「Java開発でフレームワークを使いたいけど、たくさんあってどれを選べばいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
Javaフレームワークは、開発に必要となる便利な機能を集めたツールです。
しかし、Javaフレームワークは非常に便利な反面、選択を間違えると逆効果になることもあります。
本記事では、おすすめのJavaフレームワーク6選とその特徴、Javaフレームワークを使うメリット・デメリットを紹介します。
Javaフレームワークの選び方もお伝えするので、選定にも役立ちます。
スピーディに品質の高いコードを書きたい方は、フレームワークの利用をおすすめします。
ぜひ参考にしてください。
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Javaフレームワークは何ができる?
Javaフレームワークとは、Javaでシステム構築する際のベースの機能を提供するソフトウェアです。
Javaフレームワークでできることは、大きく分けて以下の2つになります。
- 再利用可能な仕組みの利用(クラス、モジュール、API、ライブラリなど)
- 処理テンプレートの利用
上記2つができることによって、ゼロからプログラミングせずに一定のベースがある状態からシステムを構築することが可能です。
Javaフレームワークを使わない手はない!
Javaフレームワークは非常に便利なツールであるため、使用することをおすすめします。
フレームワークを使用し一定のベースがある状態で開発をすると、下記のようなメリットが得られます。
- 生産性が上がる
- セキュリティレベルが上がる
- 品質が上がる
上記のメリットは全て、アプリ開発者にとって向上が必要とされる要素です。
そのため、Java開発ではフレームワークの利用が必須条件ともいえるでしょう。
おすすめJavaフレームワークを6種類ご紹介
メリットが豊富なJavaフレームワークは利用価値がありますが、非常に多くの種類があり選択することが困難です。
フレームワークの選択を誤ってしまうと、開発時にトラブルが発生する可能性もあります。
以下で、おすすめのJavaフレームワークを6種類紹介します。
- Spring Framework
- JavaServer Faces
- Apache Struts
- Apache Wicket
- Play Framework
- SAStruts
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Spring Framework
「Spring Framework」は、JavaでWebアプリを開発する際に使用されるフレームワークです。
JavaでWebアプリを作成する場合、使用頻度が高いフレームワークになります。
Spring Frameworkの特徴は、DIとAOPという2つの仕組みがあることです。
DI(Dependency Injection)は、「依存性の注入」と訳します。
DIを使用することでクラスごとの依存関係がなくなり、独立したクラスとして存在することが可能になります。
クラスが独立することによって、クラスごとの単体テストが可能になりシステム変更時の改修がしやすくなるため、開発が楽になるでしょう。
AOP(Aspect Oriented Programming)は、「アスペクト指向プログラミング」と訳します。
AOPは、処理のメインの流れから共通処理を抜き出してまとめることが可能です。
共通処理が集約されることで、不具合発生時の解析や対策がしやすくなります。
非常にレベルが高いフレームワークとなっているため、使いこなすためには知識が必須です。
しかし、利便性が高いため多くのシステム開発現場で使われることが多く、習得すれば活躍の場が広がるでしょう。
JavaServer Faces
「JavaServer Faces(JSF)」は、Oracle社が開発しJakarta EEに搭載されたWebアプリ用フレームワークで、MVCモデルが採用されています。
JavaServer Facesは、UI(ユーザーインターフェース)と呼ばれるシステム利用者が操作する部分を作るのに便利です。
ボタンや入力欄など、Web画面の見た目を作るためのライブラリを使用することができます。
また、JavaServer Facesの表示はJSPではなくXHTMLでの実装です。
XHTMLはXML型のHTMLであるため、XHTMLファイルのみでブラウザへ表示できます。
比較的簡単に扱うことができるため、習得に時間がかからず負担がありません。
Apache Struts
「Apache Struts」は、JavaでのWebアプリ開発に使用されるフレームワークです。
Apacheソフトウェア財団が開発し、MVCモデルが採用されています。
Apache Strutsは、2000年代にはWebアプリの標準フレームワークとして位置づけられており、多くのシステムに使用された主流のフレームワークでした。
しかし、Spring Frameworkが広く普及し始め、新規開発のWebアプリにはApache Strutsを使用することが少なくなっています。
Apache Strutsに脆弱性が見つかったことも、Webアプリに使用されなくなってきた原因の1つです。
また、Apache Strutsは設定が煩雑なため、初心者が扱う際は苦労するでしょう。
しかし、既存のWebアプリには数多く使用されているため、JavaエンジニアであればApache Strutsに触れる機会はまだまだ多いといえます。
Apache Wicket
「Apache Wicket」は、Apacheソフトウェア財団が開発したWebアプリ用フレームワークです。
Wicketには「小門」「窓口」という意味があります。
Apache Wicketは、他のフレームワークのようにエンジニアが記述するコードを少なくしようという概念はなく、すべてをJavaの知識だけで完結しようという考え方で作られているフレームワークです。
そのため、XMLやJSP、サーブレット、設定ファイルなど、Webアプリ開発時に手間がかかるものをすべて排除してJava・HTML・CSSのみでアプリを作ることが可能です。
非常にシンプルな構造であるため、Web特有の難しさがありません。
Javaの知識さえあれば、Web開発の経験が浅くてもWebアプリ開発が可能となるでしょう。
Play Framework
「Play Framework」は、JavaやScalaに使用されるWebアプリ用フレームワークで、MVCモデルが採用されています。
CPUやメモリなどリソースの消費量が少ないため、ハードに負荷をかけずに実行することが可能です。
また、コードの修正をするとそのまま反映されるため、コンパイルの時間もかかりません。
Webアプリは開発中に何度も動作確認をするため、コンパイルの時間短縮は大きなメリットであるといえます。
軽量で使いやすく開発もしやすいため、習得しておけば多くの案件で活用する機会があるでしょう。
SAStruts
「SAStruts(Super Agile Struts)」は、Apache Strutsをもとに作られたWebアプリ用フレームワークです。
コードの修正後は、ホットデプロイにより再起動の必要がありません。
Apache Strutsでの開発時に誰もが苦労した、設定ファイル(XML)の頻繁な修正もSAStrutsでは不要です。
設定ファイルは自動生成されるため、開発スピードを上げることができます。
SAStrutsはApache Strutsに比べれば単純ですが、学習コストは中級レベルでしょう。
スピード感をもって開発を進めたい方に、おすすめのフレームワークです。
Javaフレームワークを活用するメリット
Javaフレームワークを活用することによって、どのような利益があるのでしょうか。
具体的なメリットは、下記の2つです。
- 開発スピードの向上
- セキュリティレベルの向上に役立つ
以下で順に解説していきます。
開発スピードの向上
Javaフレームワークを使用することによって、開発スピードが向上します。
フレームワークにはテンプレートやAPI、ライブラリなどが含まれているため、処理を1から作成する手間がかかりません。
そのため、作業効率は格段に向上します。
また、複数人がプログラミングをする大規模システムの開発でも、フレームワークが役立ちます。
複数人で開発することの弊害は、人によってコーティングの癖や質が変わることです。
そこで、フレームワークを導入することによって、メンバーによるバラつきも最小限に抑えることが可能になります。
癖や質にバラつきがなくなれば他者の作ったソースコードを読むのも比較的楽になり、メンテナンスがしやすくなるため、効率よく作業できることでしょう。
セキュリティレベルの向上に役立つ
Javaフレームワークを利用することによって、セキュリティレベルを上げることが可能です。
外部からの攻撃に対応できるプログラミングをするためには豊富な知識が必要ですが、フレームワークを使えば簡単に対策をすることができます。
Webアプリはネット上に公開されるため、常に脆弱性を利用したサイバー攻撃に遭う危険にさらされています。
たとえば、サーバー上のデータベースを不正に操作される「SQLインジェクション」やユーザーのPC上で不正なスクリプトを実行させる「クロスサイトスプリクティング」などのサイバー攻撃が有名です。
Javaフレームワークの中には、このようなセキュリティの脅威に対応できるものもあります。
フレームワークによってできることは異なり、むしろ脆弱性が高いフレームワークも存在するので注意が必要です。
フレームワーク選定時には、対応可能なセキュリティ対策の内容も調査してみてください。
Javaフレームワークを活用するデメリット
Javaフレームワークは便利ですが、活用するうえでデメリットもあるのでしょうか。
Javaフレームワークを活用するうえでのデメリットは、下記の2つです。
- 習得難易度は比較的高め
- 種類によっては動作が重くなる
以下で順に解説していきます。
習得難易度は比較的高め
Javaフレームワークは非常に奥が深いため、習得の難易度が高めです。
フレームワークは良くも悪くも、中身がわからないままでも使用可能です。
多くの現場では、開発の初期段階で熟練のエンジニアが基本の処理を組み、他のエンジニアは基本処理を真似して作るという流れで開発が行われるでしょう。
真似して作ることによって、結果的にプログラミングによくある「おまじない」として使用されてしまう危険性があります。
習得が難しい分、あまり理解しないままに使ってしまう人が出てきます。
また、フレームワークのドキュメントのうち、日本語で書かれているものは多くありません。
日本語で書かれているものが少ないことも、フレームワークの習得を妨げる原因の1つとなっています。
正しくフレームワークを使うためには、選定したフレームワークに関連する書籍などに目を通してみることが大切です。
種類によっては動作が重くなる
Javaフレームワークを利用することで、動作が重くなる可能性が考えられます。
また、フレームワーク自体の容量が大きく、メモリを圧迫する可能性もあるでしょう。
しかし、動作が重くなるとはいえ、人間が感じることができるほど大きなパフォーマンスの低下は発生しません。
パフォーマンスが悪いと感じた場合は、フレームワーク自体ではなく処理の問題である可能性も高いです。
パフォーマンスの問題も容量の問題も、サーバースペックを上げることで解決します。
多少の動作の重さを懸念するよりも、開発スピードが上がることやセキュリティに強くなることなど、フレームワークの導入によるメリットが勝るでしょう。
Javaフレームワークの選び方
Javaフレームワークには、この記事でおすすめしたもの以外にも非常に多くの種類があります。
JavaでWebアプリを開発する際に1番最初に悩むのは、どのフレームワークを使えばいいかということです。
フレームワークの選び方のコツとしては、下記の2つがあります。
- 新しさから選ぶ
- 開発環境との相性で選ぶ
順に解説するので、ぜひフレームワーク選びの参考にしてください。
新しさから選ぶ
Javaフレームワークには、流行り廃りがあります。
古いものはサポートが切れてしまう可能性もあるため、比較的新しいものを選んだほうが将来性が高いでしょう。
新しいフレームワークは、古いフレームワークの欠点を補って開発されていることが多いです。
新しいものを使うことによって、開発時の苦労やWebアプリ運用中のセキュリティ面の心配などが少なくなることでしょう。
しかし、実績の少ないフレームワークはノウハウが蓄積されておらず、問題発生時に調査が難しくなってしまいます。
新しさも大切ですが、あまりにも新しいものを使用する場合には注意が必要です。
リリースされた時期やインターネット上や書籍などの情報量を調べて、使いこなせそうなフレームワークを判断しましょう。
開発環境との相性で選ぶ
Javaフレームワークには、それぞれ得意分野があります。
どのようなアプリを開発するかで使用に適したフレームワークは異なるため、まずは開発するアプリの特徴を知ることが重要です。
少なくとも開発時に必要な機能を搭載しているフレームワークを選択するようにしましょう。
また、フレームワークを使用する目的を明確にすることも大切です。
汎用性の高さが必要な場合もあれば、軽量であることを重視する場合もあります。
現在どのようなアプリが求められており、今後どのような改修が見込まれるのかまで考えて選択できるとよいでしょう。
まとめ
Javaフレームワークは、便利な機能を詰め込んだエンジニアに優しいツールです。
Java開発をするうえでは、欠かせないものであるといえます。
フレームワークにはデメリットもありますが、メリットがデメリットを大きく上回るため、大半のシステムに使用されています。
フレームワークの知識があれば、多くのJava開発の現場で重宝されることでしょう。
この記事で紹介したおすすめのフレームワークは、特に現場での使用頻度が高い6種類です。
ぜひ正しい知識を身につけて、現場で活躍してください。