KotlinとはJavaに代わり現在のAndroidアプリ開発に使用されているプログラミング言語です。
情報は少ないですが、GoogleによるAndroidアプリ開発のサポートがあるなど、注目が集まっています。
この記事では、Kotlinの特徴や現在の立ち位置、需要や将来性について解説していきます。
あわせてKotlinエンジニアのキャリアパス方法についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
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Kotlinとは?
Kotlin(コトリン)とは、2011年に開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
他のプログラミング言語と比べて、非常に新しい言語といえます。
Kotlinは、主にAndroidアプリ開発に使用されています。
これまでAndroidアプリの開発には、Javaというプログラミング言語が使用されていました。
そのJavaをよりシンプルかつ安全性が高くなるよう改良された言語がKotlinです。
2017年Googleが、Android向けアプリ開発の公式言語としてKotlinを採用したことで、Kotlinの知名度は急激に上がりました。
Kotlinの今後の将来性
Kotlinの将来性は、日本のスマートフォン市場によって左右されます。
Kotlinの将来性とどのように関係があるのか、下記で詳しくお伝えしていきます。
人材不足は続く
引用サイト:IT人材需給に関する調査報告書
上記の図は2019年3月、経済産業省が行ったIT人材需給に関する調査結果です。
調査結果によると、2018年時点のIT人材の需要の伸びを基準に、2030年で最低16万人、最高79万人のIT人材が不足すると予測されていることがわかります。
さらに、その中でも特にエンジニアが不足すると見込まれています。
新たなスマートフォンの出荷増大に伴い需要が増えていく
引用サイト:株式会社MM総研
上記の図は、ICT市場調査コンサルティングである株式会社MM総研が行った調査結果です。
2021年度のスマートフォン出荷台数は3374.4万台、前年度比を12.2%上回り過去最多となりました。
さらに今後5Gの需要が上がるにつれて、スマートフォンの出荷台数は増々増えていくと予想されています。
それに伴いAndroid向けアプリ開発の需要も今後高まるため、Kotlinの将来性は高いと言えるでしょう。
Kotlinエンジニアの平均年収
引用サイト:ビズリーチ
これは株式会社ビズリーチが行った「プログラミング言語別年収ランキング2018」の調査結果です。
Kotlinは第4位、年収中央値は575万円、最大提示年収は1,200万円です。
また2018年度時点で、Kotlinの求人数は昨年比5.3倍に増えています。
今後スマートフォンの需要が増えるにつれ、Kotlinエンジニアの求人数も増えていくでしょう。
この先のKotlinの需要はかなり高い
Kotlinの需要は、開発された2011年から拡大傾向にあります。
そして今後も増々Kotlinの需要は高くなるでしょう。
スマホアプリ市場の継続的な拡大傾向
Kotlinを採用して開発されたアプリはGoogle Play上で増加傾向にあります。
これは、2017年GoogleがKotlinをAndroid向けアプリ開発の公式言語として採用したことが大きく影響しています。
2021年度時点でスマートフォンの出荷台数が過去最多になったことから、今後Android向けアプリ開発が盛んになるにつれ、Kotlinの需要もますます高まっていくでしょう。
フリーランス向けの求人も多く、案件数が豊富
フリーランスエンジニア向けの求人サイト「レバテック」に掲載している案件のうち、平均単価が高い言語を順にまとめました。
平均単価の高い言語ランキング | 言語名 | 平均単価 |
1位 | Scala | 82万円 |
2位 | Kotlin | 81万円 |
2位 | Go言語 | 81万円 |
参考サイト:レバテック
Kotlinは、平均単価81万円で2位となっております。
今後さまざまな企業がKotlinを採用していくにつれ、案件数が増えたり単価が上がっていったりすることが期待できます。
Kotlinを扱えるフリーランスのエンジニアは重宝されるでしょう。
Javaよりも記述が単純で学びやすい
Javaをよりシンプルな記述に改良したプログラミング言語がKotlinです。
Kotlinは記述やルールが少なくJavaと同様の文法なので、簡単な基礎構文を覚えることで習得しやすい言語です。
Javaを既に習得している人にとっては、より学びやすい言語だといえるでしょう。
Java仮想マシンで動作するため、既存資産も活用できる
Java仮想マシンはJVM(Java Virtual Machine)とも呼ばれ、Javaプログラムを実行するソフトウェアを指します。
KotlinはJavaを改良して開発されたため、Java仮想マシン上で動作します。
そのため、Javaで作られたコードはそのままで新しいコードをKotlinで開発するということやJavaのコードをKotlinで呼び出すことも可能です。
このようにJavaで作られている既存資産も活用できるのは利点です。
Androidアプリ開発におけるKotlinファーストの強化
これまでAndroidのアプリ開発では、Javaが主に使用されていました。
しかし、2017年GoogleがAndroid向けアプリ開発の公式言語にKotlinを採用してから一変、現在Android向けアプリ開発ではKotlinが主流となっています。
2019年度時点で、Androidアプリのトップ1000のうち約60%にKotlinコードが使用されています。
GoogleのKotlin公式言語採用は、今後もAndroidアプリ開発におけるKotlinファーストをますます強めていくでしょう。
Kotlinを採用する企業が増えている
Androidのアプリ開発でKotlinが主流になってから、Kotlinを採用する企業は増えています。
Kotlinを採用したアプリとして
- Uber
- Netflix
- Evernote
- Yahoo!ニュース
- GYAO!
- LINE, LINE LIVE
- Abema
- News Picks
などが挙げられます。
現在も続々とKotlinを採用しアプリ開発を行う企業は増えており、今後も増え続けるでしょう。
Kotlinの特徴
Javaを改良して開発され、他のプログラミング言語と比べてまだ新しいKotlin。
Javaや他言語とどのような点が異なるのでしょうか。
Kotlinの特徴は以下の3つです。
- 安全性が高い
- Javaと共存できる
- シンプル
詳しく解説していきます。
セキュリティ面で安全性が高い
KotlinはJavaの複雑な文法を改良して開発されており、シンプルな文法を使うことで不具合が起こりにくいように作られています。
また「NullPointerException」を防げるように開発されています。
NullPointerExceptionとは、Javaで頻繁に発生するNull参照を実行する際のエラーです。
これまでシステム障害を引き起こすことが欠点でした。
しかしKotlinでは、エラーを未然に防げる文法を使用しているため、NullPointerExceptionを防ぐことができます。
Kotlinはエラーを未然に防ぎ不具合を起こしにくいよう開発されているため、安全性が高いのです。
Javaと共存できる
KotlinはJava仮想マシン(JVM)上で動作し、Java⇔Kotlinと相互に呼んで使用することができます。
さらにJavaで作られたコードを維持しながら、新しいコードをKotlinで開発することも可能です。
このようにKotlinはJavaと共存して進むことができるため、無駄を省き効率よく開発を勧めることができます。
コードがシンプル
KotlinはJavaの複雑な文法を改良して開発されたので、シンプルな記述でコードが書けます。
Javaの場合、複雑な文法によってコードが多数必要だったため、その分開発時に時間や負担がかかっていました。
しかしKotlinを採用することで、システム開発時に短いコードで記述できるため作業工数が減り、開発時の負担もJavaより抑えられます。
Kotlinのメリット
Kotlinのメリットは4つです。
- Javaよりも短く、簡単なコードで記述できる
- Javaと相互利用できる
- 学習コストが低い
- Androidアプリ開発を公式がサポートしてくれる
それぞれ詳しく解説していきます。
Javaよりも短く、簡単なコードで記述できる
Javaよりもシンプルな文法で作られているため、簡単なコードで記述できるKotlin。
KotlinはJavaよりもシンプルな文法で作られており、簡単なコードで記述ができるため、作業時間を減らし開発ペースを早めることができます。
その結果、いち早く需要に合ったアプリ開発を進めることができるため、成果により期待が持てます。
Javaと相互利用できる
KotlinがJavaを改良して開発された点から、KotlinとJavaは相互利用できるかたちを取っています。
それぞれJava仮想マシン(JYM)で動作するため、Java⇔Kotlinとそれぞれ呼び出して使用したり、Javaのコードを維持したままKotlinで新しいコードを記述したりできます。
相互利用によって、開発時間を短縮しJavaの既存資産を活用できるという効果があります。
学習コストが低い
Kotlinは、Java仮想マシンで動作するJava・Groovy・Scalaと基本的な文法や構文が似ているため、経験者にとって難しい言語ではありません。
またJavaと異なりシンプルな文法を使っているため、他の言語と比べて学習コストが低く、学びやすいプログラミング言語だといえます。
Androidアプリ開発を公式がサポートしてくれる
GoogleはAndroidアプリ開発の公式言語としてKotlinを採用し、Kotlinを使用したAndroidアプリ開発を公式にサポートすることを発表しています。
Android Studio3.2でKotlinを標準搭載したり、Kotlin Foundationを設立し速度を含んだパフォーマンスの改善に取り組んだり、Googleは強力なサポートによってKotlinを採用したAndroidアプリ開発をサポートしています。
このようなGoogleの働きは、Kotlinエンジニアにとっては便利です。
Kotlinのデメリット
さまざまな利点があるKotlinのデメリットは何でしょうか。
下記で詳細に解説していきます。
日本語の情報が少ない
Kotlinは2011年に開発され、2023年現在でまだ12年しか経っていない新しい言語です。
また日本は海外と比べてAndroidよりiPhoneのシェア率が高いので、Kotlinを使用した開発事例が少ない状況です。
Java経験者であれば、JavaとKotlinは文法や構造が似ているため情報が少なくても習得しやすいですが、Javaに関する知識がない人には習得のハードルは高いともいえます。
しかし、今後Kotlinの需要が高まる日本において、Kotlinを習得することでフリーランスのエンジニアとして活躍する幅を広げられるでしょう。
Kotlinを用いてできること
Kotlinをマスターすることでできることは主に以下の3つです。
- Androidアプリ開発
- Webアプリケーション開発
- サーバーサイド開発
それぞれ解説していきます。
Androidアプリ開発
Kotlinを習得すれば、主にAndroidアプリの開発ができます。
現状、海外と比べて日本のスマートフォンのシェア率は低いです。
しかし、2021年度スマートフォンの出荷台数が過去最多を更新したことから、今後ますますKotlinを使用したAndroidアプリの開発需要は高まっていきます。
実際GoogleがKotlinをAndroidアプリ開発の公式言語とした2017年以降、日本の大手企業がKotlinを採用したアプリを次々に開発しています。
今後、Kotlinエンジニアの需要は国内海外問わず高まるでしょう。
Webアプリケーション開発
Kotlinを用いることでWebアプリケーションの開発も可能です。
これまでWebアプリケーションでは主にJavaが使用されていましたが、KotlinはJavaよりシンプルで短いコーディングができることから、Webアプリケーションにも採用されています。
またKotlinは、以下の4つのフレームワークを使うことで作業を効率化できます。
- Spring Boot
- wasabi
- Jooby
- ktor
またバックエンド言語として使用することもできるので、Androidアプリ開発とあわせてWebアプリケーション開発も行えます。
サーバーサイド開発
これまでJavaが主に使用されてきましたが、Javaとの互換性があり、移行においてコストが低いという点から、さまざまなアプリケーションがKotlinに移行しています。
またKotlinフレームワークのSpring Bootを使える点も評価されており、AdobeやExpediaといった大手企業もKotlinを採用しています。
Kotlinエンジニアになるために
Kotlinエンジニアになるためには、まずKotlinを学んで実際に使ってみることが大切です。
Kotlin学習後、どのようにKotlinエンジニアとして活動していくのが良いのかキャリアパスについてもお伝えしていきます。
Kotlinの学習方法
Kotlinは学習コストが低いため、書籍と公式サイトで十分に学習できます。
Kotlinの公式サイトでは実際にコードを編集・実行・共有できるような箇所があるので、書籍で得た知識を基に触ってみるのが良いでしょう。
公式サイトは英語表記ですが、翻訳機能を使えば十分理解することができます。
また独学でKotlinを学習をするのはハードルが高いと感じる場合は、プログラミングスクールを利用すると良いでしょう。
数あるプログラミングスクールでは、Kotlin入門といったコースがあります。
フリーランスのエンジニアとしてKotlinを使って案件を受注するためには、何度も繰り返しKotlinを使いながら学習していくのがベストです。
Kotlinエンジニアのキャリアパス
Kotlinエンジニアとして活躍していくためには、キャリアパスについて考えることが重要です。
キャリアパスをしっかり考えることは、将来他のKotlinエンジニアとの差別化にも繋がります。
プログラマー
Kotlinエンジニアとして、まずはプログラマーからのスタートがよいでしょう。
その後、上流工程の業務を担当しさらに経験を積んでいくことで後々フリーランスとして活動していく際は強みになります。
なぜなら、他のKotlinエンジニアと差別化していくためには、幅広い知識を有することが大切だからです。
上流工程の業務を行うことで、要件定義や基本設計に関する知識を得ることができます。
また他にも、Kotlinフレームワークの知識やJava・Swiftなど他の言語の知識、ITに関する資格を取ることも差別化に繋がります。
段階を踏んでいきながら、Kotlinエンジニアとして活躍していきましょう。
Kotlinの将来性は明るい
Kotlin(コトリン)とは、Javaをよりシンプルかつ安全性が高くなるよう改良し開発された、新しいプログラミング言語です。
GoogleがAndroidアプリ開発の公式言語として採用した点や、Javaと相互利用が可能な点から、多くの企業が次々にAndroidアプリ開発にKotlinを採用しています。
またIT人材不足が加速する日本において、スマートフォン出荷数増大に伴うAndroidアプリ開発の需要はかなり高くなってきています。
そのため、今後Kotlinを使えるエンジニアは国内海外問わず重宝されます。
今後、ますます需要が高まるKotlinの将来性は明るいでしょう。
Kotlinについて詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。