Linuxは、サーバー運用をはじめとする様々な業務で活用されている人気のオペレーティングシステムです。
Linuxに関する知見とスキルを身に付けることで、技術者としての活躍の場が広がるでしょう。
Linuxの実力を客観的に証明するには、「LPIC」や「LinuC」などの認定試験に挑戦するのがおすすめです。
本記事では、これらの資格の概要、取得のメリット、学習方法について解説します。
- 特に、Linux資格の取得を検討中の方
- LPICやLinuCの詳細を知りたい方
- Linux関連資格の意義や学習法を理解したい方は、ご一読ください。
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Linuxの資格「LPIC」
Linuxの技術力を客観的に示す資格として、Linux Professional Institute(LPI)が主催する「Linux技術者認定試験」が知られています。この試験は、カナダで誕生した後、世界中で広く実施されており、Linuxに関する国際的な標準資格と位置づけられています。
日本国内でも多くの企業がこの資格を重視し、採用や昇給の条件として活用しているケースが多数見受けられます。
試験は、
- レベル1から3までの3段階に分かれており、受験者のLinuxスキルに応じて選択することができます。
Linuxの基本操作とシステム管理能力を認定するLPIC-1資格
Linuxの基礎的な知識と運用スキルを評価する資格であるLPIC-1は、2つの試験に合格する必要があります。試験時間は各90分で、60問前後のCBT方式による出題となります。合格すれば、履歴書にLPICレベル1と記載できます。受験費用は1万5,000円で、有効期間は原則5年間です。
101試験では、
- システムアーキテクチャ
- Linuxのインストールとパッケージ管理
- GNUとUnixのコマンド
- デバイス
- ファイルシステム
- ファイルシステム階層構造規格
が出題範囲となります。一方、102試験では
- シェルとシェルスクリプト
- インターフェースとデスクトップ
- 管理業務
- 基幹システムサービス
- ネットワークの基礎
- セキュリティ
が問われます。
合格基準は70%前後とされ、Linuxの全体像に関する理解が求められます。試験対策として、一般的には1か月から3か月程度の学習期間が必要とされています。
LPICレベル2試験の概要と受験準備
Linuxの中級レベルの資格であるLPIC-2は、システムデザインや中小規模ネットワークの管理能力を示す認定資格です。この資格を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 201試験(試験時間90分、CBT方式)
- 202試験(試験時間90分、CBT方式)
201試験では、以下の内容が出題範囲となります。
- 容量計画
- Linuxカーネル
- システムの起動
- ファイルシステムとデバイス
- ストレージデバイスの管理
- ネットワーク構成
- システムメンテナンス
一方、202試験では以下の内容が問われます。
- ドメインネームサーバー
- Webサービス
- ファイル共有
- ネットワーククライアント管理
- 電子メールサービス
- システムセキュリティ
この資格を取得するためには、事前にLPIC-1の認定を持っている必要があります。LPIC-2の受験費用は15,000円で、有効期間は原則5年間です。合格に向けた一般的な学習期間は3ヶ月から半年程度と言われています。中小企業のサーバー構築や運用を行える能力を証明できるため、IT企業から高く評価される資格となっています。
LPIC-3試験の概要と内容
LPIC-3は、Linuxの専門家としての高度な技術力を認定する資格です。この資格を取得するには、3つの試験に合格する必要があります。
各試験は独立しており、1つでも合格すれば、その分野のエキスパートとして認められます。
試験は、以下の3つの分野をカバーしています。
- 混在環境の構築・運用
- セキュリティ対策
- 仮想化・コンテナ化
- 混在環境試験では、Sambaを使ったLinux、Windows、Unixの統合環境の構築・保守スキルが問われます。
- セキュリティ試験では、暗号技術、アクセス制御、ネットワークセキュリティなどの知識が必要とされます。
- 仮想化・コンテナ化試験は、VMのデプロイメントやコンテナ仮想化に関する企業規模のシステム管理スキルを問うものです。
試験時間 | 各90分 |
問題数 | 60問前後のCBT方式 |
受験資格 | LPIC-2の取得が必須 |
受験料 | 1万5,000円 |
有効期間 | 5年間 |
学習期間 | 半年から1年程度が必要 |
LinuCの資格
この資格制度は、Linux技術者の能力を評価するための国内独自の試験です。日本の事情に合わせて最適化されており、受験者の実力を適切に測ることができます。
試験には3つのレベルがあり、合格者には認定証が授与されるほか、今後の学習に役立つ分析レポートも提供されます。
Linux技術者の育成を目的とした、日本市場向けの認定プログラムと言えるでしょう。
LinuCレベル1認定試験の概要
リナックスの専門家認定を目指す場合、一定の試験に合格する必要があります。
この認定には、クラウドやオンプレミス環境におけるリナックスシステムの構築、運用、管理に関する知識が求められます。
必要な試験は以下の2つで、両方を5年以内に取得しなければなりません。
- 101試験
- 102試験
受験資格や前提条件はありませんが、実務経験があると有利でしょう。
試験時間は90分で、60問前後のCBT方式です。
受験料は1万6,500円となっています。
101試験では、以下が出題範囲です。
- リナックスのインストール
- 仮想マシン・コンテナの利用
- ファイル・ディレクトリの操作と管理
- GNUとUnixのコマンド
- リポジトリとパッケージ管理
- ハードウェア
- ディスク、パーティション、ファイルシステム
一方の102試験では、以下が問われます。
- シェルおよびスクリプト
- ネットワークの基礎
- システム管理
- 重要なシステムサービス
- セキュリティ
- オープンソースの文化
認定を取得するには、概ね1ヶ月から3ヶ月の学習期間が必要とされています。
LinuCレベル2認定試験の概要
LinuCレベル1の認定試験は、90分間で60問のCBT方式(マウス選択問題・キーボード入力問題)で行われます。
受験費用は1万6,500円(税込)で、合格後の有効期間は5年間です。
LinuCレベル2は、
- クラウドやオンプレミス環境におけるLinuxシステム構築
- ネットワーク構築
- 応用的なシステム管理
- サーバー構築に必要な知識を問う試験です。
レベル2の合格に向けた学習期間は、おおよそ3か月から半年程度が目安とされています。
201試験の範囲は、
- システム起動
- Linuxカーネル
- ファイルシステム
- ストレージ管理
- ネットワーク構成
- システム保守・運用管理
- 仮想化サーバー
- コンテナ
が出題対象です。
202試験では、
- ネットワーククライアント管理
- DNSサーバー
- HTTPサーバー
- プロキシサーバー
- メールサービス
- ファイル共有サービス
- システムセキュリティ
- システムアーキテクチャ
が範囲となります。
LinuCレベル3認定試験の概要
LinuCレベル2の認定を取得するには、以下の3つの試験に合格する必要があります。
- 300試験
- 303試験
- 304試験
試験時間は90分で、60問のCBT方式で出題されます。
受験料は1万6,500円(税込)となっており、合格すると認定日から5年間有効です。
LinuCレベル3では、それぞれの分野で1つの試験に合格すればエキスパートとして認定されます。
合格に向けた学習期間は半年から1年と言われ、かなり難易度の高い試験です。
300試験では、以下の内容が出題範囲です。
- OpenLDAPの設定や認証
- Sambaの基礎から共有設定
- ユーザ・グループ管理
- ドメイン統合
- ネームサービス
- Linux/Windowsクライアントの操作
303試験は、以下の分野が対象です。
- 暗号化
- ホストセキュリティ
- アクセス制御
- ネットワークセキュリティ
304試験では、以下の内容が出題されます。
- 仮想化
- 高可用クラスタ管理
- 高可用クラスタストレージ
Linuxの資格取得のメリット
この節では、これまで説明してきたLinuxの認定資格を取得することによる利点について述べます。
- Linuxの知識とスキルを客観的に証明できる
- 就職や転職の際に有利になる
- 年収アップが期待できる
- 自己啓発の一環として取り組める
資格名 | 概要 | 受験料 |
---|---|---|
Linux Professional Institute (LPI) | Linux技術者の標準的な国際資格 | 35,000円 |
Red Hat Certified System Administrator (RHCSA) | Red Hatの基本的な運用管理スキルを証明 | 60,000円 |
Linux Foundation Certified System Administrator (LFCS) | ディストリビューションに依存しないLinux運用スキルを証明 | 40,000円 |
Linux資格の就職・転職メリット
Linux関連の資格を取得することには、様々な利点があります。
まず、就職や転職の際に有利に働く可能性が高まります。IT業界を中心に、Linux関連の知識は幅広い分野で活用されているためです。Linux専門家であることが客観的に証明できれば、就職・転職活動において大きな強みとなるでしょう。一部の企業では、Linux関連の資格取得を採用条件としている場合もあります。
- 特に、LPICはグローバル規模で認知された資格です。そのため、国内外を問わず転職・就職先を探す際に有効です。
- 一方、LinuCは国内企業向けの資格ですが、日本国内での就職・転職活動においては大きな武器となります。
また、Linux関連の資格を持つ人材は、企業にとっても魅力的です。人材育成にかかるコストを抑えられるため、有資格者の採用は好まれる傾向にあります。特にサーバーやインフラ分野では、Linux関連の資格保有が就職・転職に有利に働きます。
さらに、多くのIT企業が資格取得のための研修や支援制度を用意しています。これは、企業がLinux関連のスキルを重視していることの表れでもあります。
Linux資格の価値
Linux関連の資格を所持することは、新しい職を探す際だけでなく、現在の職場での評価にも影響を与えると考えられます。
代表的なLinux資格であるLPICは、Linux関連のスキルを客観的に証明できるだけでなく、実務で役立つ知識の習得にもつながります。
LinuCやLPICは特定の企業に依存しない中立的な組織によって運営されているため、どの企業でも客観的な知識とスキルの証明として活用できます。
実務で役立つLinuxスキルを持っていることを示せるため、職場での評価も高まることが期待できます。
例えば、
- LPICレベル2の認定を受けると、コマンド操作やサーバー構築に対応できることが証明されます。
そのため、勤務先の企業もサーバー構築関連の業務を任せやすくなり、社内での価値が高まります。
転職や就職のためだけでなく、現在の職場での評価を上げるためにも、Linux資格の取得は非常に有益です。
Linuxの台頭とエンジニア需要の高まり
Linuxは、サーバー分野で存在感を増し続けており、現時点でも高い普及率を示しています。
オープンソース且つ無償で利用可能なLinuxは、クラウドの普及に伴いサーバーOSとしての地位を確立してきました。
Linuxの浸透が進めば、それに精通したエンジニアの需要も自然と高まっていくでしょう。
クラウド活用の機運が今後も高まることが見込まれるため、関連するエンジニアリングスキルへの需要も増大すると考えられます。
Linuxの資格取得の勉強方法
この節では、Linuxの認定試験に合格するための学習アプローチについて説明します。
資格取得に向けた具体的な勉強法をご紹介しますので、目標達成に役立ててください。
- 試験範囲を確認し、重点的に学習すべき分野を把握する
- 公式の学習資料を入手し、丁寧に読み込む
- 実機またはバーチャルマシンで実践的な演習を行う
- 過去問題集を活用し、弱点分野の補強に努める
- オンラインコミュニティに参加し、質問や情報交換を行う
Linux資格の効率的な学習方法
資格取得に向けた学習では、公認の教育機関を利用することが賢明です。
LPICとLinuCそれぞれで、認定された学習パートナー制度が用意されています。
- この制度を活用すれば、試験対策を効率的に進められるでしょう。
LPICではトレーニングパートナー、LinuCではLPI-Japanアカデミック認定校といった形で、専門的なサポートを受けられます。
公的な学習支援を活用することで、確実な合格を目指せます。
オンライン学習コンテンツの活用
インターネット接続環境があれば活用できる便利な手段として、オンラインの学習コンテンツが挙げられます。
企業や組織がさまざまなオンライン学習コンテンツを提供しており、無料で利用可能なものも多数存在します。
例えば、Red Hatでは
- リナックス関連からDevOpsの認定資格に至るまで、実践形式のオンラインコースを多数用意しています。
- 無料で受講できるコースも多数あり、一度確認してみる価値があります。
もちろん、有料ながら内容の充実した学習コンテンツを提供するサービスも多数存在します。
近年では、リナックスに関するeラーニングシステムが数多く提供されており、手頃な価格で手軽に学習できます。
たとえば、
techhub e-Leaningのリナックスレベル1コースでは、 | 1万5,000円で90日間の学習が可能です。 |
レベル1の学習期間の目安は数か月程度とされており、 | このコースでも十分な学習ができるでしょう。 |
また、近年人気が高まっているオンライン学習ツールschooでも、
- リナックスに関する入門から応用までさまざまな授業動画が用意されています。
- 1IDあたり1,500円と手頃な価格設定なので、コストパフォーマンスに優れています。
まとめ
Linuxには、様々な認定資格が用意されています。
世界基準のLinux資格であるLPICは、グローバルで活躍するための重要な資格です。
一方、LinuCは国内市場に特化した試験で、日本国内での活動には欠かせません。
近年では、
- オンライン学習などさまざまな学習方法が提供されているため、Linuxを活用してエンジニアとしてキャリアを歩むには、学習を検討するとよいでしょう。
Linuxの認定資格を取得することで、プロフェッショナルとしての活躍の場が広がります。
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