「Rustの将来性は高いのだろうか」
「Rustが注目されているけど、何がそんなに良いのだろうか」
Rustは比較的新しい言語で、現在少しずつ人気が出てきています。
しかし、新しいプログラミング言語の中には既に人気が高い言語もたくさんあるため、Rustの将来性を不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
結論、Rustは将来性が高い言語です。
今回の記事では、下記の内容をお伝えしていきます。
- Rustの将来性が高い理由
- Rustのメリット・デメリット
- Rustエンジニアの年収や求められるスキル
この記事を読むことで、Rustの習得を目指す決意が湧いてくるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
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そもそもRustとはどんな言語?
Rust(ラスト)は、2006年にMozilla社員のグレイドン・ホアレ氏が個人的にプロジェクトをスタート。
その後Mozilla社からの本格支援を経て、2015年に安定版が公開された、比較的新しいプログラミング言語となります。
MozillaはWebブラウザの「Firefox」を開発したアメリカの団体です。
Rustは、C言語・C++に代わるプログラミング言語といわれています。
現在進行形で開発中の言語で、ユーザーの声を聞きながら改良を加え続けている段階です。
開発途上とはいえ、多くのエンジニアから非常に期待されている言語でもあります。
Rustの将来性に期待大!
Rustは、日本ではまだマイナーな言語ですが、将来性の期待はとても大きいプログラミング言語です。
既に海外では注目されており、MicrosoftやGoogleといった超大手企業が採用すると伝えられています。
そのため、日本のビジネスが動くのも時間の問題といえるでしょう。
Rustは、C言語を置き換えられるという大きな強みを持っています。
今までは、高い処理性能が必要な開発はC言語やC++に頼っており、特に組み込みやOS開発はC言語一強ともいえる状態でした。
C言語でしか作れないとされていたものが数多くある中、C言語に代わる新しい言語が出てきたということで、多くの注目が集まっているのです。
Rustの将来性が期待大とされる理由
Rustの将来性が大きく期待されるのは、C言語・C++に代わる言語ということ以外にも理由があります。
Rustの将来性が期待大である理由は、下記の3つによるものです。
- Rustエンジニアがまだ少ない
- エンジニアに人気
- 案件数が増えている
以下でそれぞれの理由を説明していきます。
Rustエンジニアがまだ少ない
海外では既に注目されているRustですが、現時点では日本でのRustエンジニアの人数はかなり少ない状態です。
しかし、海外超大手が採用すれば、日本でもRustを採用したい企業は増えるでしょう。
需要が上がれば、おのずと単価も高くなることが想定されます。
今のうちからRustを習得しておけば、かなり希少価値の高い人材となれることでしょう。
エンジニアに人気
Rustは、エンジニアにとても人気のプログラミング言語です。
Stack Overflowがおこなった「Stack Overflow Developer Survey 2021」では「最も愛されている言語」の1位を獲得しており、paizaがおこなった「プログラミング言語に関する調査(2021年上期)」では「今後、一番学びたいと思う言語」の2位を獲得しています。
現場で活躍しているエンジニアからの注目が高いということは、今後伸びる可能性も高いといえるでしょう。
また「今後学びたい人」が多いということは、「まだ習得していない人」が多いともとれるため、早いうちに習得に取りかかることをおすすめします。
案件数が増えている
Rustの案件数は、他の言語と比較して必ずしも多いとはいえません。
しかし、増加傾向にあるのは確かです。
大企業が採用を表明したことにより、今後は需要が高まり案件数が増えることが想定されます。
IT業界は、大企業の方針が業界全体に大きな影響を与えるため、近い将来、Rustは大きく成長しトレンド言語となる可能性が高いといえるでしょう。
Rustのメリット
Rustの将来性を紹介してきましたが、Rustのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
Rustには下記のメリットがあります。
- 安全性が高い
- 並行処理が可能
- 処理速度が速い
それでは、メリットを順に見ていきましょう。
安全性が高い
Rustは、安全性が高いプログラミング言語とされています。
その大きな理由は、変数が必ず値を持つ、すなわち「nullが存在しない」という点になります。
多くのプログラマを悩ませる「Null exception」によるトラブルが、Rustを使用すれば起こりえないということです。
また、C言語などの多くの言語ではメモリリークが発生しないように常にメモリの取り扱いを意識する必要がありましたが、Rustではメモリ管理を単純化する「所有権」という概念が取り入れられています。
Microsoftはリリースしたパッチの約70%がメモリに関する問題だったとしており、Googleもまた重要度の高い脆弱性の約70%がメモリに関するものだと報告しました。
このようにメモリの問題は、想像以上に多くのトラブルを生んでいるようです。
そのため、メモリに関する問題を防ぐことは、安全性への大きな担保となるでしょう。
並行処理が可能
Rustは、マルチスレッドによる並行処理ができます。
マルチスレッドのメリットは、パフォーマンスの向上が狙えることです。
しかし、マルチスレッドのプログラミング時には注意すべきことが多く、意図しないエラーが発生したり、最悪の場合はメモリを破壊することもあります。
そのため、過去の言語では排他制御を意識したプログラミングをしていましたが、難易度が非常に高いためトラブルも多く、「マルチスレッドは危険」というイメージだけが一人歩きしている状態です。
しかしRustでは、メモリの「所有権」の制約により、データの競合が発生しません。
マルチスレッド処理を、比較的簡単に安全に扱うことが可能になります。
処理速度が速い
Rustはコンパイラ言語であるため、高速処理が可能です。
処理が速いとされているC言語に匹敵する速さといわれています。
また、Rustにはガベージコレクション(GC)がないことも高速である理由の1つです。
GCがあればそのタイミングで処理が一時停止するため遅くなりますが、Rustにはメモリの「所有権」という概念がありGCが必要ありません。
並行処理が可能なことも、処理効率が上がる理由です。
これらのことから、処理が遅くなる複数の原因が排除され、結果としてパフォーマンスが向上することになります。
Rustのデメリット
言語そのものの性能が高いことから、Rustはメリットが多い言語ということがわかりましたが、デメリットはあるのでしょうか。
Rustには下記のデメリットがあります。
- 習得が難しい
- Rustを扱える人が少ない
それでは、デメリットを順に見ていきましょう。
習得が難しい
Rustは習得が難しい言語の1つです。
近年新しく開発されたプログラミング言語は、単純で直感的に開発できるため、難易度が低い傾向でした。
しかし、Rustはコンパイラ言語であるため、C言語・C++と同様の難しさがあります。
コーディングをしてビルドした段階で、大量にエラーが出てくるため、初心者では心が折れてしまうかもしれません。
Rustはビルドの段階で問題を解決しようとするため、「とりあえず実行してみる」ことが簡単にできず、焦りの原因となることもあるでしょう。
また、初心者でなくても難解な点もあります。
それは、「ライフタイム」「オーナーシップ」など、Rust独自の概念が導入されているためです。
これらのことから、他のプログラミング言語と比較して習得のハードルが高いとされています。
Rustを扱える人が少ない
Rustエンジニアの人数がまだまだ少ないことは、デメリットとも考えられます。
理由は、歴史の長い言語や人気言語に比べて、学習するための教材やノウハウが少ないからです。
さらに、日本のRustエンジニアが少数であるため、日本語のサイトは非常に少なく、問題解決のために英語のサイトを読む機会が多いでしょう。
しかし、まだ歴史が浅く利用者も少ないRustには、エンジニアを惹きつける様々な試みがあります。
Rustを学習するために、Rust公式サイトには「ths book」という入門書が用意されているのです。
また、Rustはコミュニティも充実しており、公式のユーザーフォーラムや質問チャンネルなどもあり、エンジニア同士が現在進行形で盛り上げている言語です。
近くにRustエンジニアがいなくて不安なときは、積極的にコミュニティに参加することをおすすめします。
Rustが使われているサービス
Rustが使われている主なサービスは下記のとおりです。
- Dropbox
- AWS(Amazon Web Services)
- Firefox
他にもMicrosoftやGoogle、Facebookなど、Rustが使われているサービスは次第に増えています。
Rustエンジニアの年収
Rustエンジニアの年収は500万円以上で、中には1000万円以上の求人もあります。
Rustの利用者が少ないこともあってか、他の言語に比べても比較的高めの設定です。
海外のRustエンジニアの年収は、800万円を超えるともいわれています。
現時点でも単価は高めですが、今後多くの日本企業がRustを取り入れることになれば、需要が高まり年収も大きく上がる可能性が高いでしょう。
Rustエンジニアに求められるスキル
Rustエンジニアは、Rustのプログラミングスキル以外にも付加価値を持つことが大切です。
Rustエンジニアには、下記のスキルが求められます。
- アプリケーション開発の経験
- バックエンドのスキル
- クラウドのスキル
- コミュニケーションスキル
この他にも持っていると便利なスキルはありますが、まずはこれらのスキルが身についていると安心でしょう。
それでは順に解説していきます。
アプリケーション開発の経験
アプリケーションの開発経験があることは、Rustエンジニアとして必須の条件になります。
現時点ではRustのスキルを正しく評価できるクライアントは数少ないでしょう。
「Rustができる」というだけではレベルを判断しにくいのが実情です。
そのため案件応募の際は、企業にアプリケーション開発の経験もアピールすることになります。
実務経験者であることは、どのプログラミング言語でも大きな武器になるのは確かです。
Rustは今後の需要は高まると予想されますが、今の時点では案件数がそれほど多くないため、他の言語での開発経験があると安心でしょう。
バックエンドのスキル
Webアプリケーションのバックエンド開発では、メモリの安全性やパフォーマンスを重視するため、Rustの使用を検討している企業が増えつつあります。
しかし、Rustの言語だけを習得していても、バックエンドの仕組みを理解していないとクライアントに採用されるのは難しいでしょう。
企業は、「Rustエンジニア」ではなく「バックエンドエンジニアとしてRustが使える人材」を探します。
採用の際は、言語そのものより「何に使われるどんなシステムを作れるか」ということに重きを置かれるのです。
そのため、RustでWeb関係の案件に携わりたいのであれば、バックエンドのスキルは不可欠となります。
クラウドのスキル
AWSやDropboxなど、クラウド関連のサービスにもRustは使用されています。
今後のRustの求人には、クラウドの案件も増えるでしょう。
しかし、クラウド案件はプログラミングスキルだけでは太刀打ちできません。
AWSなどのクラウドそのもののスキルはもちろん、サーバー・ネットワーク・ミドルウェアの知識、さらにセキュリティについても勉強しておくことをおすすめします。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、Rustエンジニアに欠かせないスキルです。
コミュニケーションとは、多ければ良いというものでもありません。
適切なタイミングで適切な量のコミュニケーションがとれることが重要です。
エンジニアは、完成像に対する認識の違いがあってはならないため、共有すべきことは意外と多くあります。
また、良いものを作るためには報告・連絡・相談も不可欠です。
特に、曖昧な表現はチームメンバーに迷惑がかかるので注意しましょう。
さらに、優秀なRustエンジニアには、新たなRustエンジニアを育成する能力や、リーダーとしてチームをまとめるマネジメント能力も求められることがあります。
まとめ
今回は、Rustの将来性について解説してきました。
結論としては、Rustは現時点での案件は少なくても、将来性は期待できるということです。
ただし、Rustの習得は簡単ではありません。
それでもRustが多くのエンジニアから注目されてるのは、C言語に置き換わるプログラミング言語としての希望からくるものだと考えられます。
多くの企業が使用を表明し始めた今、希少価値の高いエンジニアになるためにRustの習得を目指してみてはいかがでしょうか。