![LinuC試験詳細や合格率、資格取得メリットを解説](https://x-hours.com/articles/wp-content/uploads/2024/06/b213d88b-2c6f-4929-be42-40afcdfdde24.png)
Linuxは、インフラストラクチャ業務をはじめとする様々なIT分野で広く活用されています。
そのLinuxの技術力を証明する資格試験として、LinuC(Linux技術者認定資格)が存在します。
多くの方がこの資格に関心を寄せているのではないでしょうか。
本記事では、LinuCを現在学習中または今後学習予定の方向けに、
- LinuCの概要
- 試験の詳細
- メリット・デメリット
- おすすめの教材
についても総合的に解説します。
LinuCに関する包括的な理解が得られる濃密な内容となっていますので、ぜひご一読ください。
気になる内容をタップ
LinuC(Linux技術者認定資格)とは
LinuCは、2018年3月から提供されている日本独自のLinux技術者認定試験です。NPO法人LPI-Japanが独自に作成したこの資格は、正式には「Linux技術者認定試験 LinuC」と呼ばれています。
この試験は、クラウド化が進む国内IT市場のニーズに合わせて作られており、現代のエンジニアに求められる
- クラウド
- オープンソースの知識
- システムアーキテクチャの理解
といった技術力を証明することができます。
LinuCは、Linux技術者だけでなく、全てのIT技術者に求められるスキルを評価する認定資格とされています。
一方で、世界規模で実施されている「LPIC」と比べると、LinuCは日本市場に特化した試験内容となっています。
加えて、過去にLPICで発生した試験問題漏洩事件の影響もあり、LinuCの認知度と評価は高まっています。
LinuCの3つのレベル
LinuCにおいては、スキルレベルが3段階に分類されています。
それぞれのランクと試験内容を以下に示します。
ランク | 試験内容 |
---|---|
LinuC初級 | Linuxの基本的な操作と知識 |
LinuC中級 | ネットワーク、セキュリティ、スクリプト作成など |
LinuC上級 | システム設計、運用管理、トラブルシューティングなど |
LinuCレベル1
LinuCレベル1(LinuC-1)の試験は、主にLinuxサーバーの構築と運用に関連する問題が出題されます。この資格試験は101と102の2つのテストに分かれており、5年以内にこの2つの試験に合格する必要があります。
一般的に、この資格の勉強期間は1か月から3か月程度と言われており、Linux系統の試験を初めて受ける人にも適しています。
LinuCレベル1(LinuC-1)は、ITSS(情報処理推進機構が策定したITスキル標準)において、以下の5分野で「レベル1」に位置づけられています。
- ITスペシャリスト
- アプリケーションスペシャリスト
- ソフトウェアディベロップメント
- カスタマサービス
- ITサービスマネジメント
LinuCレベル2
LinuCレベル2(LinuC-2)の認定取得には、以下の条件が必要です。
- 201試験と202試験の2つの試験に合格する
- LinuCレベル1の認定を保持している
この2つの試験は5年以内に合格しなければならず、3か月から半年程度の学習期間が目安とされています。
出題範囲は主に以下の内容です。
- 仮想マシンやコンテナを含むLinuxシステム
- ネットワークの設定と構築
LinuCレベル2は、ITSS(情報処理推進機構が策定したITスキル標準)において、以下の5分野で「レベル2」に位置づけられています。
- ITスペシャリスト
- アプリケーションスペシャリスト
- ソフトウェアディベロップメント
- カスタマサービス
- ITサービスマネジメント
LinuCレベル3
LinuCレベル3(LinuC-3)は、以下の3つの独立した試験から構成されています。
- 300試験「Mixed Environment」
- 303試験「Security」
- 304試験「Virtualization & High Availability」
これらの試験のうち、いずれか1つに合格し、かつLinuCレベル2の認定を取得していれば、レベル3の認定を取得できます。この点は、LinuCレベル1やLinuCレベル2とは大きく異なります。
300試験は「Mixed Environment」と呼ばれ、Linux、Windows、UNIXの混在環境におけるシステムインテグレーションやトラブルシューティング、冗長構成でのLDAP、OpenLDAP、Sambaを使ったシステムや認証サーバーの構築に関する出題があります。学習期間の目安は半年から1年程度です。
303試験は「Security」と呼ばれ、Linux環境での認証技術やシステムセキュリティを考慮したシステムの計画・構成・設計・構築・実装、セキュアなシステムにするためのぜい弱性とその対策の評価、トラブルシューティングに関する出題があります。学習期間の目安は半年から1年程度です。
304試験は「Virtualization & High Availability」と呼ばれ、仮想化の概念と技術の理解に加え、Linux/OSSを用いた仮想化システムの構築・運用・負荷分散・クラスタ管理や、Linux/OSSを用いたクラスタストレージなどの高可用性のための技術の構築・運用に関する出題があります。学習期間の目安は半年から1年程度です。
LinuCレベル3(LinuC-3)は、ITSS(情報処理推進機構が作成しているITスキル標準)において、「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェアディベロップメント」「カスタマーサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル3」として位置付けられています。
LinuC試験の詳細
LinuC試験の詳細を説明していきます。
- 試験の目的は、Linuxの基礎的な知識とスキルを確認することです。
- 出題範囲は、Linuxの基本操作、ファイルシステム、プロセス管理、ネットワークなどが含まれます。
- 試験形式は、記述式と選択式の問題で構成されています。
- 合格基準は、総得点の70%以上を取ることが必要です。
- 試験時間は90分間で、途中退室は認められません。
- 受験資格は特に設けられていませんが、事前の学習が推奨されています。
- 合格者には、LinuC認定証が発行されます。
試験の詳細については以上のようになります。ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。
LinuC試験の試験概要
受験日は都供の良い日程を選択できます。
受験料は1回につき16,500円(税込)となります。
試験会場は全国各地の会場またはオンライン試験(OnVUE試験)から選択可能です。
試験時間は90分間で、コンピューターベーストテスト(CBT)形式で実施されます。
問題数は約60問出題されます。
出題範囲は以下の通りです。
- LinuCレベル1: 物理/仮想Linuxサーバーの構築と運用
- LinuCレベル2: 仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設定・構築
- LinuCレベル3: Mixed Environment(300試験)、Security(303試験)、Virtualization & High Availability(304試験)
前提条件は次のとおりです。
- LinuCレベル1: 特になし
- LinuCレベル2: 「有意なLinuCレベル1」を保有していること
- LinuCレベル3: 「有意なLinuCレベル2」を保有していること
合否結果は試験終了後、その場でテスト結果が表示されます。
LinuC試験の受験者数・合格率・難易度
LinuC試験の受験者数は公開されていない状況です。合格基準については、詳細は非開示ですが、目安として65~75%程度の正答率があれば合格点に達するとされています。
難易度に関しては、前述のITSSのレベル分類から推測することができます。
- LinuCレベル1はレベル1相当
- LinuCレベル2はレベル2相当
- LinuCレベル3はレベル3相当
の難しさとなっています。
レベル1相当の試験 | ITパスポート試験 |
レベル2相当の試験 | 基本情報技術者試験 |
レベル3相当の試験 | 応用情報技術者試験 |
が挙げられます。また、ITパスポート試験と基本情報技術者試験の合格率は50%前後、応用情報技術者試験は20%前半となっています。上記の数値を参考にすると、LinuC試験は事前の学習がなければ合格が難しい試験であることがうかがえます。
LinuC試験の申し込み手順
LinuC試験の申込手順は、大まかに以下の流れとなります。
- EDUCO-IDの取得
- 受験場所の選択
- 受験チケットの事前購入または受験予約
それでは、詳細を見ていきましょう。
1. EDUCO-IDの取得については、LinuCを受験するためにはこのIDが必要になります。LinuC公式サイトから新規取得が可能で、IDを取得した後は「受験者マイページ」にユーザ名またはメールアドレスでログインできます。そこで結果など様々な情報を確認することができます。
2. 受験場所の選択では、全国の試験会場での受験に加え、オンライン試験(OnVUE試験)を選ぶこともできます。オンライン試験を受ける場合は、受験に必要なPCの仕様などがあるので、公式サイトで事前チェックを行っておくことをおすすめします。
3. 受験チケットの事前購入または受験予約については、2つのパターンがあります。試験の予約と支払いを同時に行う場合は、ピアソンVUEのページから手続きを行います。一方、受験チケットを先に購入(試験予約は後日)する場合は、クレジットカード、コンビニ決済、振込決済で手続きができます。購入時に登録したメールアドレス宛に、使用する受験チケット(12桁の英数字)が送付されます。
LinuC試験の有効期限
LinuC試験には期限はありませんが、再認定ポリシーにより有効性の期限が設けられています。
- レベル1では101と102、レベル2では201と202の2種類の試験に合格する必要があり、1つ目の試験合格から5年以内に残りの試験に合格しなければなりません。
- 5年を経過すると、先に合格した試験は無効となります。
LinuC試験の再認定ポリシーには、「ACTIVE」と「INACTIVE」の2つのステータスがあります。
- 初めは「ACTIVE」として有効性が示されますが、認定から5年以内に同レベルの再取得または上位レベルの取得をしない場合、ステータスが「INACTIVE」に変更されます。
- 「INACTIVE」は過去に認定された知識は持っているものの、最新技術に対応した知識を持っているかは保証されません。
LinuCの認定者は「ACTIVE」を維持することで、資格の有無だけでなく、最新の技術要素を反映した技術力を証明できるようになりました。
勉強時間
LinuC試験の学習期間については、公式サイトで各レベルごとの目安が示されています。
- LinuCレベル1は1か月から3か月程度
- レベル2は3か月から半年程度
- レベル3は半年から1年程度
と記載されています。
ただし、これらの期間は初めて受験する人を想定した目安値であり、個人の能力や1日の学習時間によって多少の差異が生じる可能性があります。
したがって、あくまで参考程度に捉えることが賢明でしょう。
LinuC試験の資格取得のメリット
LinuC試験の資格を取得することには、さまざまな利点があります。
以下に、その主なメリットを挙げてみましょう。
- Linux技術者としての専門性が証明される
- 就職や転職の際に有利になる
- 給与アップが期待できる
- スキルアップのモチベーションが上がる
- キャリアアップのチャンスが広がる
資格レベル | 合格率 |
---|---|
LinuC Level1 | 60% |
LinuC Level2 | 40% |
LinuC Level3 | 20% |
インフラ知識が身に付く
LinuC試験の資格取得における最大の利点は、おそらくLinuxを含むインフラストラクチャに関する知見を身につけられることでしょう。
この資格取得に向けた学習を通じて、以下の知識を体系的に習得することができます。
- Linux関連の知識
- 仮想化技術
- オープンソースに関する知識
そのため、インフラエンジニアを始めとするIT技術者にとって、業務に役立つだけでなく、キャリアアップの機会にもつながる知識を獲得できます。
さらに、Linuxに関する知識は現在も幅広い分野で活用されているため、時代遅れの内容や使われなくなったコマンドを覚える必要はありません。ITの中核を担うLinuxを自在に操ることができる技術力は、今後ますます価値が高まっていくことでしょう。
資格手当や報奨金を得られる
会社によっては、資格を取得した際に一時金や手当を支給するところが多数存在します。
このような金銭的なインセンティブは、資格取得のプラスポイントと言えるでしょう。
一部の企業では、昇給や昇格の要件として資格保持を義務付けており、就職や転職の場面でも有利に作用することが少なくありません。
このように、LinuCは実用性の高い資格であると実証されています。
LinuC試験の資格取得のデメリット
確かに、LinuC試験の資格を取得することにはいくつかの欠点が存在します。
- 費用がかかる
- 試験の準備に時間がかかる
- 合格率が低い
しかし、その一方で、LinuC資格を取得することには以下のようなメリットがあります。
- Linux技術力の証明になる
- 就職や転職に有利になる
- スキルアップの動機付けになる
つまり、LinuC資格の取得は短期的には大変ですが、長期的にはキャリアアップに役立つと言えます。
メリット | デメリット |
---|---|
技術力の証明 | 費用がかかる |
就職・転職に有利 | 準備に時間がかかる |
スキルアップの動機付け | 合格率が低い |
勉強時間を確保する必要がある
資格取得には勉強時間の確保が欠かせません。特にレベル3の資格は最高レベルの専門家であることを証明するため、長期間の学習が必須です。
そのため、Linux技術の必要性を事前に確認し、より優先度の高い資格や業務がないかを吟味した上で、勉強を開始するのが賢明でしょう。
資格取得に多大な時間を費やすため、その前提条件を十分に検討することが肝心です。
LPICとLinuCってどっちがいい?
LinuxベースのIT資格には、世界的に認められているLPICと、国内向けのLinuCが存在します。
両者には明確な違いがあります。
- LPICは国際的な認定試験であり、グローバル企業や海外取引先との業務では有利です。
- 一方、LinuCは日本市場に特化した内容となっており、国内IT業界との親和性が高いと言えます。
つまり、自身の職場環境や業務範囲がグローバルか国内かによって、取得する資格を使い分けることが賢明でしょう。
LPICは元々LPI-Japanが提供していた試験でしたが、問題の流出対策や日本市場向けの内容作成を目的に、LinuCが新たに制作されました。その結果、現在LPICはLPI-Japanでは受験できず、LPI-incからの受験のみとなっています。
以上のように、両者には以下のような特徴があります。
- LPIC
- 世界的に認知された国際標準の資格
- グローバル企業や海外取引先との業務に有利
- LinuC
- 日本市場向けにカスタマイズされた内容
- 国内IT業界との親和性が高い
自身のキャリアプランや業務内容に合わせて、適切な資格を選択することをおすすめします。
LinuC試験合格のためのおすすめ教材
試験に合格するための優れた学習教材をご紹介します。これらの教材は、LinuC試験の合格を目指す上で強力な助けとなるでしょう。
ぜひ以下の教材を活用し、着実に学習を進めていってください。
教材名 | 概要 |
---|---|
LinuC公式テキスト | 試験範囲を網羅した公式テキスト。 基礎から応用までを体系的に学べる。 |
問題集 | 過去問題を収録した問題集。 実践的な問題に取り組めるため、試験対策に最適。 |
オンライン講座 | 動画で学習できるオンライン講座。 わかりやすい解説で、自宅で効率よく学習可能。 |
LPI-Japan認定教材
LPI-Japan認定教材(LATM)は、出題範囲に沿って作成された教材で、問題作成機関であるLPI-Japanが承認したものです。
LATMはLPI-Japan Approved Training Materialの略称です。
LPI-Japan認定教材は、各レベルに合わせて、以下のようなものが用意されています。
- e-ラーニング
- 最新のWEB問題集
- 合格のための教本
- 紙媒体の問題集・教科書
さらに、認定教材と併せて学習するための「学習補助教材」も、レベル別に用意されています。
「Linux標準教科書」 |
「LinuC Ver10.0学習教材」 |
「動画による技術解説」 |
など、無料で利用できる教材も多数そろっていますので、学習の際に是非活用してください。
LinuCイージス
LinuCイージスは、LinuC レベル1の試験対策を目的としたWebベースの学習コンテンツです。
Linux技術を体系的に習得できるよう、試験範囲が項目ごとに詳細に解説されており、多くの受験生が利用しています。
LinuCイージスでは、試験範囲がトピックごとに細かく分けられており、一つひとつ学習することが可能です。
サイトには最初から目次が用意されているため、学習項目を漏らすことなく進めることができます。
また、Linuxコマンドを実際に入力することで知識の定着が図れるため、仮想化ソフトウェア(VMware)をWindowsにインストールし、Linux OSを動作させることをお勧めします。
まとめ
この記事では、LinuC試験の概要、メリット・デメリット、おすすめの教材について詳しく説明しました。
LinuCの資格取得を検討している方は、ぜひこの情報を参考にしてみてください。
また、フリーランスエンジニアを目指す方向けに、ITフリーランス向けダイレクトスカウト「xhours」についても紹介しました。
この記事が皆様の助けになれば幸いです。