「Perl」とは?プログラミング言語の特徴と他言語との違いを解説

近年、開発者の間であまり耳にしなくなった「Perl」。オワコンなんて囁かれているようですが、本当にそうなのでしょうか?

本解説では、歴史が長く知名度の高いPerlとはどのような特徴を持つプログラミング言語で、他のプログラミング言語とどのような違いがあるのか、また具体的にどのような場面で使われているのかをご紹介し、読者の皆様が今後学ぶべきプログラミング言語を適切に判断し、選択できる一助となるような内容になっております。

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Perlとはどんなプログラミング言語?

Perlは、1987年にラリー・ウォール氏によって開発され、様々な人によってバージョンアップを繰り返した歴史あるプログラミング言語です。
当初「Practical Extraction and Reporting Language」(実用的な抽出とレポート作成言語)と名付けられましたが、後に頭文字を取って「Perl」と呼ばれるようになりました。

Perlは、多くのプログラミング言語(C言語、シェルスクリプト、Awk、Sedなど)の特徴を引き継いで設計されており、実行環境があればコンパイル不要でどこでも動かすことが可能なプログラミング言語です。

Perlはプログラムがシンプルに記述できるため、第三者が読んだ際にもわかりやすく、ミスの発見も比較的容易で、複雑なプログラムを構築できるような様々なサポート機能が充実しているという特徴があります。

汎用スクリプト言語で作業を省略できる

Perlは「汎用スクリプト言語」として知られています。
汎用スクリプト言語とは主に以下のような4つの特徴を持った言語のことです。

  1. シンプルな構文
    シンプルで読みやすい構文のため、比較的簡単にコードを実行することができます。
  2. インタプリタ型
    スクリプト言語では通常、インタプリタによって即実行されます。
    コンパイルやビルドといった手順が不要なため、開発効率が高いことで知られています。
  3. 拡張性と柔軟性
    「汎用」という名の通り、様々な用途に適応できるよう設計されています。
    テキスト処理、ファイル処理、システム管理、データ処理、Web処理など様々なタスクを処理するためのライブラリやモジュールが豊富に提供されています。
  4. クロスプラットフォーム
    多くの汎用スクリプト言語はクロスプラットフォームに対応しており、様々なオペレーティングシステムで動作することができます。
    これにより、異なる環境やシステム上でもコードを実行することが可能です。

Perlを使用しているアプリケーションは?

Perlは、Webアプリケーションや企業の業務システム開発を得意としており、RubyやPythonが普及する前まではWebアプリケーション開発といえば「Perl」と言われるほど人気のプログラミング言語です。

具体的な開発事例をいくつかご紹介いたします。

  • 顧客情報を管理する基盤システム
    Perlはテキスト関係の処理が得意で、簡単なコードでデータ保存やキーワード検索などが可能です。現在でも顧客情報の登録や検索、メッセージ機能などでPerlを使っている企業も少なくありません。
  • ドローンの自動操縦システム
    PerlだけでもloTシステムを作ることは可能ですが、他の言語と合わせて利用することが多くなっています。
  • 動画配信サービスのWebシステム
    近年様々な動画配信サービスが普及しておりますが、その動画配信サービスをPerlで開発することが可能です。しかしながらドローンの自動操縦システムと同様に、Perl単体ではなくその他の言語をメインとし、基盤の一部分をPerlが担うという形で利用されています。

Perlの特徴

Perlは、他の言語と比べても汎用性や可読性が高いため、初心者でも読みやすいという特徴を持っていると前述いたしましたが、以下で更にPerlの魅力について解説していきます。

コンパイルが不要

Perlはプログラムをコンピューターが実行できる形式のコードに変換する「コンパイル」が不要な点が特徴として挙げられます。直接コードを実行できるため、開発者は素早くプログラムのテスト及び実行が可能です。

これは”開発者の教育”や”小規模なプロジェクトの開発”といった場面でも活躍する特徴です。

記述が簡単で第三者でも理解が容易

Perlの構文はシンプルで直感的に理解できます。シンボリックな特殊文字や短縮形の操作子などが使用されていますが、一度慣れてしまえばそれらも独自の一貫したルールに則っています

また、Perlのコードは通常、記述された意図やコードの目的を明確に示すコメントが含まれており、変数や関数名は意味のある名前をつけることが推奨されています。

これにより、第三者がコードを読んだ際に理解しやすくなっており、初心者にとっても基本的なプログラミングコンセプトや制御構造を比較的理解しやすいという特徴があります。

後方互換性が高い

Perlは後方互換性を重視しており、新しいバージョンでも古いバージョンで記述されたコードが動作するように設計されています。このような特性はPerlが長い歴史を持ち、市場に多くのコードが出回っていることを表しています。

Perlの開発者は新しいバージョンをリリースする際に、互換性の維持に努めており、新しいバージョンでは古いバージョンで書かれたPerlのスクリプトやモジュールが正常に動作されることを目指しています。

また、Perlのコミュニティも広範で活発であり、バージョン間の互換性や移行に関する情報、ベストプラクティス等が共有されています。

そのため、Perlのバージョンアップは比較的容易に行える場合が多いです。

Perlの将来性は?

文頭でも触れておりますが、近年Perlに代替できる言語も多数登場しているため、Perlよりそれらの新しい言語を学ぶべきという意見も少なくありません

しかしながら、現在もPerlには活発なコミュニティが存在し、新しいモジュールやツールの開発、バグ修正やドキュメントの維持等が行われているということから、Perlの進化とサポートはしばらく継続されると思われます。

以下ではPerlの将来性といった部分について解説していきます。

Perlは30年以上も古い言語

Perlはリリースからすでに30年以上経過している言語であることから、既存のコードベースが存在し、多くの企業やプロジェクトで重要な役割を果たしております。

一部の開発者の間ではPerlから他の言語に移行するケースもみられますが、Perlの強力なテキスト処理機能や汎用性といった特徴は、特定の用途や状況で依然として需要があるという状況です。

それらを加味すると、現段階ではPerlは将来性を持ち続けていると言えますが、他の新しい言語やテクノロジーの競争にさらされているという事実もまた真実です。

今後のPerlのシェアはどうなっていくのでしょうか。

Perlの代替えは、PythonやRuby、PHPなどが主流

近年は、Perlに代わってPythonやRuby・PHPなどの後発言語が台頭してきており、積極的に活用されています。

これらの言語はPerlと同様に柔軟なスクリプト言語であり、テキスト処理や自動化等のタスクに適していますが各言語はそれぞれ特徴が異なるため、プロジェクトの要件や開発者個人の好みによって最適な選択肢を選ぶことが求められます。

次に、それぞれの言語がどのように活用されているか具体的に解説していきます。

Rubyとの違いは?

Rubyは比較的新しい言語で、特にWeb開発の分野で人気があります。純粋なオブジェクト指向プログラミング言語であり、クラスや継承、メソッドのオーバーライド等の概念を強くサポートしています。シンプルで読みやすい構文を持っており、明確なコードスタイルや規約があります。

一方、Perlは手続き型とオブジェクト指向の要素を組み合わせたハイブリッドなスタイルを持っていると言えます。柔軟な文法を持ち、異なる方法で同じタスクを達成することが可能という違いがあります。

Pythonとの違いは?

Pythonとは、最近注目のプログラミング言語で幅広い用途に使用されており、人工知能やIot等の成長の著しい分野の開発で人気があります。

PythonもRubyと同様に純粋なオブジェクト指向プログラミング言語です。シンプルであることを重要視して開発されたプログラミング言語なので、初心者から上級者まで幅広い開発者が扱いやすいとされています。覚える構文はPerlと比較すると圧倒的に少なく、ポリモーフィズムの概念を使って、コードの再利用性や保守性を向上させることができます。

Perlの代表的なフレームワークをご紹介

Perlプログラミング言語でのWebアプリケーション開発を支援するためのツールセットやライブラリの集合体をPerlのフレームワークと言います。フレームワークを活用することで、一般的なタスクやパターンに対する共通のソリューションを提供し、開発者が効率的かつ一貫したコードを記述することができるようになります。

次にPerlの代表的なフレームワークをご紹介いたします。

「Mojolicios」:複雑なWebアプリケーションにも対応

Mojoliciousは高機能かつモダンなPerlのWebフレームワークです。ルーティング、テンプレートエンジン、セッション管理、フォームバリデーション、WebSocketサポート、テストフレームワーク等Mojoliciousの豊富な機能セットを活用することで、動的なWebアプリケーションやAPIを作成することができます。

「Catalyst」:MVCパターンで高効率

Catalyst(触媒)は拡張性の高いPerlのWebフレームワークで、Perlプログラミング言語の拡張機能やライブラリを提供するための公開リポジトリであるCPANモジュールと連携することを前提に設計されています。

その他のWebアプリケーションフレームワークと同様にMVC(Model-View-Controller)アーキテクチャを採用しており、柔軟なルーティングやプラグインの活用、データベースアクセスなど多くの機能を提供しています。

「Dancer」:軽量で簡素なコーディング

Dancerは、RubyのSinatraプロジェクトの移植として始まった軽量かつ柔軟なWebアプリケーションフレームワークです。小規模なプロジェクトやプロトタイプの開発に適しています。

シンプルな構文を持っており、短いコードでWebアプリケーションを作成することができます。Dancerは、CPANから様々なモジュールと統合されており、データベースアクセスやセッション管理、認証、テストなどの機能を容易に組み込むことができます。

DancerはテンプレートエンジンとしてTT(TemplateToolkit)やMasonなどの人気のあるエンジンをサポートしているので、ビューテンプレートのロジックの分離が容易になり、柔軟なビューレンダリングが可能です。

また、Dancerは開発者支援を重視しており、迅速な開発やデバックを支援するため、自動リロードや統合されたデバッガなどの機能を有しており、開発の生産性を向上させます。

まとめ

Perlがオワコンかどうかは、開発者個人の好みや要件の傾向によって異なると考えます。

どのプログラミング言語を学ぶのかというのは目的ではなく手段に過ぎません。

Perlは一部の領域では人気が低下しているということがあるかもしれませんが、Perlの柔軟性が高いという利点や特徴を生かしたプロジェクトや長い歴史が築き上げたレガシーシステムでは依然として重要な役割を担っていることは変わりません。将来的なPerlの動向を予測することは難しいですが、開発コミュニティや使用者の活動に注目することは今後も必要となってくるでしょう。