以下 2,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円
5,000万円超 60,000円

のように、契約金額に応じて定められています。

収入印紙を貼付しないと、その文書は無効となる可能性がありますので、十分注意が必要です。

収入印紙とは

国に対する税金や手数料などの支払いを証明する証票が収入印紙です。
印紙税法の課税対象となる文書を作成する際に必要となります。
課税対象文書には

  • 業務委託契約書を含む20種類があげられます。

コンビニエンスストアでは一般的に200円面額の収入印紙のみが販売されており、高額な収入印紙を購入する場合は郵便局や法務局を利用しましょう。
名称が類似する証票に「収入証紙」がありますが、収入印紙は国が発行元であるのに対し、収入証紙は地方自治体が条例に基づいて発行しており、支払い先が異なります。
東京都や広島県など、一部地方公共団体では収入証紙が廃止されています。

収入印紙を貼らないとどうなる?

収入印紙が未納の場合、状況に応じて3種類のペナルティが科されます。

  • 税務調査で未納が発覚すると、最も厳しい制裁を受け、本来の印紙税額の3倍相当の過怠税が課されます。金額が大きければ、過怠税が100万円を超える可能性があります。
  • 自主的に申告した場合は、1.1倍に減額されます。
  • 消印漏れの際は、未納分の額面相当額が過怠税となります。

過怠税は損金や必要経費に算入できないため、注意が必要です。
ただし、契約書への収入印紙未貼付は、契約内容の効力に影響しません。違反となるのは収入印紙未納の行為自体であり、契約の有効性とは無関係です。税金の申告漏れでも取引は有効なように、収入印紙未納でも契約書は無効にはなりません。

印紙が必要な書面

収入印紙の使用が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 金銭や有価証券の受領を証明する領収書で、税抜き金額が5万円を超えるもの
  • 一部の契約書(請負契約を含む)
  • 継続的取引の基本となる契約書

商品やサービスの受領を証明する領収書については、課税対象となる本体価格が基準となります。税込金額が5万2,800円であっても、本体価格が4万8,000円であれば収入印紙は不要です。
請負契約とは、受注者が業務を完了することで発注者から報酬を受け取ることを約束する契約のことです。報酬額が1万円未満であれば収入印紙は不要ですが、1万円を超える場合は必要になります。
特定の相手と継続的に取引を行う際の基本契約書には、一律で4,000円の収入印紙が求められます。具体例としては、

銀行取引契約書 代理店契約書 業務委託契約書

などがありますが、契約内容により異なる場合があります。

業務委託契約の種類

業務委託契約の種類

業務委託契約において収入印紙が求められるかどうかを把握するには、契約の性質を2つの主要なカテゴリーに分けて検討する必要があります。

  • 第1のカテゴリーは、「役務の提供」に関する契約です。
  • 第2のカテゴリーは、「物品の供給」に関する契約です。

役務の提供に関する契約 物品の供給に関する契約
収入印紙は不要 収入印紙が必要

したがって、業務委託契約の内容が「役務の提供」に該当する場合は収入印紙は不要ですが、「物品の供給」に該当する場合は収入印紙が必要となります。

委任(準委任)契約

業務の遂行を目的とする契約が委任(準委任)契約です。
請負契約では成果物や納品物に対して対価が支払われますが、委任契約では業務を行うことに対して対価が支払われます。
委任契約では善管注意義務が課され、業務遂行に際して最善の注意を払う必要があります。
しかし、「半年間顧問弁護士として在籍し法律相談に応じる」といった委任契約であっても、契約期間中に一度も相談がなかった場合でも対価の支払いが発生します。
委任契約と準委任契約は民法上同一のルールが適用されるため、明確に区別されずに一括りに委任契約と呼ばれることもありますが、厳密には異なります。
委任契約は法律行為の委託である一方、準委任契約は事実行為(事務処理)の委託です。
委任契約の例として代理人契約があり、準委任契約の例としては

  • セミナー講師の講演
  • 商品の宣伝業務

など、様々な業務内容が挙げられます。
実際の取引では準委任契約の方が多く利用される契約です。

請負契約

業務の成果物を目的とする契約が請負契約です。
委任契約との主要な相違点は、

  • 委任契約では業務の遂行自体に対価が支払われるため、成果物がなくても報酬を得られますが、
  • 請負契約の場合は成果物の提出がなければ報酬は発生しません。

例えば、商品のパッケージデザインをデザイナーに依頼する際、デザイナーは納期までにデザインを納品しなければ報酬は支払われません。
また、一定期間内に一定の売上高を達成することを条件とした営業代行業務も請負契約に適しています。売上高の一部を報酬として支払う契約形態も、請負契約の範疇に含まれます。

請負契約の収入印紙

請負契約の収入印紙

下請け契約は「請負業務に関する合意文書(2号様式)」と称され、契約金額に応じて収入印紙の添付が義務付けられています。
契約金額ごとに必要な収入印紙の金額は、次のとおりです。

契約金額別 必要収入印紙金額
1万円未満 無料
1万円以上100万円以下 200円
100万円超え200万円以下 400円
200万円超え300万円以下 1,000円
300万円超え500万円以下 2,000円
500万円超え1,000万円以下 1万円
1,000万円超え5,000万円以下 2万円
5,000万円超え1億円以下 6万円
1億円超え5億円以下 10万円
5億円超え10億円以下 20万円
10億円超え50億円以下 40万円
50億円超え 60万円
契約金額の記載がない場合 200円

継続性のある請負契約書の収入印紙(2024年6月)

継続性のある請負契約書の収入印紙(2024年6月)

継続的な取引関係を定める契約書類、例えば

  • 請負基本契約書
  • 業務委託基本契約書(請負)
  • 売買基本契約書
  • 代理店契約書
  • 販売代理店契約書
  • 取引基本契約書
  • 業務委託契約書(請負)

などにおいて、契約金額の記載がない場合、第7号文書と呼ばれ、4000円の印紙税が課されます。
ただし、契約期間が3ヶ月以内で更新規定がない場合はこの限りではありません。

印紙の貼る時の注意点

印紙の貼る時の注意点

印紙を適切に使用するためには、2点の留意事項があります。
これらを怠ると、過怠税の納付が必要となる可能性があります。

  • 留意事項1
  • 留意事項2

印紙税の金額は契約内容によって変わる

印紙税の金額は契約の内容によって異なります。

  • 業務委託契約のうち、委任契約は原則として収入印紙は必要ありません。
  • ただし、7号文書に該当する委任契約には、収入印紙が課税されます。その金額は一律4,000円です。

一方、2号文書に該当する請負契約の場合、契約金額に応じて無課税から60万円の範囲で印紙税額が変動します。

契約金額 印紙税額
~30万円 無課税
30万円超~50万円以下 2,000円
50万円超~100万円以下 10,000円
100万円超~500万円以下 20,000円
500万円超~1,000万円以下 30,000円
1,000万円超~5,000万円以下 60,000円
5,000万円超~ 200,000円

印紙税の負担は双方

印紙税の負担については、通常は契約当事者双方が分担することが一般的です。
法令上は、契約書の作成者に納付義務が課されていますが、当事者間で連帯して納付する責任があるため、実際には両者が分担することが多くなっています。
ただし、具体的な負担割合については法令で定められておらず、当事者間での合意によって決定されます。

まとめ

まとめ

契約書の種類は大きく2つに分類されます。

  • 委任契約(準委任契約を含む)
  • 請負契約

委任契約(準委任契約の一部を除く)には収入印紙は不要ですが、準委任契約の一部と請負契約には収入印紙が必要となります。
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