Perlは1987年にリリースされたWebアプリケーション開発のプログラミング言語です。
Perlは約30年前に開発され、後方互換性の高さやナレッジの豊富さなどから長らく支持されています。
しかし、最近ではPerlの将来性について疑問視する意見があるのをご存じでしょうか?
本記事では、Perlの特徴から将来性について解説していきます。
Perlエンジニアとして働くうえで知りたい、年収や必要なスキルについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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Perlの特徴
Perlは30年もの長い歴史を持つ、機能豊富なプログラミング言語です。
主にWebアプリケーションの開発に使用され、プログラミング言語の少なかった当時では一躍脚光を浴びる存在でした。
Perlのには以下のような特徴があります。
- 後方互換性が高い
- テキスト処理に優れている
- コンパイルの必要ないスクリプト式で、高速の作業が可能
- CPANによるアーカイブ、ライブラリが充実している
Perlが未だに支持されている理由のひとつが、30年たった今でも使いやすいことです。
Perlは非常に後方互換性(古いバージョンの言語なども新しいバージョンでも使用できる)が高い言語です。
プログラミング言語は、定期的にバージョンアップすることで、常に最新のものに修正・改善されています。
Perlは度重なるバージョンアップがあっても、大きな変更なく使えるのでユーザーから支持されています。
また、Perlはテキスト処理に優れており、正規表現を使えることから文字列の検索や置換が容易にできる利点があります。
スクリプト式でコンパイルの必要がないので、比較的高速での作業が可能です。
長い歴史ならではの充実した拡張モジュールやコミュニティも特徴のひとつです。
PerlにはCPANというアーカイブネットワークがあり、25,000以上のソフトウェアを世界270箇所以上から無料で検索及び使用することができます。
Perlに将来性はない?
Perlはとても機能豊富で汎用性のある言語です。
これまでに開発されたシステムには、現在もPerlが使用されているものも多く存在するので、Perlの将来性は高いという意見もあります。
一方で、最近ではPerlの将来性について議論されることも増えているのが現状です。
常に新しい技術やトレンドが変化していくプログラミング言語の中で、Perlに変わる多くの言語が開発されています。
賛否両論はありますが、時代の流れからもPerlの将来性はどちらかといえばないと言われる傾向にあるでしょう。
Perlの将来性がないと言われてしまう理由
現在、将来性がないと囁かれているPerlには以下のような背景があります。
その理由について解説していきます。
メンテナンス性に欠けるから
Perlは将来性がないと言われる理由のひとつがメンテナンス性に欠けることです。
Perlはコードの自由度が高い特徴があります。
エンジニアによって、記述されるコードはさまざまで長年使っていくととても複雑なものになってしまいます。
このような背景から、Perlの保守性については不安が残ります。
新規プロジェクトで使われることがほとんどない
1987年ごろ、Perlが発表された当時は、Webアプリケーション開発といえば「Perl」というほど代表的な言語でした。
しかし、長年かけてPerlのデメリットを補うべくさまざまな言語が開発されてきました。
その影響もあり、現在ではPerlが開発分野に使用されることはかなり減少しました。
xhoursの2023年1月時点での案件の募集を見てみると、Pythonの案件数が1,118件あるのに対して、Perlの案件は118件と10分の1程度です。
2006~2010年をピークに衰退しているから
開発当初はスクリプト式で非常に人気を博したPerlですが、現在ではその人気は低迷しています。
TIOBE indexによると、2004年4月時点で10.71%だった評価も2023年1月現在では0.72%とかなり下がっています。
【TIOBE indexより引用】
2004年にはRubyのフレームワークである「Ruby on Rails」が、2005年にはPythonの代表的なフルスタックフレームワークの「Django」が公開され、その利便性に各言語の人気はさらに急上昇しました。
結果、2006年以降はPerlが開発分野で使用されることが、少なくなっている状況です。
他の言語の人気が高まっている
Webアプリケーション開発としてリリースされたPerlですが、最近では多くの言語がWebアプリケーション開発に使われています。
有名なところだと、PythonやPHP、Java Script、Rubyなど多くのプログラミング言語の人気が上昇する中、Perlの人気は下降する一方です。
TIOBE indexのプログラミング言語別ランキング(2023年1月時点)では、同じWebアプリケーション開発言語のPythonが1位、Java Scriptが7位なのに対して、Perlのランキングは18位となっています。
Webシステム開発でも、IoTであればPython、システム基盤の開発であればPHPやJavaなどPerlよりも優れた部分のあるプログラミング言語の需要は今後も高まるでしょう。
Perlが将来的に強いとも言われる理由
ここまで、Perlの将来性を不安に思う内容ばかりでしたが、Perlが素晴らしい言語であることも事実です。
続いて、Perlが将来性に強いと言われる理由について解説していきます。
これまで開発されたシステムが多いから
現在、Perlは新規開発こそ少ないですが、今までに開発された膨大なソフトウェアはPerlの現在の需要の源とも言えます。
CGIと言えばPerlというイメージがあるように、掲示板などのCGIは現在でも使われているほとんどがPerlによるものです。
また、Perlの特徴でもある後方互換性の高さのおかげで、バージョンアップされても更新の手間が少なく使い続けられることもPerlが支持され続ける理由のひとつでしょう。
他の言語との組み合わせで使われることもあるから
Perl以外のWebアプリケーション開発言語が普及しても、現場では複数の言語を併用することもあります。
システムの保守性を高めたいのであればPythonが選択されたり、オブジェクト指向を使用したい場合はRubyが使われます。
このようにどの言語にも得意とする分野があり、Perlにも使いやすいというメリットがあります。
どれだけ他に優れた言語ができたとしても、それぞれの言語を使い分ける方が効率的に開発を進められるでしょう。
Perlの学習難易度
数あるプログラミング言語の中で、未経験からのPerlの習得難易度は高い傾向にあります。
これはコード記述の自由度が高すぎるというPerlの特徴が影響しています。
Perlは汎用性のあるプログラミング言語であり、コードの記述方法も比較的縛りがありません。
そのため、エンジニアによってコードが複雑になることもしばしば。
エラーなどの不具合が起こった時の対応など保守の面では苦労することが予想されるため、Perlの習得はやはり難しいと言えます。
まずはJavaやPHPなどの比較的人気度の高い、一般的な言語から習得を進めた方が良いでしょう。
Perlエンジニアの年収相場
ネット社会の現代でさまざまなWeb開発が進む中、新規開発には使われなくなりつつあるPerlですが、気になる年収相場はどの程度でしょうか?
他のプログラミング言語と比較しながら、確認していきましょう。
TECH Streetによる、2020年プログラミング言語別年収ランキングでのPerlの年収は以下の通りです。
Perl | その他Web開発系言語 | ||
年齢 | 年収 / 順位 | 年齢 | 年収 / 順位 |
20代 | 405万円 / 5位 | 20代 Python | 403万円 / 7位 |
30代 | 555万円 / 3位 | 30代 Python | 546万円 / 5位 |
40代 | 595万円 / 11位 | 40代 Python | 624万円 / 3位 |
50代 | 592万円 / 6位 | 50代 Java | 629万円 / 2位 |
【TECH Streetより引用】
その他のプログラミング言語と年収を比べると、Perlの年収相場は比較的上位にあることがわかります。
一方で、30代まではPerlの方が年収が高かったPythonやJavaですが、40代以降は金額が逆転しています。
新規開発などの分野で需要の高い人気言語の場合、経験を積むことでスキルなども上達して年収が高くなっていく傾向にあるためだと考えられます。
令和4年に経済産業省が発表しているデータを見ても、ITエンジニアの平均年収とPerlエンジニアの平均年収の比較では、40代以降はPerlエンジニアの年収が平均よりも少なくなっています。
先ほどのPythonやJavaとの比較の際と同様の結果です。
【出典:令和4年 経済産業省 関連データ・政策集より引用】
一方で、フリーランスのPerlエンジニアの年収相場を見ていきましょう。
xhoursでのPerlの案件の報酬金額は平均60〜70万円、多いもので100万円に設定されています。
年間の収入で考えると平均720万円〜840万円、多ければ1000万円を超えることも可能です。
フリーランススタート(2023年1月時点)でもほぼ同様の結果となっています。
平均単価 | 中央値単価 | 最後単価 | 最低単価 |
56.6万円 | 60万円 | 110万円 | 24万円 |
【フリーランススタート より引用】
他のプログラミング言語と比較するとPerlエンジニアの年収は高い傾向にありますが、さらにステップアップして高い年収を目指したい方はフリーランスとしての独立も検討してもいいでしょう。
Perlエンジニアの仕事内容
現在でも、新規開発以外の部分でPerlエンジニアの需要は高いです。
主に既存のサービスの保守・運用をすることが多いですが、Web開発においては、長期的に使用することを想定してPerlが選択されることもあります。
業務系基盤システム開発・保守
Perlはインフラネットで動作する生産管理システムなどのシステムに使用されることが多いです。
Perlの場合、作業する場所を選ばずに使用できるため、開発の段階においても重宝されています。
新規開発はもちろん、既存のシステムの修正および改善についてもPerlエンジニアが処理を行います。
Webシステム開発・保守
かつてWeb開発といえばPerlと言われていただけに、PerlとWebの相性は非常に優れています。
動画配信サイトをはじめ、SNSなどさまざまなWebシステムの開発に使用することができるでしょう。
テキスト処理
Perlはテキスト処理にとても優れています。
正規表現を言語に使用することで効率的な文字列の管理が可能。
テキスト処理が必要な開発やプログラムの作成も高速で行えるので、Perlのメリットが十分に発揮されます。
Perlエンジニアに必要なスキル
Web開発や保守の現場において活躍するPerlエンジニア。
より作業効率を向上させて、将来性を高めるためのスキルについて解説します。
MySQLを用いた開発スキル
Perlを使用するうえでMySQLと連携することでさらに開発を効率的に進められます。
MySQLとはRDBMS「リレーショナル・データベース・マネジメント・システム」のひとつです。
RDBMSはその名の通り、リレーショナルデータベースの管理を行います。
MySQLを使用することで、ユーザーやアプリケーションからデータを利用できるようになります。
データの検索や管理などを用いるシステム開発にはMySQLの知識が必須です。
Perlエンジニアとして身につけておくと、大きなメリットになるでしょう。
Hadoopなどフレームワークの知識
フレームワークを目的に応じて使用することで開発をより効率的に行えます。
例として、Hadoopによる効果について解説します。
Hadoopは、もともとはJavaによって開発されたフレームワークです。
Hadoopを使用することで、膨大なデータ処理を細分化して、並列的に開発を進められます。
Jobの並列化と聞くと難易度が高い印象を受けますが、Hadoopを使用すれば処理を自動でおこなってくれるのでエンジニアはあまり意識せずに開発を行えます。
現在、PerlやJava以外の言語でもHadoopを使用できるため、エンジニアであればぜひ活用したい知識のひとつです。
まとめ
Perlの特徴から将来性について解説してきました。
Perlは30年も前からWeb開発の基盤を支えてきた、機能豊富な優秀な言語です。
現在では、Perlのデメリットを補うプログラミング言語が人気を集め、Perlが新規開発で使用されることは少なくなりましたが、後方互換性の高いPerlは今でも活用されています。
Perlは徐々に需要が減り、将来性が怪しまれていますが、既存のシステムの保守や運用はもちろん、長く使えるなどのメリットから今後も開発に使用されることも少なからずあるでしょう。
また、Perlは他のプログラミング言語と比較しても、年収も高い傾向にあります。
Webの進歩が止まるところを知らない現代において、供給数も少ないPerlエンジニアは重宝されます。
Perlを習得する際には、MySQLのようなスキルやフレームワークの活用が重要なのはさる事ながら、需要のある分野をしっかりと見極めて活用しましょう。