「C#とはどのような言語?」
「C言語やC++と同じで難しいの?」
このような疑問を持っている方はいませんか。
C#は「C」がつきますが、C言語やC++ほど難易度は高くありません。
初心者でも扱いやすいプログラミング言語のひとつです。
この記事では、C#について下記の内容をお伝えします。
- 開発できるもの
- 特徴
- 開発事例
- メリット・デメリット
- 他言語との比較
- 学習方法
この記事を読めば、C#の汎用性の高さがわかり、習得したくなるでしょう。
C#について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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C#とは
C#とは、Microsoftが2002年にリリースした、オブジェクト指向のプログラミング言語です。
C言語やC++と同じC系の言語ですが、互換性はなく、まったく別の言語になります。
C++の拡張言語で、C++++の+部分を合体させて#になったという説も。
C#で開発できるもの
C#では、様々なものを開発することができます。
C#で開発できるものは、下記のとおりです。
- Windowsアプリケーション
- Webアプリケーション
- ゲーム
- VR/AR
- システム開発
- スマホアプリケーション
それでは、それぞれ順に解説していきます。
Windowsアプリケーション
C#は、Windowsアプリケーション(デスクトップアプリケーション)を作成することが可能です。
Microsoftが開発したプログラミング言語のため、Windows上で動作することを得意としています。
開発環境「Visual Studio」を利用すれば、ボタンやテキストボックスなどのコントロールをフォームに配置することも、ドラッグ&ドロップで手軽にできるため、初心者にもおすすめです。
未経験でもGUIフォームを作ることができます。
Webアプリケーション
C#は、Webアプリケーションを開発することができます。
C#でのWebアプリ開発では、Web用のフレームワーク「ASP.NET」を利用して作るのが一般的です。
ASP.NETもまた、Mircosoftが開発しており、C#との相性は非常に良いものとなっています。
ゲーム
C#を利用して、ゲームを開発することができます。
その理由は、C#が「Unity」と呼ばれるゲームエンジンと相性が良いためです。
Unityは、ゲーム開発用のプラットフォームで、3Dや2Dのゲームを比較的手軽に作ることができます。
画像や効果音、動きに関するものなど、ゲームに必要な様々なライブラリが提供されているUnityは、ゲーム開発に欠かせないゲームエンジンです。
そのUnityを利用できるC#は、ゲーム開発業界にとって非常に有益なプログラミング言語となります。
VR/AR
C#を利用して、VRやARといった技術も開発することが可能です。
VRやARの開発には、ゲームと同様にUnityを利用します。
システム開発
C#は、システム開発をすることもできます。
とくにWebシステムでは、C#を使用することが多い傾向です。
C#でのWebシステム開発でも、Web用のフレームワーク「ASP.NET」が使われます。
スマホアプリケーション
C#を利用して、スマートフォン向けのアプリケーションを開発することが可能です。
スマホアプリ開発には、「Xamarin(ザマリン)」と呼ばれる開発環境を使用します。
たとえば、Androidアプリ開発では「Xamarin.Android」、iPhoneアプリ開発では「Xamarin.iOS」を使用することで、スマートフォンの2大シェアを誇るOSのアプリケーションをC#ひとつで開発できるのです。
C#の特徴
C#の特徴は下記のとおりです。
- 将来性が高い
- 「.NET Framework」のための言語
- 年収が比較的高め
- 副業やフリーランスにおすすめ
- 文法はJavaに似ている
- 比較的難易度が低い
それでは、それぞれの特徴について順に解説していきます。
将来性が高い
C#の将来性は非常に高いといえるでしょう。
なぜなら、C#では様々なものが開発できるため、あらゆるところに需要があるからです。
そのため、C#が習得できれば多くの現場で活躍することができます。
とくに、ゲーム業界ではC#の需要はとても高く、ゲームそのものの市場規模も大きいため、まだまだ需要は高いまま続くでしょう。
Microsoftの製品との親和性が高いことも、安定的に需要が見込まれる大きな理由です。
C#の将来性の高さについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「.NET Framework」が便利
C#は「.NET Framework」と呼ばれる開発や実行をするためのプラットフォームを利用することが可能です。
.NET Frameworkは、Microsoftが開発したもので、Windows系コンピューターにデフォルトでインストールされています。
フレームワークという名前ですが、ランタイム、クラスライブラリ、フレームワークの3つで構成要素で作られた環境です。
たとえばC#でWebシステムを開発する場合は、この.NET Frameworkにプラスして「ASP.NET MVC」などのフレームワークを使います。
C#のフレームワークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
年収が比較的高め
C#エンジニアの年収は500万円以上で、比較的高めといえるでしょう。
あらゆるアプリケーションを作ることができる言語なので、将来性は高く、今後も年収が下がることは考えにくいです。
ただし、C#エンジニアとしてさらに年収を上げたい場合は、VRやARといった最新技術が扱えるようになると良いでしょう。
C#エンジニアの年収相場や年収アップ方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
副業やフリーランスにおすすめ
C#は、副業やフリーランスにもおすすめのプログラミング言語といえます。
なぜなら、幅広い案件があることや、比較的高単価の案件が多いからです。
C#を習得しておけば、応募できる案件も増えるので、終業後や休日に対応できるボリュームの案件も見つかるでしょう。
C#の副業や案件獲得方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
文法はJavaに似ている
C#の文法は、Javaに似ています。
Javaを習得済みであれば、C#の習得のハードルも低くなるでしょう。
もちろん、C#からJavaへの移行も同じく比較的簡単にできます。
JavaもC#も、多くのものが開発できるプログラミング言語なので、活躍の場が多いです。
どちらかを習得していれば、あまり苦労なくどちらも使えるので便利です。
比較的難易度が低い
C#は比較的難易度が低いプログラミング言語です。
PythonやKotlin、Swiftといった短い構文で書くシンプルな言語ほど容易ではありませんが、Windowsフォームアプリケーションの開発であれば、初心者でも難易度は低いでしょう。
さらに、歴史が長いため、書籍や学習サイト、インターネットの情報なども充実しています。
疑問を解決しやすいという点では、学習しやすい言語といえるでしょう。
C#を使って開発されたもの
C#を使って開発されたものをいくつかご紹介します。
- MSN
- Bing
- 価格.com
- Skype
- Xbox
- ポケモンGO
MSNは、Microsoftのサービスで、IE(Internet Explorer)の初期ページに設定されていました。
現在IEはサポートが切れているので、MSNのページを見る機会は減っているかもしれません。
Bingは、Microsoftが提供する検索エンジンです。
Googleよりシェアは低いですが、MSNの検索ボックスや、Micrsoft Edgeの初期ページの検索ボックスにもBingが使われているので、使用したことがある人は多いでしょう。
Microsoftが提供したもの以外にも、有名なサイトやゲームでC#が使われています。
C#のメリット
C#を使用するメリットは下記のとおりです。
- 様々なアプリ開発が可能
- 開発環境が優秀
- ライブラリが豊富
それでは、それぞれのメリットについて順に解説していきます。
様々なアプリ開発が可能
「C#で開発できるもの」でも解説した通り、C#を使えば様々なアプリケーションやシステムが開発できます。
1つの言語で、フォームアプリ、Webアプリ、スマホアプリ、ゲームが作れるのです。
C#ひとつで様々な開発に対応できることは、エンジニアにとって大きなメリットです。
また、Windowsだけでなく、Mac、iOS、Androidなどのプラットフォームにも対応できるので、汎用性が高いプログラミング言語といえるでしょう。
開発環境が優秀
C#の開発環境である「Visual Studio」は、非常に優秀です。
Visual Studioを利用すれば、プログラミング経験の浅いエンジニアでも、Windowsフォームアプリの制作が比較的簡単にできるので、初めてのプログラミングにも向いています。
また、他の開発環境のように、構築が難しいということもなく、パソコンにインストールするだけで開発を始めることが可能です。
さらに、Visual Studioは自動補完機能を備えています。
これにより、プログラムの生産性も上がることでしょう。
ライブラリが豊富
C#は、歴史が長いことも影響して、ライブラリが豊富にそろっています。
ライブラリを使用することで、複雑な処理を書かずに済むため、スムーズに開発を進めることが可能です。
たとえば、下記のようなライブラリがあります。
- System.IO.Directory(コピーや削除などのディレクトリ操作ができる)
- System.IO.File(コピーや削除などのファイル操作ができる)
- System.IO.StreamReader(ファイルに書かれたデータを読む操作ができる)
- System.IO.StreamWriter(ファイルにデータを書く操作ができる)
- System.Math(平方根、三角関数など高度な計算ができる)
- System.Linq(ListやDictionaryを処理するLINQが使える)
これらのライブラリを使用すれば、素早く正確に処理を作ることができます。
C#のデメリット
C#を使用するデメリットは下記のとおりです。
- 高スペックのPCが必要
- 構文が長い
それでは、それぞれのデメリットについて順に解説していきます。
高スペックのPCが必要
C#での開発には、高スペックのパソコンが必要になります。
なぜなら、開発環境であるVisual Studioは容量を多く使用するからです。
Visual Studioさえあれば何でもできるといえるほどの機能を備えているため、必要となる容量が膨大になってしまいます。
低スペックのパソコンでは開発ができないと言っても過言ではありません。
構文が長い
C#は、Javaの構文と似ています。
比較的新しいプログラミング言語であるPythonやKotlin、Swiftのように、シンプルで短い構文では作れないのはデメリットとなるでしょう。
ソースコードの量が多くなるほど、初期開発でのコーディングに時間がかかったり、メンテナンス時に可読性が悪くなったりします。
C#と他言語の比較
C#は汎用性の高いプログラミング言語ですが、他の言語と比較するとどのような特徴があるのでしょうか。
今回は下記の3つのプログラミング言語と比較します。
- C言語
- C++
- Java
それでは、順に解説していきます。
C言語とC#の比較
C言語は、1972年にリリースされたコンパイラ言語で、古い言語ながら現在でも使われています。
それでは、C言語とC#を比較してみましょう。
- 習得の容易さ
- デバッグのしやすさ
- メモリ管理の容易さ
C言語は、プログラミング未経験の人が学ぶのにはあまり向いていません。
なぜなら、コンパラ言語であるためプログラムがデバッグしにくく、確認しながら作りこむことができないからです。
C#は作りながら小まめにデバッグすることができるので、C言語に比べて習得は容易でしょう。
また、C#はガベージコレクション(GC)が使えるため、不要になったメモリを自動でリリースしてくれます。
一方、C++は自分でメモリ解放処理を作らなくてはなりません。
このように、細かい処理を自身で書き込む必要があることも、C++が難しいとされる理由です。
- 高度な計算技術
- 高速処理
C#は、組み込み系のシステムには不向きです。
電子レンジやエアコンなどの電化製品を動かすプログラムを作りたいなら、C言語が向いています。
また、OSなどのコアなプログラミングをしたい場合も、C言語のほうが良いでしょう。
C言語について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
C++とC#の比較
C++は、C言語を拡張して1983年にリリースされたプログラミング言語で、高度な処理を得意としています。
また、C++は「C言語+オブジェクト指向」という言語のため、C言語でできるものはC++でも作ることが可能です。
それでは、C++とC#を比較してみましょう。
- 習得の容易さ
- デバッグのしやすさ
- メモリ管理の容易さ
※C言語と同じ
C#はC++と比較すると、習得しやすいプログラミング言語といえます。
なぜなら、C++はC言語に近いのでプログラミングの難易度が高いためです。
メモリの解放についても、C言語と同様にC++は自分で処理を書く必要があり、コーディングの難易度が上がります。
- ・高度な計算技術
- ・高速処理
※C言語と同じ
C#は、高度な計算や高速処理には向いていません。
そのため、ロボットやAI分野を目指す人は、C++を習得するほうが良いでしょう。
また、金融システムなどの大規模な業務システムに関わりたい人も、C++のほうがおすすめです。
JavaとC#の比較
Javaは、1996年にリリースされた古くからあるオブジェクト指向言語で、非常に多くのシステムに使われています。
それでは、JavaとC#を比較してみましょう。
- 習得の容易さ
- Windowsとの相性
C#はJavaの考えをベースに作られていますが、Javaより学習コストが低くなっています。
その理由は、C#はJavaより単純にコーディングすることができるためです。
また、C#はMicrosoftが開発したプログラミング言語のため、Windowsとの相性がとても良く、Windowsフォームアプリケーションの多くはC#で作られています。
- 汎用性の高さ
- 需要・求人の多さ
C#は汎用性の高いプログラミング言語ですが、Javaの汎用性はさらに高いです。
Javaは、C言語・C++が得意とする組み込み系や大規模システムにも対応できます。
そのため、需要や求人の多さはJavaのほうが高い傾向です。
とはいえ、C#の汎用性や需要も高めではあるので、短時間で習得したいならC#を選ぶのも良いでしょう。
なお、JavaからC#、C#からJavaへの言語の移行はそれほど難しくありません。
Javaについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
C#の学習方法
C#の学習方法についてお伝えします。
- 書籍で学習する
- Webサイトで学習する
- プログラミングスクールで学習する
それでは、それぞれの学習方法を順に解説していきます。
書籍で学習する
C#を習得するためには、まずは簡単な書籍を読んで基本をおさえると良いでしょう。
C#の学習におすすめの書籍は下記のとおりです。
- やさしいC#(著者:高橋麻奈、出版社:ソフトバンククリエイティブ)
- 猫でもわかるC#プログラミング (著者:粂井康孝、出版社:ソフトバンククリエイティブ)
- 猫でもわかる WindowsプログラミングC#版(著者:粂井康孝、出版社:ソフトバンククリエイティブ)
- ゴールから始めるC#(著者:菅原朋子、出版社:技術評論社)
やさしいC#は、入門書として使うと良いでしょう。
ゴールから始めるC#は、最初にゴール(完成系)を示してから作り方を順に解説する流れになっており、文法などを詰め込むよりもまずはプログラムを書いてみたいという人におすすめです。
Webサイトで学習する
Webサイトならパソコンを使って学習するため、その場でプログラミングを試すこともできて便利です。
C#の学習におすすめのWebサイトは下記のとおりです。
有料のものも含まれますが、すきま時間に動画を見ながら学習できるので便利です。
プログラミングスクールで学習する
C#の難易度は比較的低いですが、簡単とまでは言えない微妙なラインです。
独学ではくじけてしまいそうだと感じたら、プログラミングスクールを利用するのが安心です。
JavaやC++を習得済みの場合は書籍やWebサイトで十分ですが、プログラミング未経験者やマークアップ言語のみの経験の場合はスクールの利用も検討すると良いでしょう。
C#とは?特徴・開発事例・他言語との比較・学習方法を解説まとめ
C#についてお伝えしてきました。
C#は、様々なものが開発できる汎用性の高いプログラミング言語です。
Microsoftが開発した言語のため、Windows用のアプリケーション開発を得意としています。
また、開発環境の「Visual Studio」が非常に優秀で、初心者でも始めやすい言語です。
さらに、ゲーム開発もできるため、人気の言語となっています。
C#に興味を持った方は、ぜひ習得を目指してみてください。