モノとモノがインターネットを介して通信を行う技術として注目されているのがIoTです。この技術を活用することで、私たちの日常生活がより快適になると期待されています。
IoTを搭載した製品には、
- 家電製品の遠隔操作機能
- 高齢者の見守りシステム
などが含まれます。
これらを利用することで、
- 家事の負担軽減
- 安心した生活
が実現できるでしょう。
本稿では、IoT開発に欠かせないプログラミング言語について解説します。あわせて、
- IoT開発に必要な要素
- IoTの需要動向
- IoTエンジニアに求められるスキル
なども紹介していきます。
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IoT開発に必要なプログラミング言語
IoTシステムの構築には、さまざまなプログラミング言語が活用されています。
主要な言語としては、
- C言語
- C++
- Python
- Java
- アセンブリ言語
- R言語
が挙げられます。
これらの言語について、それぞれの特徴と用途を詳しく解説していきましょう。
C言語
C言語は1972年にアメリカで開発されたプログラミング言語です。習得の難易度は決して簡単ではありませんが、初学者がプログラミングの入門として選択することも多くあります。
C言語を学ぶことで、プログラムの基本的な仕組みやOSの構造についても理解を深めることができます。そのため、プログラミングの全体像を把握したい人にとっても適した言語と言えます。
C言語はハードウェアに近い領域で動作し、柔軟性が高いという特性を持っています。IoT分野においても、この特性が活かされています。
C++
C++は、オブジェクト指向の概念を取り入れることで、C言語の機能を拡張した言語です。アプリケーション開発やシステム構築において、C言語と同様に幅広く活用されています。
しかし、C++はデバッグや修正作業をより簡単に行えるほか、保守性に優れているのが特徴です。
IoT分野においては、センサーを搭載し、様々な制御やモニタリングの実現を目指しています。
Python
Pythonは、データサイエンス分野で広く活用されているプログラミング言語の一つと言えます。
C言語やJavaと比較すると、制約が少なく、記述量も少ないのが特徴です。
また、IoT(モノのインターネット)開発においても、Pythonは頻繁に利用されています。
- 例えば、IoTデバイスに搭載されたセンサーから収集したデータの可視化に用いられています。
Pythonの文法やコーディングルールがシンプルなため、初学者でも習得しやすいのが利点です。
IoT分野に加え、人工知能やWebアプリケーション開発でも活用されているため、この言語を習得しておけば、幅広い分野で活躍できるでしょう。
Java
JavaはIoTデバイスのみならず、IoTを取り扱う全体的なシステムにおいても活用されている言語です。
プラットフォームやOSに依存しない高い汎用性を備えており、様々なOSが混在する環境においても移植が容易に行えるという長所を持っています。
このように幅広い応用が可能なプログラミング言語であるがゆえに、IoTシステムのオペレーションシステム、インフラシステム、インターフェース開発などで利用されています。
大規模なIoT開発プロジェクトであれば、システムのどこかでJavaが使用されていると考えても遜色ありません。
アセンブリ言語
ここ数十年の間、プログラミング言語の中でも古参者と言えるアセンブリ言語は、「低水準言語の最高峰」と評されています。
ハードウェアを直接制御できる卓越した能力が、この言語の大きな特徴です。
アセンブリ言語を習得することで、他の言語で命令を出す際の手掛かりを得ることができます。
IoTの開発分野においては、アセンブリ言語が他の言語に比べて活用される機会は少ないですが、
- システム解析業務などさまざまな場面で使用されているため、この言語を学ぶことでコンピュータに対する理解が深まるはずです。
R言語
Rは統計処理やデータ分析に特化した言語で、IoTやAI分野で活用されています。
しかし、他分野ではあまり知られておらず、情報が少なく学習が難しい面もあります。
幅広い活躍を望むなら、汎用性の高いPythonなどから学ぶことが賢明でしょう。
IoT開発に必要になる要素
IoTシステムを構築するための重要な構成要素は5つあります。
- センサーやビーコン
- IoTゲートウェイ
- 通信ネットワーク
- データ解析機能
それぞれについて詳しく説明しましょう。
センサー
センサーをデバイスに実装することは、データ収集と本体の機能に影響を及ぼします。
IoT技術においては、センサーがデータ取得の基盤となります。
- 物体にセンサーを搭載し、そこから情報を収集するには、組み込みシステムに関する技術力が必要不可欠です。
ビーコン
ビーコンは、移動体や携帯端末に搭載された機器が、無線局から発信される電波や赤外線を利用して位置情報を取得するシステムです。
- Bluetoothが有効化された端末の正確な位置把握が可能です。
- 建物内の詳細な位置や移動経路の把握も行えます。
- 店舗に来た客の行動を分析し、商品を購入したか否かを判断できます。
この分析結果を基に、
- 商品を探しやすいレイアウトへの変更や
- 迷いやすい場所への案内表示など
改善策を講じることができます。
IoTゲートウェイ
IoTデバイスとクラウドサーバー間の通信を仲介する役割を担うのがIoTゲートウェイです。
センサーやカメラ、変位計などの端末から収集したデータを中継点で処理し、サーバーに転送します。
このようにゲートウェイが介在することで、クラウド側の負荷を軽減することができます。
また、センサー自体に通信機能を持たせる必要がなくなるため、デバイスの小型化が可能になります。
つまり、IoTシステムを構築する上でゲートウェイは欠かせない存在と言えるでしょう。
ネットワーク
IoTにおいて、デバイスから収集されたデータを集約し、送信する機能をネットワークが担っています。
この際に利用されるネットワークには、以下の2種類があります。
- 広範囲にわたって有料で利用できるもの(例えば携帯電話網)
- 狭い範囲で無償で使えるもの(無線LANやBluetoothなど)
デバイスがネットワークに接続されていない場合、IoTとしての機能を発揮することはできません。
そのため、エンジニアには、デバイスをネットワークに接続し、IoTとしての役割を果たすための技術導入が求められています。
データ分析
IoTにおいて収集されたデータの解析は、問題の特定や新規事業の創出においても重要な役割を果たします。
近年、多くの企業がAIやマシンラーニングを活用して情報の管理や分析を行っています。
人的リソースに頼らず、AIやマシンラーニングに情報処理を委ねることで、高い精度での分析結果が得られ、人的負荷も軽減されます。
迅速なデータ分析により明らかになった課題については、速やかに改善策を講じ、次のアクションにつなげていく必要があります。
IoTの需要
IoT技術は現代社会に浸透し、私たちの生活を大きく変化させています。この革新的なテクノロジーは、家電製品や自動車だけでなく、工場やオフィスにおいても業務効率化を目指して導入が進められています。
IoTデバイスの普及により、日常生活の利便性が向上するだけでなく、作業負荷の軽減にも寄与しています。
IDC Japanの予測によれば、国内IoT市場は2025年に10兆円を超える規模に達する見込みです。
今後、IoT機能を搭載した製品がさらに市場に投入されることが予想されます。
近年、IoT技術の急速な発展を後押ししているのが、ビッグデータ解析とモバイル通信の5G化です。
- IoTデバイスから収集された膨大なデータは、AI技術を活用することで人間以上の精度と速度で分析が可能となります。
- また、IoTの機能を最大限に発揮するには、デバイス間での高速大容量通信が不可欠です。
- 5Gの普及により、この要件が満たされ、IoTの活用範囲がさらに広がっています。
IoTエンジニアになるための必要スキル・知識
IoTエンジニアとして活躍するためには、以下の4つの能力が求められます。
- リアルタイムOSに関する理解
- 電子回路の知見
- マイクロプロセッサの仕組みの把握
- プログラミングの技術習得
- マイコンボードやシングルボードコンピューターの操作スキルの獲得
それぞれについて詳しく解説しましょう。
リアルタイムOSの知識
リアルタイムOSは、一定の期間内に必須の作業を終えなければならない製品に採用されています。
ロボットや自動車がその一例です。
労働人口の減少が課題視される中、ワークスタイル改革の機運が高まり、多数の企業で産業用ロボットへの需要が増加しています。
産業用ロボットには、緊急停止機能にリアルタイムOSが搭載されているケースが多数あります。
様々な分野で自動化が進展する昨今、リアルタイムOSの知見を有するエンジニアの活躍の場は、ますます広がっていくと考えられます。
電子回路・マイクロプロセッサの知識
マイクロプロセッサは、電子デバイスの機能に必要な電力を供給し、命令とプログラムを適切に実行する電子回路です。
電子回路・マイクロプロセッサの基礎知識は、以下の点に活用されています。
- IoTデバイスに搭載される制御基板の設計・開発
- 制御基板上で動作するプログラムの開発・実装
プログラミングスキルの習得
IoTエンジニアとして活躍するためには、コーディング能力が欠かせません。
全ての言語を習得する必要はありませんが、業務で使用する言語は事前に身につけておく必要があります。
IoT開発に従事するエンジニアを目指す方は、以下の言語の習得をお勧めします。
- C言語
- C++
- Python
- Java
- アセンブリ言語
- R言語
マイコンボード、シングルボードコンピュータの操作スキルの習得
IoTシステムの構築においては、コンパクトな基板上にコンピューターと同等の機能を搭載した、マイクロコントローラボードやシングルボードコンピューターが活用されます。
そのため、極めて小型でありながら様々な制約がある機器を効率的に制御するためのプログラミング技術が必須となります。
まとめ
現代社会においてIoTは私たちの生活に深く浸透しています。
家電製品、自動車、スマートフォンなど、日常的に利用する製品にIoTが組み込まれているケースが多数あります。
今後もIoTの普及は加速し、経済にも大きな影響を与えると予測されています。
このようなIoTの発展に伴い、IoTエンジニアの需要は現在だけでなく、将来的にも安定的に見込まれる職種です。
本文で説明したとおり、IoTエンジニアになるためには、プログラミング言語に加えて様々な技術スキルが求められます。
- プログラミング言語(Python、Java、C++など)
- クラウドコンピューティング(AWS、Azure、GCPなど)
- データベース(SQL、NoSQL)
- ネットワーク(TCP/IP、無線通信など)
- セキュリティ(暗号化、認証など)
- 機械学習/AI
紹介した全てのスキルを身に付ける必要はありませんが、多くのスキルを有するIoTエンジニアほど、ビジネスパーソンとしての活躍の場が広がると考えられます。
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本記事が皆様の参考になれば幸いです。