ネットワーク分野における最高峰の資格がCCIEです。この資格を取得することで、世界で通用するネットワークエンジニアとしての能力を証明できます。
CCIEの取得を検討中の方も多いでしょう。本稿では、CCIEの詳細情報や、資格取得のメリット・デメリットについて解説します。また、CCIEの学習に役立つ参考書もご紹介しますので、CCIEに関心のある方はぜひご覧ください。
特に以下の方におすすめです。
- 現在CCIEの勉強中の方
- 今後CCIEを学習予定の方
- ネットワークエンジニアとしてのスキルを磨きたい方
CCIEとは
CCIEは、世界的なネットワーク機器ベンダーであるCiscoシステムズ社が認証する最高位の資格であり、「Cisco Certified Internetwork Expert」の略称です。
実践的な試験を特色とし、グローバルに通用する高度なネットワークやセキュリティの専門知識、さらには実務で役立つ実践力を有することを証明できます。
IT技術の進化に伴い、優れたスキルを持つネットワークエンジニアへの需要が高まっており、CCIE資格保持者は引っ張りだこの状況にあります。
この資格を取得しておけば、
- 転職や昇給の際に有利に働く
- 海外での活躍を望む方にとって魅力的
- スキルアップ、年収アップを目指す方にとって魅力的
シスコ技術者認定のグレードとは
シスコの技術認定プログラムは、複数のレベルに分かれています。最上位はエキスパート(CCIE)で、その下に
- プロフェッショナル(CCNP)
- アソシエイト(CCNA)
- エントリー(CCT)
と続きます。
CCIEの試験は、ネットワーク技術の専門家レベルのスキルを問うものです。実際の機器操作やネットワーク運用が求められ、下位レベルの資格以上の深い知識が必要とされます。過去にはCCIEよりも上位の認定資格としてCCAr(シスコ認定アーキテクト)がありましたが、2021年3月に廃止されました。現在ではCCIEがシスコの最高位技術者認定となっています。
CCIE認定試験の種類
CCIEの認定試験は、さらに6つのカテゴリーに分けられています。
- CCIE Enterprise Infrastructure
- CCIE Enterprise Wireless
- CCIE Data Center
- CCIE Security
- CCIE Service Provider
- CCIE Collaboration
この認定資格は、2020年2月に新しい体系に移行し、大幅な改訂が行われました。
資格を取得するには、「資格試験」と「実技試験」の2つの試験に合格する必要があります。
ただし、資格試験に不合格だと、実技試験を受けることはできません。
各試験の詳細については、次の章で説明します。
CCIE認定試験の概要
CCIE資格の認定プロセスについて、その概要を説明していきます。
- まず、CCIEの試験に合格する必要があります。
試験は以下の2つから構成されています。 - 理論試験
- 実技試験
- 次に、CCIEラボ試験に合格する必要があります。
ラボ試験は以下の2つのセクションから構成されています。 - コンフィギュレーション
- トラブルシューティング
- 最後に、CCIEインタビューに合格する必要があります。
インタビューでは以下の内容が問われます。
項目 | 内容 |
---|---|
ジョブ経験 | 実務経験について質問されます。 |
技術知識 | 技術的な質問がされます。 |
非技術知識 | 一般的な質問がされます。 |
CCIE認定試験の詳細
CCIE認定を取得するためには、CBTによる筆記試験に合格した後、実技形式のラボ試験に合格しなければなりません。ラボ試験は8時間の長丁場で、約1日かけて行われる実技試験です。課題の仕様書を読み解き、ネットワークの設計や運用方法を問われ、実際にCiscoの機器を使用して実装作業を行います。
筆記試験
- 試験会場: 全国のピアソンVUE認定テストセンターまたはオンライン監督試験
- 試験日時: 予約時に都合の良い日時を選択可能
- 試験時間: 120分
- 試験方法: CBT試験
- 出題形式: 選択問題、ドラッグ&ドロップ問題、コマンド入力問題
- 問題数: 非公開
- 合格基準: 非公開
- 受験料: 49,280円(税抜き)
- 受験言語: 日本語または英語から選択
- 受検資格: 制限なし(5~7年の設計・導入・運用・最適化経験が推奨)
- 試験結果: 試験終了後に合否が表示される
ラボ試験
- 試験会場: Cisco支店のラボルーム(日本は東京で実施)
- 試験日時: 予約時に都合の良い日時を選択可能
- 試験時間: 8時間
- 出題形式: 実技試験
- 問題数: 非公開
- 合格基準: スコアは300~1000ポイントで評価される(非公開)
- 受験料: 1,600ドル(約22万円)
- 受験言語: 英語
- 受検資格: 制限なし(5~7年の設計・導入・運用・最適化経験が推奨)
- 試験結果: 試験終了後48時間以内に合否が確認できる
CCIEのラボ試験は全て英語で行われるため、英語力の向上も合わせて取り組む必要があります。
CCIE試験の出題範囲
次に、CCIE認定試験の評価方法について説明します。
この試験は、
- 理論的な知識を問う筆記試験
- 実践的なスキルを評価するラボ試験
の2つから構成されています。
筆記試験の内容は、下位資格であるCCNPのコア試験と同様の範囲が出題されます。
そのため、CCNPの認定を既に取得している方は、筆記試験が免除される特典があります。
一方、ラボ試験では、
- 実際の機器を使用した設定作業
- ネットワークのトラブルシューティング
などが課題として出題されます。
CCIE Enterprise Infrastructure/CCIE Enterprise Wireless
◆資格試験
- 建築設計: 15%
- 仮想環境: 10%
- 基盤技術: 30%
- ネットワーク保護: 10%
- セキュリティ対策: 20%
- 自動化システム: 15%
◆実技試験
- 無線周波数と規格: 15%
- 企業ワイヤードキャンパス: 10%
- 企業ワイヤレスネットワーク: 25%
- ワイヤレスセキュリティとID管理: 20%
- ワイヤレスビジネスアプリケーションとサービス: 20%
- 自動化、分析、保証: 10%
CCIE Enterprise Infrastructure/CCIE Enterprise Wirelessの理論試験の詳細な出題範囲はこちらから確認できます。
また、実技試験の詳細な出題範囲はこちらから確認できます。
CCIE データセンター
資格試験の範囲は、ネットワークとコンピューティングが各25%、ストレージネットワークが20%、自動化と セキュリティがそれぞれ15%となっています。
一方、実技試験では以下の割合で出題されます。
- L2/L3接続に関する問題が20%
- ファブリックインフラストラクチャに関する問題が15%
- ファブリック接続に関する問題が15%
- コンピューティングに関する問題が15%
- ストレージのプロトコルと機能に関する問題が10%
- セキュリティとネットワークサービスに関する問題が10%
- 自動化とオーケストレーションに関する問題が15%
コア試験の出題範囲の詳細はこちら | 実技試験の出題範囲の詳細はこちら |
CCIE Security
◆資格試験では、以下の割合で出題されます。
・セキュリティの基本概念が25%
・ネットワークセキュリティが20%
・クラウドセキュリティ対策が15%
・コンテンツセキュリティが15%
・エンドポイント保護と検知が10%
・安全なネットワークアクセス、可視性、施行が15%
◆実技試験においては、以下の割合で出題されます。
・境界セキュリティと侵入防止が20%
・安全な接続とセグメンテーションが20%
・インフラストラクチャセキュリティが15%
・ID管理、情報交換、アクセス制御が25%
・高度な脅威対策とコンテンツセキュリティが20%
CCIEセキュリティの理論試験の詳細な出題範囲 | こちら |
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実技試験の詳細な出題範囲 | こちら |
CCIE サービスプロバイダー
◆資格試験
- 建築設計:15%
- ネットワーク接続:30%
- MPLSおよびセグメント経路選択:20%
- サービス提供:20%
- 自動化と保証:15%
◆実技試験
- コア経路制御:25%
- アーキテクチャとサービス提供:25%
- アクセス接続:10%
- 高可用性と高速収束:10%
- セキュリティ:10%
- 保証と自動化:20%
CCIE Service Providerの理論試験の詳細な出題範囲は
こちらから確認できます。また、実技試験の詳細な出題範囲は
こちらから確認できます。
CCIE Collaboration
資格試験の範囲は以下の通りです。
- インフラストラクチャと設計、プロトコル、コーデック、エンドポイント関連が20%ずつ
- Cisco IOS XEゲートウェイおよびメディアリソースが15%
- 通話制御が25%
- QoSが10%
- コラボレーションアプリケーションが10%
ラボ試験では、
プロトコルとAPI | 10% |
インフラストラクチャとサービス品質 | 10% |
通話制御とダイヤルプラン | 20% |
エンドポイントとユーザー管理 | 10% |
エッジサービス | 20% |
メディアリソースと会議 | 15% |
コラボレーションアプリケーションとサービス | 15% |
の出題範囲となります。
コア試験の詳細な出題範囲はこちら、ラボ試験の詳細な出題範囲はこちらから確認できます。
CCIE認定試験の受験者数・合格率・難易度
CCIE認定試験の受験者数と合格率は公式には公表されていませんが、ITスキル標準においてレベル4に位置づけられており、同等レベルのネットワークスペシャリスト試験の合格率が約14.7%であることから、CCIE試験の難易度も極めて高いと推測されます。
ただし、この数値は参考程度にとどめるべきです。
実際には、
- ネットワークスペシャリストは上級国家資格ではあるものの試験範囲が限定的なのに対し
- CCIEは複数回の挑戦を要するため
CCIEの方がレベル4を上回る難易度があると考えられます。
このことから、CCIEはネットワーク業界で最高峰の資格であり、ネットワークエンジニアにとって最も価値の高い資格だと言えるでしょう。
CCIE認定試験の申し込み手順
CCIE認定試験の申し込み方法は、資格試験とラボ試験で異なります。それぞれの手順を確認しましょう。
資格試験
資格試験の申し込みは、PearsonVueサイト、コールセンター、テストセンターから行えます。ここではPearsonVueサイトからの申し込み手順を説明します。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年12月以降はオンライン監督試験も選択可能です。オンライン監督試験を受ける場合は、試験開始前にシステムテストと試験シミュレーションが必要となります。
- Pearson(ピアソン)のアカウントを作成する
- 受験する試験を選択する
- 試験言語、テストセンター、受験日時を選択する
- クレジットカードの情報を入力する(バウチャーチケットの事前購入も可)
- 予約したテストセンター(オンライン)で試験を受ける
- 合否結果がその場で通知される
※本人確認書類の確認、デジタル写真撮影、署名確認が行われる
本人確認書類として、2種類の身分証明書(1点は顔写真付き)を用意する必要があります。
ラボ試験
ラボ試験の申し込みは、Ciscoのホームページ(CCIE Online)から行います。資格試験に合格した際の受験日、取得点数、ID番号を準備してから予約を行いましょう。
- Ciscoユーザーアカウントを作成する
- 受験日時を選択する
- 受験料を試験の90日前までに銀行振込で支払う
- 東京のラボルームにて試験を受ける
- 合否結果は48時間以内に通知される
CCIE認定試験の有効期限の更新
CCIE認定資格の有効期間は3年間に限られています。
つまり、筆記試験に合格した後、3年以内にラボ試験に合格しなければ、資格が無効となり、再度受験する必要が生じます。
ネットワーク技術者として常に最新の知識を持ち続けることが求められるため、この資格は高い信頼性を持つと言えるでしょう。
ただし、
- 筆記試験に不合格となった場合、翌日から15日間は受験不可となる点に留意が必要です。
- 一方、ラボ試験に不合格となった場合は、翌日から30日間受験できず、最後のラボ受験日から12ヶ月以内に再受験しなければなりません。
勉強時間の最適化
ネットワーク分野における最高位の資格であるCCIEは、ITSSの最上位レベルに位置づけられており、極めて高度な難易度を有しています。
- ネットワーク実務経験の年数や事前知識によっても異なりますが、概ね1000時間から2000時間程度の学習時間が必要不可欠とされています。
- 仮に1日3時間の勉強ペースを維持したとしても、2000時間に到達するまでには約2年近くを要する計算になります。
このように、CCIEの合格には長期にわたる地道な努力が欠かせません。中長期的な視点に立ち、着実に学習を重ねていくことが肝要です。
CCIEの資格取得のメリット
CCIEの資格を手にすることで得られる利点は次のようなものがあります。
- 高度なネットワーク技術と専門知識を習得できる
- IT関連企業への就職が有利になる
- 資格取得に伴う手当や報奨金の支給を受けられる
各項目について簡潔に解説します。
高度なネットワークスキルや知識が身に付く
CCIEは、高度な技術力が求められるネットワーク分野の資格認定プログラムです。
単一の課題に対して、様々な条件や環境を想定し、複数の解決策を提示できるスキルを身に付ける必要があります。
合格に向けた継続的な学習を通じて、上級レベルのネットワーク知識とスキルを習得することができます。
特に8時間に及ぶ実技試験では、実際にシステムを構築し課題に取り組むため、実務で必要とされる対応力と判断力を養うことができます。
IT系企業への就職対策
CCIEは、ネットワーク分野における最高峰の証と見なされています。
そのため、この資格を持つ人材は即戦力として企業に歓迎され、IT業界での就職活動において有利な立場に立つことができます。
さらに、より高度な責務を任されることで、現在よりも高い収入を得る機会が生まれる可能性があります。
資格手当や報奨金を得られる
組織によっては、資格取得に対する手当や奨励金制度が設けられている場合があります。
業務時間内に学習できる環境があり、さらに給与アップも期待できるのは魅力的です。
企業の採用情報やウェブサイトを見ると、CCIEの資格保持者には月額10万円から20万円の手当が支給される例もあるようです。
ぜひ自社の福利厚生制度を確認してみましょう。
CCIEの資格取得のデメリット
確かにCCIEの認定資格を手にする利点は数多くありますが、大きな欠点はほとんどないと言えます。
ただし、唯一の難点を挙げるとすれば、集中して学習に時間を費やす必要があることでしょう。
勉強時間を確保する必要がある
CCIEは、ネットワーキング分野における最高峰の認定資格であり、その取得には1000時間から2000時間程度の熱心な学習が求められます。
この困難な課題に直面し、あきらめてしまう人も少なくありません。
そのため、日々の地道な努力を重ね、着実に知識を蓄積していくことが肝心です。
ただし、無計画に勉強を進めるのではなく、
- 試験日程など具体的な目標を設定し
- それに向けて取り組むこと
が賢明でしょう。
CCIEの資格取得のための勉強サイトや参考書を紹介
最終的に、CCIE資格取得を志す方々に向けて、推奨の参考図書などをご案内いたします。
重要なのは、問題を何度も解き直し、習得した知識を確実に身につけることです。
自身に合った学習スタイルで着実に前進しましょう。
CCIE Routing and Switching v5.0 Official Cert Guide, Volume 1
この書籍は、ルーティングおよびスイッチングの筆記試験に焦点を当てた問題集です。2020年2月にこの分野は「エンタープライズインフラストラクチャ」と改称されましたが、発売から時間が経過しているにもかかわらず、多くの人々に活用されています。
本書は完全に英語で書かれていますが、試験自体も英語で実施されるため、英語学習の機会にもなります。
さらに、Ciscoの特有の英語表現に親しむことができ、
- 試験で頻繁に使用される用語に慣れ親しむことができます。
徹底攻略 Cisco CCIE Routing & Switching 筆記試験対策問題集
ここでは、Cisco CCIE Routing & Switching試験の準備に役立つ問題集が紹介されています。
この書籍では、
- 練習問題は英語で記載されていますが、解説は日本語で書かれているため、英語力の向上と内容の理解を同時に図ることができます。
- さらに、問題文の日本語要約も付いているので、英語の学習と専門知識の習得を並行して進められます。
- 加えて、付録として重要な英単語リストも収録されており、英語学習の補助としても活用できるでしょう。
トレーニングコースを受講
シスコ認定のパートナー企業が、様々な訓練コースを提供しています。
集合研修では数日間にわたり、講義や実機を通して試験に必要な専門知識を身につけることができます。受講要件がありますので、公式サイトで確認することをおすすめします。
- 「Implementing and Operating Cisco Enterprise Network Core Technologies(ENCOR)v1.0コース」では、CCIE Enterprise Infrastructure/CCIE Enterprise Wirelessの試験対策として、ネットワーク構築やトラブルシューティングの方法を学べます。
いずれのコースも料金が高額なため、会社による費用負担の可否を確かめましょう。
活用Udemyを
オンラインの学習サービスを利用すれば、自分のタイミングで好きな講座を受講できます。
CCIEに関する講座も多数用意されているため、概要やレビューを確認して適切なものを選びましょう。
このサービスでは、
- クーポンコードの配布
- セール実施
が定期的に行われているので、チェックするのがおすすめです。
まとめ
この記事では、CCIE認定試験に関する詳細情報や資格取得のメリット・デメリット、推奨される参考資料などについて説明してきました。
CCIE認定は、ネットワークとセキュリティに関する高度な技術力を証明する資格です。
転職の際に有利に働くため、取得すればエンジニアとしてのキャリアに良い影響を与えることは間違いありません。
CCIE認定試験の受験を検討している方は、自分に合った参考書やオンラインコースを活用し、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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この記事が皆様の助けになれば幸いです。