Pythonとは、シンプルで少ないコードで記述できる点が特徴のプログラミング言語です。
ライブラリも豊富で幅広い分野の開発に採用されているため「Pythonとはどのようなプログラミング言語なのか」「Pythonでどのようなことができるのか」気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Pythonの特徴を踏まえた上でPythonでできる8つのことについて詳しく解説していきます。
本記事を読めば、PythonでできることやPythonを扱うエンジニアとしてのキャリアを知ることができます。
ぜひ本記事を参考に、Pythonへの理解を深めてください。
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Pythonとは
Pythonとは、1991年にグイド・ヴァンロッサム氏によって開発されたプログラミング言語です。少ないコードで簡単に記述ができる点が大きな特徴です。これはPythonの「オフサイドルール」という行頭を字下げするコードの書き方の規則により、可能になっています。
また、Pythonには数万以上のライブラリが存在する点も特徴のひとつです。幅広いライブラリを利用できることで、組み込み開発やWebアプリケーション、デスクトップアプリケーションなど様々な開発に用いることができます。これにより、以下のような認知度の高いアプリケーション開発にも採用されています。
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近年、Pythonは人工知能開発にも採用されており活躍の場はますます拡がっています。
Pythonの特徴3つ
Pythonには主に、以下の3つの特徴があります。
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そこで以下では、Pythonの特徴について詳しく解説していきます。Pythonの特徴はPython自体の強みでもありますので、ぜひ以下を参考にPythonの理解を深めていきましょう。
コードが非常にシンプル
Pythonの特徴のひとつは、コードがシンプルなため少ない量で記述可能な点です。
通常、コードの記述量は開発の規模によって異なります。
特に大規模開発の場ではコードが複雑になることが多く、多数のエンジニアが携わる中でコードの読み間違いや書き間違いといったミスが誘発されることが多くあります。
そのためコードの複雑化は開発効率低下の懸念材料となります。
しかし、Pythonはコードがシンプルで少ない記述量で済む他、誰でも同様の構文で仕上げられるため、大規模開発の場でも十分に活用可能です。
また、シンプルなコードのため学習コストが低く、エンジニア初心者でも習得しやすい言語だと言えます。
ライブラリが充実している
Pythonはライブラリが充実しているため、開発効率の向上が望めます。
ライブラリとはプログラムの1部を切り離したいわば「部分」のようなものです。開発を進める上で記述が必要なコードの量を減らせたり、処理部分でテストが省略できたりと作業工数を減らせるため、開発効率の向上が望めます。
Pythonには多くの有名なライブラリがあり、いずれもPython本体に同梱されている標準ライブラリのため、インストールする手間を省くことが可能です。以下は、Pythonの標準ライブラリの一部になります。
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幅広い用途で利用できる
Pythonは幅広い用途で利用可能なプログラミング言語です。以下は、これまでPythonを実装して開発されたサービスの一部です。
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このように、PythonはAI(人工知能)やWebサービスの開発、アプリケーションの開発など幅広い用途の開発ができます。
これは、Pythonのコードがシンプルで大規模開発でも利用可能な点や、ライブラリが充実しており様々な分野の開発がしやすいことが関係しています。
今後ライブラリが開発されていくにつれ、Pythonで開発できる分野は増えていくでしょう。
Pythonでできること
Pythonはリリース後から、様々な分野での採用実績がある人気のプログラミング言語です。実際に、私たちの身の回りにはPythonで開発されたツールやシステムが様々存在しています。
そこで以下では、Pythonの特徴を踏まえて、Pythonでできることについて詳しく解説していきます。
幅広い分野に参入しているPythonの魅力やPythonのメリットについても解説しているため、以下を参考にPythonへの理解を深めていきましょう。
AI(人工知能)の開発
AI(人工知能)の分野において、Pythonは最も注目されているプログラミング言語です。Pythonを利用することで、コンピュータ自らが学習できるAI(人工知能)の開発ができます。
AI(人工知能)を搭載したロボットで有名な「Pepper」はPythonを実装して開発されており、コンピュータ自らが学習できる「ディープラーニング」が採用されています。
Pythonには、AI(人工知能)の開発を効率よく進めるためのフレームワークやライブラリが豊富にあり、画像解析や音声解析、自然言語処理を得意としています。
そのためPythonを利用したAI(人工知能)の開発分野は多岐に渡り、特に小売や製造、運輸分野でAI(人工知能)の活躍が顕著です。
AI(人工知能)の開発で主に利用されているフレームワークやライブラリは以下の通りです。
フレームワーク…「SciPy」「NumPy」
ライブラリ…「TensorFlow」「PyTorch」 |
自動のデータ収集
Pythonは、数値計算と連携可能なシステムが多く備わっているプログラミング言語です。そのためこれまで手動で行っていたデータの情報収集を自動で行えることで、業務の効率化を図ることができます。
特に「スクレイピング」は既存のWebサイトからHTMLを初めとした特定の情報を抜き出す技術であり、自動のデータ収集をする上で欠かせない技術となっています。
以下はPythonでできるデータの自動収集の一部です。
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このように、これまで手動で行っていたデータ収集を自動で行えるようになることで業務の効率化を図れる他、収集できる情報が膨大に増えるためサービス向上にも役立てることが可能です。
データ分析
Pythonは自動で収集したデータを元にデータを分析したり、自動で処理できるようなシステムを開発することができます。
例えば、PythonではAPIを利用してメールやLINEの返信の自動化が可能です。これはPythonが特定のデータを抽出して可視化することで、必要に応じた内容の返信が可能となっています。
また、画像解析や自然言語処理も自動で行うことができます。Google検索を例に出しますと「共起語、カテゴリ、タグ、重複コンテンツ、口コミ、画像、動画」といった情報を自動で抽出し分析することで適切な分析を踏まえて、必要な記事やデータの作成が可能です。
以上のようなデータ収集や分析は、Pythonの「NumPy」「Pandas」「SciPy」といった豊富なライブラリで容易に対応することができます。
Webサービスの開発
Pythonが最も利用される開発の場はWeアプリケーションの開発です。Pythonは基本的にWebサービス全般の開発に強く、WebアプリケーションだけでなくWebサイトの開発にも多く採用されています。
Pythonを利用して開発されたWebサービスは以下のようなものがあります。
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Pythonは、業務の効率化を図るアプリケーションからSNSといったサービスまで、Webサービスに関する幅広い開発に利用されています。
YouTubeのように膨大な容量が必要なアプリケーションであっても、特に問題なく開発が行えることもPythonの強みのひとつです。
ゲームアプリ(Android)の開発
「kivy」というPythonのフレームワークを利用することで、Androidのゲームアプリを開発することができます。「kivy」では、Androidアプリ開発における枠組みが出来上がっているため、必要に応じて数百行程度コードを記述することで、簡単なゲームであれば容易に開発が可能です。
また他にも「Pygame」というゲーム開発用のライブラリが利用できます。「Pygame」には、ゲーム制作に必要な音声やモジュールが含まれているため、効率的なゲームアプリの開発が行えます。
このように、Pythonは各分野ごとに適したフレームワークやライブラリが豊富に存在するため、開発効率を落とすことなく開発が進められます。
デスクトップアプリの開発
Pythonでは、PCの作業効率化を図るためのアプリを開発することもできます。
通常、WindowsのデスクトップアプリにはMicrosoft社が開発した「C#」というプログラミング言語が採用されることが多く、デスクトップアプリの開発にはPythonを含むどの言語よりも「C#」が向いていることは広く認知されています。
しかし、Pythonでデスクトップアプリの開発ができないということではありません。あくまで「C#」の方が向いているという現状であり、Pythonでデスクトップアプリを開発することは可能です。
また、PC上の面倒な作業を自動化して効率化を図ることは容易です。Pythonを利用することでPCでの作業をより捗らせることができるため、全体の業務の効率化を図れるでしょう。
ブロックチェーン技術の開発
Pythonは、最新技術であるブロックチェーンの開発も可能です。
ブロックチェーンの基礎的な根幹にはシンプルなコードという特徴を持つPythonが得意としており、フィンテック業界の基幹技術にもPythonは採用されています。主に、ハッシュ関数を備えている「hashib」というPythonのライブラリを使うことで開発が可能です。
Pythonはシンプルなコードで大規模開発向けであり、開発に必要なライブラリやフレームワークも充実していることから、AI(人工知能)やブロックチェーンといった最新技術に関する開発に採用されることが多いプログラミング言語だと言えます。
組み込みアプリケーション開発
Pythonは、機械に同梱してプログラムを動かす「組み込みアプリケーション開発」の場でも多く採用されています。
通常、組み込みアプリケーション開発の場では動作が速いことから「C言語」や「C++」が主に利用されています。しかし、実はPythonはこれら2つのプログラミング言語と互換性が高いため、Pythonを使って「C言語」や「C++」を呼び出すことが可能です。
また「C言語」や「C++」と互換性が高い他、Pythonには10年以上の開発実績がある「Cocos2d」という2Dゲーム開発用のフレームワークがあることから、組み込みアプリケーション開発の場でも多く採用されています。
Pythonを利用し実際に開発された組み込みアプリケーションとしては、子供向けの学習用パソコンであるラズベリーパイが有名です。
Pythonが苦手なこと
多くの利点があり幅広い開発分野で採用されているPythonですが、Pythonが苦手とする分野もあります。それは以下の2つです。
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Pythonがゲーム開発や企業向けの基幹システム開発を苦手とする理由は、主に処理速度の遅さが要因です。
Pythonはインタプリタ言語というプログラムの実行時に毎度機械語に翻訳する特徴を持つプログラミング言語です。また、動的型付き言語でもあるため、多様性の面では他のプログラミング言語より秀でていますが、一方で実行速度が落ちてしまうため、処理速度の速さが求められる高度なゲーム開発や企業の基幹システムの開発には不向きな言語になります。
これら2つの開発現場においては、処理速度が速いコンパイル言語の方が優れているため、ゲーム開発であれば「C#」や「Unity」といった言語が採用されることが多いと言えます。
一方、ゲーム開発や基幹システム開発はあくまで不向きであり、ライブラリやフレームワークを使うことで開発自体を行うことは可能です。
Pythonを扱うエンジニアの種類
Pythonは幅広い分野に対応可能なプログラミング言語のため、Pythonを扱うエンジニアの種類も多岐に渡ります。そのため、自身の興味のある分野や携わりたい分野を選んでいく必要があります。
そこで以下では、Pythonを扱うエンジニアの主な種類について詳しく解説していきます。
携わる分野の違いによって、エンジニアとしての業務内容が大きく異なるため、以下を参考に自身がどのような分野に興味があるのか、どのような分野に携わりたいのか考える上での参考にしてみてください。
AI(人工知能)エンジニア
Pythonを扱うエンジニアとして、最も注目を集めている分野がAI(人工知能)エンジニアです。
Pythonを利用する分野で現在最も注目を集めている分野がAI(人工知能)であり、AI(人工知能)分野は現在右肩上がりの市場です。数年前と比べて、自動車の自動運転技術や検索エンジンなど私たちの身の回りで活用されることが増えています。
今後ますますAI(人工知能)を搭載した機能や技術開発が進められていく上で、AI(人工知能)開発に必要なPythonを扱うエンジニアの需要も上がっていくでしょう。
Pythonを扱うエンジニアの中でも、AI(人工知能)エンジニアの将来性は十分明るいと言えます。
Webアプリケーションエンジニア
Pythonエンジニアとして最も認知度が高いのは、Webアプリケーションエンジニアです。
Webアプリケーション開発の分野では「Java」「Ruby」「PHP」といったプログラミング言語が有名ですが、PythonもWebアプリケーション開発に強いプログラミング言語のひとつです。
実際に、Pythonを利用し開発されたWebアプリケーションには以下のようなものがあります。
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SNSを初めとして膨大な容量が必要な動画視聴プラットフォームや、学習アプリなど開発ジャンルは多岐に渡ります。
PythonにはWeb系開発に強い「Django」というフレームワークもあります。
参考記事:Djangoとは?Pythonの人気フレームワークの特徴や機能を解説
データサイエンティスト
Pythonを扱うエンジニアとして、データサイエンティストというキャリアもあります。
Pythonは、数値計算と連携可能なシステムが多く備わっていることから自動のデータ収集や分析が得意なプログラミング言語です。そのため、ユーザーの行動解析やアクセス解析の場においてPythonを扱った効率の良い分析ができるデータサイエンティストは、機械学習やディープラーニングの分野で重宝されています。
特に欧米ではデータサイエンティストは人気の職種であり、日本でも数年前と比べて徐々に認知度が高くなっています。ユーザーのニーズや心理状況を分析し、よりユーザー目線で開発が行えるという点において、今後ますます人気の出る職種だと言えるでしょう。
Webマーケター
Pythonを扱うエンジニアには、Webマーケターとしてのキャリアもあります。
Webマーケターとは、Pythonの自動データ収集・分析によって得た情報を元に、今後見込み客を集客するためにどのような施策を打ち出すのかを考えていく職種です。またこれらの情報を元に、新しく開発されたサービスをより多くのユーザーに届けるための施策を考える職種でもあります。
Pythonを利用した効率的なデータの収集やデータ分析技術と、マーケティングに関する専門知識を掛け合わせた営業活動はどの会社においても必須のポジションのため、常に高い需要を誇っています。
会社における重要なポジションとして、今後もWebマーケターの需要が落ちることはないでしょう。
Pythonの学習方法
Pythonはシンプルなコードで記述できる点が特徴のプログラミング言語です。そのためエンジニア初心者にとって非常に学習コストが低く、独学でも十分習得可能な言語になります。
そこで以下では、Pythonの効率的な学習方法について解説していきます。
参考書を読む
Pythonは幅広い開発現場で採用されており、非常に認知度の高いプログラミング言語です。そのため、Pythonの参考書は豊富に存在しており、独学しやすい環境が整っていると言えます。
そこで参考書を使って学習する際は、まずはPythonの基礎的知識を学習できる入門書から始めましょう。
その後、AI(人工知能)エンジニアやWebマーケターなど、自身が選ぶPythonエンジニアとしてのキャリアによって必要な専門知識が異なるため、選ぶキャリアに応じた参考書で学習を進めることで効率的に学習を進めることが可能です。
学習サイトを利用する
Pythonを学習できるサイトは以下の通りです。
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プログラミングは実際に手を動かしてコードを書くことで効率的に学習できます。
参考書だけでなく学習サイトを利用し、効率的に学習を進めていきましょう。
Python学習時の注意点
他のプログラミング言語と比べてPythonの学習コストは低いですが、注意するべき点が1つあります。
それは、ライブラリやフレームワークといった周辺知識も同時に習得することです。
Pythonには豊富なライブラリやフレームワークが存在しており、これらを用いて開発を進めることで効率よく開発を行うことができます。また、ライブラリやフレームワークの種類は幅広いため、習得することでより多くの開発に携われる機会が増えます。
自身が携わりたい開発分野で必要なライブラリやフレームワークだけでなく、扱える周辺知識をより多くすることで将来の幅が広がるため、学習計画に取り入れることが大切だと言えます。
参考記事:Djangoとは?Pythonの人気フレームワークの特徴や機能を解説
まとめ
Pythonでできることは以下の通りです。
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Pythonはシンプルなコードのため大規模開発向きの言語であり、ライブラリが豊富なため幅広い開発分野で採用されています。
そのためPythonを扱うエンジニアとしてキャリアの種類は幅広く、AI(人工知能)やブロックチェーン技術の開発など最新技術の開発に携わることも可能です。
Pythonの需要は今後も伸びるため、Pythonを扱うエンジニアの将来性は明るいと言えるでしょう。