プログラミング言語「JavaScript」は、一般的にクライアント側での利用が主流でした。
しかし、「Node.js」の登場により、サーバー側でもJavaScriptを活用できるようになりました。
本稿では、サーバーサイドJavaScriptの特性や、Node.jsの具体的な活用事例、学習方法について説明します。
サーバー側でのJavaScript利用に興味がある方は、この機会に知識を深めてみてはいかがでしょうか。
気になる内容をタップ
JavaScriptは「サーバーサイド」でも使える
JavaScriptは一般的にウェブブラウザ上で動作するクライアントサイド言語として知られていますが、Node.jsという実行環境を利用することで、サーバーサイドでも活用できるようになりました。
この記事では、以下の点について解説します。
- JavaScriptの概要
- クライアントサイドとサーバーサイドの違い
- Node.jsの役割
JavaScriptの役割とWeb開発における重要性
JavaScriptは、ウェブ開発に特化した言語です。
このプログラミング言語のコードは、ユーザーのブラウザ上で実行され、様々なウェブサイトやサービスで利用されています。
主な役割は、ウェブページに動的な要素を加えることです。
- ポップアップウィンドウの表示
- フォームの操作
- アニメーション効果
などがその代表例です。
現代のウェブサイトやサービスのほとんどが、このような機能を備えていることから、JavaScriptはウェブ開発に不可欠な言語となっています。
Web開発の両輪
Webの開発は、大きく分けて「クライアント側」と「サーバー側」の2つの領域に分かれています。
クライアント側とは、ユーザーが利用するデバイス側のことを指し、Webの場合はWebブラウザがこれに該当します。
JavaScriptは、このWebブラウザ上で実行されるプログラミング言語です。
ユーザーがブラウザを操作したり、サーバーからデータを受け取った際の処理などで、JavaScriptのコードが動作します。
サーバーサイドとクライアントサイドの役割
Webアプリケーションやサービスの提供側を指す概念が「サーバーサイド」です。
PHPやRubyなどがサーバーサイド言語の代表格です。
クライアント側から送られた処理要求を受け取り、必要な情報を返すためにサーバーサイドのプログラムが動作します。
このように、クライアントサイドとサーバーサイドでは役割が異なるため、使用される言語も異なります。
従って、フロントエンド向けのJavaScriptではサーバー側のプログラムを開発することはできません。
Node.jsによるサーバーサイドJavaScript開発
JavaScriptは従来、クライアントサイドのスクリプト言語として利用されてきましたが、Node.jsの登場により、サーバーサイドでの開発も可能になりました。
Node.jsは非同期処理を効率的に行える「ノンブロッキングI/O」を特徴としており、複数の処理を並列で実行できるため、高度な機能の実装が容易になっています。
このように、Node.jsはJavaScriptの適用範囲を大きく広げる革新的なプラットフォームと言えます。
Node.jsの特徴・メリット
Node.jsは、サーバー側でJavaScriptを実行できるランタイムです。
この技術には、以下のような多くの利点があります。
- 大量のリクエストに柔軟に対応できます。
- 従来の「C10K問題」と呼ばれる課題を解決しています。
- フロントエンドとバックエンドの両方をJavaScriptで記述できるため、一貫したWebアプリケーション開発が可能になります。
Node.jsのノンブロッキングI/Oの特徴
Node.jsは同時アクセスが多数発生しても、リアルタイム処理に適しています。この技術は「ノンブロッキングI/O」と呼ばれる仕組みを採用しているためです。
ノンブロッキングI/Oとは、
- ある処理を実行した後、その完了を待たずに次の処理に移行できること
を指します。
従来のブロッキングI/Oのように処理の完了を待つ時間がほとんどないため、大量のリクエストでも高速に対応可能です。
Node.jsのこの特性は、以下の開発に適しています。
- 一定時間に商品を一斉販売する予約サイトの構築
- リアルタイム対話が求められるライブチャットアプリの開発
Node.jsによるC10K問題の解決
ブロッキングI/Oを採用するプログラミング言語では、サーバーのリソースに余裕があっても、処理の待機時間が原因で遅延が発生することがあります。この問題は「C10K問題」と呼ばれ、クライアント数が1万台を超えるとパフォーマンスが大幅に低下するシステム開発上の課題です。
一方、Node.jsはノンブロッキングI/Oを利用することで、複数の処理を並行して実行できます。そのため、C10K問題の解決に貢献します。
実際、Node.jsはパフォーマンスが重要視される場面で幅広く活用されています。
Node.jsによるJavaScriptの活用範囲拡大
Node.jsの出現により、ウェブ開発の領域がフロントエンドからバックエンドまで一つの言語で行えるようになりました。
従来のJavaScriptではサーバーサイド処理には
- PHPやRuby
などの別の言語が必要でした。
しかし、Node.jsを使えばJavaScriptのプログラマーがサーバーサイドの開発にも携わることができます。
JavaScriptのスキルさえあれば、バックエンド開発の案件を受注できるというのは、エンジニアにとって大きな強みとなります。
Node.jsのデメリット
Node.jsは、サーバーサイドJavaScriptとして活用できる実用的なプラットフォームです。
しかし、いくつかの制約も存在します。
- 大規模なプロジェクトには適さない場合があり、サーバーの機能制限に直面することも考えられます。
- また、サーバー運用に関する専門知識が求められる点にも留意が必要です。
Node.jsの適用範囲と大規模開発におけるTypeScriptの利点
Node.jsは大規模な開発プロジェクトには適していないと考えられています。非同期処理が基本であり、変数の型が曖昧なため、大人数での開発では誤りやバグの発見が困難になり、生産性が低下する可能性があるためです。
そのため、Node.jsは
- 比較的小規模のプロジェクト
- リアルタイム処理が必要な場合
に適しています。
一方、大規模開発には、JavaScriptをベースとした「TypeScript」が推奨されます。TypeScriptは2012年にMicrosoftが開発したプログラミング言語で、JavaScriptとの互換性があり、大規模開発でも誤りやバグを防ぎやすいことが利点です。
Node.jsサーバー環境の確認
Node.jsが動作するためには、適切な環境が必要です。
すべてのサーバーがNode.jsに対応しているわけではないため、事前にサーバーの状況を確認することが重要です。
サーバーがNode.jsに非対応の場合は、
- VPS(Virtual Private Server)などの仮想環境を用意し、
- Node.jsが稼働できる環境を構築する必要があります。
つまり、Node.jsの導入前に、サーバーの対応状況を把握し、適切な環境を整備することが不可欠なのです。
Node.jsとJavaScriptの違い
Node.jsは「言語」ではなく「実行環境」であるため、Node.jsでのプログラミングの手法は基本的にJavaScriptと同様です。
したがって、JavaScriptとNode.jsの構文に大きな違いはありません。
ただし、サーバーサイドのプログラミングではサーバー固有の処理が必要となるため、Node.jsを活用する際にはサーバープログラミングに関する知識が求められます。
Node.jsで実現できること・作れるもの
Node.jsは多様な用途に活用できる技術です。
- Webサイトのホスティングや動的なWebアプリケーションの構築が可能です。
- さらに、モバイルアプリやIoTデバイスの開発にも利用されています。
この柔軟性が、Node.jsの魅力の一つと言えるでしょう。
Node.jsによる高パフォーマンスWebサーバー構築
Node.jsは、サーバー側で実行されるランタイムであり、Webサーバーの構築に適しています。
ノンブロッキングI/Oを採用しているため、Node.jsで構築されたWebサーバーは軽量で、大量のアクセスがあっても比較的スムーズに動作します。
そのため、高負荷時でもパフォーマンスの低下リスクが低く、快適なWebページやサービスを提供できます。
- リアルタイム性が求められるチャットアプリケーションなどのサーバー構築に特に適しています。
Node.jsの特徴と活用
Node.jsは、ウェブアプリケーションの構築に適した技術です。
同時に多数のリクエストに対応できるため、リアルタイム性が求められる
- SNSやECサイト
- 動画配信サービス
などの開発に最適です。
さらに、Node.jsには豊富なウェブアプリケーション開発用のフレームワークが用意されています。
フレームワークには必要な機能が組み込まれているため、初心者でも効率的にウェブアプリケーションを作成することができます。
モバイルアプリ開発におけるNode.jsの活用
モバイルアプリケーション開発において、AndroidプラットフォームではKotlin、iOSではSwiftが一般的な選択肢とされていますが、近年ではJavaScriptを用いた開発も増加傾向にあります。
Node.jsは高いパフォーマンスを誇るため、以下のようなアプリケーションの開発に適しています。
- 複数のユーザーが同時にアクセスするモバイルアプリケーション
- リアルタイム処理が不可欠なモバイルゲームアプリケーション
Node.jsはクロスプラットフォーム対応しているため、AndroidとiOSの両プラットフォームに向けたアプリケーション開発が可能となります。
IoTとNode.jsの可能性
インターネットにさまざまな物体をつなげる技術が「IoT(Internet of Things)」です。家電製品などでその仕組みが広く利用されており、今後も需要の拡大が見込まれています。
例えば、外出先からスマートフォンアプリでエアコンの操作ができるIoT対応製品は便利です。
Node.jsはIoT開発にも適しており、専用のライブラリが用意されるなど開発環境が整備されつつあります。
- Node.jsは大量のデータを扱えるため、IoT機器から収集した情報を円滑に処理でき、IoTデバイスの開発やデータ活用を効率化できます。
Node.jsの将来性と学習意義
サーバー側でのJavaScriptの活用、つまりNode.jsの重要性は高まっています。
その理由は以下の3点です。
- 第一に、Node.jsの需要が増加傾向にあり、将来性が期待できます。
- 第二に、Node.js開発者は不足しており、人材確保が課題となっています。
- 第三に、JavaScriptよりもNode.jsの習得は難しいと言われています。
これらの点から、Node.jsの学習は有意義であると考えられます。
Node.jsの将来性と需要の高まり
Web開発において中心的な役割を果たすJavaScriptは、安定した需要が見込まれますが、特にNode.jsの人気が高まっています。
2023年現在、サーバー側でJavaScriptを実行できる環境としてNode.jsが事実上の標準となっています。
当面は代替技術の登場は見込めず、インターネットの進化に伴いNode.jsの重要性はさらに高まると予想されます。
そのため、Node.jsの将来性は極めて高く、Node.jsを扱えるエンジニアの価値も一層高まっていくことでしょう。
Node.jsエンジニアの需給ギャップと高収入
Node.jsの需要が増加する一方で、供給が追いついていないため、Node.js開発者の収入は上昇傾向にあります。
実際、JavaScriptエンジニアの平均年収は約600万円と報告されています。
フリーランスの場合、2023年6月時点で3,400件以上のNode.js案件があり、月額単価の相場は約70万円、最高で200万円と高水準です。
このことから、サーバーサイドJavaScript・Node.jsのスキルを身につけることは、Webエンジニアのキャリアアップに有効であると言えます。
Node.jsの学習難易度と開発環境構築
Node.jsは従来のJavaScriptと比べると習得が難しい傾向にあります。
これは、
- JavaScriptの知識に加えて、サーバーサイドのプログラミングの理解と、Node.js専用のライブラリの習熟が求められるため
- Node.jsのアプリケーションはサーバー上で動作するため、開発環境としてサーバーを用意する必要があり、初学者にとってはこの環境設定が障壁となる可能性があるため
です。
Node.jsの学習方法
Node.jsの習得には、さまざまな手段があります。
- 専門書や解説書を活用する方法
- オンラインリソースやe-ラーニングサービスを利用する方法
- さらにはプログラミング教室に通う選択肢もあります
学習者の目的や環境に合わせて、最適なアプローチを選ぶことができます。
Node.jsの初心者・入門者におすすめの書籍3選
Node.jsの学習には、専門家による書籍が適しています。著者の知見から体系的に知識を習得できるためです。
初心者向けの入門書として、「Node.js超入門 第3版」がおすすめです。Node.jsの基礎から実践的な内容まで、分かりやすく解説されています。
また、「入門Node.jsプログラミング」は、Webアプリ開発の基礎知識が学べる参考書です。Node.jsでWebアプリを作成したい人に適しています。
一方、「ハンズオンNode.js」は、JavaScriptの知識を前提とした実務向けの書籍です。Webアプリの開発やテストなど、実践的なスキルを身につけられます。
経験に応じて、目的に合った書籍を選ぶとよいでしょう。
Node.js学習の魅力
Node.jsの学習には、ウェブサイトやオンラインサービスを活用するのが賢明です。これらのリソースは無料で利用でき、ブラウザから簡単にアクセスできるため、書籍に比べてハードルが低くなります。
豊富なサンプルコードが用意されているため、効率的な学習が可能です。
- 例えば、Node.jsの公式サイトでは、さまざまなメソッドの使い方が英語で解説されており、ソースコードも掲載されています。
概要を把握した後は、Progateの「Node.jsコース」がおすすめです。ここではWebアプリ開発やデータベース連携など、実践的なスキルを身につけられます。
Node.jsを最速で習得するならプログラミングスクール
Node.jsを短期間で効率的に習得したい場合、プログラミングスクールに通うことをおすすめします。
専門家や現役エンジニアから直接指導を受けられるのがスクールの利点です。
独学では疑問点を解消できず、挫折してしまうリスクがあります。
一方、スクールでは講師から丁寧な指導を受けられるため、着実にNode.jsを学習できます。
さらに、
- 就職・転職支援も提供されているスクールもあり、Node.js技術者としてのキャリア形成に有利です。
Node.jsエンジニアを目指すなら、プログラミングスクールを検討するのが賢明でしょう。
まとめ
Node.jsは、JavaScriptをサーバー側で実行するためのプラットフォームです。Webサーバー、アプリケーション、Webサービスの開発に利用されています。
今後さらに需要が高まると予想されるため、Node.jsの習得はキャリアアップに大きな価値があります。
本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひNode.jsの習得に挑戦してみてください。
本記事が皆様の助けとなれば幸いです。
ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」では、優秀なNode.js開発者を求めています。