ソフトウェア品質技術者資格試験の詳細や資格取得メリット、おすすめの参考書を解説

ソフトウェアの品質向上に関する包括的かつ体系的な知識を身に付けたい場合、「ソフトウェア品質技術者資格試験」の取得が推奨されます。
この資格は、エンジニアから注目を集めており、

  • ソフトウェア開発の現場で働く方や
  • 将来エンジニアを目指す方にとって有益です。

本稿では、ソフトウェア品質技術者資格試験の概要を説明します。

  • 資格取得のメリット・デメリット
  • 学習に役立つ参考書やウェブサイト

も紹介しますので、ご活用ください。

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ソフトウェア品質技術者資格試験とは

ソフトウェア品質技術者資格試験とは

ソフトウェア品質技術者資格試験は、一般財団法人日本科学技術連盟が運営・認定する民間資格です。
この資格は、ソフトウェア開発に携わるすべてのエンジニアや開発者を対象とし、ソフトウェア品質の向上を目指しています。
資格取得により、

  • ソフトウェア開発に関する専門知識を習得でき
  • より高度な業務を担当できるようになります

現在、ソフトウェア開発の求人や案件は多数存在し、開発に従事するエンジニアの需要は高まっています。
一方で、全体的なエンジニア数が不足しており、開発能力のある人材は企業にとって希少な存在となりつつあります。
高度なソフトウェア開発を行う場合、求められるレベルのスキルを持ったエンジニアを見つけることが難しくなっています。

このような企業のニーズに応えられる人材になる一つの方法として、ソフトウェア品質技術者資格試験が注目されています。
ソフトウェア開発の勉強を無計画に行うよりも、ソフトウェア品質技術者資格試験を目標とすることで、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
ソフトウェア開発を職業とする場合、ソフトウェア品質技術者資格試験の取得がお勧めです。

ソフトウェア品質技術者資格試験

ソフトウェア品質技術者資格試験

ソフトウェア品質技術者の認定を獲得するには、資格試験に合格する必要があります。
選択式や記述式の問題に正解し、合格基準をクリアすることで資格が授与されます。
試験範囲、時間、問題数などの情報を事前に把握し、対策を立てることが重要となります。

ソフトウェア品質技術者資格には以下のレベルがあります。

  • 初級
  • 中級
  • 上級(現時点で試験が実施されておらず、今後導入される予定)

したがって、現状ではソフトウェア品質技術者資格試験を受験する場合、初級か中級のいずれかを選択することになります。

ソフトウェア品質技術者資格試験の詳細

ソフトウェア品質技術者資格の試験範囲は、レベルごとに異なる内容が設定されています。受験前に、目指すグレードの出題範囲を十分に把握しておくことが重要です。

  • 初級試験
    • ソフトウェア開発プロセス
    • テスト技法
    • テスト管理技法
    • ツール活用
  • 中級試験
    • 高度なテスト技法
    • 品質マネジメント
    • プロジェクト管理
    • リスク分析と対策

試験内容を事前に確認し、的確な準備を行うことで、合格への確度が高まります。

ソフトウェア品質技術者資格試験

試験会場は東京、名古屋、大阪、福岡などが予定されており、一定数(30~35名程度)の受験者が集まれば、地方での開催も検討される。
試験日程は以下の通り。

  • 2022年6月11日(土)10:30~11:30
  • 2022年11月12日(土)10:30~11:30

原則として年2回(6月と11月)実施される。開催日の情報は決定次第、SQiPメールニュース(無料)で配信される。試験時間は60分(休憩なし)で、選択問題形式で出題される。出題範囲は以下の通り。

  • 品質の概念
  • 品質の定義(品質の考え方の変遷)
  • ソフトウェア品質モデル
  • 品質マネジメントの概念
  • 品質保証の考え方 など

出題範囲の詳細はシラバスで確認できる。問題数は40問で、合格ラインは70%程度。受験資格は特になく、有効期限は不明。受験料は11,000円(税込)で、振込口座は受付確認メールに記載される。領収書が必要な場合は申込書の通信欄に「要領収証」と記入する。申込期間は以下の通り。

2022年3月1日(火)~4月25日(月)15:00(予定)
2022年8月1日(月)~9月20日(火)15:00(予定)

ソフトウェア品質技術者資格試験

ソフトウェア品質技術者資格試験の開催場所は東京、大阪などが予定されており、一定数の受験者が集まれば地方での実施も検討される。
試験は2022年11月12日(土)13:30から15:30に行われ、原則として年1回の11月開催となる。試験日程は決定次第、無料のSQiPメールニュースで配信される。

試験時間は120分の休憩なしで、出題形式は以下の2種類がある。

  • 選択式は複数の選択肢から正解を選ぶ方式
  • 記述式は文章の空欄補充、用語の説明、あるテーマについての考察を記述する問題からなる

出題範囲はソフトウェアの品質マネジメントに関する幅広い内容を網羅しており、詳細はシラバスで確認できる。
問題数は選択式25問、記述式15問で、合格ラインは70%程度が目安とされる。受験資格は特になく、受験料は16,500円が必要となる。

初級と中級では出題内容や形式、難易度が異なるため、自身の学習レベルに合わせて受験資格を選択することが重要である。
シラバスには知識レベル1から5までが設定されており、

資格 出題レベル
初級 1から3
中級 2から4

のレベルの問題が出題される。試験前にはシラバスの最新版を確認し、求められる知識レベルを把握しておくことが賢明である。

ソフトウェア品質技術者資格試験の受験者数・合格率・難易度

ソフトウェア品質技術者資格試験の受験状況と合格率は、初級と中級で顕著な差異が見られます。
以下の表は、近年の受験者数、合格者数、合格率の推移を示しています。

<初級ソフトウェア品質技術者資格試験>

年度 受験者数 合格者数 合格率
2017年度 1,082名 285名 26.4%
2018年度 992名 426名 42.9%
2019年度 892名 284名 31.8%
2020年度※1回のみ開催 478名 167名 34.9%
2021年度 763名 304名 39.8%

<中級ソフトウェア品質技術者資格試験>

年度 受験者数 合格者数 合格率
2017年度 240名 37名 15.4%
2018年度 240名 24名 10.0%
2019年度 265名 45名 17.0%
2020年度 183名 22名 12.0%
2021年度 212名 23名 10.8%

初級試験の方が中級試験に比べ、受験者数、合格者数、合格率のすべての指標で上回っています。

  • 初級試験は比較的合格しやすいため、ソフトウェア開発の知見が不足している場合は、初級から挑戦することをおすすめします。

しかし、初級試験でも合格率は年によって20%台から40%台と低水準にあり、一定の難易度があります。適切な対策を講じずに受験すれば、合格は困難です。

一方の中級試験は、さらに高い難易度が要求されます。合格率は10%前後と極めて低く、一発合格は期待できません。中級を目指す場合は、十分な準備を重ね、複数回の挑戦を覚悟する必要があります。

なお、

  • 初級ソフトウェア品質技術者資格はITSS

ソフトウェア品質技術者資格試験の申込手順

ソフトウェア品質技術者資格試験の申込手続きには、一連の段階的なプロセスが存在します。

  • まず、一般財団法人日本科学技術連盟のウェブサイトで開催情報を確認し、オンラインで申し込みを行います。
  • その後、自動返信による受付確認メールが届きますが、この時点では申込手続きは完了していません。
  • 申込期間終了後、受験可否が通知されます。
  • 4月下旬ごろには試験料の振込案内メールが送られてくるので、5月上旬までにその振込を完了する必要があります。
  • 入金確認後、受験登録完了メールが送付され、ここで初めて申込手続きが完了したことになります。
  • 最終的に実施要領と受験票が郵送されます。

受験票は試験当日に必携なので、忘れずに持参しましょう。また、受験票に証明写真が貼付されていない場合は受験不可となりますので、事前準備を怠らないよう気をつけてください。

試験実施後、合格者の番号がウェブサイトで公開され、合格者には資格認定証が送付されます。

勉強時間

ソフトウェア品質技術者資格試験に合格するための学習時間は、受験者のソフトウェア開発に関する知識レベルによって異なります。

基礎的な知識しかない場合、初級試験では以下の学習時間が望ましいでしょう。

  • 50時間から100時間程度
  • 1日2時間の学習ペースなら、50時間で約1ヶ月の期間が必要

初級試験は6月と11月、中級試験は11月に実施されるため、受験時期に合わせて学習を開始するのがポイントです。

中級試験では、初級の2倍から3倍の学習時間が見込まれます。

  • 半年から1年かけて着実に準備を進めるスケジュールを立てることも一案です。

ソフトウェア品質技術者資格試験の資格取得のメリット

ソフトウェア品質技術者資格試験の資格取得のメリット

ソフトウェア品質技術者資格の取得には、様々な利点が存在します。
以下の内容を参考に、資格を手にする際の恩恵について確認しておくことをお勧めします。

  • 専門知識の習得
    • ソフトウェア品質保証の理論や手法を体系的に学ぶことができます。
  • キャリアアップの助け
    • 資格取得は、スキルアップを示す指標となり、キャリアアップに役立ちます。
  • 転職・就職の際の強み
    • 資格保持者は、ソフトウェア品質保証の専門家として評価されます。
  • 報酬アップの可能性
    • 資格取得により、給与アップの機会が生まれる可能性があります。
資格名 受験資格 試験科目
ソフトウェア品質技術者試験 制限なし 1. ソフトウェア品質保証の基礎
2. ソフトウェア品質保証の実践

ソフトウェア品質の知識が身に付く

ソフトウェア品質に関する専門知識を習得する過程において、資格試験の準備に費やした時間は、結果として有益な学びとなります。
資格取得を目指しながら、実践的な知見を得られることは、この資格を取得する利点の一つと言えるでしょう。

IT系企業の転職・就職に活用できる

ソフトウェア品質技術者の資格を取得することは、IT関連企業への転職や就職の際に活用できる利点があります。
企業側からすると、この資格保持者は「高度な開発スキルを備えた人材」として注目される機会となります。
企業が求める人材かどうかを判断しやすくなるため、転職・就職活動において若干有利になる可能性があります。

資格手当や報奨金を貰える可能性がある

ソフトウェア分野における専門的な資格の獲得は、企業内での評価に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、

  • 資格手当や報奨金制度が設けられている場合、資格取得が年収増加につながる場合があります。

すでにエンジニアとして勤務しながらソフトウェア品質技術者資格試験を受験する際は、自社の規定において資格取得者に対する手当や報奨金の支給対象となるかどうかを確認することが賢明でしょう。

ソフトウェア品質技術者資格試験の資格取得のデメリット

ソフトウェア品質技術者資格試験の資格取得のデメリット

ソフトウェア品質技術者資格の取得には、プラスの側面だけでなく、マイナスの面も存在します。ここでは、この資格を手にすることによる欠点について説明していきます。

  • 資格取得のための勉強に多大な時間と労力を費やす必要がある
  • 資格取得のための費用が高額になる可能性がある
  • 資格取得後も、継続的な学習が求められる
  • 資格取得だけでは実務経験が不足している可能性がある
欠点 説明
時間と労力の消耗 資格取得のための勉強に多大な時間と労力を費やす必要がある
高額な費用 資格取得のための費用が高額になる可能性がある
継続的な学習の必要性 資格取得後も、継続的な学習が求められる
実務経験の不足 資格取得だけでは実務経験が不足している可能性がある

勉強時間を確保する必要がある

ソフトウェア品質技術者の資格取得には、相当の学習時間を確保する必要があります。
多忙な日々の中で勉強する時間を作り出すことは困難で、ストレスの蓄積などマイナスの影響が生じる可能性があります。
この資格試験の合格率は低いため、長時間の勉強にもかかわらず不合格になるリスクも存在します。
不合格の場合、さらに学習を重ねる必要があるため、その時間を確保できるかどうかを事前に検討しておくべきでしょう。

ソフトウェア品質技術者資格試験合格のためのおすすめ参考書やサイト

ソフトウェア品質技術者資格試験合格のためのおすすめ参考書やサイト

ソフトウェア品質技術者資格試験に合格するためには、適切な学習教材の選択が肝心です。
ここでは、

  • 推奨の参考書
  • 公式ウェブサイトで公開されている過去問題

について説明します。

参考書 ソフトウェア品質技術者公式テキスト
ソフトウェア品質技術者問題集
過去問題 公式ウェブサイトで公開されている過去問題を活用することをお勧めします。

ソフトウェア品質知識体系ガイド (2024年6月版)

ソフトウェア品質技術者資格試験に臨む際は、「ソフトウェア品質知識体系ガイド(第3版)」の活用が推奨されます。

2020年11月に発売された本書は、最新の情報を反映した改訂版であり、試験対策に適しています。
改定により、以下の内容が更新されました。

  • 「ソフトウェア品質の概念(解説)」
  • 「ソフトウェア品質のマネジメントおよび技術に関するトピック」

加えて、「専門的なソフトウェア品質の概念と技術」が新設され、ユーザビリティ、セーフティ、セキュリティ、プライバシーなどについて深く学ぶことができます。
さらに、「ソフトウェア品質の応用領域」の新設によって、AI、IoT、クラウドに関する知識を習得できるようになり、受験に必要な幅広い知識を網羅しています。

初級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)問題と解説 2024年6月版

本書は、ソフトウェア品質技術者試験の受験生や品質技術者が基礎知識を問題形式で学べる参考書です。
内容は「ソフトウェア品質技術知識体系ガイド」の最新版に準拠しています。

  • 過去問題の掲載もあり、学習の達成度を確認するのに役立ちます。

公式サイトの過去問も活用しよう!

ソフトウェア品質技術者資格試験の公式ウェブサイトでは、実際の試験で出題された問題の一部を無料で閲覧することができます。
これらの過去問題には解説が付されており、受験者は出題傾向や模範解答を確認することで、試験対策に役立てることができます。
公式サイトの過去問題は、以下のリンクからアクセスできます。

  • https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou.html

まとめ

まとめ

ソフトウェアの品質向上に寄与する重要な資格であるソフトウェア品質技術者資格試験。今後のソフトウェア開発では、単に速さや正確性だけでなく、高品質な成果物が求められる可能性があるため、
この資格を取得し専門知識を身に付けることをおすすめします。

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本記事が皆様のお役に立てば幸いです。