半導体エンジニアの仕事内容・必要スキル・将来性を解説

2024年6月15日

半導体は長年にわたり、日本の誇る技術力の象徴として位置づけられてきました。
しかし、近年の世界的な変化により、半導体産業の展望が注目を集めています。
そして、その中で脚光を浴びているのが「半導体エンジニア」の職業です。
本稿では、半導体エンジニアの業務内容、必要なスキル、そして将来性について解説します。
特に以下の方々には、ぜひお読みいただきたいです。

半導体エンジニアの職務を理解したい方
半導体エンジニアに求められる能力を知りたい方
半導体エンジニアの将来性に関心がある方
半導体エンジニアとしてのキャリアを検討している方

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1 半導体エンジニアの仕事内容
- 1.1 設備管理や生産スケジュールの策定・管理（プロセスエンジニア）
- 1.2 半導体の設計やICチップ内部のレイアウト設計（半導体エンジニア）
2 半導体エンジニアに必要なスキル
3 半導体エンジニアの将来性
- 3.1 半導体不足で今後も需要は大きい
- 3.2 IoTの普及が見込まれ長期的な需要もより高まる
4 まとめ

半導体エンジニアの仕事内容

この節では、半導体技術者の職務内容を説明いたします。
半導体技術者は、主に

「プロセス技術者」
「デバイス技術者」

の2つのカテゴリーに分類されます。

設備管理や生産スケジュールの策定・管理（プロセスエンジニア）

プロセスエンジニアは、半導体製造の上流工程を中心に活躍します。
設備の管理や生産スケジューリングを通じて、製造の効率性と品質向上に貢献することが主な役割です。
半導体以外の製造現場でも、その専門性が求められる職種です。

まず、安定した量産体制を実現するための生産計画を立案します。
品質確保に加え、スケジュール遵守やコストも考慮した計画策定が重要となります。
また、半導体製造に必要な設備や原材料の選定・調達も担当します。
これらは製造の根幹を左右する重要な工程です。

製造ラインが稼働し始めると、生産された半導体の品質と効率をモニタリングします。
計画立案だけでなく、実際の製造現場の評価・監視も欠かせません。
装置や製品のデータを分析し、客観的な視点から現場を評価します。

評価結果を踏まえ、改善点の検討を行います。

現状の生産体制に課題がないか、あれば如何に改善すべきかを検討する必要があります。
品質と生産性の向上は企業の持続的発展に不可欠だからです。
そのため、先端技術の開発にも取り組みます。
品質と生産性の両立・向上を常に追求することが、プロセスエンジニアの重要な使命と言えるでしょう。

加えて、トラブル発生時の対応も求められます。
設計から評価、検討、改善のサイクルを回し、製造プロセス全体の円滑な運営を図ることがプロセスエンジニアの仕事です。

半導体の設計やICチップ内部のレイアウト設計（半導体エンジニア）

半導体分野における専門家は、半導体デバイスの設計やICチップ内部のレイアウト設計など、半導体そのものの一般的な設計業務を担っています。
企業が半導体専門家を募集する際、この職種を指すことが多くあります。
品質と生産性の両立を図るための創意工夫が求められる職務です。

具体的な業務内容としては、まず

システム設計

があげられます。
半導体が果たすべき目的を明確にし、その目的を電子回路によって実現できるよう仕様を決定します。
目的だけでなく、コストや他のソフトウェアとの連携など、仕様決定の際に考慮すべき事項は多岐にわたります。

次に

ロジック設計

を行い、仕様書に沿って回路を設計し、動作をチェックします。
ロジックを組み立てた後は、

ロジック合成

の工程に移ります。
ロジック設計で作成した回路を実際の回路部品に変換し、無駄を取り除いて最適化を図ります。

さらに、

ICチップ上に部品をどのように配置し配線するかを決定するレイアウト設計

も、半導体専門家の重要な職務です。
かつては手作業で行われていた工程ですが、現在ではCADと呼ばれる専用ソフトウェアを利用することが一般的になっています。

上記の業務に加え、

より高品質な製品作りのための品質チェック
将来を見据えた研究開発業務

も半導体専門家の役割となっています。

半導体エンジニアに必要なスキル

この節では、半導体分野で活躍するための必須能力と適正について説明します。
半導体エンジニアには、専門知識に加えて多岐にわたる資質が要求される職種です。

論理的思考力
創造力
コミュニケーション能力
チームワーク力
ストレス耐性

必須能力	内容
論理的思考力	複雑な問題を論理的に分析し、解決策を導き出す力
創造力	新しいアイデアを生み出し、革新的な製品を開発する力
コミュニケーション能力	他者と円滑にコミュニケーションを取り、協調して作業を進める力
チームワーク力	チームの一員として、互いに協力し合い、目標達成に向けて貢献する力
ストレス耐性	厳しい環境下でも冷静に対応し、高い集中力を維持する力

ものづくりが好きであること

ものづくりへの情熱が半導体エンジニアとして活躍する上で欠かせない要素です。専門知識やスキルは重要ですが、製品を生み出す過程に喜びを感じられなければ、長く仕事を続けていくことは難しくなります。
求人においても、学歴や資格以上にものづくりの経験が歓迎されることが多いのも、そうした理由からです。

現在、半導体業界では人手不足が深刻化しており、スキルを持つエンジニアには多くの仕事があります。しかし、その分業務量も膨大になりがちです。
そうした環境下で活躍するには、ものづくりへの熱意が不可欠となります。
また、最新情報を常に収集し、勉強を重ね続けることも求められます。
ものづくりが好きでなければ、こうした努力は単なる苦痛に感じられかねません。

情報収集力はスキルとして重要ですが、それを継続するためにはものづくりへの思いが大切です。
半導体エンジニアを目指すのであれば、まずものづくりに対する適性を見極めることが肝心です。

エンジニアには努力が求められますが、その中に楽しみを見出せるかどうかが、キャリアを左右する重要なポイントになるでしょう。

プログラミングスキル

プログラミング能力は半導体エンジニアにとって不可欠な資質であり、C言語やC#、C++などの習得が求められます。
半導体分野に限らず、エンジニア職への応募資格として高等教育以上の学歴は一般的ですが、

未経験者や当該分野の知見がない場合でも採用される機会は多数存在します。

ただし、プログラミングスキルに関しては一定の水準が要求されることがあり、この点は前提条件として認識すべきでしょう。
C言語やC#などのプログラミング言語の理解は、全体としての言語習得に資するため、習得の難易度は高いものの、学習する価値は十分にあります。

英語スキル

半導体分野で活躍するためには、ビジネス英語力が有利となります。半導体技術の多くが英語圏で生まれており、海外の文献を参照する必要があるためです。英語力がないと情報源が限られ、不便が生じます。

機器の説明書が英語のみで日本語がない場合があります。
英語で出版された書籍の日本語訳が遅れがちです。
海外企業との共同作業も考えられます。特に外資系企業では英語が必須なので、英語スキルが求められます。

半導体エンジニアとしてキャリアを広げたい場合は、英語力向上が重要です。特に技術用語は覚えておくと業務に役立ちます。外資系企業で働きたければ、TOEICで800点以上が望ましいでしょう。英語力は様々な業界で活かせるので、習得しておくメリットがあります。

海外赴任や出張を視野に入れるなら、ヒアリングだけでなくライティングもビジネスレベルまで学ぶ必要があります。
海外赴任時は当然ながら、英語でのコミュニケーション能力がなければ、エンジニアとして十分に活躍できません。

ただし、求められる英語レベルは企業によって異なり、日系企業ではほとんど必要ないケースもあります。しかし、海外文献を読む機会があるため、英語習得は重要と言えます。

コミュニケーションスキル

半導体エンジニアの職務は単独で完結するものではありません。
プロジェクトチームをはじめ、関連工場、半導体商社、クライアントなど、様々な関係者と協力しながら業務を遂行していく必要があります。
自己中心的な姿勢では、チームや上司から評価されず、良質な成果を上げることはできません。
採用企業やプロジェクトチームにおける立場によって異なりますが、日常的に多様なメンバーとコミュニケーションを取ることが求められます。
相互に助言し合うことも想定されるため、コミュニケーションを通じて良好な関係性を構築しておくことが重要となります。

また、社内の様々な部署・チームとの交流を図り、良好な関係を維持することで、業務の効率化が期待できます。
万が一の事態に備え、互いにカバーし合えるような環境づくりも、質の高い業務遂行には欠かせません。

コミュニケーションスキルと聞くと難しいものと受け取られがちですが、迅速な返答、約束や納期の遵守など、誠実な姿勢を貫くことで、周囲から一定の信頼は得られるはずです。
他部署やチームメンバーから頼りにされる存在となれば、自身の業務においても支援を受けられる可能性が高まるでしょう。

半導体エンジニアの将来性

この節では、半導体技術者の展望について説明いたします。
要約しますと、半導体技術者には明るい未来が待っており、志す価値が十分にある魅力的な職業であると言えます。

半導体不足で今後も需要は大きい

現在、半導体の供給不足が続いており、エンジニアの需要は高まっています。
かつては日本の技術力を象徴する産業でしたが、近年では米国、中国、韓国などの台頭により、生き残りをかけた競争を強いられています。
このような状況下で、国内企業は半導体エンジニアを求めており、スキルと知識を持つ人材であれば、多くの求人や案件に応募できるでしょう。