フリーランスの請求書の注意点・源泉徴収などの対応について完全解説!

フリーランスとなると、従業員時代とは異なり、自ら請求書の作成と送付を行う必要があります。
しかしながら、会社員時代には請求書作成から取引先への送付まで携わる機会が少なかったため、請求書の適切な作成方法を理解していないフリーランスが多数存在します。
そこで本稿では、請求書作成における留意点や、フリーランスにとって疑問視されがちな源泉徴収について解説いたします。
これから請求書を作成するフリーランスはもちろん、これまで請求書作成を行ってきたフリーランスの方々も、ぜひ一読いただければ幸いです。

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フリーランス(個人事業主)の請求書の必要項目

フリーランス(個人事業主)の請求書の必要項目

独立した職業従事者が対価の請求書を作成する際には、以下の事項を明記することが求められます。

  • 請求を行う者の氏名
  • 取引の相手先となる名称(支払い義務を負う側)
  • 取引が行われた日付
  • 取引の内容詳細
  • 取引によって発生した金銭的価値
  • 消費税額
  • 源泉所得税額
  • 支払期限日
  • 振込先の金融機関
  • 振込手数料
  • 押印

請求者名

請求書を発行する側の名称を指す言葉が請求者名です。個人事業主の場合は屋号の記載が任意となっており、

  • 屋号を記載するかどうかは自由です。

請求を受ける側の名前

取引相手の名称とは、企業であれば社名や商号、個人事業主の場合は氏名を指します。
法人取引先の際は、会社名に加えて

  • 担当者名
  • 所属部門

を記載するのが好ましい対応となります。

2024年6月

取引日は請求書の発行日を指します。通常は月末に発行されることが多いですが、取引先に確認するのが賢明です。
請求書がエクセル形式の場合、取引日が自動的に「請求書作成日」と記載されることがあり、注意が必要です。
例えば、

  • 4月30日付けの請求書を5月1日に作成すると、取引日が5月1日と記載されてしまいます。

その状態で提出すると、4月30日付けで再作成を求められる可能性があります。

取引内容

業務の対価として支払われた金額の内訳を明示します。

  • 項目ごとに、「広告費」や「システム開発費」「執筆料」などの具体的な名称を記載します。
  • さらに、その内容がすぐに理解できるよう、「広告費(パンフレット制作)」「執筆料(○○社の取材記事)」のように、詳細な説明を加えることが賢明です。

取引で発生した金額

金銭的な取引における金額の記載方法には、いくつかの留意点があります。

まず、数値は3桁ごとにカンマを挟む必要があります(例えば145,300円)。

また、金額の単位表記については、「円」と「¥」のどちらを使用してもかまいません。ただし、¥を使用する場合は、金額の後ろに「-」を付けるのが一般的な慣例です(例:¥145,300-)。

一方、「円」を使う場合は、「金145,300円也」と表記されることが多いようです。

消費税・源泉徴収

フリーランスの請求書作成時、取引金額の記載方法には注意が必要です。

  • 単価は税抜きで表記し、小計の項目で消費税を加算することが一般的です。
  • 内税表記か外税表記かを明確にする必要があります。
  • 取引先が源泉徴収を行う場合は、その金額も記載しましょう。

詳細は「3.フリーランスの請求書テンプレート」「2.フリーランスの源泉徴収」を参照してください。

支払期限

取引先ごとに支払期限が異なるため、事前に確認することが重要です。
例えば、

  • 締め日が月末で支払期限が翌月末の場合
4月30日に発行された請求書の支払期限は 5月31日となります。

振込先銀行

送金先の金融機関については、資金を送りたい先の銀行を明記する必要があります。

  • 銀行名
  • 口座番号
  • 口座の種類
  • 名義人の情報

を抜かりなく記載しましょう。

振込手数料

送金に係る手数料の内容を示します。
手数料の支払い責任者については後段で説明いたします。

送金方法 手数料
当行本支店宛 無料
当行他支店宛 無料
他行宛
  • 電信扱い:440円
  • 振込扱い:無料

手数料の支払い責任者は以下のとおりです。

  • 当行本支店宛の場合:受取人が支払う
  • 当行他支店宛の場合:受取人が支払う
  • 他行宛の場合
    • 電信扱い:依頼人が支払う
    • 振込扱い:受取人が支払う

捺印

申請者の名称(個人の場合は氏名)の横に印鑑を押印します。
企業の場合は、通常は社印を押印することになります。
法的な義務はありませんが、取引の慣行として請求書に印鑑を押すことが一般的な対応となっています。

フリーランス(個人事業主)の請求書作成の注意点

フリーランス(個人事業主)の請求書作成の注意点

独立した職業従事者が請求書を作成する際の留意事項を説明します。

  • 所得税の源泉徴収義務の有無
  • 請求書の送付方式の確認
  • 宛名表記における「御中」と「様」の使い分け
  • 振込手数料の負担者について

フリーランスの源泉徴収

フリーランスの収入に対する税金の取り扱いについて、その概要と計算方式、確定申告の手続きを説明します。

フリーランスの場合、発注者が支払う報酬から一定の割合を源泉徴収税として控除することが義務付けられています。この源泉徴収税は、フリーランスの年間所得に対する概算の税金として機能します。

源泉徴収税の計算方式は以下の通りです。

  • 源泉徴収税額 = 支払報酬額 × 源泉徴収税率

源泉徴収税率は以下のように定められています。

104万円以下の場合 10.21%
104万円超の場合 20.42%

確定申告の際には、年間を通じて源泉徴収された税額と、実際の年間所得から算出される税額を精算します。過剰に納税していた場合は還付を受けられ、不足していた場合は追加で納税する必要があります。

源泉徴収の基礎知識

本来、源泉徴収制度は、取引の際に支払者側が受取者に代わって所得税および復興特別所得税を控除し、納付する仕組みを指します。
つまり、企業が従業員の給与から所得税を天引きするのと同様の仕組みなのです。

源泉徴収が対象になる報酬

全ての収入に対して所得税が控除されるわけではありません。つまり、フリーランスの立場からすると、税金が差し引かれる項目と差し引かれない項目があるということです。
税金が控除される項目は以下の通りです。

  • 原稿料や講演料
  • デザイン料
  • プロスポーツ選手への報酬
  • 弁護士や税理士への報酬
  • 映画やテレビの出演料など個人への報酬
  • ホステスなどへの宴会報酬
  • 広告賞金など

例えば、ライターの仕事は原稿料に該当し、デザイナーの仕事はデザイン料に該当します。所得税の控除対象かどうかは、国税庁のウェブサイトで確認するのが賢明でしょう。

源泉徴収の計算方法

源泉徴収の計算方式は、「金額に応じた税率」と「消費税の取り扱い」に留意が必要です。

まず、報酬金額による源泉徴収税率は以下の通りです。

  • 100万円以下の部分:支払額×10.21%
  • 100万円を超える部分:(支払額-100万円)×20.42%+102,100円

次に消費税の扱いについてです。報酬額に消費税が含まれている場合、その消費税を含む金額に上記の税率を乗じます。一方で、消費税を明確に区分して請求書に記載している場合は、消費税を除いた金額に上記の税率を乗じます。

そのため、報酬額と消費税額を明確に分けて記載することが望ましいです。

源泉徴収の確定申告

フリーランスが納税額を申告する際、取引先が代わりに納めた金額を報告する必要があります。
通常は、取引先から源泉徴収票や支払調書が送付され、その金額を確認して申告書に記載します。
しかし、取引先にはフリーランスに対して源泉徴収票や支払調書の作成義務がないため、送付されないケースもあります。
そのため、フリーランスは自身で源泉徴収額を管理する必要があります。
会計ソフトを活用すれば、「源泉徴収額」の項目に入力するだけで、簡単に管理できます。

請求書の送付方法の確認

企業は請求書の送付方式を選択することができます。従来の郵便による送付に加え、近年ではオンラインでの送信が一般的になってきました。

郵送の場合は信書として扱われるため、郵便局を介する必要があります。
一方、オンラインでの送付では、

  • エクセルや専用ソフトウェアを使って請求書を作成し、
  • メールなどで送信することが多くなっています。

取引先ごとに送付方式が異なる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

「御中」と「様」の使い分け

宛名の表記には、受信者が組織か個人かによって異なる規則があります。

  • 団体宛ての場合は「御中」を使用し、
  • 個人宛ての場合は「様」を付けます。

しかし、両者を併用することはできません。
また、役職名がある場合は、「御中」も「様」も省略します。

<御中>

・○○株式会社 御中
・○○株式会社 経理部 御中

<様>

・○○株式会社 経理部 鈴木様
・○○株式会社 経理部 ご担当者様

<なし>

  • ○○株式会社 経理部 中田部長

振込手数料の負担に関して

送金に係る手数料については、取引相手側が負担することが一般的ですが、事前に確認を行うことが賢明です。

  • 業務委託契約などの文書に、手数料負担者が明記されている可能性がありますので、そちらを参照するとよいでしょう。

フリーランスの請求書テンプレート

フリーランスの請求書テンプレート

料金の請求に役立つテンプレートをご活用いただけます。
以下のリンクからダウンロードが可能です↓

請求書テンプレート
  • 自営業や個人事業主の方は、この請求書フォーマットを活用するとスムーズな業務運営ができるでしょう。

まとめ

まとめ

フリーランスの方々が請求書を作成する際は、記載すべき項目に注意を払う必要があります。
特に源泉徴収や消費税の表記については、十分な理解が求められます。
請求書の形式は自由ですが、提示されたテンプレートを参考にすると良いでしょう。

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本記事が皆様のお役に立てば幸いです。