「ITリテラシーって何?」
「IT系の仕事じゃなければITリテラシーはなくてもいいでしょ?」
こう考えている人は、もしかしたら知らない間に損をしていたり、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
ITリテラシーとは、ITを使いこなす能力のことです。
それは、ネット社会を快適に生きるために不可欠なスキルといえます。
今回の記事では、ITリテラシーについて下記の内容をお伝えします。
- ITリテラシーについて
- ITリテラシーが低い場合のリスク
- ITリテラシーが高めるメリット
- ITリテラシーを高める方法
この記事を読めば、現代社会を生き抜くうえで、ITリテラシーが欠けていることがどれほど危険であるかが理解できるでしょう。
ITリテラシーについて知りたい方、ITリテラシーを高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、ITを理解して活用するスキルのことです。
具体的には、パソコンやスマートフォンなどの機器、インターネットやSNSなどのツールを正しく理解して使いこなせる力ということになります。
なお、直訳すると、情報技術(IT)を読み書きする能力(literacy)という意味です。
ITリテラシーは大きく3つの区分に分かれています。
- 情報基礎リテラシー
- コンピュータリテラシー
- ネットワークリテラシー
それぞれのリテラシーについて順に解説していきます。
情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、情報を正しく扱う力になります。
具体的には、以下のとおりです。
- 必要な情報を探し出す力
- 情報を見極める力
- 情報を活用する力
膨大な情報があふれているところから、欲しい情報を見つけ出し、見つけた情報を精査(取捨選択)して活用する力は、重要度が高いといえるでしょう。
インターネット上には、正しくない情報や古い情報などもあり、なかにはフェイクニュースと呼ばれる、初めからだますことを目的として掲載された情報もあります。
そのなかから、自分に必要でかつ正しい情報を抜き出すことは、現代社会において必要な能力です。
コンピュータリテラシー
コンピュータリテラシーは、コンピュータを操作するための知識やスキルです。
具体的には、以下のようなことがあげられます。
- マウスやキーボードを使える
- WordやExcelなどのツールが使える
- ブラインドタッチができる
- Eメールの操作ができる(TO,CC,BCCを理解している)
- プログラミング言語の読み書きができる
コンピュータリテラシーについては、業界によって求められるレベルが変わりますが、一般的にはパソコンやスマートフォンを問題なく操作できる力は、備えておく必要があるでしょう。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーは、インターネットやセキュリティに関する知識やスキルになります。
プライバシーや個人情報の保護や、情報漏洩・サイバー攻撃などに対するセキュリティ対策が重要です。
また、近年では「インターネット上のモラル」の意味が強くなっています。
特に、SNSは気軽に利用できる一方、トラブルにつながることも多い傾向です。
たとえば、下記のようなトラブルがあげられます。
- 未発表の情報をアップしてしまう
- 間違った情報をアップしてしまう
- 誤解される発言により見ている人を不快にさせてしまう
- 注目されるために非常識な行為をアップする(バイトテロなど)
一度アップした情報は、一気に拡散され取り消すことはできません。
そして、情報をアップした本人だけでなく、所属する企業の信頼も落としてしまうほどのリスクがあります。
ITリテラシーが低い場合のリスク
ITリテラシーの低さは、大きなリスクを伴います。
リスクの例は下記のとおりです。
- セキュリティリスクが高まる
- 生産性が低下する
- 情報共有が不足する
- 情報格差が生まれる
- SNSなどで炎上する
一個人のITリテラシーの低さでも、所属する企業全体の価値を下げることになりかねません。
それぞれのリスクについて、順に解説していきます。
セキュリティリスクが高まる
ITリテラシーが低いと、セキュリティインシデントのリスクが高まります。
たとえば、下記のようなことが考えられるでしょう。
- 気軽に使えるからという理由で会社で許可されていないチャットを使い、機密情報が漏洩する
- 宛先を確認せずに取引先Aの情報を取引先Bに送信し、信頼関係が崩れる
- 送信者を確認せずに標的型攻撃メールのリックをクリックし、ウィルス感染する
- USBメモリーを紛失して、情報漏洩する
このように、一人ひとりのセキュリティに対する意識の低さから、大きなトラブルに発展する可能性があるのです。
生産性が低下する
ITリテラシーが低いと、生産性が低下します。
なぜなら、仕事が効率化できないからです。
たとえば、下記のような場合が考えられます。
- FAXや紙媒体でやりとりをする
- ブラインドタッチやショートカットなどが使えない
- 便利ツールを使いこなせない
- マクロなどが組めずに自動化ができない
このように、パソコンが使いこなせる人材ならすぐに終わる作業が、ITリテラシーの低さにより非効率なままおこなわれる可能性があります。
苦手意識から、本来改善できるはずの業務が改善されないのは、非常にもったいないですね。
情報共有が不足する
ITリテラシーが低いと、情報共有が不足します。
要するに、メールやチャット、テレビ会議などができないと、コミュニケーションが取りにくくなってしまうのです。
そのため、複数の人と関わる場合は自分のためにも周囲のためにも、一定レベルのITリテラシーを持つことが不可欠です。
情報格差が生まれる
ITリテラシーが低い人は、高い人と比べると得られる情報に格差があります。
たとえば、行政による支援や給付金などの情報は、インターネット上に掲載されていますが、ネットを見なければ知り得ない可能性もあるでしょう。
また、スマホの新たな格安プランやアプリの更新情報なども、知らないまま過ごしてしまうことも考えられます。
インターネットが使えても、情報を精査する能力が不足していて、フェイクニュースにだまされて詐欺に遭ってしまうことも。
ITリテラシーの高さの違いは、得られる情報の量や質に関係するのです。
SNSなどで炎上する
ITリテラシーの低さが原因で、SNSが炎上することがあります。
SNSは誰もが気軽に情報を発信できるツールです。
しかし、その情報は世界中に露出しているという意識が低いと、トラブルに発展する可能性が高くなります。
SNSはあらゆる人が閲覧できるため、注意していても炎上してしまうこともありますが、ITリテラシーを高めることで炎上のリスクを抑えることは可能です。
SNS自体は悪いものではありません。
情報のアップや拡散の前に、「情報の信憑性はどうか」「差別的な表現になっていないか」「掲載する写真に個人情報や会社情報が含まれていないか」などを確認しましょう。
ITリテラシーを向上させるメリット
ITリテラシーを向上させると下記のようなメリットがあります。
- セキュリティが強化される
- 生産性が向上する
- 人材の市場価値が上がる
- インターネット上のトラブルに巻き込まれにくくなる
- 正しい情報を素早く見つけられる
それでは、メリットについて順に解説していきます。
セキュリティが強化される
ITリテラシーが高まると、情報セキュリティの意識も必然的に高まります。
なぜなら、知識を得ることで脅威を正しく理解できるからです。
ネット社会は、便利である一方でリスクも伴います。
しかし、リスクを恐れているだけではなく、正しく理解することで対策ができるようになるでしょう。
企業として本質的にセキュリティインシデントが起こりにくくするルールや仕組みは必要ですが、一人ひとりの心がけなしではセキュリティの強化は難しいのです。
生産性が向上する
ITリテラシーが上がり、パソコンなどのIT機器を使いこなすことができるようになれば、おのずと生産性が向上します。
IT機器や便利なツールの利用など、様々な面でIT技術を活用できる人材が増えれば、それだけ業務の効率化や自動化が実現し、生産性が上がるのです。
人材の市場価値が上がる
昨今、ITリテラシーの高い人材は市場価値が高い傾向があります。
なぜなら、IT人材が不足していることもあり、IT技術を扱うことができることは企業にとって大きなメリットとなり、重宝されるためです。
インターネット上のトラブルに巻き込まれにくくなる
インターネット上には、ありとあらゆる情報があふれています。
ITリテラシーが高い人は、情報を精査することができるため、フェイクニュースや噂などに惑わされることが少ないでしょう。
また、SNSなどのツールも正しく利用することができます。
このように、ITリテラシーが高ければ、トラブルに巻き込まれることを防止することが可能です。
正しい情報を素早く見つけられる
正しい情報を素早く見つけるためにも、ITリテラシーの高さは重要になります。
効率の良い情報収集は、インターネットの検索のコツや情報の見極めができてこそ。
そして、結果的に生産性の向上にもつながるでしょう。
ITリテラシーを高める方法
ITリテラシーを高める方法は、下記のとおりです。
- ITリテラシーが欠如していることのリスクを周知する
- 研修を実施する
- 社内環境を整備する
- IT関連の資格を取得する
- 書籍で学習する
それでは、順に解説していきます。
ITリテラシーが欠如していることのリスクを周知する
ITリテラシーを高めるコツは、ITリテラシーが欠如していることで起こりえるリスクを周知することです。
ITリテラシーが低いことは、本人だけの問題ではないということ、「知らなかった」では済まされない大きなトラブルに発展してしまう可能性があることを、繰り返し伝えていきましょう。
事例を交えて紹介することで、自分事になりやすく、浸透しやすくなります。
研修を実施する
社外研修を利用して、ITリテラシーを高めるのも有効です。
研修を受けることによって知識を身につけることも大切ですが、それ以上にITリテラシーについて考えるきっかけを作ることが大切になります。
とくに、IT技術に触れる機会が少ない企業や部署などは、研修を利用して少しでも意識を向上させると良いでしょう。
研修後に意識が薄れないためにも、先ほど解説したリスクの周知を定期的におこなうと効果的です。
社内環境を整備する
ITリテラシーの向上は、個人が意識するだけでは限界があります。
会社として、部署として、環境を整備し仕組みやルールを確立しましょう。
とくにセキュリティに関しては、会社全体で取り組むべき重要な課題です。
また、IT機器やツールの導入により、生産性が向上する場合も多いにあります。
個人任せにせず、会社としてITリテラシーの向上に力を入れていることを示すことも必要でしょう。
IT関連の資格を取得する
個人のITリテラシーを高めるためには、資格取得も有効な手段です。
また、会社として強化したい場合は、資格取得のサポート(受験費用負担や奨励金など)をすると良いでしょう。
ITリテラシーを高めるためにおすすめの資格は下記のとおりです。
- ITパスポート試験
- P検
- 日商PC検定
- IC3
これらの資格では、ITを利用する人材が知っておくと良い基礎知識を確認することができます。
それぞれの資格について順に解説していきます。
ITパスポート試験
ITパスポートの基本情報は下記のとおりです。
資格名称 | ITパスポート |
運営団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
資格種類 | 国家試験 |
証明できること | ITに関する基礎知識を持つ |
ITパスポートは、ITに関する基礎知識を幅広く習得できるため、IT技術を正しく理解して活用する力が身につきます。
IT初心者にはおすすめの資格です。
P検
P検の基本情報は下記のとおりです。
資格名称 | P検(ICTプロフィシエンシー検定試験) |
運営団体 | ICTプロフィシエンシー検定協会(P検協会) |
資格種類 | ベンダーニュートラル資格 |
証明できること | ICTを活用する能力がある |
P検は、ICTを活用して問題解決をする力を確認する検定です。
1級から5級まであり、初心者からプロフェッショナルまでを対象としています。
準2級から4級まではタイピングのテストもあり、パソコンを実践的に活用する力を試すことが可能です。
また、学習指導要綱に準拠されているので、中学高校で学ぶレベルは網羅されており、初心者でも取得しやすい資格といえるでしょう。
日商PC検定
日商PC検定の基本情報は下記のとおりです。
資格名称 | 日商PC検定 |
運営団体 | 日本商工会議所 |
資格種類 | 公的資格(国が認める資格) |
証明できること | 実践的なITスキルを持つ |
日商PC検定は、ビジネスの場で使えるIT技術を有することを証明できる資格です。
1級から3級と基礎(Basic)の4段階に分かれています。
2級までであれば、合格率は高めです。
「文書作成」「データ活用」「プレゼン資料作成」といった、実践的なITリテラシーを身につけたい人におすすめです。
IC3
IC3の基本情報は下記のとおりです。
資格名称 | IC3(Internet and Computing Core Certification) |
運営団体 | 株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ |
資格種類 | 国際資格 |
証明できること | ITの基礎知識とスキルを総合的に持つ |
IC3は、日本国内だけでなく世界的なITリテラシーの基礎が身についていることを示すことができます。
下記の3つの科目があります。
- コンピューティング ファンダメンタルズ(クラウド、セキュリティなど)
- リビングオンライン(Web会議、SNS、ITモラルなど)
- キーアプリケーションズ(表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなど)
このように、ITリテラシーの向上に必要なスキルを網羅的に学ぶことができる、人気の資格です。
公式サイトの動画でも学べるので、気になる方は一度ご覧になってください。
書籍で学習する
個人的にITリテラシーを高めたい場合は、書籍による学習も良いでしょう。
初心者がITリテラシーを向上させるためにおすすめの書籍は下記のとおりです。
- 基礎からわかる情報リテラシー(著者:奥村晴彦,森本尚之、出版社:技術評論社)
- ITリテラシー ビジネスパーソンがマスターすべき必須要素(著者:ブレインワークス、出版社:カナリア書房)
「基礎からわかる~」は、ITの基礎を網羅的に理解することができます。
「ITリテラシー~」は、ITを使って仕事を効率化したい人におすすめです。
ITツールに積極的に触れる
ITリテラシーを高めるためには、ITツールに積極的に触れることが有効です。
リスクが高いから怖いからと尻込みしていると、いつの間にか情報社会から取り残されてしまうかもしれません。
少しずつでもできる範囲を広げていくと良いでしょう。
SNSを運用してみるのも気軽にできる習得法のひとつです。
ITリテラシーが低いとマズイ!?ITリテラシーの欠如によるリスクと高める方法をご紹介まとめ
この記事ではITリテラシーについてお伝えしてきました。
ITリテラシーは、ITを効果的に活用する能力のことで、現代社会に必要なスキルです。
ITリテラシーの欠如は、個人だけでなく企業にも大きな打撃を与えかねません。
会社としての対策、個人的な対策のどちらも必要です。
重要性を理解した方や危機感を持った方は、ITリテラシーを高める方法を少しずつでも実践してみてください。